董承「くぅぅっ!卑しき賊め!皆、何とか持ち堪えるのじゃ!賊共に陛下をお渡ししてはならぬ!」
「「「はっ!!!」」」
董承「陛下、どうかご安心を。この董承がついております。」
霊帝「そ、そうね。頼りにしてるわよ!」
劉協「頼みます!」
董承「ははっ!」
朝廷兵士A「申し上げます!城の東に大軍が現れました!」
この知らせに
朝廷文官A「何と!?」
朝廷文官B「漢室はもうお終いじゃ!」
皆はそう動揺した。
董承「どこの軍じゃ!それは賊の味方か!」
董承の質問に
朝廷兵士A「いえ、援軍です!我らの援軍でございます!」
兵士はそう答えた。
これに
朝廷文官C「おおっ!援軍じゃと!」
朝廷文官D「恐らく袁紹じゃろう!もう安心じゃ!」
皆はそう答えた。
董承「陛下!援軍が参りました!もうご安心ですぞ!」
そう二人に言った。
劉協「それで、どこの軍なのですか?」
董承「きっと冀州の袁紹が馳せ参じたのでしょう!冀州はこの洛陽に最も近いのです!」
しかし、彼らの予想とは大違いだった。
朝廷兵士B「申し上げます!援軍は、冀州の袁紹ではございません!苑州州牧のそ、曹操です!」
これには
朝廷文官E「曹操だと?何故だ?」
朝廷文官F「分からぬ・・・」
皆は驚きの表情を浮かべた。
董承「陛下・・・曹操とは、思いも寄りませんでした。一番近くの袁紹は静観しているのに、曹操が遠路はるばる助けに参りました。」
董承「陛下。まさしく、『苦難に陥ったときこそ、誰が忠臣か分かる』と申すとおりですぞ!」
董承「曹操が参りましたら、どうか労いの言葉をお掛け下さい!」
霊帝「分かってるわ。曹操には、沢山労うわ。」
劉協「十分な恩賞も授けます。」
曹操軍
華琳「随分廃墟と化したわね。」
純「そのようですな。姉上がちゃんと復旧させたにもかかわらず。これじゃあ、余所の軍が攻めてきたら半日も保ちませんよ。まあ俺だったら、半刻で落とせますけど。」
華琳「そう。純、あの賊共を殲滅しなさい。その後、私は天子にお会いするわ。」
純「御意。」
桂花「華琳様。天子の前では朝廷の礼儀作法を守り、天子と百官を安心させるのです。」
華琳「分かってるわ。」
純「稟、風、後ろは任せたぞ。」
稟「はっ。存分にお暴れ下さいませ。」
風「御意~。」
純「お前ら、『黄鬚』曹彰について来い!」
「「「おおーっ!!!」」」
春蘭「純様に遅れを取るな!」
秋蘭「純様に続け!」
華侖「行くっすよー!!」
柳琳「姉さん、決して無理をしないでね!」
栄華「そうですわ!」
霞「よっしゃああっ!!やったるで!!」
香風「うんっ!!」
剛「行くぞ!!」
哲「殿に遅れてはならぬぞ!!」
楼杏「純さんに続きなさい!!」
凪「前進あるのみだ!!」
真桜「行くでー!!」
沙和「なのー!」
そして、この突撃で賊軍は壊滅し、賊の主だった者は全て斬り殺されたのだった。
華琳「桂花。あと一つ考えて欲しいわ。」
桂花「何でしょう?」
華琳「洛陽はもう使い物にならないわ。都を移すならどこが相応しいのかしら?」
この質問に
桂花「苑州の許です。」
桂花は即答した。
華琳「何故かしら?」
桂花「華琳様のお膝元に、天子を置いておけば安心できるでしょう。華琳様もそうなさろうと思われていたのでは?」
これに
華琳「桂花。私の考えをそこまで察していたとはね。」
華琳はそう言った。
桂花「それが、臣下としての務めです。」
と桂花は拱手して答えた。
華琳「フフッ・・・これからも頼むわね。」
桂花「ッ・・・!御意!」
そして、華琳はそのまま奥へ向かった。
跪いた華琳は
華琳「ここに、苑州州牧曹操、拝謁致します。」
そう拱手し、手をつき三拝した。そして立ち上がり、数歩歩いて跪き、手をつき三拝した。
霊帝「ご苦労だわ、曹操。」
これに、霊帝はただそう答えた。
劉協「忠臣です・・・まさしく忠臣です!」
しかし、劉協はそんな華琳の行動に感動したのか、涙を流しそう答えた。
その間も、華琳は朝廷の礼儀作法を行っていた。
霊帝「そんなまだるっこいのする必要ないわ。さあ、立ちなさい。」
華琳「陛下、万歳万歳万々歳。」
そう言い、華琳は立ち上がって手を叩いた。
それに後ろにいた桂花は布を被せていたある物を華琳に渡した。それを受け取った華琳は、霊帝に献上した。
華琳「陛下、どうぞ。」
霊帝「曹操、これは何かしら?」
華琳「お当て下さい。」
これに
霊帝「瑪瑙かしら?」
霊帝「琥珀?」
そう答えても、華琳は首を横に振った。
霊帝「何よ、早く教えなさい。」
これに、霊帝は痺れを切らしたのか、そう言った。
華琳「ではご覧下さい。」
そう、華琳は言った。
それに霊帝は、布を取り、蓋も取ると
華琳「陛下。こちらは鶏の汁物でございます。」
鶏肉のスープだった。
それに霊帝はスプーンを取って汁を掬って口にした。
霊帝「曹操。朕は、半年以上も肉を口にしてなかったのよ!」
これに、霊帝はそう言った。
華琳「お召し上がり下さい。」
そう言い、渡した華琳は後ろに合図を送った。
すると、純が現れその後ろには、沢山の食べ物を持った兵士が続いた。
華琳「皆様も、お召し上がり下さい。」
朝廷文官G「おおーっ!」
朝廷文官H「食べ物だーっ!」
純「落ち着いて下さい。まだありますから、ささっ、お召し上がり下さい。」
そして、天子と百官は腹を満たした後、外に出た。
するとそこには、勇壮な雰囲気を見に纏った多くの曹軍がいた。
華琳「どうか、苑州の将兵の閲兵をお願いします。」
霊帝「曹操。皆そちの将兵なのか?」
華琳「いいえ。これは皆陛下の将兵です。」
華琳(私の、というより全て純の将兵なのだけどね・・・)
霊帝「して兵の数は?」
華琳「兵馬合わせて十万でございます。」
これに
霊帝「・・・凄いわね。」
劉協「はい、姉様。」
霊帝とその妹劉協は圧倒された。
そして、華琳は純の方に目を向けた。それを見た純は頷き、太刀を抜き天に掲げた。
すると
「「「おおーっ!!!おおーっ!!!おおーっ!!!」」」
全ての将兵がかけ声をあげた。
これに
董承「陛下。」
天子と百官はその圧に後ろに下がった。
そして、純が太刀を下げると、兵のかけ声は止まった。
霊帝「凄いわ・・・!」
劉協「曹操殿の存在は、朝廷の喜びです!賊の根絶やしも、大いに期待できます!」
董承「陛下。曹操殿こそまさに忠臣であり、この漢の社稷の臣です!」
華琳「陛下。早速奏上したい事がございますが・・・」
霊帝「何かしら?」
華琳「この洛陽は、ご覧の通り無残な有様です。宮廷や宗廟もすっかり荒れ果て、その上守るのも非常に難しいです。」
華琳「そこで、陛下御身の安全及び漢帝国の再興を図る為にも、ここは許に遷都なさり、朝廷を立て直す事を切に願います。」
これに
朝廷文官I「それは、断じてなりませぬぞ。」
朝廷文官J「廃れたとはいえども、洛陽は二百年の帝都。風光明媚な地なのです。」
朝廷文官K「許などとんでもない!彼の地は曹操の領地。」
朝廷文官L「ええ!許に移れば、曹操の手の内に入ることになりますぞ!」
文官達はざわつき、反対の声を上げた。
それを見た華琳は、再び純に目を向けた。再び頷いた純は、再び太刀を抜き、天に掲げた。
「「「おおーっ!!!おおーっ!!!おおーっ!!!」」」
再び将兵はかけ声をあげた。そして、純が太刀を下げると、かけ声は止まった。
華琳「陛下如何です?どうぞよくご覧下さい。許においでになれば、我が弟曹子文を筆頭とした猛将と精鋭兵に守られ、朝廷は安泰ですぞ。」
と華琳は言った。
そして
霊帝(何よこれ・・・!怖い・・・!)
霊帝「奏上を・・・認めるわ。許に・・・遷都するわ。」
と霊帝は言った。
それを聞いた華琳は、再び純に目を向け、それに純は再び太刀を抜き天に掲げた。
「「「万歳!!!万歳!!!万歳!!!万歳!!!」」」
霊帝「朕は・・・怖いわ!!」
劉協「狼の巣から抜け出したかと思ったら、今度は虎穴に落ちてしまいました。」
董承「こうなってしまったら、時を待つしかありません。」
劉協「曹操殿は姉様と私を殺して、自ら皇帝になるのですか?」
董承「いいえ。曹操はただ陛下を掌中に収め、利用したいだけです。」
霊帝「そんな・・・」
劉協「・・・。」
そして、華琳達は許に遷都したのであった。