恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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60話です。


60話

曹彰軍本営

 

 

 

純「・・・。」

 

本営にて、純は一人腕を組み地図を見ていた。

その時

 

稟「純様。お耳に入れたき事がございます。」

 

幕の外で、稟の声が聞こえた。

 

純「稟か。入れ。」

 

その声を聞き、純は中に入れさせた。

 

稟「はっ!」

 

純「それで稟。何か情報が入ったのか?」

 

稟「はい。隠密からある有力な情報を手に入れました。」

 

純「それは何だ?」

 

稟「はい。それは袁紹軍の兵糧庫の場所です。」

 

純「その場所は?」

 

稟「はっ。隠密によりますと、袁紹軍の兵糧庫は烏巣にございます。」

 

と稟はそう言った。

 

純「烏巣?」

 

稟「はい。五千の精鋭を率いて急襲すれば、容易く落ちます。また、袁紹軍を混乱させ、今必要な兵糧も奪う事も可能です。」

 

純「成程。良し、俺自ら率いて烏巣を襲う!」

 

純「それに、何故麗羽が負けても撤退するどころか、数十万の敗残兵を呼び戻せた理由に合点がいった。」

 

純「その数十万の兵は餓死を恐れ、豊富な兵糧目当てに戻ったという事だ。違うか?」

 

稟「そうです。流石は純様です。」

 

稟「それで、出陣はいつなさいますか?」

 

これに

 

純「すぐ出陣する。五千の精鋭を率い烏巣を奇襲する!夜明け頃には着くと思う。」

 

と即決した。

 

稟「賢明です!それと、烏巣への道中、袁紹軍の兵に出くわしたら、袁紹軍の幟旗をお見せになり、『将軍蒋奇の配下で命を受け、烏巣の支援に行くところだ』と説明を。」

 

純「成程。その策も採用しよう。奪った幟旗は山ほどあるからな。」

 

しかし

 

稟「ただ、個人的には少し不安です。」

 

そう、稟は少し憂いの表情を見せて言った。

 

純「何故だ?」

 

稟「あの袁紹の事です。烏巣から火が出たら、どうすると思われますか?」

 

純「ただちに兵を送り、烏巣を守るはずだ。」

 

稟「いえ。純様も長年のお付き合いだったからお分かりのはずです。袁紹は、意外と頭が回られる。烏巣は顧みず、全兵馬をこの本営に投入するはずです。」

 

稟「純様は烏巣襲撃で、本営は手薄だと考えると。」

 

純「アイツの考えそうな事だな。」

 

稟「はい。そこでご提案です。兵馬を一隊残し、本営の外に張り込ませれば・・・」

 

しかし

 

純「駄目だ!」

 

稟「!」

 

純は途中で遮り

 

純「それじゃあ生温ー。手薄の本営にかまけず、官渡の麗羽の本営を襲えば良い。官渡は俺らの本営より、もっとデケーにちげーねー!」

 

そう、いつもの獰猛な笑みを浮かべたのだった。

そして、すぐに兵を率い出陣した。

 

 

 

 

 

烏巣

 

 

 

 

 

烏巣守備兵A「うっ!」

 

烏巣守備兵B「ガハッ!」

 

烏巣守備兵C「ぐっ!」

 

烏巣の番兵の一部が矢で射殺され

 

純「今だ!やれ!!」

 

門が破られ、一気に純を先頭に奇襲部隊が突撃した。

 

純「うおりゃあああっ!!!」

 

「「「ぐはあああっ!!!」」」

 

霞「うりゃあああっ!!」

 

「「「ガハッ!!!」」」

 

凪「はあああっ!!!」

 

「「「うわあああっ!!!」」」

 

烏巣の守備隊も、突然の奇襲と警備が不十分であったため、次々に殺されていった。

 

霞「火を放て!!焼き尽くすんや!!」

 

そして、櫓などを火矢で焼き尽くし

 

霞「はあっ!!」

 

霞も偃月刀を振るって篝火を櫓に当ててみせた。

 

凪「純様のご命令だ!!烏巣の軍用車で兵糧を運べ!!」

 

霞「急げ!!もたもたすんなや!!」

 

そう言い、兵糧以外はどんどん火に包まれていった。

 

烏巣守備兵D「あちー!!あちーよー!!」

 

烏巣守備兵E「た、助けてくれー!!」

 

烏巣の守備兵が一方的にやれていくその光景は、まさに阿鼻叫喚という言葉に相応しかった。

 

純「フフッ・・・はーっはっはっはっはー!!」

 

その中で、純は笑いながら敵兵を斬り殺していったのだった。

 

 

 

 

 

袁紹軍本営

 

 

 

 

 

顔良「麗羽様ー!!」

 

文醜「大変です麗羽様ー!!」

 

袁紹「んんっ・・・何ですの?騒々しい・・・」

 

顔良「大変です!!烏巣に火の手が!!」

 

この言葉に

 

袁紹「何ですって!?」

 

袁紹は飛び上がり

 

袁紹「何処が燃えているですって!?」

 

再び尋ねると

 

文醜「だから、烏巣ですってばー!!」

 

そう文醜が再び言うと

 

袁紹「どういう事ですの!?何故!?」

 

そうパニクりながら外に出た。

そこには、確かに烏巣の場所がある所が燃えていたのだ。

 

袁紹「何という事ですの!!マズイですわ!!マズイですわ!!」

 

そう言い、袁紹は天幕に入った。

 

袁紹「すぐに烏巣の救援に向かわせますわ!!」

 

すると

 

郭図「袁紹様。敵が烏巣を襲っているという事は敵の本営は恐らく手薄。この間に曹彰の本営を奇襲すれば、敵は必ず引き返すでしょう。そうすれば、援軍を出さなくても何とかなります!!」

 

郭図が敵が烏巣を襲撃してる間に今すぐ敵本営を襲うべきと主張した。

しかし

 

??「待たれよ、郭図殿!!」

 

端整な顔立ちをしている一人の青年武将が待ったをかけた。

その者の名は

 

郭図「・・・なんですか、張郃殿。」

 

張郃、字は儁乂と言い、多くの戦に参加し数々の武功を挙げている猛将だ。

 

張郃「曹彰は武勇に優れた戦の天才。恐らく本営の守備も抜かりないはず。急襲しても勝ち目は無い!!そこを急襲しても美しさの欠片も無い!!それよりも早く烏巣を救援すべきです!!」

 

その青年武将は、敵本営を急襲せず今すぐ烏巣を助けるべきと主張した。

 

郭図「いや!!曹彰は烏巣襲撃に全てを投入しておられる!!だから今本営を襲えば、必ず勝てる!!」

 

張郃「いいえ郭図殿!!曹彰は戦の天才!!本営よりも兵糧を何とかすべきです!!」

 

これに、二人は言い争った。

 

文醜「おい張郃・・・」

 

顔良「張郃さん・・・」

 

すると

 

袁紹「お辞めなさい!!」

 

袁紹の一言で、二人の言い争いは終わり

 

袁紹「なら、お二人の作戦を採用致しますわ!!軽装の騎兵を烏巣へ送りなさい!!それと張郃さん。あなたは敵本営を今すぐ急襲なさい!!」

 

両方の作戦を採用するという、中途半端な策を取った。

 

張郃「し、しかし袁紹様・・・!!」

 

これに、張郃は異を唱えようとしたが

 

袁紹「張郃さん!!」

 

張郃「・・・御意。」

 

渋い表情を浮かべながら拱手したのだった。

そして、袁紹は烏巣救援部隊と敵本営急襲部隊の両方を派遣したのであった。


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