カチ勢頑張る   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第11話 リサイクル

「クロワッサン:個チャ良いか?シャドウの拠点でブラッドさんの亡霊を確認したぞ」

[黒猫:ああ、その手の話はシャルルからも聞いてる。死んだはずの人が襲って来たってな。

……おい待てお前今クエスト中ってことはシャドウの拠点にいるな?]

[クロワッサン:当然。ついさっきブラッドさんと戦ったところだからな]

[黒猫:いや何でそれで個チャ出来ているんだ?シャドウの拠点なら敵は途切れないはずだろ?]

[クロワッサン:敵は途切れてないし、絶賛吹き飛ばされ中だぞ。ダメージ量が低いから今はブラッドさんからのダメージを回復中。久しぶりにHP2000台が見えたわ]

[黒猫:普通のシアリーはHP2000前後しかないんですがそれは]

 

何だかんだで痛かったブラッドさんからの傷を、シャドウに吹き飛ばされながら回復しつつ黒猫へ個チャを入れる。どうやらシャドウの拠点で死ぬと亡霊として出て来るようで、今のところシャドウの拠点以外で死んだシアリーの亡霊は確認出来ていないらしい。

 

しかしそもそも亡霊との遭遇数が2件とかのようなのでこれで3件目か。ブラッドさんと当たったのは不運だったな。装備貰えたのは幸運だったけど、射撃職の装備が落ちたのは不運。でもまあ射撃職ならとても欲しい装備に違いはない。一応射撃職も120レべにはしているので、もしかしたら射撃職もやるかも。

 

その後もレベリングを続けるけど、2時間ぐらいぶっ続けで戦い続けたところでこの身体にも疲れが出始めたので終了。息が切れたら殴られ続けながら息を整えるカチプレイ。しかし殴られる時にも経験値が入る仕様になったお蔭か、128レべまで上がった。クエスト行く前の時点で、うちのチームメンバーで最高レベルはめうさんの126レべだったからそれより2レべも上がったということだな。

 

よし、これで強靭のレベルは8まで上がった。この時点でクリティカルダメージ40%減は十分強い。カチ勢嫌いなビートルさんとかは発狂しそうなスキル構成だけど、HP全損=死になった現環境なら文句も言わないんじゃないかな?

 

疲れたのでマイルームに戻ってコッペパンに倒れ込むよう抱き着くとしっかり支えてくれたのでマジで彼女みたいな存在になって来てる。サポートロイド万歳やなぁ。今日はそのサポートロイドに地獄へ逝ってこい言われたけどなぁ。

 

「ブラッドさん……Twitterでも絡みあったんだけどなぁ」

「……亡霊ですか?」

「ん、よく分かったな。亡霊ってシャドウに洗脳されているとか身体を乗っ取られているとかそんな感じだとは思うんだけど、動きが完璧に本人なんだよ……」

 

アイテムバッグには、今もブラッドさんのアーム装備が残っている。ゲームの中とはいえ、ブラッドさんの努力とリアルマネーの結晶のようなものだろう。

 

間違いなく実力者だったし、11鯖を引っ張る存在だった。しかし初日にブラッドさんが死んでしまったからか、11鯖の1位チームは機能停止しているようだ。だからか、11鯖はこの前の採掘ステーション防衛戦でも一番死者が多く、4690人の犠牲者が出ている。鯖を纏める人がいないのだ。

 

くっそ、ブラッドさん本人と戦っている時やシャドウとの戦闘をぶっ続けていた時には何とも思わなかったのに、いざ落ち着くとやっぱりセンチメンタルな気持ちになるな。思っていたより亡霊が出て来るのは辛い。特に知っている人だととても辛い。

 

[時雨:リサイクルチケットを1000ゴールドで並べている人が居たから出品してた46枚全部買っちゃった( ・∇・)]

[黒猫:いやそれは流石に返してやれよ可哀想だわ]

[時雨:45枚は返したよ]

[ユリクリウス:1枚はしっかりとってて草]

[クロワッサン:そういえばリサイクルチケットって今は使えるのか?課金出来なくなった今だと勿体ない気もするけど]

[時雨:んー、リサイクルチケットで交換できるアイテムは買い占めておこうかな?]

[黒猫:一応リサイクルチケットは使えるし、今後はゴールドで課金アイテムのガチャ実装するらしいからリサイクルチケットで交換できるアイテムについては高騰しなさそうだぞ]

 

そんな辛い時でもチームチャットは平常運転。リサイクルチケットとは課金アイテムを特定のNPCに渡し、変換すると貰える万能交換アイテムのようなもの。ゲーム世界だとショップ価格は20万ゴールド程度だったな。

 

地味に時雨さんの現金資産がこの短期間で既に1000万ゴールドを超えたと聞き、この人やばいと思うようになった。ゲームの世界だと確か2000億ゴールドぐらい貯め込んでいたんだっけ?ショップ戦士こええ。やってることは完全に転売屋の所業だけど。

 

[クロワッサン:転売やっぱこの世界でも儲かる?]

[時雨:んー、無課金でも出品できるようになった以上、相場はこれまで以上に読みづらくなったけどね。初心者も多いしそこら辺からは結構稼げるけど]

[クロワッサン:やってること屑過ぎない?]

[時雨:一応初心者にも素材が行き渡るように調整はしてるよ。わざわざ出品者に個チャ入れて来るような初心者は好感持てるし、そういう人には格安で融通してる]

[ユリクリウス:打撃エナジーあと200個ほど格安で売ってくれ]

[時雨:ユリクリウスなら無料で良いよ。技厳選頑張れ]

[黒猫:え、じゃあ俺も射撃エナジー500個ぐらい投資して]

[時雨:チムマスには定価で売るよ。1個4000ゴールドね]

[黒猫:ふざっけんなゲーム時代の2倍じゃねーか]

[時雨:今の定価だよー]

 

チームチャットしてると、何だかんだ気持ちは和んだ気はする。はー、でもこいつらが死ぬ可能性だってあるし、自分だって即死系の技は例外じゃない。即死系の技でも50%で耐えるけど、流石に何度も自分の命を50%で捨てる賭けなんてしたくないわ。

 

「お、プレゼントボックスが届いた。

……あれもうサポートロイド出来たの?」

「マスターはシウラ様に『特別許可証』を渡されたシアリーなので、こういった注文等は優先されるようになりました」

「うわ出た特権階級。プロフェッショナルの制度を作ったのがシウラさんなら、ギスギスさせるの本当に得意な人だな」

 

ちょっとうじうじしていると、サポートロイドのチョココロネが届く。うん、今後はコロネと呼ぼう。コッペパンはコッペパンで良いや。

 

結局メイド服のような恰好にしているけど、お団子ヘアとも合うなこれ。ちっこくて可愛い。えーと、初回起動には魔力込めるのか。そんな設定あったんだ。

 

技を使う時の感覚でMPを込めると、起動し出すコロネちゃん。この手の場面を動画で撮影は紳士の嗜み。おお、動いた。眼をぱちくりさせてる可愛い。

 

「初めまして。これから旦那様……お嬢様の身の回りのお世話をさせていただきますチョココロネです。どうかよろしくお願いします」

「旦那様で合ってるよ。

こっちはコッペパン。コロネと同じサポートロイドだ」

「マスターは男性です。胸への視線移動回数が多いので健全な男性です。これから先輩サポートロイドとして色々と教えていきますのでよろしくお願いします」

「ええいや待ってあまり見てないと思うんだけど……?」

 

ロリっ子同士がお互いに自己紹介をし、互いにお辞儀をするまで撮影してチームチャットに流すと早速ロリっ子について性癖談義が始まるので撤退。しかしまあ、コロネは当然レベル1だよな。コッペパンは120レべあるから、この差を埋めるのはとても難しい。

 

基本的に、クエストの素材集めを任せてクリアさせるとレベルアップをするという仕様だったけど、現実になってからは一緒にクエストへ行くことでレベルアップする姿が確認されている。完全に養殖にはなるけど、コロネは自分とコッペパンと一緒にクエストへ行ってレベルアップさせるか。

 

となると、4人までパーティーは組めるから誰か誘いたいけどユリクリウスはちょっと今誘い辛いし……適当に野良の人誘ってみるか。最初は推奨レベル40ぐらいのクエストで良いだろ。

 

そう思って、たくさんあるロビーの1つ、40レべ台推奨ロビーへと足を運ぶ。お、結構な人がいる。40レべ台の人だけじゃなくて、50や60レべぐらいの人もいるな。もうコミュニティとかも出来てそう。

 

……げ、ここら辺にいる人全員ふおにの森8の人達かよ。確かふおにの森って15まで出来たんだっけ。ということはちょうど中間に位置する人達か。ほーん、40レべ台で中間ねぇ……。

 

「お、クロワッサンさん、お久しぶりです」

「「おにいさん」さん久しぶりー。今ふおにの森8にいるの?」

「ええ。いもうゲフンゲフン。リアフレが40レべ台だったのでふおにの森8に配属となりまして……色々と教えながらレベリングの手伝いをしているんです」

「まっじめだ。流石シャルルさんが真面目さだけで選んだサブマス……」

 

ちょっとプレイヤー層について考えていると、ふおにの森1のサブチームリーダーだった「お兄さん」さんが声をかけて来た。今は妹の育成のためにふおにの森8にいるらしい。結構、リアルの知り合いとかも知らないだけで居そうだよね。自分はリアフレ、最後の時はユリクリウスだけだったけど、それまでは結構いたし全員この世界に来てるとなると会って話とかもしておきたいなぁ。

 

「誰か40レべ台で将来有望そうな子とかいない?サポートロイドのレベリングするんだけど」

「それ完全に養殖になるじゃないですか……。一時的なレベリングなら経験値ハイブーストクエスト受けたらどうですか?」

「ああそれ一応チケット持ってるけど1人限定だろ?」

「ゲーム内だと1人限定でしたけどこの世界だとパーティー単位で受けられますよ」

「マジで!?結構倉庫に溜まってるから全消費……」

「……クロワッサンさんも、全部のチケットが期限切れてますよね。期限切れチケット10枚で新品1枚と交換出来ますけど、交換カウンターで交換して来たら数十枚の在庫が数枚になりますよ……」

 

そして「お兄さん」さんに経験値ハイブーストクエストが4人で受けられるようになっていることを教えてもらったのでそちらを活用する。いや経験値の概念が今どうなっているのかは謎だけど、ゲームの経験値ハイブーストクエストはかなり美味しいクエストで100レべに到達しても1回3分で1レべ上がった記憶。

 

自キャラのレベルの敵が出て来るので、128レべの敵が出て来るということか。うわ、よく見たら「お兄さん」さん初心者の指導もしているのにレベル127だ。これ経験値ハイブーストクエストの存在に気付いてなかった自分が馬鹿なのかなぁ。まさか「お兄さん」に教えられるとは。

 

とりあえずクエストを受注し、サポートロイドを2人呼び出す。1人枠は空いているけど、まあそれは良いや。そして交換して来たばかりのチケットを消費し、クエストを開始しようとしたところで、パーティーに入って来た人がいる。げっ、パーティーにフレンド・チームメンバー限定の鍵をかけたらよかった。

 

ってあれ?フレンド・チームメンバー限定の鍵はかけてる。じゃあ誰が……?


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