純「さてと・・・これで先の戦で活躍した兵達に恩賞を与える事が出来るな・・・。」
純は、剛達が書いた兵達の恩賞の資料を持って栄華の執務室に向かっていた。そして、栄華の執務室の前に立った。
純「変だな、今は休憩の時間じゃない筈だが・・・。」
そう思った純は執務室の扉を開けた。すると
純「栄華?寝てんのか?」
栄華は執務室の机に突っ伏していた。
純「ん?」
しかし何か様子がおかしいと思った純は、よく見ると
栄華「はぁ・・・はぁ・・・。」
顔にはじっとりと汗をかいていて、全体が少し赤みを帯びていた。それに加え、寝息もどこか苦しそうで、喘ぐようにも聞こえた。
純「栄華、おい栄華!」
純はそう言って肩を揺すって声を掛けたが
栄華「あ、う・・・ん、んんっ・・・」
栄華の反応は鈍かった。そして、純は栄華の汗ばむ頬に触れた。
純「スゲー熱じゃねーか!」
と感じた純は誰かを呼び、栄華を部屋まで運んで寝台に寝かせた。
栄華の部屋
栄華「ん、んんっ・・・あら、ここは・・・」
栄華「私の部屋?どうして・・・私は執務室で仕事を・・・」
栄華「くっ、頭が・・・体も・・・」
純「気が付いたみてーだな、まだ寝てろ。」
栄華「ふぁっ!?ど、どうしてお兄様が私の部屋にっ!」
純の声に気付いた栄華が、がばっと体を起こした。
純「お前、執務室の机で突っ伏していてな、明らかに体調が悪かったから、俺がお前の部屋に運んだんだよ。」
栄華「そうですか。お兄様、ありがとうございます。」
純「大した事じゃねーよ。」
栄華「それで、私の病状は・・・」
純「医者曰く過労だ。日頃の無理が祟ったんだろうよ。」
栄華「過労・・・そんなの病気でも何でもありませんわ。」
純「まあ風邪とかとは違うかもしんねーけど、休息が必要な事に変わりねーよ。」
純「お前の仕事は、桂花や稟がやってくれてるから、今日のところは何も心配せずゆっくり休め。」
栄華「お三方は忙しいでしょうに・・・私が不甲斐ないばかりに。それに、稟さんはお兄様の軍師。申し訳ないですわ。」
純「自分で自分の事をそんな風に言うな。栄華は十分やってくれている。」
栄華「でもっ・・・こうして倒れてしまって・・・」
純「それについては、ちょっと反省しろ。」
純「仕事中に倒れてしまって悔しい気持ちは分かる。俺も、もし兵の調練の最中に倒れてしまったら、申し訳ない気持ちで一杯になってしまう。」
純「けど、あまり一人で背負い込むな。もっと周りを頼れ。」
栄華「・・・分かりました。今日のところは休みます。」
純「そっか・・・。そんじゃあ、俺は食堂で飯持ってくるから。」
栄華「・・・お願いします。」
そして、純は部屋を後にした。
栄華「・・・行きましたわね。」
栄華「はぁ・・・お兄様は、私のために言ってくれました。やっぱりお兄様は、優しいお方ですわ。」
栄華「けど・・・私は、お姉様の金庫番なのです・・・。しかし・・・お兄様は誰かを頼れと言ってくれた。」
そして、栄華はぬいぐるみを抱き締めて
栄華「・・・何故です。何故・・・お兄様は・・・私の心をこうも乱すのですか・・・。」
栄華「好きで好きでたまりませんわ・・・。はあ、はあ、お兄様・・・。」
涙を流しながらそう言ったのであった。
それから暫く経ち
純「待たせたな、栄華。」
純がお粥を持って来た。
栄華「お兄様、ありがとうございます。」
そして、純は傍に座り、お粥をレンゲで掬って
純「ほら・・・栄華。」
栄華「はい、お兄様・・・。」
栄華に食べさせた。そして
栄華「ごちそうさまですわ。」
全部食べきった。
純「全部食ったようだな。そんじゃあ、ゆっくり寝な。」
そう言って、純は部屋を出ようとしたが
ギュッ
純「ん?」
栄華は純の服の裾を掴んだ。
純「栄華・・・?」
すると
栄華「好き・・・。」
純「え・・・?」
栄華「お兄様の事が・・・好き・・・なのです・・・。小さい頃から、ずっと・・・」
と栄華は純に告白した。
栄華「もう抑えたくても抑えられないのです。お兄様には秋蘭さんがいる事が分かっても、抑えられないのです。」
と栄華は目を潤ませながらそう言った。それを聞いた純は
純「そうか・・・。栄華・・・俺も、お前の事、好きだよ。秋蘭と同じくらい・・・。」
栄華「え・・・っ?」
純「そのぬいぐるみをお前にあげてからだと思う、お前の事が気になったのは。その日から、お前の事好きだったよ。」
それを聞いた栄華は頬に涙が伝い、口元を抑えた。
栄華「嬉しいですわ、お兄様・・・。」
純「けど、俺には秋蘭が・・・」
栄華「分かってますわ。お兄様には、秋蘭さんがいる事を。そして、愛し合っている事も。でも、構いませんわ。お兄様は、自身を好きでいてくれる人皆を幸せにして下さい。」
純「栄華・・・。」
栄華「けど今は、私だけを愛して下さいまし。」
純「・・・分かった。」
そう言って、互いに抱き締め合い、口付けを交わしたのであった。