恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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44話です。


44話

許に遷都した華琳達は、大いに祝った。

霊帝は、その功により華琳に大将軍の位を賜ろうとしたが、華琳は麗羽が不満に出ると思い、その位を麗羽に譲った。

そして、華琳はまず許都の周辺の民に土地を与え、民屯として与えた。

純も、兵馬の訓練をさせ、鍛錬を積み重ねた。

そうして民心を安んじ、領内を安定させ、将兵を鍛え上げたのだった。そんな中、ある者が華琳に仕官した。

 

華琳「名は何て言うのかしら?」

 

司馬懿「はっ。姓は司馬、名は懿、字は仲達でございます。」

 

その者は、涼しげな風貌をした若者で、如何にキレ者と分かる程だった。

 

華琳「司馬懿、これからもよろしく頼むわ。」

 

司馬懿「はっ!」

 

そう言い、司馬懿は拱手した。

 

純(ん~。コイツ、何か嫌な感じがすんなー。)

 

その時、純はそう思いながら司馬懿を見ていたのだった。それから暫くして、淮南でとある動きがあった。

 

 

 

 

袁術「のお、七乃。妾は、皇帝になろうと思う。」

 

張勲「えっ?」

 

袁術「この玉璽があれば、誰でも皇帝になれるのじゃ。」

 

そう言い、袁術は玉璽を張勲に見せた。

 

張勲「フフッ・・・それが良いですわ。袁紹も美羽様に従うかと。」

 

袁術「ほっほっほ!麗羽姉様の悔しそうな顔が目に浮かぶぞ!」

 

張勲「よっ!流石美羽様!」

 

袁術「はっはっは!褒めてたもうー!」

 

そして、袁術は皇帝を僭称し、仲氏を名乗り寿春を都に定め、天下に告知したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

袁紹「美羽さんは、天に逆らい皇帝を僭称し、仲氏皇帝と号しこの私に臣従するよう要求してきましたわ!」

 

その書簡を見た袁紹は、怒りのあまり投げ捨てて語気を荒げた。

これに

 

袁紹武将A「けしからん!例え袁術様とはいえ、無礼にも程がある!」

 

袁紹武将B「領土の広さや兵の数など、どれも全て袁紹様が袁術様を凌ぎます!」

 

文醜「そうだぜ!麗羽様、すぐに皇帝になった方が良いぜ!」

 

顔良「ちょっと文ちゃん、曹操さんの所には陛下がいらっしゃるのよ!」

 

顔良を除いて、他の袁紹軍武将がこぞって即位を進めた。

 

田豊「麗羽様。私が思いますに、この天下大乱の世の中で、諸侯には三つの選択肢がございます。」

 

田豊「一、漢を助ける。二、漢を奪う。そして三つ目は、助けることを名目に漢を奪う道です。美羽様は目先の利に走り、万民の前で漢を奪いました。これはまさしく愚行です。必ず報いを受けるでしょう。」

 

田豊「しかし麗羽様は、明晰な頭を持ち、視野も広い。ここは事を静観し行動するのが宜しいかと。」

 

この意見に

 

郭図「将軍達は建国によって、名をあげようとしていることは私も理解しております。ですが目下、漢も陛下もご健在。諸侯はこぞって覇を唱えるも、天下は定まらず、袁紹様の出番は時期尚早です。」

 

郭図「袁術様は未熟な桃を焦って摘まみ、手は棘だらけです。諸侯を敵に回したのです。袁術様はすぐに自滅するでしょう。」

 

郭図はそう言った。

 

田豊「麗羽様。美羽様の愚行に腹を立てる必要はございません。これは凶報ではなく、慶事だからです。」

 

袁紹「真直さん。何故慶事ですの?」

 

田豊「皇帝になりたがる者は多く、その者はえてして他の者がなる事を許しません。美羽様の僭称は天下の義憤を招くでしょう。そうなれば、全ての怒りが美羽様に集中します。ここで、麗羽様が一気に河北の残りを平定してからゆっくりお考え下さい。」

 

田豊「しかし、麗羽様にはやることが一つございます。美羽様は今、麗羽様に臣従を求めております。そこでですが、書簡を送っては如何かと?しかし、内容は臣従の意志ではなく、あくまでも祝賀です。」

 

袁紹「・・・ええ。分かりましたわ。」

 

そして、袁紹は袁術に祝賀の書簡を送ったのだった。

 

 

 

 

 

許都

 

 

 

 

 

華琳「ふふふっ・・・あはははは!皆聞いたわね!袁術が皇帝を名乗ったわ!」

 

華琳「私は笑い死にかけたわ!」

 

袁術皇帝即位に、華琳は大笑いした。

 

華琳「これは予想外だったわ!本当に・・・!」

 

純「姉上。袁術の野心を見抜けなかったのですか?」

 

華琳「違うわ。流石の私も、袁術がここまで馬鹿だったとは思わなかったのよ。この私がよ!これは大失態だわ!あはははは!」

 

これに

 

純「ははは!成程!」

 

春蘭「それは華琳様の仰る通りですね!」

 

秋蘭「ふっ・・・」

 

霞「まあ、せやな!あはははは!」

 

栄華「ええ、お姉様の言う通りですわ!」

 

華侖「あはははは!」

 

柳琳「ね、姉さん!笑いすぎよ!ふふっ!」

 

純を筆頭とした者達は大笑いした。

 

桂花「先に皇帝を名乗るのは袁紹だとお考えでしたが、意外にも袁術の方が先でしたね。」

 

華琳「ふふっ・・・天下の諸侯の中でも、麗羽と袁術は私の敵では無いわ。劉表は格下。公孫賛は見かけ倒しで、外面と違い中身は無いわ。私の真の好敵手は、劉備と孫策よ。」

 

華琳「麗羽と袁術の野心は見抜いていたけど、袁術が先に皇帝を名乗るのは予想外だったわ。これはつまり、麗羽も袁術同様愚物だけど、流石にそこまで馬鹿では無かったという事。」

 

華琳「今の私はどんな気分か、分かるかしら?」

 

すると、司馬懿が拱手して前に出てきて

 

司馬懿「内心喜んでおられますね。今や、漢室の中心は許都。曹操様はその重臣です。誰が皇帝を名乗ろうとも、我らが天子こそ正統な漢の皇帝。天子の命を受けて諸侯を招集し、袁術を討伐すべきかと。」

 

そう進言した。

 

華琳「だけど、敵は30~40万。私達の二倍以上よ。それに、奴らには孫策がいるわよ。」

 

司馬懿「袁術の軍勢は数は多くとも、統制は取れておりません。更に、強引な即位で周囲の怒りを買っておられます。恐らく孫策は、この僭称を大義名分とし、袁術から離反するでしょう。袁紹も支援をしないため、我らの出陣を阻む者はおりませんでしょう。」

 

司馬懿「それに、袁術が即位して皇帝が二人となり、我らが天子は、権威が半減しております。このまま見過ごせば第三、第四の皇帝が現れるやも。その時、天子に何の価値がありましょうか。」

 

桂花「更に、もう一点ございます。此度純様を出兵なされば、天子に代わっての出陣となります。純様は討伐軍の盟主となり、従わなければ謀反となる一方で、出兵した各諸侯は、純様とそれを纏めた華琳様の地位を認める事になりましょう。領地を奪い取るより有益だと思います。」

 

華琳「そうね。だが諸侯達は、従うと思うかしら?」

 

司馬懿「恐らくですが、形だけは従うものの、出陣はしないでしょう。皆、己の事で手一杯ですので。」

 

華琳「ふふふっ・・・あはははは!」

 

そして、華琳は立ち上がった。

 

華琳「命を下すわ。桂花、討賊の檄文を書いて天下に布告なさい。」

 

桂花「御意。」

 

華琳「司馬懿。詔をしたためた後、袁紹、劉表、馬騰、公孫賛に伝えなさい。朝廷から爵位を拝した諸侯は全て、各々が詔を受けて、ただちに討賊を助けるようにと。」

 

司馬懿「御意。」

 

華琳「純。あなたは20万の兵を率い袁術を討伐なさい。誰を連れて行くかはあなたに全て任せるわ。」

 

純「御意。では、稟、風、剛、哲、凪、真桜、沙和、楼杏、春蘭、秋蘭、霞を連れて行きます。」

 

華琳「分かったわ。」

 

華琳「明日、私が天子に上奏するわ。その後に出陣よ。私は許都にて吉報を待つわ。」

 

「「「御意。」」」

 

その翌日

 

華琳「陛下。これは陛下に対する謀反です。急ぎ、袁術を討伐しましょう。」

 

華琳は霊帝にそう進言した。

 

霊帝「そうね。なら、あなたが出陣なさい。」

 

霊帝の発言に

 

董承「おお、流石は陛下!まさに賢明なお言葉!曹操殿なら、賊の討伐など容易い。」

 

董承はそう讃えるように言った。

しかし

 

華琳「恐れながら陛下。私より遙かに適任がございます。」

 

華琳はそう霊帝に言った。

 

霊帝「誰なの?」

 

霊帝の問いに答える前に

 

華琳「董車騎将軍。私を推薦していただきありがとうございます。」

 

華琳は董承に顔を向け頭を下げ、礼を言った。そして、霊帝の方へ目を向け

 

華琳「我が弟の曹子文です。我が弟は、私より遙かに武勇に優れ戦に長けており、将兵の人望も非常に厚く遙かに適任です。必ずや、陛下のご期待に応え賊を討伐なさりましょう。」

 

そう言った。

これに

 

董承「曹操殿。このようなことを言うのは不躾じゃが言わせてもらう。お身内を推されるとは天下の人事を私しているように思いますが。」

 

董承は眉を潜ませながら言った。

 

華琳「董車騎将軍。身内であれ適任である人物いるにも関わらず、衆人の目を気にし憚る事の方が陛下への不敬かと存じます。」

 

華琳「それに、先の洛陽での陛下救出の際、御身が難に遭われた時、賊を一網打尽にしたのはどなたでしたか?」

 

董承「・・・そなたの弟君じゃ。」

 

華琳「ええ。私はただ賊がいた場所を歩いただけ。討伐してくれたのは我が弟です。これ以上の適任はいないでしょう。」

 

董承「う~む・・・」

 

これには、董承もうなるしか無かった。

 

霊帝「・・・分かったわ。では、そなたの弟曹子文を討伐軍の盟主とするわ。」

 

華琳「ははっ!」

 

そして、出陣のための儀式が始まった。

純を先頭に、他の将が歩いた。その先には、霊帝が祭壇に向け拱手した後、純に顔を向けた。

そして、純は拱手した。

 

霊帝「そなたを、護国大将軍に任じる。皇命を受け、朕に代わって王師に号令せよ!」

 

純「御意!」

 

そう言い、純は後ろへ振り返り太刀を抜き、天高らかに掲げた。

 

「「「必勝!必勝!必勝!万歳!」」」

 

「「「必勝!必勝!必勝!」」」

 

「「「必勝!必勝!必勝!万歳!」」」

 

そして、純は20万の兵を率いて出陣したのであった。

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