Another School idols diary   作:藤原久四郎

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凛ちゃん可愛いよと思う今日この頃。
たまには女の子凛ちゃんもいいと思うのです!


体育と壁

 体育、それは唯一学院で体を動かし、健康的な汗を流せる授業である。生徒からの人気も高く、理由は勉強しなくていいからが半数なのは気にしてはいけない。

 眼前では俺と同じく一年生の皆が思い思いの事をグラウンド内でしている。鬼ごっこだとか球技だとか多種多様な運動だ。その中で俺はクラスの輪に加わることは無く、ただグラウンドの隅で皆の様子を観察している。

「……落ち着くな」

 今日の授業は一年生初めての体育なのでレクレーションも兼ねた自由時間となっている。きっと先生も楽をしたいのだろう。勿論皆はそれに反対することなく仲のいい友達やこの機会に新しい友達を作ろうと誘い誘われをしていた。

 そして俺は予想通り誰からも声をかけられる事無くこうして一人の時間を満喫しているのだ。

「こうなんか……辛いな」

 俺だって出来ることならば真姫や凛、花陽以外の友達も欲しいと思ってはいるがどうにも声をかけることもできず、唯一喋るタイミングと言えば授業中に落としたペンを拾ってもらった時のお礼の言葉だけだ。

 それにしても皆一年生にしては発育がいい気がするとぼんやりとした視線をグラウンドやその周りへ送りながら冴えきった頭で考える。

 グラウンドから少し離れた所、俺から一番近い所ではおっとりした雰囲気の谷岡さんとそんな谷岡さんと対照的に活動的で元気っ子の山梨さんが縄跳びをしていた。

 谷岡さんは制服からではわからなかったが体操服という多少ピッチリした服では胸のふくらみがかなりの物だというのが揺れの大きさから察することが出来る。

 しかしその隣の山梨さんは断崖絶壁も泣いて逃げ出すほどの平面っぷりだった。触ればドンという擬音がなりそうなほどの見事な壁だ。体操服はズボンの中に入れて体に完全に密着しているのにも関わらず隣の谷岡さんの山脈の足元どころか同じ闘いの土俵に立てないであろうくらいの差があるのだ。

 ブルンブルン、ヒュンヒュン。擬音で表すならこれくらいの差があるだろう。時間にして一分程眺めていたが何故か某先輩と重なり見ているのが辛くなったので視線を二人から引き剥がした。

「何見てたのにゃ?」

 ずらした視線の先にはいつから居たのかわからないがこちら見つめながら不思議そうに首を傾げている前傾姿勢の凛が居た。その立ち姿は先程まで二人の胸を凝視していたために意識が無意識に胸の方へ行ってしまう。

山梨さんよりは少し膨らんでは居るが谷岡さんには遠く及ばないといったところか。

「……何してたのか分かったにゃ」

 見ていたのは一瞬だったのだが凛が俺の視線を追うには十分すぎる時間だったようだ。ってこれでは変態の中の変態というレッテルを張られてしまうではないか。

「い、いや……これはそのだな……」

 クソ、さっきまでブルンブルンとヒュンヒュンを見ていたのは事実だし、更にここで凛の自己主張のない胸を凝視していたのも事実だ。上手い誤魔化しも言えず、口を濁すことしかできなかった。

 こうなれば最終手段を――

「陽月くん、えっちにゃ……」

 土下座を繰り出そうとしたその時、凛はほんのり頬を赤らめ、腕で胸を隠しつつモジモジとしていた。俺の予想ではパンチが飛んでくるかこの前の時の事も含めた罵詈雑言が飛んでくるとばかりだと思っていた。だが現実はいつもの明朗快活っぷりからは予測できない一人の女の子らしい素振りだった。正直可愛いと思う。

 だからこそ俺の取る行動といえばこれしかなかった。

「マジすみませんっしたァ!」

 可愛いと思った女の子をこんな汚らしい考えで穢した俺の情けなさの反省を込めた誠心誠意の土下座をしていた。男が土下座するのを情けないと思ってはいけない。

「折角凛が一緒に遊ぼうと思って呼びに来たのに……前も前で凛をからかうし……」

 凛が言っている事に俺の反論の余地はなく、凛が許してくれる瞬間まで地面に額をこすり付ける。

「大体凛の事可愛いだとか……もう恥ずかしいことばっかり言うし……」

 以前から気になっていたが凛からは何かトラウマというか一つの悩みを感じる。やけに女の子らしさに関連することに拒絶反応を示している。だが今は余計な考え事をしている場合ではなくこの場を穏便に済ますことが大切だ。凛次第で俺の今後の学院生活は閉ざされると言っても過言ではないだろう。

「……でもちょっと嬉し――」

「そろそろ許していただけましたでしょうか……」

 思考に思考を重ねていたために凛が何か言っていたのに気が付かず、被せて許しを請うてしまった。これはミスか……?

「はぁ……やっぱり陽月くんは陽月くんにゃ……」

「そ、それはどう意味で……」

 仕方ない、どのような審判が下されようとも甘んじて受け入れよう。それでしか許されることがないのなら。

「もうこの話はおしまい!一緒に凛とあそぼ?」

「へ……?」

 俺の耳がおかしくなっていなければ無罪放免とも取れる発言だ。年頃の女の子の胸を見たのをこれだけで許されるとは……今日はツイているのかもしれない。これなら案外次からもふざけてもいいのではないかと思っていたら凛は釘を刺すように続けてこう言った。

「でも、次ふざけたらもう許さないからね?」

 ずっと見ていた地面から凛の顔を見るとどこか目が据わっているように感じられ、もうこれ以上調子に乗ると危険であるのを本能的に察する。

「わ、わかりました……」

 やはり女の子相手にあまり調子に乗らないでおこうと某先輩と凛で痛いほど身に染みた。

 だが性分なのか無理なような気もするが、これは言わないでおこう。

「じゃあいこ?」

 そういってさりげなく凛は手をこちらに差し出してくる。さっきから凛をどちらかといえばクラスメイトの友達から女の子という風に意識していたので少し恥ずかしい気もするがこういうのもたまにはいいだろうと思い、軽く躊躇いを消せないまま差し出された手を握り返した。

 




ここからは短編日常をたくさん書きます!
更新は相変わらず不定期ですが。
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