純「さてと・・・仕事も一段落したし、秋蘭のトコに行くか・・・。」
仕事を一段落終えた純は、秋蘭の部屋に向かって、一人廊下を歩いていた。すると
純「おっ。」
真っ直ぐに続く廊下を、霞が歩いているのを確認した。
純「霞~!」
霞「ん?」
純が呼ぶと、霞はキョロキョロと辺りを見回した。
霞「お。」
そして、純の姿を認めると、彼女は跳ねるようにして純の元に走ってきたのだ。
霞「純や~ん!偶然やな~。」
純「ああ。」
霞「こんなとこで、なにしてんの?どっか行くん?」
純「ああ、ちょっとな。秋蘭に呼び出されて、あいつの部屋に行くとこだ。霞は?」
霞「ウチは本日の業務終了したからな。何しようかなー・・・って。」
純「ブラブラしてるってとこか。」
霞「ブラブラちゃうよ!・・・仕事を探してるねん。」
と言い、霞の視線はフラフラとしていた。
純「そうか・・・。まぁ、そういうことにしとくか。」
霞「おおきに!純のそーいうとこ、めっちゃ素敵やと思うで♪」
純「・・・悪びれねーな。誉めても何も出ねーぞ。」
霞「あ、可愛くない。そーいうとこは好かんわ。」
それを聞いた純は
純「なんでだよっ!!」
と、霞に裏拳を入れたのだった。
霞「あはは!!ノリえーなぁ!!」
純「はは。そんじゃあ、俺秋蘭のトコ行くわ。」
しかし、
霞「ああっ、ちょっと待って!!」
霞は、純の服の袖を握って止めたのだった。
純「何だ、どうした?」
霞「あんな、純は秋蘭のトコ何しに行くん?」
純「何しにって?」
霞は
霞「楽しいことがあるんちゃうん?」
そう言って大きな猫目を更に丸め、興味津々といった様子で、純の顔を覗き込んだ。
霞「なあなあなあ、隠さんと教えてえなー。」
純「・・・お前、よっぽどヒマなんだなあ。・・・まあ、一人で来て下さいって言われたから、茶か何かだろう。」
霞「『一人』で?」
純「ああ、一人だ。まあ、いつもの事だよ。」
霞「『一人』で『部屋』~?『いつもの事』~?」
純「ああ、そうだが。」
すると
霞「はっはーん・・・。」
霞の目が、にやりと細めた。
純「何だ?」
霞「・・・それはアレやろ、ア・レ。」
と言った。
純「・・・ふっ、そうかもな。」
霞「せやってー!!純と秋蘭は、もう皆が羨ましがる程仲ええんやからー!!」
純「あはは。」
その時
霞「・・・なぁなぁ、純。」
霞が純の耳元に近づき、囁いた。
純「ん?何だ?」
すると
霞「あ、あのな・・・その・・・えっと・・・。」
いつもの霞と違って、顔を赤くして、もじもじとしながらはっきりしない。
霞「うーんと、えーっと・・・あの・・・。」
純「どうしたんだ?霞らしくねーぞ。」
と純は霞の頭をポンポンと撫でて促した。
霞「やー・・・せやかて、しゃーないやんかー。」
純「良いから、遠慮せず言ってみな。俺と霞の仲だろ?」
そう言うと
霞「・・・うん・・・えっと、その・・・笑わへん?」
と霞はしおらしく言った。
純「笑わねーよ。ほら、言ってみな。」
それを聞いた霞は
霞「その・・・そういうのって、どんな気持ちなん?」
と、顔を赤くし、もじもじしながら尋ねた。
純「それって・・・男女の営みか?」
それを聞いた霞は
霞「こくん」
と頷いた。
霞「や、あのな・・・ウチ、そういうコトに、あんま免疫無いねん。」
霞「あんまっちゅーか、全然。全く。」
純「全然無い・・・ってコトは、恋をしたこともない・・・とか?」
すると
霞「こくん」
また霞は頷いた。
純「・・・そうなんだ。」
霞「せや。ウチは元々、武官の生まれの家やんか?せやから子供の頃からずぅっと、武芸一筋でやってきてん。」
霞「何の疑問も持たんと、それを極めることだけを考えとった。」
霞「そんで気ぃついた時には、軍に仕官してて・・・あれよあれよっちゅう間に、一軍を任せてもらえるようになって・・・ほんで今やから。」
純「そっか・・・。」
霞「けど、最近純を見ると、胸がかあっと熱くなるんよ。それと、一緒にいると楽しいし、ドキドキするし、他の女の子と一緒やと、何かモヤモヤしてしまうんよ。」
純「・・・。」
霞「けど、この気持ちが本当に恋かどうかも分からん。だから純、ウチに恋をよく教えて欲しい!!」
純「俺が?」
霞「せや、お願い・・・。」
そう言って、霞は純の服の裾を掴んで、上目遣いに見つめた。
純「じゃあさ、今度時間があるときに、少し二人っきりで過ごしてみるか。」
すると
霞「ホンマか!!やったー♪いよっ、純すってきー!」
霞の表情がぱあっと明るくなった。
純「ったく、相変わらず調子良いな。」
霞「へへ。そんで、二人っきりで過ごして、そんでどうするん?」
純「それはお楽しみな。」
そう言って、純は霞の頭を優しく撫でた。
霞「そっかー。へへ、楽しみにしてる。」
そう言って、霞は嬉しそうな顔でぴょんぴょんと跳ねた。
純(コイツにもこんな悩みがあったんだな・・・。)
そんなことを思っていると
霞「・・・あ、そうや。」
ふと霞がはっと何かを思い出し、
霞「純、秋蘭に呼ばれてたんやね。」
純にそう言った。
純「ああ、そうだったな。」
霞「ゴメンゴメン、引き止めてもて。はよ行きや!秋蘭待ちくたびれてるかもしれへんで。」
純「ああ、じゃあまたな。」
霞「うん!ウチとは次回っちゅうことで!楽しみにしてるでぇ~。」
純「ああ、分かった。」
霞「おーきに!ほな、またなー♪」
そう言い、純と霞は別れたのだった。
霞(これって・・・ウチは純の事・・・好き、やのかなぁ・・・。せやったら、ウチメッチャ嬉しいかも!だって、初めての恋の相手が純やもん!!)
その時、霞はそう思いスキップしながら廊下を歩いていたのは内緒である。