VRMMO×戦略系ストラテジーゲーム   作:不知火勇翔

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ダメだダメだと言いながらゲーマーの本能に負ける沙耶の話。
◎コメント欄で議論みたいになってるのは、書いてる量の数倍同じようなコメントが流れていて、その反応がまた数倍流れているからです(←書くの忘れてた・・・)。あと、黒玉ニキのコメントは大体色付きです(←コッチは後付け)。


3話 V-tuber『ガゼル』

パッシブskill《目覚めの極意》

 初めて与えるダメージがクリティカルのとき一定の確率で取得。-25%の確率でSTR(攻撃力)4倍補正。

 

 

 お分かりいただけただろうか。

 僕は黒巨人戦で、常にこの難易度高めなskillを発動していた。要因は恐らく、僕の4桁を超えるLuck値だと思う。というか、それしかない。

 んで、《絶クリティカル》というのはskillじゃなくて、《クリティカル》×2の延長のもので、《クリティカル》より発生確率が低いクリティカルの仕様なんだそうだ。

 つまり僕は《目覚めの極意》《クリティカル》《絶クリティカル》を常時発動できるみたいなので、常に攻撃力が16倍される。だからSTR(攻撃力)は65×2×2×4でトータルSTR1040らしい。それでレベルも上がったので、今は素のSTRが79ある(レベル1ごとに+2された)。つまり16倍して1256が僕の攻撃力らしい。ふ~ん、チートじゃん。

 攻略サイトを見ると、今の流行りは爆破ダメージみたいで、300の固定ダメージが強いと言われている。あれ?これV-tuberデビューしても炎上するくない?え?

 許すまじ黒玉。炎上系V-tuberなんて嫌だよ僕は。というか『クリ特化』という概念を知らなくて安心していたさっきの自分を殴り飛ばしたい。

 色々愚痴っていると、なんだか諦めがついてきて、とある考えに行き着いた。ゲーマーなら分かると思う。そう。もう諦めて行ける所まで行くしかなくない?という発想だ。

 ダメージカンストは全ゲーマーのロマンだと思う。

 という訳でステータスウィンドウを見る。

 恐らく僕に必要なのは武器だ。ほら、僕が今装備している細剣もSTR(攻撃力)+0の初期武器だし。攻略サイトを見たかんじ、素の攻撃力には武器の攻撃力も加算されていて、《クリティカル》だとそれに倍率が乗るみたいなので、純粋に武器の攻撃力は16倍される。きたコレ。

 v戦 武器 最強

 恒例の、検索という名のカンニングを発動。

 どうやらガチャ武器が強いらしい。というか、やっぱりあるんだね、ガチャ。ならV-tuber恒例の爆死もしなければいけないかもしれない。天井とかあるのかな?

 どうやらガチャは『Vコイン』というもので回すかんじの、錬金とかではないスタンダードなガチャらしい。『Vコイン』はユニークモンスターとかいうのを倒すと手には入るらしいが、ユニークモンスター自体がクソ強いらしく周回して集めるのは現実的ではないらしい。

 ふ~ん、と思いながらメニューウィンドウから持ち物の欄を見ると、やっぱり『Vコイン』が10枚あった。どうやらあの『黒ゴリ』もユニークモンスターだったらしい。

 で、肝心のガチャができる場所なんだけど、どうやらクランごとに違うらしい。『type:学園』のガチャは、屋上にあるみたいなので屋上に直行した。

 

 

`^`)/

 

 ガチャ。それは呪いの言葉だ。

 廃課金者。それは犠牲者の名前である。

 爆死。それは廃課金者の末路である(かもしれない)。

 何が言いたいかと言うと。

「クソがあああああああぁあああぁああああ!!!」

 僕の声じゃない。今のは僕が来る前から回していた人の、断末魔の叫びだ。血走った目をして地面を殴りつけるその姿は、なんと言うか悲惨そのものだった。

 僕が彼に、大丈夫か?と聞くのは愚問だろう。絶対大丈夫じゃない。僕の本能がそれを感じ取っている。

 V-tuberなら色々気にしてリアクションを抑えるだろうが、彼らは違う。世間体よりガチャをとったかもしれない『彼ら』は、もう色々と見ていて辛かった。

 ・・・言ってなかったが、『Vコイン』は当然課金して買うことができる。あ、(察し)。

 ササーッと空いている端の、カプセルトイ、というのだろうか。スーパーによくあるガチャポンの機械に握っていたVコインを差し込み、中央のツマミを回すとガラガラガラという音とともに、下からプラスチックらしき丸いケースが出てきた。

 それを捻って開けると、カプセルが光り出した。

「わっぶ」

 変な声を出しながら視界を手で覆うと、シャランッという音がして発光は収まった。手をどけてガチャポンの方を見ると、僕とガチャの間に青白い細剣が浮遊していた。

 凝視してステータスウィンドウを開くと、名前の欄には『銀麗の鳳剣(ぎんれいのほうけん)』とあった。

 ステータスは、耐久値∞で攻撃力+0。強い、のか?説明は、なになに?『世界の鍵となる一振り。絶対無くすなよ』、か。ふむ。・・・ふむ?

 ざっと見たかんじ初期武器とスペックが変わらないため首を傾げていると、ふと《封印》という欄に目が留まった。

 

 

 《封印》→原史由来のものに宿る、未知なる力。解放には条件がある。

 

 

 ネットで調べてみると、《封印》という文字は有名攻略サイトに全く載っておらず、都市伝説として《封印》の話が少し上がっていた。

 いわく、このゲームの『正史』なるものに関する物品には全て付いているらしい。ふーん。分からん。

 そもそもVRMMOに『正史』という時点でよく分からない。ストーリーじゃないのだろうか。

 『正史』についてもザッと調べてみるが一切出てこず、考えても仕方ないので『銀麗の鳳剣』をアイテム欄に突っ込み、残り9枚のVコインを1つずつガチャガチャに突っ込んだ。

 しかし結果は惨敗。武器は一切出ず、謎の回復アイテムが9連続で出た。なんだコレ。悔しいとか以前に、驚愕が勝ってしまった。

 周囲を見回すと、死屍累々だが武器を出す人は多くいた。どうやら、僕の運が今日はすこぶる悪いだけみたいだ。

 とりあえず最初から持っていた武器は耐久値が有限なので『銀麗の鳳剣』(耐久値∞)を装備し、屋上から離れることにした。

 

`^`)/

 

「おーっす。どうも。『紫炎のロード』ガゼルだ。今日は前々から準備してた爆弾がようやく、ようやく3つ完成したから黒巨人へ行こうと思うぞ」

 黒巨人、というのはネット民が付けたユニークモンスター『黒ゴリ』のニックネームだ。明らかに巨人なのにゴリラで通す運営側とネット民との闘争の中で生まれた名前なのだが、俺も『黒ゴリ』はゴリラじゃなくて巨人だと思うので、黒巨人と呼んでいる(どうでもいい)。

コメント

<おーっす>

<おーっす>

<やっとか>

<てか爆弾作るのムズすぎなんだよなぁ・・・>

<爆弾1個でユニークモンスター『白チョウ』の羽8枚が必要とか、もはや理不尽だろ>

<ただ固定ダメージ300は強い。普通に最強>

<だよな。攻略班ご用達なのが良い証拠>

<爆弾を持つ者、持たざる者でボス戦分けるのは笑った>

<笑えねぇよ>

「じゃあ移動するわ」

 『type:幽霊船』の甲板に立ち、俺は『魔法』を発動した。

「『光の空。空を裂く月。神話の景色は再誕する』。飛行魔法『ガルーダ』!」

 直後俺の体が光に包まれ、俺の体は巨人の元へ飛んだ。

コメント

<厨二 乙>

<ほんと魔法の詠唱だけはどうにかならねえのかな>

<俺運営に苦情入れたぞ>

<止めとけ止めとけ。世界各国が『V戦』のサービス元を探してるけど見つかってないんだろ?そんな奴らが聞くと思うか?ロードのシステムだって喧々囂々なのに>

<魔法って全部メッセージ風だよな。『再誕する』とか『目覚めは近い』とか>

<それ俺も感じた。普通のVRMMOの詠唱とは違うよな>

<コメント欄が考察班になってて草>

 スーパーヒーロー着地した俺は、森の高台から黒巨人を見下ろした。

「いたな」

コメント

<爆弾の固定ダメージが300で黒巨人のHPが800だから、3発か>

<爆弾当てるの、何気にムズいよな>

<そうそう。爆発が時間差で、爆発範囲も広いし>

<お?誰か黒巨人に近づいているぞ?>

 チラッと見たコメント欄で、『誰かが近づいている』というのを見つけ、俺は黒巨人の足元を見やった。すると、全体的に青色の美少女がトコトコと歩み寄っていた。

 透き通るような青髪と雪のように白い肌、青いブレザーパーカー、萌袖にスカート。腰には青白い細剣。優しい目が容姿と相まって、非常に好感が持てる。裏表も少なそう。

 そんな美少女が、序盤最強と言われている黒巨人に、1人で歩み寄っていた。

コメント

<初心者か?>

<俺もやった。徘徊ボスは喧嘩を売るもんだろ?>

<チンパンジーいて草>

<いや無理だろ>

<可愛くね?>

<確かに。ヤバいぐらい可愛い>

<ちっちゃいな>

<確かにちっちゃい>

<男の娘キャラか?>

 青髪の美少女は腰の細剣を抜くと、巨人の迎撃より先に、足をプスプスと4回刺した。すると黒巨人が光となって四散した。

コメント

<は?>

<?>

<?????>

<え?>

<???>

<いやいやいやないないない>

<チーターだー!>

<通報通報!>

<いや『V戦』ってトップハッカーでもハッキングが不可能なくらいセキュリティーはシッカリしてんだろ?裏技じゃね?>

<裏技、か?>

<裏技!?>

<いやいやいや>

<行け、ガゼル!事情聴取だ!>

<行ってこいガゼル!なんとでもなるハズだ!>

<ガゼル!お前だけが頼りだ!>

「へいへい」

 コメント欄に尻に敷かれる系配信者なガゼルは高台から飛び降り、黒巨人を倒した後システムウィンドウを眺めて立ち止まっている青髪美少女に話しかけた。

 まずは取材交渉。

「なぁ。今配信してるんだけど、ちょっと話いいか?」

「配信!?」

 青髪美少女が、コッチが驚くくらいの勢いで振り返った。

 

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