VRMMO×戦略系ストラテジーゲーム   作:不知火勇翔

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6話 初イベント開始

「コラボしましょう。私達3人で」

 『キズナ』と名乗る少女は蜂から助けた見返りとして、僕を含めてガゼルさんとのコラボ配信をしたいらしい。

 キズナさんのチャンネル『キズナ.ch(アルハート所属)』はガゼルさんより少し多めなチャンネル登録者数で、『type:帝国』のロードの妹らしくファンは登録者数より多いのだとか。そんな大物とのコラボ配信の依頼。ガゼルさんは即座に承諾した。

「僕もなの?」

 敬語が嫌いなので初対面なのに気安く話しかけると、キズナさんは何とも思っていないのか普通に頷いた。

「はい。あなたを含めた3人で、です。その方が面白そうじゃないですか」

 どうやらキズナさんは、さっきの蜂みたいな撮れ高が欲しいみたいだ。

コメント

<おいおい。キズナ様って一応アイドル扱いじゃなかったか?>

<おや?焦げ臭いな>

<なんだか体が暖まってきた(放火準備中)>

<ガゼル迷えよ・・・>

<ガゼルはそういうの考えないからな>

<本能で生きる男、ガゼル>

「つってもコラボって何するんだ?」

 ガゼルさんが聞くと、キズナさんはシステムウィンドウからイベント画面を見せてきた。

「明日、『グランドクエスト』が始まるのは知ってますよね。一緒に参加しませんか?」

 グランドクエスト?

「あー、まぁ沙耶と回るつもりだったし、1人増えたくらい良いか。良いよな、沙耶」

「『グランドクエスト』って何?」

 僕が聞くと、ガゼルさんが説明してくれた。

「参加型のクエストなんだけどよ、基本人数は無制限。ただ死んだら『脱落』として以降のクエストに参加できない。まぁそんなかんじのクエストだ」

コメント

<一回死んだら終わりって厳しいよな>

<その点、ガゼルみたいな配信者が最後までイベントを見てくれると助かるよな>

<なー>

<キズナ様もやるのか。ヨシッ>

<沙耶がいるってのが不穏だな>

<お前まだ言うのかよ・・・>

<『グランドクエスト』は渾身の出来だから楽しんでね! by黒玉>

<黒玉ニキ!?>

<来た!待ってたぞ!>

<沙耶の能力の説明はよ!>

<沙耶のアンチを黙らせてくれ!>

<沙耶のファン多すぎて草>

<う~ん。実際チートだと思うよ。そう設定したし by黒玉>

<ファ!?>

<公式チートで草>

<草>

<やっぱ黒玉ニキって怪しくねぇか?>

「お、例の黒玉ニキじゃねぇか」

「?何の話ですか?」

「ほら、コメント欄見てみろ」

 ガゼルさんが配信中のコメント欄をキズナさんに見せた。

「へぇ・・・黒玉ニキさんが運営側かもしれない、と。なら私も質問いいですか?」

コメント

<どうぞ by黒玉>

「ロードの選考理由って何ですか?」

コメント

<才能だよ! by黒玉>

<??>

<嘘だろ。普通に考えて>

<だな。まず黒玉ニキはソース出せ。それか予言しろ>

<それな>

<なら予言しようかな。今回のグランドクエスト、一筋縄じゃいかないよ。具体的には、生き残るという部分で by黒玉>

<もっと詳しく>

<ならもう少し。今回は健気な姉と病弱な弟の物語だよ by黒玉>

 

`^`)/

 

「馬鹿者!!」

 お父様の怒鳴り声が、王宮を響き渡った。ここまで怒ってくれるのは私を案じてのことだろうけど、私にも引けない思いがある。

「お父様!私を調査隊に加えて下さい!私だって戦えます!」

「戦える戦えないの話じゃないわ!お前は女だ!王族なのだ!兵士どもと城外へ出せる訳がなかろう!」

「女扱いは止めて下さい!私は戦士です!」

「そんなに『アキルス』が大切か!アイツは直に死ぬ!諦めるのだ!」

「自分の息子になんて言い様ですか!そんなに妾の子は気に入らないのですか!」

 私の弟の『アキルス』は生まれた時から病弱で、今も生死を彷徨っている。アキルスを助けるための薬草を取りに調査隊が派遣されることになったのだが、私も参加しようとしてお父様と口論になった。

 確かに私が行くメリットは少ないかもしれないが、今までのようにジッと苦しむ『アキルス』を見ているだけは辛いのだ。分かって欲しい。

「お父様の意見は必要ありません!私は行きます!」

「待たんか『スティア』!」

 

`^`)/翌日。

 

 翌日。『type:学園』とか『type:帝国』とは関係の無いNPCの街に来た僕とガゼルさんとキズナさんは、その足で王城へ向かった。

 ガゼルさんの説明とネットの情報によると、『グランドクエスト』はリアル時間で10時から16時までの6時間が2日間の12時間。ゲーム内時間では6時間が1日なので2日間。要するに2日間生き残るのが今回の『グランドクエスト』らしい。

 クエストに参加するのは自由で、ただHPが0になると復活は無し。イベントも見れず追い出されるらしい。

 王城前の広場に着くと、そこには数百人のプレイヤーがいた。

 彼らを見るやいなやサッと物陰に隠れたガゼルさんとキズナさんに何をしているのかと聞くと、腕を引っ張られて暗がりに連れ込まれた。

「沙耶。お前も顔が知られてるだろ」

「?」

「ファンとかに話しかけられたら面倒だろって話だ」

 あぁ。確かに。キズナさんとかは大変そうだ。

 そのまま暗がりでクエストの開始を待つ。そして始まる数秒前になって、2人は配信を開始した。

「おーっす。どうも。『紫炎のロード』ガゼルだ。今日はキズナとコラボってことで『V戦』のグランドクエストに参加していくぞ」

「こんにちは。キズナです。今日はガゼルさんと沙耶さんと一緒に、『V戦』のグランドクエストに参加していきたいと思います」

コメント(ガゼル.ch)

<おーっす>

<おすおす>

<遂に始まるな>

<どんなの何だろうな>

<ロードが出揃って初めてのイベントらしいし、力入ってるよな多分>

<ワクワク>

「よく集まったな諸君!」

 拡声器に怒鳴りつけたような轟音が、グランドクエスト開始時間になると同時に響き渡った。

 2人と一緒に暗がりから出て広場に入ると、王城の門前で声を張り上げる白髪のお爺さんが遠くに見えた。

「我々は病で伏せっておられる『アキルス』様のために、遠方にある薬草を採集しに行く!道中では数多のモンスターが襲いかかってくるだろう!準備はいいな?」

 どうやら採集クエストみたいだ。この人数で採集クエストとは。敵は色々とヤバそうだね。

「今回は第2王女であらせられる『スティア』様もご同行される!採集に失敗したとしても、死ぬとしても『スティア』様だけは守れ!」

「私はいいから!」

「そうはいきません!ご自分のお立場をお考え下さい!」

 緑色の髪の王女様は隣に立つ甲冑を着た白髪のお爺さんにアレコレと口答えしていた。プレイヤーはその流れに首を傾げたみたいだが、結局は無視していた。

「諸君!出発するぞ!」

 白髪の号令の下、ぞろぞろと数百人が移動を始めた。

 

 

 

 

 この時、僕は完全に忘れていた。

 これが『VRMMO×戦略系ストラテジーゲーム』、つまり戦記もの。命が軽い世界だということを・・・。

 

 

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