その翌日、董承は全軍に対し、次のような軍令を出した。
『猛き事虎の如く。悖る事羊の如く。貪る事狼の如く。凶暴で我が命に従わぬ者は、斬首致す。』
これには
春蘭「何だこれは!!」
秋蘭「純様の事を暗に言っているな・・・!」
霞「あのクソ爺!!純は留まっている理由を聞いて意見を言っただけや!!こんな事あってたまるかいな!!」
楼杏「ええ!!私も、同じ武人として、いや人としてこれ程腹が立った事は無いわ!!私達の純さんを馬鹿にして!!」
凪「はい!!私も同感です!!」
真桜「ああ!!ウチも流石にこれは腹が立つでー!!」
沙和「沙和もなのー!!あのクソ共を嬲ってやりたいのー!!」
それぞれ怒りの表情を浮かべていた。
純「・・・。」
幕にいる純も、この軍令を見て静かに怒っていた。
稟「純様・・・」
風「・・・。」
これに、稟と風は怒りを覚えつつも、純を気遣っていた。
その時、純は立ち上がって外に出た。
稟「純様!」
風「お待ち下さい~!!」
その際、純の表情を見た稟と風は何かを察し、止めようとした。
稟「純様、お待ちを!!」
風「純様!!」
しかし、純は無視し馬に乗って走らせた。
これに
稟「純様!それはお辞め下さい!!」
稟は前に立って純を止めた。
しかし
純「・・・誰もついてくんじゃねー!」
稟・風「「っ!」」
純はそう鋭い目つきで言い、稟達を黙らせ
純「はっ!」
馬を走らせた。
そして、着いた先は、董承が寝ている本営の幕舎だった。
馬から降りた純は、そのまま幕舎の中に入り、横になって寝ている董承へ迷わず向かった。
これに
董承「ああ。これは『黄鬚』ど・・・」
董承は起き、純だと気付いて異名で呼びかけたその時
ズバッ!
董承「ぐわぁっ!!」
純に頭を掴まれ、そのまま首を刎ねられた。
曹彰軍兵士A「何があった!!」
曹彰軍兵士B「曹彰様!!」
異変に気付いた兵士達は、そのまま中に入ると、董承の首を持って強烈な覇気を纏っている純がそこにいた。
曹彰軍兵士A「そ、曹彰様・・・!」
兵士達は、その覇気に動けず、ただ純を見つめていた。
すると、主だった者が本営前に集まり
稟「皆騒ぐのは止めなさい!!さもなければ斬り捨てます!」
稟がそう良く聞こえる声で兵に言っていた。
その声を聞いた純は、董承の首を持ってそのまま外へ出た。
そして、その首を掲げ
純「董承の首がここにある。」
そう言い、掲げた首を投げ捨て
純「董承は、密かに袁紹に内通し、許都の民を売ろうとした。それを知った姉上はこの事を知らせ、俺は密命を受けた。よって、誅殺した。テメーら、異存はあるか?」
そう問うた。
「「「ありません!!!」」」
これに、将兵達は声を揃えてそう言い
秋蘭「元々、我らは純様の将兵です。それに、天子様をお助けしたのは華琳様と純様。謀反人がいれば、誅殺も当然。誰も異議を唱えません。」
秋蘭は純の行動を当然であると言った。
純「俺達が姉上の下旗揚げをし、黄巾や多くの敵と戦った時に、このような不義の輩が我が軍にいたか?どうだ?」
純「一人もいない!皆世のため人のため、命を懸けた志士だった!お前達の親、兄弟、友は大義のため命を捧げた!」
純「俺達は、その者らを手本とし、立ち塞がる敵を倒すため、情熱を燃やし、奮い立つのだ!!」
純「んな所で、もたもたしていては、天下の笑いものだ!!」
そう、純は涙を流し熱の籠もった言葉で皆に言った。
この時、将兵皆、目に力が宿り、純同様涙を流していた。
純「テメーら。誇り高い曹軍としての気概と、勇気も持ち、この俺についてこい!!姉上の覇道完遂の為、立ち塞がる敵を全てなぎ倒すのだ!!」
そして、純は太刀を天に掲げてそう叫んだ。
すると
「「「曹彰!!!曹彰!!!曹彰!!!曹彰!!!曹彰!!!」」」
皆馬から降り、跪き拱手しながらそう叫んだ。
その声は、まさに天を貫かんばかりの大声だった。
そして、曹彰軍の結束力は更に強くなった。
純「稟。王子服と呉子蘭は?」
軍を再び纏めた純は、王子服と呉子蘭についてを稟に尋ねた。
稟「幕舎の中にいます。」
これに
純「生かしてるのか?」
と純が聞くと
稟「いいえ。首だけです。」
と稟はそう冷徹に答えた。
純「・・・そうか。」
稟「あなたが行った後、すぐに凪を呼んで兵を与え、二人がいる幕舎へ向かわせ殺したのです。」
純「フッ・・・流石だな。」
稟「ありがたきお言葉。」
純「じゃあ、策略はお前と風に全て任せるぞ。」
稟「はっ!ではこれにて。」
そう言い、稟はその場を後にした。
楼杏「・・・稟さんはあまり怒らせない方が良いですね。」
純「そうだな。楼杏。」
楼杏「はっ。」
純「董承、王子服、呉子蘭の首を持って、陛下に奴らの罪を報告しろ。また内密に、このように伝えろ。」
そう言い、純は楼杏の耳元でその内容を伝えた。
許都
そして、楼杏は一部の兵を率いて董承、王子服、呉子蘭の首を掲げながら
楼杏「皆聞きなさい!董承、王子服、呉子蘭は反逆を企み、我らが戦地に赴いた際に事もあろうに、逆賊袁紹に内通し、我らを殺し、民を売ろうとしたのです!」
楼杏「それを知った曹操様は、真相を知り、陛下の許可を取り曹彰様に命じました!反逆者とその仲間を討てと!これがその首です!」
そう唱えた。
許都民A「良くやってくれた、曹彰様!!」
許都民B「流石曹操様だ!!」
許都民C「曹彰様も良くやった‼︎」
許都民D「逆賊に通じた卑劣な裏切り者め!!」
許都民E「私達を売るなんて!!」
許都民F「同じ人として、あり得ないわ!!」
これに、許都の民はこぞって華琳と純を讃え、董承と王子服、そして呉子蘭には、その首に罵声を浴びせたのだった。
華琳「思い切った事をしたわね、純は。」
この知らせを聞いた華琳は、ただただ驚きの表情を浮かべながらそう言った。
桂花「そうですね。」
それは、桂花も同様だった。
司馬懿「ですが、これで我らに刃向かう連中は内部でいなくなりましたね。」
しかし、司馬懿はこの事を逆にプラスに捉えそう言った。
華琳「そうね。とはいえ、まだ油断は出来ないわ。」
司馬懿「はい。承知しております。」
華琳「さて・・・私は陛下に会うわ。」
そう言い、華琳は朝廷に参内した。
楼杏も一緒で、霊帝は楼杏が持ってきた書状を読んだ。
霊帝「・・・。」
霊帝(まさか・・・牽制するはずが、裏目に出てしまうなんて・・・!)
霊帝は、流石に動揺を隠しきれなかった。
劉協(まさか・・・董承さん達がこうも・・・)
劉協も動揺を隠せずにいた。
華琳「・・・。」
横にいる華琳と
楼杏「・・・。」
純の遣いとしてやって来ている楼杏の二人の視線を感じ、霊帝は再び書状を開いた。
そして
霊帝「良し!良くやったわ!」
そう作り笑いを浮かべながらそう言ったのであった。