カチ勢頑張る   作:インスタント脳味噌汁大好き

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第8話 チーム対抗戦

チーム対抗戦の日程が決まり、11時の一番早い時間帯の枠にふおにの森1が申し込んだので、幼女同盟は13時の枠。ということはふおにの森1の対戦の様子とかをゆっくり見れるかな。

 

そう思ってサポートロイドのコッペパンに他のチームのチーム対抗戦が見れるか確認したら、チーム対抗戦の様子はネットで配信されていることを教えられたのでふおにの森1の対戦を観戦する。このタキオン船団には戦闘員シアリー以外の人も多く住んでいるし、元の世界のスポーツみたいな娯楽になっているのかな。

 

チーム対抗戦の行われる場所は、タキオン船団内部のVR空間。HPが全損しても死なない唯一の場所である。まあVRだしね。ふおにの森1の対戦相手は船団番号3の無能艦隊。前のランキングでは3位に入っていた3鯖の強豪チームだ。

 

ここには飛びぬけた廃課金勢こそいないものの、月5万から10万ぐらい課金していたメンバーが12人揃っている。連携もしっかりしているし、1鯖以外で強い鯖と言えば3鯖の名前が上がるのは彼らがいたからだ。どこら辺が無能なのかは分からない。

 

しかしまあ、飛びぬけた課金勢相手には分が悪い。ライトさんが盾役を引き連れて、中央の拠点をあっという間に制圧してしまう。このチーム対抗戦は東と西にメンバーが配置され、相手の本丸を落とすか相手のチームリーダーを倒せば勝利する。あとは、制限時間が0になったら制圧している拠点でのポイント数で勝負か。

 

基本的には中間にある幾つかの拠点の取り合いになるんだけど、ふおにの森1のエースであるライトさんにダメージレースで勝てる人がいないからライトさんが無双気味だ。HPが0になるとしばらく再出撃出来ないルールなので、ライトさんと直接やり合うのは完全に悪手。

 

自分とユリクリウスの2人がかりならライトさん+盾役の人を倒せるけど、1対1だと本当に全鯖で数人しか相手にならないんじゃないかな。

 

[ユリクリウス:チーム対抗戦が配信されてて草]

[クロワッサン:いや良い事じゃない?これ見て入りたいチームとか決められるだろうし]

[ユリクリウス:ああ、そういう目的もありそうだな。ご丁寧に平均レベル書いてくれているし]

[クロワッサン:低レべのチーム同士の対決を見てポイントボールのサッカーしてて和んだ]

[ユリクリウス:サッカーwwwいや笑い事じゃねえなそれ]

[クロワッサン:うわあ急に真面目になるな]

 

ユリクリウスから個チャが飛んでくるけど、たぶんふおにの森1と無能艦隊の勝負を見ているな。勝負は中央にいるライトさんが押しているから全体的にはふおにの森1が優勢だけど、無能艦隊も要所要所でしっかり拠点を守っているからちゃんと強い。

 

ただそれでも、同じ人数なら質の差はどうしようもない。最終的にはタイムリミットを迎えて、734対266の大差。いやまあふおにの森1と当たって1000対0以外のスコアになるチームの方が珍しいけど。

 

熱戦を繰り広げたふおにの森1とは違い、塩試合が簡単に予想出来る幼女同盟。試合が始まると相手のチームのリーダーの120レべの人が一騎討ちしようぜと名乗り出て来たので、サブエースの自分が一騎討ちすることになった。提案する阿呆に乗る阿呆である。まあエースのユリクリウスが二刀流になっているのを全鯖に公開するタイミングとしてはちょっと早いし、サブエース辺りをけしかけるのは自然な流れか。

 

[黒猫:いや単に今のお前の硬さを見ておきたかっただけだけど]

[クロワッサン:言うほど変わらないけど?

いや4レべ上がってスキルポイントでどうしても取れなかったスキルを取れるようになったからもっと硬くはなったけど]

[ユリクリウス:120レべ相手の一騎討ち中にチャット操作する余裕あるのかよ]

[クロワッサン:スロット4までしか拡張してない上に火力全然盛ってない奴の攻撃とか二桁ダメだわ]

[黒猫:HPはサブエース補正もあって7000超えるんだっけ?完全に要塞なってるな]

[ユリクリウス:……そもそも1秒で100回復するしマジで死なないね?]

 

まあ一騎討ちに乗るなら、100%勝てる奴を出すよな。黒猫はそういう奴だ。相手の装備のレア度が低いのを見て、自分なら100%負けないことを覚ったのだろう。実際、ダメージは自分にほぼ入らない状況。こちらから攻撃するだけで一方的に殴り勝てる。

 

勝負はあっさりついて、相手のチームリーダーを倒したので1000対0の勝利。MVPはとったけどMVP報酬はないので意味はない。まあ無課金と重課金の差だな。このゲームで無課金なのに強い人はよほど運が良い人か、人生の時間をほぼ全てFUO2に費やした人かのどちらかだ。

 

チームメンバーからは「おめでとう」と「何あの防御力引くわー」みたいな言葉を交互にかけられて、初のチーム対抗戦は終わる。その後もチーム対抗戦が引き続き行われるけど、やっぱりサーバーでトップのチームは何処も強い感じかな。

 

そんな風に観戦を続けていると、地球組以外のシアリーが戦っているのを見つけた。検索からは弾かれていたし、チーム数が多すぎて今まで見つけられなかっただけか。そのチーム対抗戦を観戦すると、両方ともレベルは平均120レべ程度で思っていたよりも地球組と差がない。エースの人は130レべだけど、無茶苦茶強い感じはしない。

 

流石に動きは良いけど、あれならゲームの時の自分達の動きと大差はない。うん?地球組以外のシアリーって思っていた以上に強くないのか。だとすれば、地球組を作ったというか拉致した理由も分かる気がする。

 

黒猫やシャルルさんは頻繁にシウラさんと会っているみたいだし、ユリクリウスもタキオン船団の諜報部のNPC達と交流を持ち始めたから勝手にストーリーが進行している気分。まあ大いなる闇の戦いとの対策とかそっちで勝手にやっといてくれという気分。そんなことより自分はもう一体サポートロイドを買ってロリっ子2人とにゃんにゃんする!

 

[クロワッサン:サポートロイドもう一体買うぞおおおお!]

[ふわわ:どんな子!?]

[ゼル:よく宣言したわね……]

[黒猫:男や]

[ユリクリウス:200万ゴールドは大金やぞ。と言っても現状使い道ないか]

[クロワッサン:そもそもこの装備作るのに40億ゴールド溶かしてるから。200万ゴールド程度装備に費やしたところで何も変わらん]

[ゼル:時価総額150億ゴールドという言葉が誇張でもなんでもない装備]

[ユリクリウス:結局スキル2の堅牢なる力が1鯖で13個しか落ちなかったせいで10億ゴールドで買ったのが安かったという]

 

貯蓄はあまりないけど、適度に働くだけで大金を稼げるようになったんだからサポートロイドを買っても良いと思った。そもそもアブダクションの時の謝礼金は手を付けてなかったし、もう一体ロリっ子買っても良いでしょ。何か購入時に細かい性格まで決められるようになってるし。

 

……いやしかし、いざカタログを見てどういう子を買おうか悩み始めると同時に恥ずかしさも込みあがってくるな。異世界転生した主人公が奴隷を買う時の心境ってこんな感じなのだろうか。よし、素体はコッペパンと同じタイプで良いや。

 

あとは自分の好みを反映させるべく、キャラクリを頑張る。お、ゲームの時より各種パーツの選択肢が多い。これは間違いなく泥沼ですわ。

 

……とりあえずベースの体系はロリ巨乳にして、コッペパンのように胸を限界まで大きくするのは止めよう。不自然な大きさにはしないで、体系は痩せ気味だけどちゃんと太ももや腕に肉が付くよう、脂肪率バーと各部位の筋肉量を調整。この辺、全くゲーム的には意味ない項目なんだよな。キャラクリで戦闘に影響があるの、身長によるダメージ判定の増減と手足の長さによるリーチの長さぐらいだし。

 

髪はコッペパンのようなお団子ヘアにして、姉妹みたいにするか。髪色は当然赤一択。自キャラもコッペパンも髪色は赤です。ただ若干暗めの赤にしておこう。うん、可愛い。

 

さて、最後は一番の沼である顔の造形だ。眼の大きさと眼球サイズ、色、艶、鼻の高さや耳の大きさ等の調整をしていく。うーん、ちょっと釣り目でコッペパン以上にSっ気のある感じの顔が良いかな。じゃあまずはこの眼のチケットを消費して……。眼球はこっちのチケットで…………。

 

「マスター。何時間かけるおつもりですか?」

「うわあ!?人が集中している時に声をかけないで」

「それは申し訳ございません。しかしタキオン船団の船長、シウラ様がマイルームを訪問しようとしております。入室許可を出しますか?」

「それはもっと早くに言って!?」

 

しばらくキャラクリエイトに時間をかけていると、コッペパンに声をかけられてびっくりする。どうやら、タキオン船団の船長のシウラさんが自分のマイルームに訪れようとしているらしい。どどどどうしよう?一先ず、コッペパンにはおもてなしのためにお茶入れさせる?

 

[クロワッサン:どどどどうしよう?シウラさんがマイルームに来るんだけど]

[黒猫:あーそれ地球組の戦闘力高い順にマイルームの訪問をしているらしい。

うちだとユリクリウスが一番最初だと思ったんだが、クロワッサンの方が先だったか]

[クロワッサン:社長面接とか聞いてないんですけど!?]

[ユリクリウス:マイルームの片づけしてくるわ……]

[ABC:あ、やべ、それ今日だと伝え忘れてた。

というわけだからみんなマイルームには来客用の部屋作っといてね]

[ふわわ:りょうかーい]

[クロワッサン:ふざっけんなABC!]

 

まあ、入ってすぐの部屋は来客用っぽい部屋になってるから大丈夫か。入室の許可を出すと、何度も主人公を地獄へと叩き落したシウラ船長が目の前にいる。最終章では持ち前の戦闘力で主人公をサポートしてたけど、FUO2プレイヤーからは『こいつ1人で良いんじゃね?』と言われた存在だ。何で武器や装備奪われた素の状態でボス敵ラッシュを耐えているんですかね……?

 

ゲームでは無事ハッピーエンドだったけど、シウラさんが黒幕ってわりとあり得そうな気もするんだよな。地球組を拉致した張本人だし。とりあえず家具の『VIP専用席』に座らせて、お茶を出す。

 

「ご丁寧にありがとうございます。

武田優貴(たけだ ゆうき)様」

「……この世界が地球が滅んでから数千年後の未来だとして、個人情報まで探れるのか?」

「いえ。しかし武田様はクレジットカードを登録していましたので」

「それで個人情報を取得するのは法律違反じゃ……」

「滅んだ地球の、しかもたかが一国でしかない日本の法律なんて適用されませんよ?こちらもある程度は配慮いたしますが」

 

すると開幕で自分の本名を当てに来る辺り、対外的にはちゃんと取り繕うのに、ゲーム本編の様に性格が悪い。まあこのタキオン船団、シャドウから各惑星を保護するための勢力だけど、シャドウとの戦闘のために各惑星から貢物を要求している側面もあるからな。根本的に性格が悪い。

 

どうやら戦闘力の高い人に対して、こうやって個人面談をしているようだけど、何が目的なのかは分からない。とりあえずは相手の質問をはぐらかしつつ、こちらからの質問を通していこうか。


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