Another School idols diary   作:藤原久四郎

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やっと二話あたりの内容だということに気が付く今日この頃。
キリのよいところで切らないとYAZAWAの二の舞になるので戒めております


生徒会室と生徒会長

 アイドル研究部の部室を後にした俺は入部申請を出すべく生徒会室へ向かっていた。

 場所はアイドル研究部の部室のすぐ近くの階段を上った先にあり、距離としてはそう遠くない位置だ。

 生徒会室の前に辿りついた俺はドアを引いて中に入ろうとしたが、中から何やら話し声が聞こえてきたので耳を澄ませて中の様子を伺う。

 

「講堂の使用許可?」

 

 くそ、聞き取りづらいな……もっと壁に張り付かねば。

 

「三人でスクールアイドルアイドルを結成したので、その初ライブを講堂でしようと思ったからです」

 

 スクールアイドルだと、しかもこの声穂乃果さんじゃないか?

 やっぱりあの三人はスクールアイドルを結成していたのか。

 もっとよく聞こうとした俺は扉にグイグイと耳を寄せていく。

 

「別に内容までは聞かんくても、別に部の活動ってわけでもないんやし」

 

 これは……どうやら講堂の使用許可は貰えたようだな。にしても穂乃果さんたちがスクールアイドルね、どうして二年生から始めたりしたんだろうか。始めるなら一年生の時から普通はするだろうし。二年生から始めなくてはいけない理由があったのか?

 

「では、これで失礼します」

 

 考え事に気を取られていたせいで扉が開くのにも気付かず、もたれていた壁の支えを失った俺は生徒会室の中へ顔を地面に叩きつけながら滑りこむ感じで入ってしまう。

 

「うわぁ! って陽月くんじゃん。どうしたの?」

「ど、どうも……」

 

 地面にキスをしながら返答を返している俺は、どうやら地面に関してやけに縁があるようだった。

 

「今度はまた凄いのが来たわね……」

 

 地面から顔を引きはがし視線を上げてみると、生徒会長らしき人物がこめかみを抑えながら溜息を吐いていた。

 

「じゃあ私たちは行くね。またね陽月くん」

「あ、はい」

 

 笑顔を俺に向けた後、穂乃果さんは生徒会室から出ていった。

 しまった、結局スクールアイドルの事聞けてないじゃないか。

 

「では失礼します。顔、大丈夫ですか?」

「あ、お気遣いありがとうございます」

 

 俺の顔を案じてから出ていったのは海より青い髪を肩まで伸ばしている、確か海未さんだったか。

 

「うわぁ君鼻血出てるよ? これ使って」

「すみませんありがとうございます。」

 

 鼻から垂れている鼻血に気が付いたのかティッシュを差し出してくれたのは灰色に近い銀色の髪を独特のまとめ方をしているおっとりした、えーっとことりさんだったかな?

 貰ったティッシュを鼻に詰めてから何事もなかったかのように立ち上がる。というか倒れた心配をされないところを鑑みるに俺はきっと地面と揃ってワンセットの扱いなのだろうか。土下座のしすぎか俺も地面に対してどこか親近感をわかせているのも事実だ。

 

「で、貴方は何の用かしら?」

 

 目も眩むような金髪をポニーテールらしきまとめ方をしていて、どこか敵意の見え隠れする碧眼をこちらに向けてややきつめの問いかけをしてくるのは、きっと生徒会長だろう。

 

 そしてその横に座っているのは以前、神田大明神で出会った東條希先輩だった。

 

「あれ、希さんって学院の生徒だったんですね。しかも生徒会の一員とは」

「そういえば前会った時に何もいっとらんかったね、ウチは副会長。隣に座っとるんが生徒会長の絢瀬絵里こと絵里ちや」

 

 なるほどと心の中で納得。それから今日の目的を伝える。

 

「絢瀬会長。今日はアイドル研究部の入部申請に来ました」

「へぇ、君がアイドルに興味あったとはちょっと意外かも」

 

 絢瀬会長に話しかけたはずなのに返事をしたのは希さんだった。

 

「希、一々口を挟まなくていいわよ……」

「すまんすまん、怒らんといて~」

 

 絢瀬会長は怒っている様子だが、その矛先の希さんはのらりくらりとその怒気を避けているようだ。こういう関係なのか、いいコンビのような気もするが、どこかぎこちない雰囲気がする。

 

「えーっと入部申請ね、じゃあこの紙に記入してもらっていいかしら」

 

 そういって絢瀬会長は小さい記入用紙とボールペンを手渡してくれた。

 

「ここで書いてっていいから。そこ、使って」

 

 指さしたのは絢瀬会長の座っている長机にくっついている同じ大きさの長机。

 俺は指定された席に座り、必要事項の欄にペンを走らせる。そう書くこともないので素早く書き終え、紙を絢瀬会長に提出する。

 

「ではよろしくお願いします」

「確かに受け取ったわ、あと少しいいかしら」

 

 どこか居心地の悪さもあり、回れ右してすぐさま帰ろとしたところをちょっと、と呼び止められてしまう。

 

「なんですか?」

「貴方、確か最近編入してきた初めての男子の泰原陽月……であってたわよね」

「あ、はい。そうですが」

「どこか不便な点や疑問があったらまた来てくれていいわよ。今後の共学化に向けた貴重な意見にもなるし、それに貴方にも有意義な学院生活を送ってほしいから」

 

 思ってもみなかった言葉に少し呆けてしまう。絢瀬会長って本当は優しくて、他人にも気遣いのできる人なのではないか? 最初の雰囲気からはわからなかったがのだが。

 

「お気遣いありがとうございます。また来させてもらいます」

 

 暖かなわかりづらい気遣いに、俺は深いお辞儀で返すことにする。きっと絢瀬会長は不器用なのだろう。だから言葉に棘もあるし、敵意も見せてしまう。だけどそれは優しいからこそ、不器用だからこそなのだと勝手な感想を俺は抱いていた。

 

「ほな、また来てな~」

 

 と、希さんは相変わらずマイペースのままだった。

 




今回はすこし短めです。
陽月くんはやけに的確な事を言いますが仕方ないのです。
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