恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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70話です。


70話

耿紀達の葬儀から暫くして、関羽は訓練場にて偃月刀を手に鍛錬をしていた。

一通り終え、休んでいると

 

鳳統「愛紗さん。」

 

関羽「どうした?」

 

鳳統が、張飛と一緒に現れた。

 

張飛「愛紗。皆が噂してるのだ。桃香お姉ちゃんの命令で、朱里が兵隊達の指揮を握っているのだ。愛紗。愛紗の兵隊達の指揮が出来なくなってるのだ。」

 

そう、張飛は関羽に言うと

 

関羽「鈴々。桃香様と仲違いさせる気なのか?」

 

関羽は眉間に皺を寄せながらそう張飛に言った。

 

張飛「そうじゃないのだ!愛紗。他にもこう言っているのだ・・・鈴々達を無視して、全て朱里に兵隊達の指揮と皆のための政治を委ねると!」

 

これに張飛は必死な表情で関羽に言うと

 

関羽「鈴々!お前の耳には戯言しか入らないようだな!!鈴々。お前と私は、桃香様と桃園の契りで固く結ばれた仲だ!!私達は、桃香様の理想の為、命を懸けてお支えするのだ!みだりに憶測するな!!」

 

関羽「百歩譲って、誠に朱里が全権を握っても・・・それが何だというのだ!この地を支配している以上、実力ある者を使うのは当然ではないのか!」

 

関羽は厳しい言葉でそう返した。

その横で

 

鳳統「愛紗さん。今回の鈴々ちゃんの訴えは、妹として愛紗さんの事を心配しているからですよ。」

 

鳳統はそう張飛をフォローして関羽にそう言った。

 

関羽「雛里。桃香様にお詫びの文を書きたい。」

 

鳳統「何で・・・」

 

張飛「愛紗。桃香お姉ちゃんに何を謝るのだ!?」

 

関羽「・・・北伐の事だ。今回の北伐は、天意であるにもかかわらず、愚妹が桃香様を幾たびもお止めした。この愚かな行い、いくら悔やんでも、悔やみきれぬとな。」

 

鳳統「・・・そうですか。」

 

張飛「愛紗・・・」

 

関羽「後でしたためるつもりだ。だが、今はこの偃月刀を振るいたい。二人共、下がってくれ。」

 

鳳統「はい・・・」

 

張飛「分かったのだ・・・」

 

関羽にそう言われ、張飛と鳳統は下がった。

そして、再び関羽は偃月刀を振るっていたが

 

関羽(私は・・・何て無力なんだ・・・!何が民草のための武だ・・・!)

 

そこには、迷いが強く曇りのある動きだった。

 

鳳統「愛紗さん・・・」

 

張飛「愛紗・・・」

 

その様子を、張飛と鳳統の二人は複雑な表情で見ていたのだった。

そして、劉備は20万の大軍を率いて北へ進軍を開始した。

 

 

 

 

 

 

許都

 

 

 

 

 

 

劉備挙兵!この知らせは、許都にも届いていた。

 

純「姉上。劉備が、20万の大軍を率いて進軍をしております。」

 

華琳「そう。やはり兵を挙げてきたわね。」

 

純「それで、陛下の討伐許可は?」

 

華琳「まだよ。もう少し考えさせてくれとの一点張りよ。」

 

実を言うと、耿紀らを処刑してからも、華琳は霊帝に何度も討伐許可を尋ねた。

しかし、霊帝の意見は

 

霊帝「考えさせて欲しいわ。」

 

の一点張りだった。

 

純「ふんっ!どうせ、同じ劉の姓だから討伐を遠慮してるとかの類じゃないですか!」

 

純「何甘っちょろい事を!」

 

これに、純は語気を荒げて言った。

 

華琳「純。一応あれでも天子様なのよ。軽はずみにそういう事は言わないの。」

 

純「分かってますよ!」

 

すると

 

華琳「なら、あなたが説得なさい。」

 

華琳は純にそう言った。

 

純「俺が、ですか?」

 

華琳「ええ。軍の頂点に立っているあなたよ。あなたが言えば、陛下も聞くのではないかしら?」

 

これに

 

純「成程。なら、お任せ下さい!」

 

そう、純は胸を叩いて言ったのだった。

そして、華琳の命令で朝廷の文武百官が集められた。

その外には、銀色の荒野が広がっており、その数四十万。兵士達が掲げるのは、槍、矛、弓・・・。それは空から降り注ぐ太陽を弾き、さながら鉄刃の海原のようだった。

暫くすると、純がいつも戦で着る白き羽織と籠手、そして武骨な軍靴を身に纏い、腰に太刀を帯びながら歩いてきた。

それを見た四十万の将兵は、ズレる事無く揃って跪き拱手した。

純の姿を見た霊帝は、緊張の顔を見せていた。

 

純「陛下。拝謁致します。」

 

そう、純が拱手し、霊帝が拱手し返すと、四十万の将兵は皆立ち上がった。

 

純「先日からここにいる我が姉曹孟徳が申し上げておりました件、劉備の討伐をお認めいただけますか?」

 

それと同時に、純は劉備の討伐の許可を尋ねた。

 

霊帝「いや大都督。劉備は私達の親戚なの。討伐はせず、話し合って解決できないかしら?」

 

しかし、霊帝はそう純に返すと

 

純「あの者は陛下の親戚などと抜かす不届き者であり、先の袁紹討伐の折に朝廷の軍に刃を向け、あまつさえ益州を治めている劉璋様を討った逆賊で、民を苦しめております!」

 

純「温情で生かしても、彼奴は仇で返して、我らを殺した後必ずやこの地を乗っ取り、民を苦しめるでしょう。」

 

純は強く発言した。

 

劉協「曹大都督殿。陛下にもう少し考えさせるお時間を・・・」

 

これに、傍にいる劉協がそう返すと

 

純「何をそう考える必要がおありなのです?」

 

純はそう突っ込み、更に一歩前に出て

 

純「俺が軍を率い、先頭に立って命を懸けて戦っているのは、全ては世のため人のためです!!」

 

純「陛下が賊によって難に遭われた時、その賊を全て斬り殺したのは誰ですか?」

 

純「もし俺が逆賊を討たず、我が姉曹孟徳が民を安んじなければ今頃は、この中原は灰燼に帰していたのかもしれませぬぞ!!」

 

強烈な覇気を前面にぶつけて強く言った。

 

これには

 

霊帝「・・・。」

 

劉協「・・・。」

 

霊帝と妹の劉協は腰を抜かし

 

華琳(凄い覇気ね・・・思わず跪きそうになったわ・・・)

 

華琳でさえも、その覇気に畏怖の念を抱いた。

暫くして

 

霊帝「わ、分かったわ。詔を下すわ。」

 

霊帝「大都督驃騎将軍曹彰。精兵を率い、劉備を討伐せよ。」

 

霊帝は怯えながら純に劉備討伐の許可を取った。

 

純「ありがたきお言葉!!」

 

これに、純は拱手し、すぐに将兵の下へ向かった。

将兵達は皆、純の言葉を待っていた。

 

純「聞け!勇士達よ!」

 

その声と同時に、兵達は己の武器を構え直す。続けざまの金属音が、連なり響く後に生まれた光景は・・・切っ先の揃えられた完璧な凪の稲原だった。

 

純「これより俺達は、この地を攻め滅ぼさんとする劉備を返り討ちにする!!」

 

純「奴らは、陛下に多大なる恩がありながら朝廷に弓を引き、益州を治めていた劉璋様を卑劣な手で殺した逆賊である!!」

 

純「そのような卑劣な者達から、お前達の家族を、友を、恋人を守るのだ!!」

 

純「良いか!!この戦は、俺達に義あり!!」

 

純は覇気を前面に押し出して太刀を抜き、天に掲げてそう叫んだ。

 

「「「応!!応!!応!!応!!」」」

 

それに続いて、鋼の稲原は嵐を受けたように揺らぎ、兵達の喚声は大地を震わせる程で、その声は遙か遠くの地までいつまでも木霊していくのであった。

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