劉備軍は、袁紹と決戦に挑もうとする純率いる軍に向けて徐州を起ち進軍していた。
関羽「おい、雛里。」
鳳統「はい。」
関羽「この出陣、どうなると思う?」
進軍中、関羽は神妙な面持ちでそう鳳統に尋ねた。
鳳統「正直に言います。今回の出陣には、大義名分がありません。」
鳳統「加えて、急な出陣であるため万全では無く、もし今の状態で急襲されれば、敗北は免れません。」
これに、鳳統はそう正直に言った。
関羽「・・・そうか。しかし、朱里は何故そこまで執拗に曹彰殿を・・・」
鳳統「私にも分かりません。桃香様も、曹彰さんを非常に嫌っているご様子でした。」
関羽「それは・・・袁術らを処刑した事が原因か?」
鳳統「はい。桃香様は話し合い、袁術さん達が反省さえすれば、命を取らないで助命しようと考えていたと思われます。」
関羽「しかし、袁術討伐は朝廷からの命だぞ。曹彰殿はそれに従い、実行したまでだ。曹彰殿を嫌う理由など・・・」
鳳統「それ以前です。桃香様と曹彰さん、それに姉の曹操さんじゃ、考えが違います。」
鳳統「曹操さんと曹彰さんは武力による泰平の世を築く。桃香様は対話で泰平の世を築く。これじゃあ、両者は相容れません。」
関羽「確かに、桃香様はその考えをお持ちだ。ただ、ここ最近思うのだ。桃香様の考えは確かに尊い物だ。」
関羽「しかし、どんな理想も力が無ければただの夢物語だ。力無い理想など、無に等しい。逆も然りだが。」
関羽「桃香様は、その道理を分かっていらっしゃらないのかとな。」
そう、関羽は鳳統に心に思っている事を言った。
鳳統「それは分かりません。ただ、ここ最近の桃香様は理想ばかりに目を向け、現実を見ません。」
鳳統「前から理想を見ておられる方でしたが、少し度が過ぎます。」
関羽「そうだな。しかし、私も大概の事は言えないが、桃香様は頑固なお方だ。」
鳳統「はい。私や愛紗さんがどう言おうとも、耳を貸さないでしょう。」
関羽「それは朱里もか?」
鳳統「はい。朱里ちゃんも昔から決めた事は決して覆さない一面があります。」
関羽「・・・そうか。」
その時
張飛「愛紗ー!!大変なのだー!!」
張飛が糜竺と糜芒を連れて現れた。
関羽「どうした、鈴々!!」
張飛「後ろから曹操軍が現れ、襲ってきたのだー!!」
これに
関羽「何だと!?」
鳳統「そんな!?いくら何でも気付かれるのが早すぎです!?」
関羽と鳳統は驚きを隠せなかった。
曹操軍
華侖「純兄の後ろを狙う劉備軍は容赦なしっすー!!全軍、突撃っすー!!」
柳琳「皆さん。敵を殲滅させるのです!!」
この時、華侖と柳琳率いる曹操軍が、劉備軍を攻撃していた。
司馬懿「いやはや。臥龍め・・・こうも予想通りに動いてくれるとはな・・・」
その際、司馬懿は劉備軍動いたとの知らせを聞いた時を思い出していた。
回想
華琳「何?劉備が動いたですって?」
曹操軍兵士A「はっ!劉備達は、真っ先に曹彰様率いる軍目掛けて動いております!」
この知らせを聞き
桂花「華琳様。劉備は純様率いる官軍に攻撃をするつもりです。今すぐに、劉備軍を撃破しましょう。」
華侖「そうっす!!華琳姉ぇ。今劉備達は急な出陣で万全な態勢じゃ無いと思うっす!!」
華侖「今のうちに急襲すれば、撃退できるっす!!」
これを聞き
司馬懿「私も曹仁殿の意見に賛成です。恐らく劉備達は事前に準備をしていたと思います。」
司馬懿「しかし、現在劉備陣営では関羽と諸葛亮の関係はあまり良くなく、準備が上手く運べなかったとの話も入っております。今の状態なら、必ず劉備を撃退できます。」
司馬懿「そして、徐州も制圧出来るかと・・・!」
司馬懿も華侖の意見に賛同した。
これに
華琳「分かったわ。華侖。あなたに騎兵を預けるわ!劉備軍を撃退なさい!!」
華琳はそう、華侖に命令した。
華侖「はいっす!!」
華琳「柳琳。司馬懿。あなたは華侖の補佐をしなさい!それと、分かってると思うけど、徐州を平定しても、民から物を搾取する輩は例え誰であろうとも処刑しなさい!!」
柳琳「はい!!」
司馬懿「御意!!」
そして、華侖達は出陣した。
回想終了
司馬懿「フンッ・・・これで、徐州は曹操様の物だ・・・」
そう、司馬懿は黒い笑みを浮かべたのだった。
劉備軍
劉備「皆!頑張って戦って!」
諸葛亮「駄目です!!これ以上、戦線が持ちません!!」
劉備「けど朱里ちゃん!!」
諸葛亮「悔しいですが、これは私達の敗北です!!どうか、ご決断を!!」
その時
糜竺「大変!!徐州が、曹操軍に占領されちゃった!!」
徐州が占領されたとの知らせが入った。
劉備「そんな!?」
劉備(じゃあ・・・徐州の民は・・・!)
この時、劉備は徐州の民が、曹操軍に虐殺されたと何故か思い込んでしまった。
諸葛亮「桃香様!!」
劉備「・・・分かった。逃げよう!!」
そして、劉備達は敗残兵として何とか撤退した。
その際、半数以上の兵が、劉備について行けないと判断し、離反したのだった。
劉備(徐州の皆・・・陶謙様・・・ごめんなさい・・・!)
劉備(曹操さん・・・絶対に許さない・・・!)
この時、劉備の目は憎しみに囚われていた。
諸葛亮(このままじゃ・・・桃香様の理想は叶わない・・・!!)
諸葛亮(どこかで拠点を手に入れ、力を蓄え、必ず・・・!)
諸葛亮も、何かに執着したような表情になったのであった。