益州を平定した劉備は、六割の徴税と三人に一人の徴兵を行い戦に備えた。
劉備「ねえ、朱里ちゃん。次はどんな手を打つの?」
諸葛亮「次なる手は、朝廷には、未だ曹操さんに不満を持つ者が少なからずおります。その者を使って曹操さんを討ち、その隙に乗じて攻め、天子をお救いするのです。」
諸葛亮「そうすれば、必ずや、桃香様の理想とする世の中の完成です。民や天子も、きっと桃香様を歓迎するでしょう。」
劉備「成程・・・流石朱里ちゃんだね!早速実行しよう!」
そう言い、劉備は諸葛亮の策を実行させた。
耿紀「曹操は大逆無道!天子がいるにもかかわらず蔑ろにし、民を惑わしている!」
耿紀「今こそ逆賊を倒し、漢室を救い、益州の劉備様を迎えよう!」
「「「逆賊を倒し、漢室を救おう!命を懸けて!」」」
耿紀「良し!同志よ、よく聞いてくれ!今宵、曹操は五鳳楼にいる。奴の周りには僅かな兵しかおらぬ。その隙を突いて五鳳楼に奇襲を仕掛け、曹操を斬り殺す!」
耿紀「その後天子にお越し願い、国賊討伐をご訓示いただき、劉備様を迎える!」
耿紀「既に劉備様の軍師諸葛亮殿と話し合って決めた作戦だ!」
金褘「おおー!」
韋晃「しかし、曹操の弟曹彰が現れたらどうする?」
耿紀「その心配は無い。先に我らが曹操を討ち取り、天子様に国賊討伐をご訓示出来たら、曹彰は逆賊となり、その者に味方する者を逆賊。全ての兵は、皆我らに味方する。」
耿紀「そうなれば、曹彰も討ち取れる!」
韋晃「成程・・・!」
耿紀「これで大勢は決した!漢に殊勲を立てるのだ!」
そう言い、耿紀らの反曹操派閥は、夜中に兵を率い、華琳が寝ている五鳳楼に向かった。
そして
耿紀「同志よ!私に付いてこい!五鳳楼に攻め入るぞ!行けー!」
耿紀は兵を率い突撃した。
春蘭「何の騒ぎだ!」
曹操軍兵士A「大変です!謀反です!耿紀なる者が攻めてきました!」
春蘭「ええい!守りを固めろ!華琳様に決して指一本触れさせるな!」
曹操軍兵士A「はっ!」
季衣「春蘭様に続けー!」
流琉「ここは決して通しません!」
これに春蘭は、すぐさま守りを固め、応戦した。
香風「ここ・・・絶対に守る!」
華侖「華琳姉ぇを守るっすよー!」
その場にいた者も、春蘭に続いて応戦した。
桂花と司馬懿は、華琳が寝ている寝室へ急いで向かった。
桂花「華琳様!」
司馬懿「曹操様!」
華琳「桂花!司馬懿!これは何の騒ぎ!?」
すると、既に華琳は起きており、絶を持っていた。
桂花「耿紀らを中心とした者が、謀反を起こしました!」
司馬懿「今夏侯惇殿達が必死に守りを固め奮戦しております!」
それを聞いた華琳は、急いで寝室から出て、皆が集まる場所へ向かった。
そこには
栄華「お姉様!」
柳琳「お姉様!」
栄華と柳琳が既にいた。
華琳「状況は!」
柳琳「今、春蘭様を中心に何とか凌いでおります!」
栄華「皆、口々にこう叫んでおります!『逆賊曹操を討ち取り、漢室を救おう!』と!」
それを聞くと
華琳「・・・愚かな!そんな事して、民が喜ぶと思っているのかしら?」
華琳は怒りつつも呆れた顔でそう吐き捨てたのだった。
一方、純は秋蘭、楼杏、霞、稟、風、三羽烏らとたまたま兵舎にいた。
すると
曹彰軍兵士A「大変です曹彰様!曹彰様大変です!四方で殺せとの声が!城中の者が叫んでます!」
兵の一人が慌てながら駆けつけてそう言った。
それを聞いた純は
純「何て言ってんだ?」
そう尋ねると
曹彰軍兵士A「そ、『曹操を殺し、漢室を救え』と!」
そう答えた。
秋蘭「なっ!?」
楼杏「何ですって!?」
霞「何やて!?」
凪「・・・!?」
真桜「何やそれ!?」
沙和「なのー!?」
稟「何と・・・!?」
風「っ!?」
純「姉上は!?」
曹彰軍兵士A「五鳳楼の寝所に!夏侯惇様達もおり何とか踏ん張っておりますが、間もなく火の手が・・・!」
それを聞いて
純「すぐに出陣する!五鳳楼へ行き、姉上達を救う!」
曹彰軍兵士A「御意!」
純「お前ら、急ぐぞ!」
「「「御意!!!」」」
純は兵を率い、五鳳楼へ向かった。
そして、五鳳楼に到着すると
純「良いか!反乱兵は全て斬り殺し、五鳳楼の姉上達をお守りしろ!例え五鳳楼が燃え尽きても、姉上達が無事ならそれで良い!」
純「『黄鬚』曹彰についてこい!」
先頭に立って太刀を抜き、突撃した。
「「「おおーっ!!!」」」
他の皆も、それに続いて突撃した。
純達の気付いた反乱兵は、そちらにも剣や槍を向けたが
純「はあああっ!!」
「「「うわあああっ!!」」」
純「うおりゃああ!!」
「「「ギャアアアッ!!」」」
純の無双にどんどん討ち取られていき
反乱兵士A「チクショー!曹彰を討ち取れー!」
反乱兵士B「左右に囲んで討ち取っちゃえ!」
一部の兵士が純の両サイドから槍を突き出して討とうとしたが
ガシッ!ガシッ!
一人は純にやられ、もう一人は首を絞められ
純「うりゃあああっ!!」
そのまま倒され
純「はあああっ!!」
斬られてしまった。
そのまま純は、奥へ奥へ進んで行き、次々と敵兵を斬り殺していった。
彼が通った周りには、反乱軍の兵士の遺体で溢れていたのだった。
華琳達は、未だに収まらない兵の鬨の声に少し動揺していた。
華琳(純がいるといないじゃ、こうも兵に動揺が生まれるとはね・・・)
華琳(私には・・・兵を率いる器は無しか・・・)
華琳は、目を閉じつつも動揺している皆に対し、そんな事を考えていた。
すると
曹操軍兵士B「曹操様!耿紀が防衛線を突破し、こちらに向かっております!」
兵士が跪いて拱手して、耿紀が近くに来ている事を言った。
桂花「どういう事!?いくら数が多いからって強すぎるんじゃないかしら!?」
曹操軍兵士B「交戦してて気付きましたが、皆我々が使っていない武器を使っており、それぞれ質の良い物でした!故に苦戦しております!」
華琳「誰かが裏で糸を引いてるわね・・・」
この時、華琳は指を口に当ててそう言うと
桂花「恐らくですが、劉備らかと・・・」
栄華「孫策の可能性は?」
桂花「孫策はこのような小細工をする者じゃ無いわ。このような事をするのは劉備か諸葛亮、もしくは両方が考えたかもしれないわ。」
司馬懿「私も同じ意見です。奴らは、我らと相反する者です。」
桂花はそう答え、司馬懿もそれに同意した。
同時刻
純「門を開けろ!」
純がある者を連れて中に入った。
曹操軍兵士B「曹操様!今すぐ移って下さい!ここはもう危険です!」
桂花「この者の言う通りです!早くここを離れましょう!」
栄華「お姉様!」
柳琳「お姉様!」
しかし
華琳「何馬鹿な事を言っているの!何故私が逃げなければならないの!我が軍に精鋭がいないと言うのかしら!それは間違いよ!純が来たら、あのような連中を全て斬り捨ててくれるわ!」
華琳「どこにも行かないわ!私はここで、弟の助けを待つわ!」
華琳は怒鳴り声を上げてそう言った。
その時
曹操軍兵士C「曹操様!」
兵士の声が聞こえた為、皆それぞれ華琳の前に立った。
目を向けると、純が左手に何かを持ちながら強烈な覇気を身に纏って現れ
純「姉上!只今参りました!これは反乱に加わった金褘と韋晃の首!囲んでいた連中は全て俺が殲滅致しました!」
金褘と韋晃の首を投げ捨てて言った。
華琳「耿紀は?逃がしたの?」
この問いに
純「はははは!」
純は獰猛な顔で笑い
純「連れて来い!」
曹彰軍兵士「「はい!!」」
後ろを振り向き大声で兵士に命令した。
すると
耿紀「くっ!」
縄で縛られた耿紀が現れた。
華琳「耿紀。何故謀反を起こしたのかしら?」
耿紀「曹操。謀反を起こしたのは貴様だ!私は漢の為に賊を討つ!」
華琳「威勢が良いわね。私は、あなたの九族を全て抹殺できるわよ。」
耿紀「子孫が絶えるとも、私は貴様を殺す!」
これに
ドカッ
耿紀「グホッ!!」
純が耿紀の腹を思い切り蹴飛ばした。
純「テメー!もういっぺん言ってみやがれ!誰を殺すって言ってんだ?ああ?」
純「今すぐ斬り殺してやろうか!」
そう言い、純は太刀を抜いた。
しかし
華琳「やめなさい、純!」
純「しかし!」
華琳「純!」
純「・・・御意。」
華琳に止められ、純は太刀を納めた。
耿紀「ゲホッ・・・ゴハッ!」
華琳「さあ、気が済むまで罵りなさい。罵りを聞くのはいつ以来かしらね。」
この華琳の余裕ぶりに
耿紀「な・・・何だと?」
耿紀は言葉を詰まらせた。
華琳「耿紀。一つあなたに聞きたいことがあるわ。」
華琳「漢室は日ごとに衰え、腐敗していった。官吏は重税で民を苦しめ、四方八方で反乱が起き、国全体が廃墟と化したわ。」
華琳「そこで私が、苦心惨憺して国を立て直して、民が食べるのに困らないようにしたのよ。腐敗し、堕落しきった官吏達も更正させた。外の敵は、ここにいる我が弟が全て斬り殺してくれた。」
華琳「微力ながら、私は内政で、弟は軍事で手柄を立ててきたわ。なのに、何故恨み殺そうとしたの?」
華琳「あなた達は漢室を、また廃墟と化したいのかしら?」
この問いに
耿紀「私は道徳を重んじ、生きて聖人の書を読み、死して聖人の道を尽くす!」
そう耿紀が返すと
華琳「聖人の道が役に立つなら、聖人が天下統一を果たしていたわ!良いかしら。あなたは、愚かなる忠臣よ。腐敗した役人や、愚昧な君主に増し、あなたみたいな愚かな忠臣こそ、憎むべきだわ!」
華琳はそう突っ込んだ。
耿紀「曹阿瞞め!例え死のうとも、悪鬼となって殺してやろうぞ!」
これに、華琳は耿紀の顔を取って
華琳「そう!ならばこの顔をしっかり見なさい!この顔を目に焼き付けるが良いわ!あの世に行っても忘れるんじゃ無いわよ!」
華琳「あなたみたいな輩は相手にしないわ!あの世に行っても相手にならないわ!」
そう強く言った。
純「連れて行け!」
「「はっ!」」
耿紀「賊を殺せー!賊を殺せー!賊を殺せー!」
そう叫び続けながら、耿紀は連れて行かれた。
華琳「・・・純。」
純「ここに。」
華琳「命を下すわ。将兵を率いて、劉備達に備えなさい。」
華琳「もし攻めてきたら、全て任せるわ。皆も、純の命令に従いなさい」
純「御意!」
「「「御意!!!」」」
それを聞いた純とその他の者は、拱手してその場を後にした。
その後、徹底的に調べ上げた結果、桂花の予想通り諸葛亮が考えた策略である事が分かり、霊帝らに討伐許可を求めたのだがすぐに承諾せず、次の日にまた聞く事になったのであった。