稟は、資料を持って歩いていた。その時ふと中庭に目をやると
純「・・・すぅ。」
純が、中庭の木の下で横になって眠っていた。稟が純を目で追ってしまったのは、ただ偶然そこにいたからではない。
稟(純様・・・。)
彼女は、彼の優れた軍才を愛していたが、彼と接する時間が多くなるほど、彼の人柄を知りそして、愛したのであった。
純の部屋
純「さて、今日はどうすっかな・・・。」
この日の純は休暇を取っており、一日部屋で過ごすか、どこかに出かけるか、迷っていた。すると
稟「純様。稟です。入っても宜しいですか?」
純「ちょっと待って。・・・良いぞ、入れ。」
扉が開き、稟が部屋に入った。
稟「失礼します。」
純「どうした稟?」
すると、
稟「えっと、純様。もし宜しければ今日、一緒に出かけませんか?」
稟は顔を赤らめながらそう言った。
純「え?俺と?」
稟「そうですが。」
純の一言に、稟はそう言って眼鏡のフレームを軽く上げ掛け直した。
純(稟って、あまり買い物とかしねーからちょっとびっくりだな・・・。)
と思っていると、
稟「あの・・・純、様?私とでは困るでしょうか?」
稟が俯きがちにしながら寂しそうな表情をした。
純「ううん、そんなわけないよ。行こう行こう。」
それを見た純は
純(何か、普段の稟と違って可愛いな・・・)
と思い稟の髪を撫で、頬に手を添えながらこっちに顔を向かせた。
稟「・・・はい。」
それに対し、稟は頬の手の上に掌を重ねて相好を崩して柔らかい笑みを浮かべたのであった。
純「それじゃあ、行こうか。」
稟「はい。」
そう言って、二人は互いに手を取り、腕を組みながら街に行ったのであった。そして、二人で買い物したり、商品を見たりなどして、充実した時間を過ごした。そして、二人は純の部屋にいた。
純「今日は楽しかったな。」
稟「はい。そうですね。」
純「明日もどっか行こうよ。」
すると、
稟「純様・・・明日は仕事ですよ。」
稟は眼鏡のフレームを上げ、ジトッとした目で純を見た。
純「はは、冗談だよ。」
稟「全く・・・。」
そして、稟は純の隣に座った。
純「そうだ。稟、お前に渡したい物があるんだ。」
そう言って、純は懐から髪飾りを一つ取り出した。その髪飾りには、椿の花に鈴がついていた。
稟「これは・・・。」
純「お前には、何度か助けて貰ってるからな。そのお礼。」
純は、少し恥ずかしそうに言った。
稟「はい。ありがとうございます。」
そう言って、稟は髪飾りを大事そうに胸に抱き締めたのだ。そして、髪飾りを付けて、
稟「どう・・・でしょうか?」
と純に尋ねた。
純「うん。とても似合ってる。買って良かった。」
と言った。それを聞いた稟は、純に抱き付き、胸に顔を埋めた。
純「稟・・・くすぐったいって。それに俺、風呂入ってねーからくせーぞ。」
稟「良いんです。私には好きな匂いですから。」
そう言って、稟は顔を擦り寄せたり、匂いを嗅いだりし、時々恍惚な笑みを浮かべたりした。
そして
稟「純様・・・」
純「ん・・・」
稟「・・・好き・・・です。」
と純に告白した。
純「・・・そっか。俺には秋蘭がいるけど、良いのか?」
稟「構いません。私も愛してくれれば、それで・・・」
純「・・・稟。」
稟「・・・純様。」
そして、そのまま二人は口付けをしたのであった。