Another School idols diary   作:藤原久四郎

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全然出番ないから真姫ちゃん書こうとしたら
ま た 矢 澤 。


眠たい授業とお昼休み

 四限目の授業、しかも科目は古典。丁度お腹も減り始め、胃袋が食事を欲する時間。そんな時間に授業に集中しろというのも無理な話だ。先生の教科書を読む声がどうにも念仏にしか聞こえない。

 そんな退屈な授業を乗り越え、昼の食事の時間になる。授業ノートは取っていたものの内容は一割入っていればいい方だと我ながらそう思う。そんな様子を見ていたのか隣の席の花陽がこちらを向き

「陽月くん、今の授業ちゃんと聞いてた?」

「いんや、一割なら聞いてたかも」

「今度のテストに出やすいところ言ってたよ?」

「マジか!?まぁいいか……」

「お、教えてあげるから」

 そういって花陽が授業のノートを手渡してくる。可愛らしい字でノートが綺麗にまとめられており、所々に「重要!」と書かれ、マーカーで線引きされているところがあり、それと一緒にテスト範囲も書かれていた。

 なんとわかりやすいノートだ。俺のノートなんか所々ミミズが這ったような字があり、きっと寝ぼけて書いたとこだろうと他人事のように思った。

「うーん、テスト前は花陽に教えてもらおうかな?」

 これだけノートもしっかり書いているならきっと勉強もできることだろう。そんな提案を投げかけてみる。随分と気兼ねもしなくなったものだ。

「う、うん。私で良かったら」

 なんといい子だろうか。全く、花陽の爪の垢をどこかの猫言葉を喋る奴に煎じて飲ませてやりたいものだ。

 と、その人物である凛はといえば

「むにゃーもう食べられないにゃー」

 なんとも古典的な寝言を漏らしながら爆睡していた。しかもノートに涎が垂れており、そのノートはその涎と文字を書く補助になる線以外なんの汚れもない純白のままだ。

「凛ってやっぱり勉強できないんだな」

「う、うん」

 前々から思っていたことだが仲の良い花陽がそういうのだから間違いないだろう。俺よりも凛の方が勉強を教えてもらった方がいいんじゃないかと、そう思った時制服のポケットに入っている携帯がバイブレーションで震えていた。

 携帯が鳴るときは大抵迷惑メールもしくは親からのメールだろうが、親のメールはこの時間にはないだろうし、となると迷惑メールだろうか。

 あ、別に友達いないわけじゃないから。アドレス帳もちゃんと親以外いるから。

「ん、どれどれ」

 携帯を引っ張り出し内容を確認する。この学院は携帯使用可能だが、以前の学校は使えなかったのでその癖が抜けきっておらず、机の下でこっそりと液晶に目を走らせる。

 送り主は矢澤先輩からで、どうやら今から部室に来いとの事だった。朝の事もあるから行っておいた方がいいかと思い部室へ向かうことにする。

「花陽、俺今から部室行ってくるから」

「あ、うん。またね」

 いつもは教室で凛と花陽と食べているので一言断ってから弁当箱を引っ掴んで教室から出る。

 部室まではそこまで距離もないのであっという間につき、中に入る。中には少しムスッとしているようでどこか落ち着かない様子の矢澤先輩が弁当箱を前に座っていた。丁寧にお茶まで用意されている辺り、休みになってからすぐ来たのだろうか。

「で、なんです?呼び出したのって」

 メールの本文には特に呼び出しの理由も無く、ただ来いとの旨しか書かれておらず戸惑い気味だったのだ。もしや朝の事をまだ根に持っているのではないだろうか。

「ま、まぁ座って」

「あ、はい」

「……」

「……」

「弁当食べてもいいっすか……」

「う、うん……」

 何なんだこの雰囲気は。弁当の容器に箸が当たる音以外静かな部室。拷問だろうか。

「で、なんで呼び出したんです?もしかしてクラスで誰も食べる人がいないとか?」

「なわけないでしょ!」

「じゃあ何なんです?」

 また沈黙が訪れる。帰っちゃ駄目かな。

「えっと、朝のアレ……ごめん」

 思ってもみなかった言葉に間の抜けた顔になってしまう。俺自身既に忘れていたのでまさか謝られるとも思っていなかったのだ。

「それは俺も悪いですし……じゃあお互い様ってことで」

 どこか無理矢理気味だがこんな調子ではお互いギクシャクしたままになってしまう。ここは一つ折り合いをつけた方が後腐れもないというものだ。

「痛くなかった?」

「ぜんぜ―いや、ちょっと」

「ごめんね?」

「いや、だから……」

 結局堂々巡りになってしまう。こんなしおらしい矢澤先輩は初対面からの印象では考えられないのだが。これはこれで良いかもなんて思った俺が恥ずかしい。

 仕方ない、ここは一発

「矢澤先輩いや、にこさん」

「ひゃ、ひゃい!」

 間抜けた声を上げる先輩はどこか緊張している様子で、またこれも良いなと思ってしまった。そろそろ屋上からフライハイしてもいいかもしれない。

「好きです」

「ええええ!?」

「嘘です」

「嘘なの!?」

「友達として先輩として好きです」

「それ、馬鹿にしてる?」

 よし、いつもの雰囲気になってきた。畳みかけるぜ。

「あ、先輩その弁当うまそうじゃないですか。」

「当り前よ!にこ特製なんだから!やっぱり一番はこのハンバ――」

「いただきます」

「あぁ!それ楽しみにしてたのに!」

「じゃあこれを代わりに」

 先輩の弁当箱に俺の苦手なレンコンの煮物を投げ入れる。

「ちょっと!どう考えても釣り合ってないじゃない!」

「ははは、まぁいいじゃないですか」

「駄目よ!あ、これいただき!」

「あぁ!俺の大好物のから揚げが!?」

 この年になってもやはりから揚げは好きな俺だが、母の作るから揚げはどんな料理よりも好きなのだ。それと同じくらい先輩のハンバーグは美味しかったのだがそれはあえて言わないでおこう。

「やっぱり私はしんみりしたのは似合わないわね」

「そうですよ」

 ドタバタ騒ぎも落ち着き、お互い真面目な雰囲気の中言葉を交わす。

「だからこれからは遠慮なくいくわよ!」

「わかりました!」

「だからさっきのお返しに殴っていいかな?」

「それは遠慮します」

 昼休みを丸々使った仲直りの様な何かが行われた、俺と矢澤先輩の部活動のような何かだったのだが、この後またヒートアップしたせいで結局授業に間に合わず、俺も矢澤先輩も先生から大目玉をくらったのだが……それはまぁいいとしよう。

 




つ、次は真姫ちゃんだしますんで……
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