Another School idols diary   作:藤原久四郎

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よくわからない回が続いている現実。
花陽は動かしづらい、はっきりわかんだね。
当分は個別回やらが続きそうです。


アイドルと部室にて

「痛いですね……」

「うん……」

「暑いですね……」

「うん……」

「熱いですね……」

「うん……って二回目だよ?」

「いや、いいんだ」

 俺と花陽は相変わらず暑い部室の中で言葉では伝わりにくいやりとりをしていた。最後の熱さは主に俺の頬のほうだからな、結局間接キスとか引きずりまくってます。

「じゃあ折角目も覚めたんだしなんかしようぜ」

 誤魔化すように今日のすっかりわすれていた部活動を思いだし提案する。そもそもこれはだらだら二人でだべっているだけなので部活動と呼べるのか怪しいのだが。それに調子が悪いと言っていた花陽だが言う程顔色も悪くない上にこの暑い部屋の中でどこも苦しそうな様子が見られずケロッとしているのはなぜだろうと心の中で首をかしげる。

「うん。パソコンがあるからそこから色々調べてみましょう」

 声音も落ち着いており、とても調子が悪いとは思えない、むしろバリバリの健康体であるようだ。きっとさっきの睡眠と水分と俺が汗水たらして持ってきた保冷剤が効いたのだろう、うん。そう納得しないと小一時間ほど考える羽目になりそうだ。

「じゃあパソコンのスイッチを付けてっと……」

 俺は座っていた椅子から立ち上がり、パソコン前の方の椅子へ座り込む。それと共に花陽もこちらへ移動し隣に座る。

「じゃあまずはμ´sのランキングをっと」

 起動したパソコンを操作し、インターネットからラブライブのページへ。そして個別ページのμ´sの欄を見てみる。

「お、ランキング少し上がってるな」

 画面に映っているのは初ライブの時の穂乃果さん達だ。そしてその横に現在ランキングと書かれた物があり、そこには721位と表示されていた。

「うわあぁ……やっぱりいいですね……」

 画面の中で踊る穂乃果さん達を見て花陽がうっとりとした様子で呟いている。あまりにも憧れと尊敬の視線を送りながら見ている物だから花陽はもうそのメンバーの一員じゃないか、と心の中で呟いて思わず笑ってしまった。

「まぁ順調でいいな。それよりもコメントにそろそろ新曲が待ち遠しいと書いてあるぞ」

 ラブライブのサイトに登録されている動画にはコメントを自由に付けられるため、こういった要望を乗せたコメントや改善点、激励のコメントなど様々な物が日々つけられているのだ。

「新曲ですか……にこ先輩も加わえた七人での新曲がそろそろ完成しそうって真姫ちゃんも言ってました」

 もう新曲ができるとは初耳だ。てっきりあと一か月くらいかかるものだと思っていたからなぁ。真姫は俺の予想を遥かに超える優秀な作曲家なのかもしれない。

「へぇ~この調子でいけばラブライブ本選への出場もいけそうだなぁ」

「そうですね……ラブライブ……素敵ですぅ」

 ラブライブに出ている自分の姿でも想像しているのか心ここにあらずと言った感じで目はどこか遠くの景色をうっとりとした視線で眺めている様だ。にしても新曲か。普通に一ファンとしては楽しみな限りである。

「よし、じゃあ他のアイドルをっと。ランキング一位から順番に見ていくか」

 μ´sの個人ページから戻りホームへ、そしてランキングページと書かれたリンクをクリック。すると一位から順番にユニット名が表示される。

「一位は……やっぱりA-RISEか」

 A-RISE、現在トップクラスと評されるUTX学園所属のスクールアイドルだ。その圧倒的な歌唱力とパフォーマンスは他の追随を許さず今も昔もランキング一位の座を不動のものとしている。そんなわけで全国のスクールアイドルの憧れの的になっているわけだ。

 その影響は隣にいるアイドルオタクも例外ではなく、本人は隠しているっぽいがバレバレの彼女は画面に映し出されたA-RISEに釘づけだ。

「やはりA-RISEは凄いです。でもラブライブ優勝を目指すなら避けては通れない道……あぁでもA-RISEに勝つだなんておこがましい……どうしたらいいのぉ神様たすけてぇ……」

 ブツブツと念仏を唱えるように小声で何か言っているのを見れば花陽が生粋のアイドルオタクであることは一目瞭然だ。あの引っ込み思案で臆病な花陽をここまでさせるアイドルはやはり凄い。その花陽に負けず劣らずの矢澤先輩でのアイドル談義とか少し見てみたいかもしれない。

「じゃあA-RISEのPVでも見てみるか」

 未だ隣でブツブツ言っている花陽を尻目に俺は動画の再生ボタンを押す。画面の中ではA-RISEが踊りだす。パソコンのスピーカーから音楽が流れ、歌声も少しして混じり始める。

 その音を聞いた瞬間、隣で座っていた花陽が画面の方へ乗り出し、体勢としては俺の肩の上に覆い被さる感じで画面に食い入るように乗り出してきた。

 勿論、その体勢自体は問題ないのであるが花陽は女性だ。それが何を意味するかと言えば年相応の、いや年齢の割に大きめに育った柔らかな二つの膨らみが肩に当たるのだ。

 流石にこのままだと色々と問題があるので抗議の声を上げざるを得ない。

「ちょ、おい。重いからどけって」

「……静かにしてください」

「あ、はい」

 流石に胸当たってるのでとは言えず嘘をかませて言ってみたがあまりにも真剣な表情、かつ冷めた声音で言われた物だから抗議やら考えていた物が全て吹っ飛んで黙らざるを得なくなる。あの花陽をここまで豹変させるとは……やはりアイドルは恐ろしい。

 PVの時間は一分三十秒と表示されており、その間じっとA-RISEの素晴らしいパフォーマンスを見ながら肩に当たる膨らみの誘惑と戦い続ける羽目になった。しかもちょこちょこ花陽が動くせいでまたムニムニと膨らみから得られる刺激が変わり、思わず能面のような表情を作り出してしまう。

「ふぅ……やっぱりA-RISEは素晴らしいです!陽月くんもそう思いますよね!」

「お、おう……」

 興奮気味に詰め寄ってくる花陽に対し、燃え尽きた死骸の様に素っ気ない返事を返す。よく耐えたぞ俺。かなり密着していた為髪から女の子特有のいい香りだとかしてかなり危なかった。

「ちょっと陽月くん、聞いてます?」

「あ、あぁ……」

 流石に適当に返しすぎたせいか花陽が怪訝そうにこちらを覗き込んできている。それに対し大丈夫、と手をブラブラさせて誤魔化す。

 

 それからはランキング順にラブライブ出場のボーダーである二十位まで見ていったのだがその全てで花陽はさっきと同じ行動をとってきたために俺はまたしても天使と悪魔、良心と邪心と戦う事を余儀なくされた。

 

「いやぁ……やっぱり皆さんいいですぅ……」

「……うん」

 恍惚とした表情で恋する乙女の様にうっとりとした様子の花陽。対照的に痩せこけた死にかけの老人のようになっている俺。虚ろな意識の中頬に触れると暖かいを通り越して熱いレベルで熱を帯びている。花陽はわざとやっていたのではないかと思わず勘ぐってしまうがあの花陽がこんな事をするはずはないと邪まな可能性を頭の中から追い出す。

「ただいまー。あら花陽、もう調子はいいの?」

 どうやら偵察とやらから皆が帰ってきたようだ。元気な矢澤先輩に続いて――ってなんか皆死にかけだが大丈夫だろうか。

「はい!有意義な時間でした!」

「そう?こっちもよ」

 元気な矢澤先輩と花陽とは裏腹に死にそうな俺と二人を除くμ´sの面々。フラフラとおぼつかない足取りで部室内の椅子に座り込む穂乃果さんたちに俺はパソコン前の椅子に腰かけたまま安否を問う。

「大丈夫ですか……?」

「つ、疲れた……」

「ま、まさか……」

「あんな恰好で……」

「この気温の中……」

「動き回るなんて……」

「あり得ないにゃ……」

 どうやらあの真冬でも暑いであろう恰好のコートやマスク、サングラス姿で歩き回らされたようだった。

「じゃあ、そこの飲み物飲んでください」

 そう言って机の上に数本置かれているスポーツドリンクを指す。少し多めに買ってきているのでまぁ皆で飲んでも足りるだろう。メンバーがそれぞれ手近にある飲み物を飲みだし一息つく。

「あら陽月、気が利くわね」

 満身創痍のメンバーとは違い元気の有り余っている矢澤先輩。この差はなんなのだろうか……そう考えていると矢澤先輩は皆が飲んでいない飲み物のボトルを発見したのかそれを勢いよくあおっていた。よく見るとそのボトルはさっき花陽も飲み、更に俺も飲んだお茶のボトルであることに気が付く。

 瞬間――別に頬は熱くもならず、ただボーっと間接キスだなぁと脳裏にその事実がマッハでよぎっていく。まぁ矢澤先輩ならいいかと地味に失礼な事を考えながら未だに感触の残っている肩口を撫でながら花陽とアイドルの事を話したりするときは気を付けようと心に誓っていた。

 




とりあえず花陽は一区切りといったところですね。
今度は最近出番のすくないのんたんとか書きたいなぁと思っております(投げやり
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