恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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46話です。


46話

純率いる官軍の外で、劉備達は待っていた。

 

張飛「愛紗!鈴々達は袁術が悪い事をしたからそれをやっつけるために来たのだ!それなのに、なんでこんなに待たなければならないのだ!帰るのだ!」

 

劉備「私も同じだよ鈴々ちゃん!もう帰ろう!曹彰さんは酷い人だよ!」

 

関羽「桃香様!曹彰殿は護国大将軍。格が違います!もし今帰ったら、我らの苦労が無駄になります!」

 

劉備「けど・・・!」

 

関羽「桃香様!袁術の愚行をお許しになるのですか!」

 

関羽のこの問いに

 

劉備「それは・・・!」

 

劉備は窮した。すると、純が秋蘭と一緒にやって来た。

それを見た劉備達は、馬から降りて純の元へ向かった。

純は

 

純「劉備殿。待たせて悪かった。」

 

そう言い、拱手した。

 

劉備「曹彰さん・・・」

 

それを見た劉備は、少し眉をひそめたが、拱手した。

 

純「袁術が簒奪し、天子を蔑ろにした。それに応えた劉備殿に感謝する。流石漢の末裔だな。」

 

純の言葉に

 

劉備「・・・。」

 

劉備は何も答えず、少し睨むような目で見ていた。

 

純「・・・共に賊を討とう。討伐が終わった暁には、共に許都へ行こう。さっ、中に入ろう。関羽と張飛も、さあ。」

 

関羽「はっ!」

 

張飛「応なのだ!」

 

関羽「こら鈴々!何だその返事は!」

 

純「はは!俺は気にしてねーよ。共に戦場で暴れよう!」

 

関羽「は・・・はっ!」

 

張飛「鈴々頑張っちゃうもんねー!」

 

そう言い、共に陣に入ったのだった。

そして、純率いる20万の官軍は、攻撃の準備をした。

準備が終えたとき、純は馬上で太刀を抜き

 

純「放てーっ!」

 

そう叫んだ。そして、投石車と連弩の猛攻が始まった。

火の点いた石が、どんどん寿春城に当たり、城内の一部が破壊された。

連弩から放たれた矢も、袁術軍の兵士にどんどん当たった。

 

袁術軍武将A「皆の者、しっかりしろ!慌てるなっ!」

 

袁術軍の武将も、何とかそう言い鼓舞するが

 

袁術軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

投石車と連弩の猛攻により統制が取れない袁術軍は阿鼻叫喚となり、被害が甚大になった。

そして

 

純「お前らー!突撃だー!」

 

純はそう皆に叫び、突撃した。

 

曹彰軍兵士「「「おおーっ!!!」」」

 

そして、曹彰軍は剣と槍を構え、突撃した。

 

春蘭「うおおおっ!!」

 

秋蘭「純様に遅れるなー!!」

 

霞「よっしゃああっ!!やったるでー!!」

 

剛「皆に遅れるなー!!」

 

哲「行くぞー!!」

 

楼杏「私も続きましょう!!」

 

凪「行くぞー!!純様に遅れるなー!!」

 

真桜「行くでー!!」

 

沙和「なのー!!」

 

これに、春蘭達も純に続いた。

 

関羽「我らも遅れを取るな!!」

 

張飛「鈴々もなのだー!!」

 

劉備軍も、関羽と張飛を筆頭に突撃した。

寿春城では

 

袁術軍武将B「良いか!何としても守り抜け!!」

 

猛攻を耐えようと必死だが

 

袁術軍兵士「「「ギャアアアッ!!」」」

 

純達の猛攻の前に、兵の戦意は喪失していた。

 

劉備「突撃開始したようだね・・・」

 

諸葛亮「はい・・・袁術さんの軍勢は数は多いだけ。孫策さん達が援助に来ないとなれば、寿春は落ちたも同然でしょう。」

 

鳳統「私も朱里ちゃんの意見に同感です。」

 

劉備「けど・・・どうしてこんな形になるのかな・・・。袁術さんにこういった事はやめるように話し合えば良いのに・・・」

 

劉備「・・・もし袁術さんが捕虜となったら、命だけは取らず助けよう!仮に曹彰さんの所で捕虜になったら、殺さないように説得しよう!」

 

鳳統「桃香様!それは駄目です!今回の袁術さんの愚行は決して許し難い行為!捕まえ首を刎ねるならいざ知らず、生かすなど以ての外です!」

 

これには、鳳統は強硬的に反対した。

 

劉備「けど・・・それじゃあ可哀想だよ!」

 

しかし、劉備は引き下がらずそう鳳統に言った。

 

鳳統「桃香様!もう袁術さんは越えてはいけない一線を越えてしまったのです!もし命を取らない、もしくは助けるように進言したら、我らが賊となります!」

 

劉備「けど・・・けど・・・!」

 

鳳統の言葉に、劉備は泣き出してしまった。

 

諸葛亮「桃香様・・・」

 

鳳統「・・・」

 

これに、劉備軍の天幕は重苦しい雰囲気となった。

一方寿春城では、城門を突いていた。

 

曹彰軍兵士「「「そーれっ!!!」」」

 

純「ぶち破れ!もっと大勢で門を突け!!」

 

純も、矢が頭上に降り注ぐ中、指揮を取っていた。

そして

 

ドガアアアン!!!

 

遂に城門が破られた。

 

純「門が破られたぞ!!お前ら、突撃しろー!!存分に手柄を挙げよー!!」

 

純「『黄鬚』曹彰についてこい!!」

 

これに、純を先頭に一斉に突撃した。

純達は、袁術軍を容赦なく討ち取り、袁術軍30万の軍勢が、僅か半日でほぼ壊滅状態となった。

そして、純達は寿春城へ入城した。

 

純「寿春城を半日で落とす事が出来た!!」

 

「「「おめでとうございます!!!」」」

 

純「これも皆のお陰だ!!感謝する!!」

 

「「「ははっ!!!」」」

 

純「春蘭。お前の活躍は特に目覚ましかった。流石、姉上の大剣だな。」

 

春蘭「ははっ!ありがたきお言葉!!」

 

純「お前とその部下には、それ相応の恩賞を与えるよう、陛下に上奏する。」

 

春蘭「はっ!!」

 

純「劉備殿の所の関羽と張飛も、中々の活躍だった。陛下に上奏するからな。」

 

劉備「・・・はっ。」

 

純「皆にも、相応の恩賞を与えるよう、陛下に上奏する。待っていろ。」

 

「「「ははっ!!!」」」

 

そう言い、皆は純に拱手した。

その時

 

袁術「離すのじゃー!!」

 

張勲「離しなさい!!」

 

袁術と張勲が縛られた状態で連れられた。

 

純「袁術。臣の身でありながら天子の名を僭称し、民を惑わすなど愚の骨頂!許せねー事だ!」

 

これに

 

袁術「嫌じゃー!!どうか妾の命は取らないでたもうー!!」

 

張勲「お嬢様もこう仰ってるのです!!どうか命だけはー!!」

 

袁術らはそう懇願した。

 

劉備「曹彰さん。袁術さん達もこう言ってるので、許してやってくれませんか?」

 

それを見た劉備は、純にそう進言した。

 

稟「お言葉ですが劉備殿、何故袁術を生かすのですか?」

 

これに稟はそう劉備に尋ねた。

 

劉備「袁術さんの行為は許し難い事です。けど、もう反省しているので許してやっても良いのではと・・・」

 

劉備の答えに

 

稟「フッ・・・何と愚かな回答か。劉備殿、あなたの発言は今後とも天子の名を僭称しても許しても良いという事ですか?」

 

稟は怜悧な冷たい笑みを浮かべながら言った。

 

劉備「そ・・・それは・・・!」

 

これに、劉備は怯んだ。

 

稟「純様。袁術の愚行は天地がひっくり返ろうとも許せぬ愚行。ここは首を刎ね、皆の見せしめとしましょう。」

 

純「稟の発言は尤もだ。誰か!」

 

曹彰軍兵士「「はっ!!」」

 

純「袁術らの首を刎ねろ!!」

 

曹彰軍兵士「「御意!!」」

 

これに

 

劉備「待って下さい!!袁術さんはまだ子供です!!殺すのはあまりにも酷いです!!」

 

劉備は跪きながらそう言ったが

 

純「構うな!!連れて行け!!」

 

純は容赦なくそう言った。

 

袁術「嫌じゃ-!!死にとうないー!!」

 

張勲「お嬢様!!お嬢様ー!!」

 

袁術達が泣き喚く中、兵に連れて行かれた。

 

劉備「曹彰さん!郭嘉さん!どうして・・・こんな酷いことを・・・!間違ってますよ!!」

 

その様子を見た劉備は、怒りの表情を見せながら言った。

 

純「俺は天子の命に従ったまでだ。何か違えた事をしたか?」

 

劉備「けど・・・殺すなんて・・・!話し合っていれば・・・このような・・・!」

 

稟「フフッ・・・聞いていればあなたは本当に甘いお方ですね。そのような姿勢で、民が望む泰平の世を築けるとお思いですか?」

 

これに、劉備は何も言えなかった。

そして、袁術達は首を刎ねられ、その首は暫く晒した。そして、寿春の民を慰撫した後、純達は許都へ引き揚げた。

一方の孫策達は、袁術から離れた後、江東で勢力を拡大していき一大勢力を築いたのであった。


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