恋姫無双〜黄鬚伝〜(リメイク)   作:ホークス馬鹿

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74話です。


74話

劉備大敗の知らせは、成都にまで届いていた。

 

関羽「それは確かか、雛里!!」

 

鳳統「はい。桃香様率いる20万の兵は、火攻めによりほぼ壊滅。残ったのは、千にも満たないそうです。」

 

鳳統「加えて桃香様が・・・」

 

すると、鳳統は言いづらそうに口ごもった。

 

関羽「言え!!桃香様はどうしたのだ!!」

 

それに、関羽は焦ったような口調で尋ねた。

 

鳳統「と、桃香様が・・・流れ矢を受け、重傷との事です。」

 

鳳統は、トンガリ帽を深く被りながらそう震え声で言った。

 

関羽「そ、そんな・・・!」

 

これには、関羽は呆然とした表情で呟き椅子に座り込んだ。

 

鳳統「愛紗さん。遠距離の進軍とひと月に及ぶ戦で遠征軍は疲弊しているにもかかわらず朱里ちゃんは撤退をせずに無理に戦を進め、夏となって涼を求めた桃香様が大軍を山林に移しました。」

 

鳳統「愛紗さん。この戦は、負けるべくして負けたのです。」

 

すると、鳳統は関羽にそう言った。

 

関羽「・・・そうだな。桃香様と朱里が、このような無理を遠征をせずに力を蓄えていれば・・・」

 

関羽「いや。それ以前に益州を卑劣なやり方で取り、それに反発した民を虐殺したから無理か・・・」

 

そう、関羽は端整な顔を歪ませながら額に手を当てて言った。

 

鳳統「桃香様と朱里ちゃんは、曹彰さんと出会ってから明らかに変わりました。」

 

鳳統「桃香様は益々理想にばかり目を向け、現実を見なくなっており、朱里ちゃんは曹彰さんを己が天敵と見なしております。」

 

鳳統「朱里ちゃんの曹彰さんへの恨みは、明らかに度が過ぎております。」

 

関羽「いや、もう止そう。私は今すぐ一万の騎兵を率いていく。何とか曹彰殿の大軍を釘付けにする。」

 

鳳統「分かりました。愛紗さん。どうかご無事で。」

 

関羽「ああ。」

 

そう言い、関羽は急いでその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

劉軍

 

 

 

 

 

 

諸葛亮「桃香様!後しばらくのご辛抱です!!」

 

劉備「・・・うん・・・はあ・・・はあ・・・」

 

劉軍は、負傷していない兵は殆ど無く、とりわけ劉備は重傷を負っていた。

その横で、諸葛亮は劉備の手を取って懸命に声をかけていた。

 

劉軍兵士A「申し上げます!!曹軍が現れました!!」

 

すると、曹彰の軍勢が近くに現れたとの報告が入った。

 

諸葛亮「そんな・・・速過ぎです・・・!?」

 

これに

 

劉軍武将A「ああ・・・もう我らは終わりだ・・・」

 

劉軍武将B「そもそもこんな戦をするのが間違いだったんだ・・・」

 

劉軍武将C「ああ・・・天の怒りを被ったんだ・・・」

 

周りの武将達は、目を虚ろにしながらそう言った。

 

 

 

 

 

 

曹軍

 

 

 

 

 

 

秋蘭「純様!もう少しで劉軍を囲めます!!」

 

純「ああ!皆、戦闘準備にかかれ!!このまま殲滅するぞ!!」

 

「「「おおーっ!!!」」」

 

純の檄に、40万の兵の進軍速度が更に跳ね上がった。

しかし

 

春蘭「うん?純様!!劉軍後方から何かやって来ました!!」

 

春蘭の報告で、様子が変わった。

 

純「あの軍は・・・関羽か。」

 

 

 

 

 

 

 

劉軍

 

 

 

 

 

 

 

劉軍兵士A「申し上げます!!関羽様の軍が現れました!!」

 

この知らせを聞き

 

劉軍武将A「おお・・・関羽様が現れた・・・!!」

 

劉軍武将B「もう安心だ・・・!!」

 

劉軍武将C「これで死なずに済む・・・!!」

 

劉軍の武将達は安堵の表情を浮かべた。

 

劉軍兵士B「関羽様ー!!」

 

劉軍兵士C「ああ・・・関羽様が来てくれた・・・助かった!!」

 

兵達も、皆安堵の表情を浮かべた。

 

諸葛亮「桃香様!愛紗さんが来ましたよ!!」

 

これに、諸葛亮は劉備にそう言うと

 

劉備「・・・うん。良・・・かった・・・愛紗ちゃん・・・」

 

劉備は青白く目に隈が出来ている状態で笑顔を浮かべた。

 

関羽「桃香様!!朱里!!」

 

すぐに関羽が現れ

 

諸葛亮「愛紗さん!!」

 

諸葛亮は喜色満面の顔を浮かべたが

 

関羽「・・・朱里。お前に言いたい事が山ほどある。だが、今は何も言わぬ・・・すぐに下がれ!!」

 

そう、関羽に厳しい表情で言われると

 

諸葛亮「・・・はい。」

 

諸葛亮は少し不満そうな表情を浮かべながら退いていった。

 

関羽「これで、曹彰殿が退いてくれたら良いのだが・・・」

 

劉軍兵士D「関羽様。もし敵が攻めてきたら・・・!!」

 

関羽「そうなったら、私は一歩も退かず、命を懸けてここを通さぬつもりだ!!」

 

そう、関羽は毅然とした態度で言った。

 

劉軍兵士D「そうですか・・・なら、私達も共に!!」

 

劉軍兵士E「私もです!!」

 

劉軍兵士F「私も、関羽様と共に!!」

 

すると、他の兵達も、そう続いた。

 

関羽「お前達・・・分かった!!もし攻めてきたら、共に守ろう!!例え両手両足を失っても、ここを死守するぞ!!」

 

「「「おおーっ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

曹軍

 

 

 

 

 

 

 

 

楼杏「どうやらここを通さないつもりのようですね・・・」

 

霞「どないする、純?」

 

純「・・・。」

 

すると

 

純「・・・退くぞ。」

 

春蘭「純様!?」

 

純は撤退すると言った。

 

純「このまま攻めれば、平定は容易い。しかし、我らも被害が無いわけでは無い。」

 

純「一旦引き揚げ、戦力を立て直すぞ。」

 

そう、純は引き揚げの命令を下した。

そして、国境に近い場所にて陣を敷き、戦力整備をすると

 

曹軍兵士A「申し上げます。陛下の使者が参られました。」

 

霊帝の使者がやって来たとの報告が入った。

 

純「・・・分かった。」

 

そう言うと、使者が入ってきて、純は下座にて跪いた。

 

使者A「此度の戦で、大都督驃騎将軍曹彰殿は見事な戦功を立てた。」

 

使者A「よって、曹彰殿を驃騎将軍から大将軍に昇格し、大司馬も兼任させる事とする。大都督も引き続き継続せよ。」

 

これを聞き

 

純「拝命致します!!」

 

純は拱手し言った。

 

使者A「それと・・・もう一つある。すぐに許都へ撤退せよとの事だ。」

 

これには

 

純「・・・は?」

 

純は姿勢を崩し、疑問の表情を浮かべた。

 

純「おい、それはどういう意味だ?戦力を立て直し、益州を平定する予定なんだが。」

 

純「陛下御自らのご命令か?」

 

この疑問に

 

使者A「・・・いえ。曹丞相のご命令です。」

 

使者はそう答えた。

 

純「・・・どういう意味だ?何故姉上がそのような命令を下した?」

 

純「劉備らは甚大な被害を被り、力を大いに失った!今こそ、一気に益州を平定する好機ではないのか!」

 

この怒りに近い声に

 

使者A「私も分かりませぬ。とにかく、ご命令に従って下さい。」

 

使者は卒倒しかけたが何とか純に言った。

 

純「・・・ちっ。分かった。軍を引き揚げる。」

 

純「しかし、いつ敵が侵攻してくるか分からねーから、十万の兵を残す。それで良いか?」

 

使者A「・・・分かりました。では、戻る事と兵を一部残す事をお伝え致します。」

 

そう言い、使者はその場を後にした。

そして、純は将兵に引き揚げの命令が出た事を伝え、三十万の兵を率いて許都へ向かったのであった。

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