Another School idols diary   作:藤原久四郎

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ライブはなくてもいける(確信

前々からですがアニメの展開を残しつつ自分なりの展開を入れていくので楽しんでいただければ幸いです。

絵里ちゃんはツンツンしずに最初からある程度柔和な感じの生徒会長なのでライブでは出てきません!


ライブの余韻と奇跡の話

歌う、踊る。皆を笑顔にする。それを成し得るのはアイドルだ。

それを自分たちでも成そうとしたのはスクールアイドルという学園単位の活動だ。

 そのスクールアイドルが今、俺たちを笑顔にしている。俺たちだけの観客席。それでも精一杯彼女らは踊る。やりたいから、好きだから、皆の為に。

 そんな彼女らのスタートをしっかりとビデオに収める。現在(いま)を形にするために。

 そんな夢のような時間も曲のフェードアウトと共に終わりを告げる。

 舞台では、三人のスクールアイドル、高坂穂乃果、園田海未、南ことりが肩で息をしながら達成感に満ちた表情で成功を讃えあっている。

 そんな三人をみて俺たち四人は満員の観客が居ようとも負けないくらい大きく、大きく賞賛を込めた拍手を舞台に送っていた。

 眼鏡の奥の瞳はいつもおどおどした光を灯している彼女、小泉花陽はその気弱さを感じさせないくらい感動と喜びを交えた表情をしながら拍手をしている。

 その隣で同じくらいの拍手を送っているのは花陽の親友である星空凛だ。実際凛はどの程度理解しているかはわからないがこのライブ自体には感動していたようだ。

 唯一拍手も控え目でこちらが顔を伺うと照れたように顔を逸らしているのは、最近わかったことだが本当にお嬢様だった西木野真姫だ。彼女は大したことないわね、と言ってはいるが顔はとてもすがすがしい表情をしており、彼女もまた楽しんでくれたことだろう。

 最後に俺、新学期になりこの音ノ木坂学院に編入した泰原陽月。あくまでも自分の事なのでそんなにしっかり言うつもりはないが、三人のスクールアイドル、μ´sのライブはとても良かった。花陽以上に感動したし、凛以上に盛り上がっていたし、真姫以上に楽しんだ、確信をもってそう言える。

 

「ありがとうございました!」

 舞台に立っているライブ衣装に身を包んだ穂乃果さんがこちらの拍手に負けないくらいの大きな声で感謝を述べている。

「「ありがとうございました!」」

 続いて海未さんとことりさん。俺たちはまた一つ大きな拍手を彼女らに送る。

 一しきり拍手が終わると穂乃果さんが大きく息を吸い

「そして、μ´sは今メンバーを募集しています!よかったら、どうでしょうか!」

 いきなりの発言に四人とも唖然としてしまった。メンバー募集か、実際悪くはないと思う。メンバーが増えればそれだけできることも増え、更に高みへ上ることもできるだろう。

 だが当の本人たちは少し決めかねている様子だ。だがきっと本心ではやりたいんだと思う。他の人は見向きもしなかったがそうではなかった三人。そうでなければこの場に居ないだろうから。

「花陽」

「な、なに?」

「アイドル好きなんだよな」

「う、うん。アイドルの事なら……誰にも負けないって思う」

 やはりアイドルが好きなんだ。多分小さい時からそうだったんだろうと根拠はないが確信を持って言える。ならば俺も後押しをしてやるしかないだろう。

「なら、やってみればいいじゃないか。向き不向きじゃない。好きなら、彼女達みたいにやってみればいい。挑戦してみた方がいいと思う、後悔しないためにも」

「陽月くん……」

 偉そうな事を言っているが俺にはこれくらいしかできない、押しつけがましくてもいい。花陽にとってもμ´sにとっても必要だとな事だと思うから。

「凛」

「な、なんだにゃ」

「体動かすの好きだったよな」

「そうだけど……」

「今日も陸上部とか見に行ったんじゃないのか。それでもピンと来なかったんじゃないか?」

「なんでわかるのにゃ……ちょっと気持ち悪いにゃ」

「今真面目なの!茶化すなって!」

「ごめんにゃ」

 凛にはもっと砕けた感じでいいや、なんかアホらしくなってきた。

「とにかく!きっと凛の知らない楽しさがスクールアイドルにはあると思うからやってみたらどうだ?」

「で、でも凛、アイドルなんて……女の子らしいカッコなんて向いてないと思うにゃ」

 もしかして、運動部がピンとこなかったんじゃなくて本当は……

「いや、凛は可愛いぞ、女の子らしい」

「な、何言ってるの!?」

 おい、標準語になってるぞ。キャラづけなのかは知らんがそれでいいのかそれで。

「だから、俺はもっと凛の可愛い衣装着た姿も見てみたいと思うぞ」

「――っ!」

 これは多分後日、滅茶苦茶弄られるな。まぁそれくらい甘んじて受け入れてやるさ。

「真姫」

 凛が押し黙ってしまったので今度は真姫の方を向く。だが真姫はもう覚悟の決めた顔をしていた。

「大丈夫よ、もう決めてるから」

「なんか言わせてくれてもいいじゃない」

「駄目、凛みたいになるから」

 そういってもう一度凛の方を見てみると顔から首までトマト顔負けの真っ赤になっていた。これは弄られるで済まなくなるかな……。

「ま、大丈夫だろ。行ってこいよ、先輩達が待ってる」

 そういって真姫の背中を軽く押してやる。きっとこれだけで十分だろ。

「花陽も、好きなら頑張ってみろよ。応援するから」

 今度は花陽の背中を。

「凛も、楽しいと思うぞ?アイドル」

 最後に凛の背中を押してやる。初めて気が付いたが凛も意外と華奢な体をしている。いつもからかわれたり男顔負けのことばかりしていたから全く意識をしてないかった。

 俺もよくわからない所でお節介だな。わざわざこんなこと柄でもないのにしてるんだから。でも何故か必要な事だと思うのは――。

「じゃあ、陽月くん。私、頑張ってみる」

「これじゃあ皆の応援できないから陽月、代わりに応援頼むわよ?」

「陽月くん、必ず後悔させてやるにゃ……」

 最後だけ不吉な呪詛が聞こえるがあえて聞こえないふりをする。

「じゃあ、頑張ってな」

 俺は一言だけ告げ、三人の背中を見送る。

 ほんの数分の事だが思い出すと凄い恥ずかしいぞ、穴があったら入りたいと思う。これでは後でキザ野郎だのすけこましだの変態覗き見野郎だの言われるに違いない。

 まぁ、いいか。それはそれでいいとしよう。

「じゃあ、俺は帰るとしますか」

 一人呟き、もう一度輝きに満ちたステージを見る。穂乃果さん達と花陽たちが一人ずつ握手をしていた。あれがきっと加入の歓迎なのだろう。

 俺も、あの中に加われたらと思う。だが、男だ。

 それならば別の形で可能ならばあの輪に加わろう。お手伝いだろうと雑用だろうとなんだろうと構わない。贅沢は言わない、だからただ近くでμ´sの放つ輝きを見ていたいと思う。

 今は彼女らの新しい出発に水を差す必要もない。この場に必要のない俺は早めに退場することにしよう。

 舞台を見ていた視線を後ろの扉に向け、音のならぬように歩いていく。

「やば……」

なんだ今の声。しかもこの場には確か俺も含め四人とヒデコさん達しかいないはずだが何故か今後ろを向いたときに客席近くで小さな声と、何か黒い物が動いた気がする。

 そういえば忘れていたがもう一人、ライブに来てくれと言った人がいたではないか。

「なに隠れるんですか?矢澤先輩」

「ひゃうっ!?」

 黒いものが動いた方向へ声をかけてみると案の定先程声を漏らしていた張本人である矢澤先輩がいるではないか。黒いものの正体はトレードマークであるツインテール、その自慢の黒髪だった。

 矢澤先輩は隠れる続けるのは無理だと察したのか、観客席の隙間のほうからひょっこりと顔を出してきた。

「なんでこそこそしてるんです?」

「べ、べつに?出るタイミング見失ったとかじゃないわよ!!」

「なんでキレるんですか……」

 ということは最初からライブにいたという事だろうか。ならば観客席にしっかりいてくれればライブだって詰まらずに始まったのに。

 だがそのおかげで凛や花陽、真姫がくるまで始まらずに済んだともとれる。多分そうなっていたら凛たちが来るころにはライブは終わってしまっていただろう。

 そういえばμ´sの結成理由とか凛たちが遅れた理由とか意外とほったらかしたままのこともある。それにこのビデオカメラだって。

しっかりとライブの映像を収めたビデオカメラを見ながら様々な考え事が巡る。そういえば会長はなんであの場所にいたんだろう。それにこのカメラ最初から渡すつもりだったようだし。まだまだ聞かなくてはいけないことも多そうだ。

 長く考え事をしすぎたせいか矢澤先輩が不服そうにこちらをジロジロと睨んでいた。

「ふーん、私の事なんかどうでもいいのねー。折角ちゃんと来てあげたのにー」

「なんで怒るんですか……彼女ですか……」

「か、か、彼女ですって!?」

 さりげない言葉の筈が矢澤先輩は顔を熟れたトマトよりも尚赤い、病気ではないかと疑うレベルで首筋まで赤くなっていた。

「ちょ、ちょっと冗談ですって!落ち着いてくださいよ!」

「アイドルは恋愛禁止なのー!!」

 そういって全速力で講堂を飛び出していく矢澤先輩。このままだとまた変な雰囲気になりかねない。急いで追いかけないと。

「待ってくださいよ!」

 俺も矢澤先輩の後を追って全速力で光に満ちた講堂を後にした。

 

 誰か知らない絶叫と陽月の叫び声の充満した講堂内に取り残された穂乃果たち二年生と凛たち一年生は等しく呆れ顔をしながら、一人は困惑、一人は唖然、一人は笑顔、一人は呆れ、一人は状況を理解できず、一人は悟っていた。

 その中で全員の気持ちを代弁するべく口を開いたのは先程その陽月に歯の浮くような台詞を言われた彼女だった。

「陽月くんって、やっぱり最低にゃー」

 あながち間違ってはいないと半数が思い、半数はまだ陽月の事をよく知らないということが現実である。

 

 陽月は彼女らの輪に加わりたいがスクールアイドルという女子の活動には加われないと思っている。

だが彼の活動なしではライブは行われなかったかもしれないし、彼はビデオカメラでライブの様子を撮っていたがそれが無くては世間にμ´sの事が知られることはないだろう。 

 彼はもう既に一員なのだ、μ´sの。それは様々な偶然の中で起こった事だ。彼らを引き合わせたのは奇跡としか言いようがない。

 だが、もし彼が居なくてもきっとμ´sは苦難を乗り越えて成長していくだろう。

 だから彼は偶然、たまたま、IFの上でμ´sという光の中に加わっただけなのだ。

 

 つまりそれは一つの奇跡、一つの物語。

 




この描写でいいのかはわかりませんでしたが筆者は全力で書きました!

あくまでIFというのをあえて明言するのは単に筆者が原作スキーだというあらわれなのです!
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