軍議を終え、自身の幕に戻った張郃。
そこにいたのは
??「帰ったか、明。」
蝶の羽の模様を浮かべた袖に白い服を着た少女だった。
張郃「星か。」
それを見た張郃は、彼女の真名らしき名で呼んだ。
彼女の名は趙雲、字は子竜。常山郡の出身で、槍に長けた勇将だ。
今彼女は、袁紹軍というよりかは張郃の下で武将として槍を振るっている。
ちなみに『明』というのは張郃の真名だ。
星「どうやら、軍議はあまり芳しくなかったようだな。」
明の顔を見た星は、そう言うと
明「ああ。烏巣を奇襲されたため、今すぐ救援に向かうべきだと進言した。」
明「しかし、郭図殿が烏巣救援は諦め、曹彰軍の本営を急襲すべきと進言したのだ。」
明はそう眉間にしわを寄せながら言った。
星「ほお・・・しかし、あの『黄鬚』と呼ばれし戦の天才、曹彰の事だ。そう簡単には落ちまい。」
明「ああ。だが袁紹様は本営急襲と烏巣救援の両方の策を取った。」
星「うむ・・・中途半端だな。お主、まさか・・・」
明「察しの通り、本営急襲を任された。」
星「成程な・・・それで、どうするのだ?」
明「このような策、美しさの欠片も無い。戦果は得られない。」
明「だが、俺は武人だ。従うほか無い。」
星「・・・そうか。なら、私も従おう。」
明「すまないな・・・」
そうやり取りをした後、二人は出陣の準備をし、本営急襲に向かったのだった。
曹彰軍本営
曹彰軍の本営前に到着すると
明「掛かれー!!」
「「「わああああっ!!!」」」
明の一言で、兵は一斉に本営に向かって突撃した。
しかし
「「「ギャアアアッ!!」」」
一部の兵士が、落とし穴に落とされてしまい、突撃がストップしてしまった。
明「何だ!?」
星「明!あれを!!」
すると、櫓や至る所から曹彰軍の兵士が現れ、一斉に弓を構えた。
春蘭「はーっはっはっは!!」
それと同時に、春蘭が高笑いをしながら現れ
春蘭「私達の策に落ちたな!!」
秋蘭「放て!!」
秋蘭の命令で、一斉に矢が放たれた。
これにより、明達率いる兵は混乱に陥った。
明「クッ・・・やはりちゃんと対策をしていたか!!」
星「明!急いで撤退するぞ!!」
明「ああ!!」
そして、明達は急いで撤退をしたのだが
楼杏「逃がしはしないわ!!」
楼杏率いる部隊が後ろにて現れ、明達を蹂躙した。
烏巣
曹彰軍兵士A「曹彰様!袁紹軍の軽騎兵が現れました!!」
純「へえ・・・現れたか!!」
純「お前ら、もう一暴れすんぞ!!軽騎兵全てぶっ殺して、その勢いで麗羽の本陣を攻め落とすぞー!!」
「「「おおーっ!!!」」」
霞「よっしゃあ、やったるでー!!」
凪「私も、頑張ります!!」
そして、純率いる部隊は、烏巣救援の軽騎兵全てを斬り殺し、その勢いのままに袁紹軍の本営へ向かった。
袁紹軍本陣
袁紹軍兵士A「大変です!!曹彰軍本営急襲部隊が、敗北しました!!」
袁紹「何ですって!!」
この知らせを聞いた袁紹は、驚きで目を見開いた。
郭図(マズイ・・・このままじゃ、自分の責任が降りかかる・・・!避けねば・・・!)
その知らせを聞いた郭図は、自身に責任が降りかかるのを恐れ
郭図「袁紹様。実は先程入った情報なのですが、本営急襲に失敗した張郃殿が、撤退途中に『袁紹様は誠に愚かだ!自分の策をとらず、烏巣救援と敵本営急襲という何とも言えない中途半端な策をとったから負けたのだ』と高らかに揶揄したとの事です。」
そう袁紹に讒言した。
袁紹「何ですって!!郭図さん!!もし張郃さんが帰還なさいましたら、即刻首を刎ねなさい!!」
これをまともに受けた袁紹は、そう郭図に言い
郭図「はっ!」
頭を下げた郭図は、にやりと笑みを浮かべたのだった。
この話を偶然聞いた一人の兵士が、急いで馬を走らせ明の下へ向かい、事の顛末を話した。
それを聞いた明達は、最早戻る術無しと思い、曹彰軍に投降したのだった。
その時
袁紹軍兵士B「大変です!!烏巣救援部隊が壊滅しました!!」
今度は烏巣救援部隊が壊滅したとの知らせが入った。
袁紹「何ですって!?」
袁紹軍兵士B「曹彰率いる部隊が、真っ直ぐこちらに向かってきます!!」
そして
袁紹軍兵士C「敵本営から数万規模の大軍が押し寄せてきました!!」
袁紹「何ですってー!?」
文醜「麗羽様ー!!もう限界ですー!!」
顔良「ここは撤退を!!」
完全に挟み撃ちにされ、そこからは一方的に蹂躙され、袁紹軍70万は100足らずとほぼ壊滅状態となった。
純「お前ら、勝ったぞー!!」
本営に戻った純は、将兵達の前で太刀を掲げ、覇気を前面に押し出しそう叫んだ。
「「「応!!応!!応!!」」」
これに、将兵達は皆雄叫びを上げた。
純「さあ!!もう一度だ、もう一度勝利の雄叫びを上げろ!!許都におられる姉上に聞こえる程に天地を揺るがす雄叫びを上げろー!!」
そう、純は更に強烈な覇気を前面に押し出して叫んだ。
「「「応!!応!!応!!」」」
これに、将兵達は再び雄叫びを上げた。
明「これが・・・『黄鬚』曹彰・・・!」
星「ああ・・・身体が震える・・・」
これに、明と星は興奮に似た震えを感じたのであった。