Another School idols diary   作:藤原久四郎

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少ないですが二話目、穂乃果との出会いのお話です。
一話がアレな説明なのでこっちが実質一話に近いんです。


高坂穂乃果という少女

空が見える。雲一つない快晴。そして目の前にはその空と同じくらい澄んだ曇りのない瞳が瞬きを繰り返しながら驚きに満ちた表情をしている。

 状況を整理しよう。さっき俺、泰原陽月は見知らぬ音ノ木坂の制服の女子生徒にぶつかった。咄嗟の事で回避も間に合わずぶつかった。

そしてその女子生徒は俺の上に覆いかぶさっている。あちらは何が起こったかいまだ理解できずにいるようだ。

 ならばこの言いようもない状況で最優先ですべきことといえば、だ。

 

「どいてくれると助かるかな……」

 

 ぼそぼそと小声で目の前で俺の上に覆いかぶさっている女子生徒に告げる。

 

「うわぁ! ごめんなさいー! 」

 

女の子は素早く立ち上がるや否や素早く頭をあげては下げてと物凄い勢いで謝罪をしてきた。あまりの必死さにこちらもアタフタとしてしまう。

 

「ちょっと落ち着いて! 別になんともないから!」

 

 焦り気味で身振り手振りで問題ないことを伝える。そうすると目の前の女子生徒はピタリと動きを止めたかと思うと、

 

「はぁ~よかったよ」

 

 深いため息をついて胸をなでおろしていた。 なんだか浮き沈みの激しい人だな、と心の中でちょっとした感想を述べ、こちらも謝罪をする。

 

「こっちこそごめん。走ってきたのには気が付いていたのだけど避けられなくて」

 

 事実その通りなので率直に謝った。続けて一応自己紹介もしておく。

 

「俺の名前は泰原陽月、太陽の陽に月と書いて陽月。一応音ノ木坂学院の一年生として編入することになってるんだ」

 

 すると少し驚いた表情で、肩までの長さの栗色の髪をリボンでサイドテールにした女子生徒は自己紹介をしてくれた。

 

「私、高坂穂乃果。同じく音ノ木坂学院に通って……これはわかるよね。学年は二年生だから貴方の一つ上の学年です」

 

 二年生ってことは俺の先輩ってことか。出会いを盛大に失敗した気がするぞ。

 

「ということは穂乃果さんは俺の先輩に当たるってことですか」

 

 できるだけ当たり障りのない会話を続けようとする。女の子と話すのは何も初めてではないのだが、なぜかさっきから心臓が痛いくらい跳ねている。

 

「陽月くん……だっけ。今年から音ノ木坂学院に入るっていったけど、共学になったのは今年からだから男の子一人だよね?」

 

 できるだけ考えないようにしていた厳しい現実をいとも簡単に突きつけられた。

 

「いや俺も別の高校に入るつもりだったんですが、色々と手違いやらこちらのミスやらで編入試験も受けれず……といった感じで」

 

 今考えるとあまりにもタイミングよく書類が消えたり、試験日には電車が一時間も止まったりと人生でまたとない不幸を一気にぶつけられたような感じだった。

 

「すっごい苦労したんだね。なら私は陽月くんを音ノ木坂学院の初男子として歓迎をします!」

 

 拍手をしながら空に輝く爛々とした太陽に負けないほどの笑顔。

キラキラした表情で初対面の俺に歓迎の言葉を言ってくれるものだから心臓の高鳴りはどんどん激しくなる一方だ。

 

「あ、ありがとう……ございます」

 

 消え入るような声でボソボソと返事を返す。

 緊張からか言葉もまともに発せなくなってきた。顔は男らしくなく紅潮しており、真っ直ぐこちらを見ている純粋な瞳をまともに見れない。

 このままじゃ……色々やばいかも……そう思った矢先、穂乃果さんが大きな驚愕の声をあげたかと思いきや、

 

「長々と話してたらもう完全に遅刻だよー!ごめん陽月くん、また今度ねーっ!」

 

 悲鳴のような呻き声を漏らしながら校舎の昇降口へ再び全力疾走で駆け抜けていった。

 そしてそんな怒涛の校門前で取り残された俺は、一人まるで嵐が過ぎ去った後のような再び静かになった校門前で放心していた。

 

「なんか……凄い人だな」

 

 率直な感想を呟き、未だに跳ねている心臓の高鳴りが収まるまで校門前で立ち尽くしていた。この高鳴りは、別に過呼吸だとか心不全だとかでは決してない。

 

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