Another School idols diary   作:藤原久四郎

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いやぁ……投稿が遅れました
そして初期の計画、一話のまえがきを見ていた所既に計画がずれまくっている事に気が付いた筆者です。
今回、そして次回はのんたん回を予定しております。そして最近出番が少ないのは凛、真姫、海未、ことり、絵里ですかね。順番に書いていこうかとは思っております!


生徒会室とお手伝い

 本日は特にμ´sの練習も部活動も特に何もなく暇な一日である。今日は親が遅くなるらしく早めに帰って久しぶりに自分で料理でもしよと思っていたのだがそんな日に限って矢澤先輩から一つ頼まれごとをされてしまった。内容は次のPVに学校の要所要所を動いて回る形式でとる計画らしく、それの許可を生徒会の方へ取りにって欲しいとのことらしい。勿論面倒なので拒否したのだが……

 

「嫌ですよ、面倒ですもの」

「いいじゃないの、どうせ暇でしょ?」

「いやいや、俺をなんだと思ってるんですか」

「ならこの前希の胸元に顔うずめてたの言いふらそうかしら」

「なっ……う、うずめてはないっすよ!」

「成程、うずめてはなくても抱き着いていたと……ほうほう」

「ぐ……い、行けばいいんですね……」

「うん、よろしくぅ」

「絶対後悔させてやる……」

 

 というのが事の顛末で、勿論俺の腹は煮えくり返っておりその内必ずリベンジしてやると心に誓った次第である。

 矢澤先輩に対する仕返しを模索している内に生徒会室と書かれたプレートの掛けられた教室へたどり着いていた。

「失礼しまーす」

 一応ノックをしてから返事を待たずに中に入る。するといつもは二人の所今日は一人しか居ないようだった。

「お、陽月くんやん。久しぶりやな~」

「久しぶりって一週間も経ってないですよ」

 中にいたのは黒ではなく青に近い紫色のロングヘアを二つに縛ったどこか掴みどころのなさを感じさせる三年生の東條希さんだった。

「今日は絢瀬会長居ないんですか?」

 とりあえず物足りなさからか不在の会長の所在を希さんに問いかける。別に気にするほどでもない事だがそういえばまだμ´sのライブの時に借りたビデオカメラがそのままだという事を思い出した。

「あぁ、今は部活動の方へ顔を出してるんよ。一応部活内容も把握しとらんと正しい予算振り分けもできんからね」

 真面目やろ?とまるで我が子の事のように笑顔で返してくる希さん。となると今日は会えないかも知れないか。ビデオカメラはまだ今後も必要だろうから返すのはまだいいとしてもお礼だけはキチンと言っておかないと、と心の中でそう思った。

「で、陽月くんは今日なんの用?」

「あぁ忘れるところだった。今度μ´sのPV撮影で学校の要所を使わせてもらいたいので申請を出しに来ました」

 そう言って活動申請書と書かれた紙を懐から取り出し、希さんの方へ手渡す。希さんは紙面をじっくりと眺めた後、手渡した紙をファイルに閉じこんだ。

「じゃあ確かに受け取ったよ。また絵里ちに見せてから許可用紙渡すわ」

 問題ないようだが許可には生徒会長のサインと学園理事長のサインが必要らしく、あと数日は待ってほしいとの事だった。

「じゃあまたよろしくお願いします」

「あ、そうだ。陽月くん今暇?」

 最近分かった事だがこうして暇と聞かれるときは大抵よくない事を頼まれるもしくは押し付けられる事がほぼ確定である事。今日の矢澤先輩にしてもそうだ。安易に暇ですと言おうものならばたちまちやられる。今回は完全に矢澤先輩に嵌められたのだが。

 それに相手は希さんだ。この前の恩もあるし、それに流石に無理難題を押し付けられる事もないだろうから大丈夫だろう。

「まぁ……暇って言ったら暇ですね」

「そう?なら絵里ちが帰ってくるまででもいいからここに居てくれない?それとついでに書類の整理手伝ってほしいんだけど」

 明らかについでのほうが本命だろうというのは敢えて突っ込まず、何をすればいいか聞くことにしよう。

「整理って言っても俺そんな重要な物怖くて触れませんよ」

「あぁ大丈夫、紙面の下にページ数書いてあるからそれに合わせてそろえるだけよ」

「それくらいならお安いご用です」

「そう?じゃあウチも別の仕事あるからお願いね?」

 そう言って目の間にドン、と置かれたのは枚数にして百枚ぐらいありそうな束の書類だった。あまりにも遠慮がなさ過ぎて思わずこちらが焦る程度には驚きを隠せずにいた。

「勿論、ただでとは言わんよ?お礼もするから……ね?」

 そうだ、そもそもお願いをするならそれ相応の物がこちらに来なくてはいけないのだ。それを当たり前にしてくれるという希さんは人の動かし方がうまい、といいように動かされていながらそう実感せざるを得ない。どこかの某先輩にも見習ってほしいものである。

「よっし、じゃあやりますかぁ」

「頑張ってな~。ウチもやらないかんことあるからよろしゅうな」

 そう言って作業に取り掛かる希さんの手前に置かれていた紙の束は俺の目の間にある紙達の軽く三倍はありそうな量が見受けられ、生徒会って人不足なのかと思わずにはいられない実情を見てしまった。

 

黙々と作業すること十数分、意外と量の割に並べ替えるだけであっという間に俺に割り振られた仕事は終わりを告げる。横目で希さんの様子を見るといつもの飄飄とした感じからは想像も出来ない真剣な表情で未だに書類たちと向かい合っていた。こういうのをギャップというのだろうか思わずカッコいいとか思ってしまう。そんな視線に気が付いたのか書類たちに向けていた視線を希さんがこちらへ向けてきた。

「あ、すいません。気になりました?」

「まぁそれだけ見られれば気にもするわ~ってもう終わったん、早いなぁ」

 そう言って俺のまとめた書類たちをヒョイっと取り、パラパラとめくり始める。一通り確認したのか満足げな表情でよし、と呟いている。

「うん、いい仕事やね。どう?生徒会入ってみない?」

 冗談なのか真面目なのかわからないがいつも通りの掴み所のない笑顔で一つの提案が希さんの口から飛んでくる。

「俺には向いてないと思いますし、でもお手伝いだったらいくらでもしますよ」

 実際こういった責任の伴う事はあまり好まないし、なにより面倒だと思う。それになにより向いていないという事は自分がよくわかっている。

「そう。ならまた今度頼もうかなぁ?」

 まるで鬼の首を取ったような表情で含み笑いをしながら意味深な視線を送ってくる希さん。どこか嫌な予感を感じさせるその双眸に見つめられては蛇に睨まれた蛙の様に縮こまってしまう。そんな俺の怯える様子を見てか今度は屈託のない笑みを顔に浮かべて希さんは冗談よ、と一言だけ言ってきた。

「からかわないでくださいよ……じゃあ希さんが終わるまで待ってますね」

「もうすぐ終わるでちょっとだけまっててね」

 そう言ってまた真剣な表情で書類たちと向かい合う希さん。邪魔しても悪いので終わるまで椅子に腰かけたまま大人しく待つことにした。

数分後、ふぅという息遣いと共に横に座っている希さんが肩の力を抜いて椅子に体を預けていた。その間、俺はと言えばお礼ってなんだろうと自分の考え付く限りで色々と妄想、ないし想像していたのだが結局以前と同じくよしよしされるのではないかという結論に至ったのだはきっと俺がしてもらいたいだけだと考えてから気が付いた。

「ごめんね、待たせて。それに絵里ち遅いなぁ……あ、メール」

 携帯が震えていたのだろうかポケットから携帯を取り出し素早く操作を始める希さん。画面を数秒見つめた後、何か操作するように手を素早く動かした後、また携帯をポケットにしまいこんだ。

「まだ絵里ちかかるそうだから先帰ってって言われてもうたわ。という事だから……帰ろっか?」

 希さんは苦笑いを作りながら歯切れ悪く提案をしてくる。そんなに時間かかるものなのだろうか視察は。

「そうですか。じゃあ帰りましょう」

 今はそれよりも帰って夕食の準備をしないといけない事を思い出しており、脳裏によぎった疑問はすぐに消え去って行った。

 

 生徒会室を後にした俺と希さんは一緒に帰路についていた。どうやら帰る方向がほぼ同じらしく、それなら途中まで一緒に帰ろうというわけだ。そして音ノ木坂学院を出るところの信号で止まった時希さんはふと思い出したように呟きを漏らした。

「そういやまだお礼考えてなかったね、どうしよ?」

 そういえばお手伝いのお礼なんてものもあったなぁと思いながらも、忘れてはいなかったし俺自身期待はしていたが、たかだか手伝いしただけだと思うので仮に何もなくても気にはしないのだが。

「まぁ気持ちだけでも構いませんよ、割とお世話になってますし」

 とは思うものの、やはり期待はしてしまうのは男のさがだろうか。

「そうやなぁ、そうだ。今日ご飯をごちそうしてあげよか?」

「本当ですか?」

 女の子の手料理。それはあまりにも誘惑的であり、刺激的なフレーズだった。丁度今日の夜飯をどうしようか決めかねてもいたので願ったり叶ったりだ。

「うん。どうせ家には誰もおらんから気にしんくてええからね」

 女の子の家に上がるにあたって一番の問題は女の子側の親だと懸念していたのでその心配はどうやらなさそうだ。だが誰も居ない、ってどういうことなのだろう。あれだろうか既に他界しているとかだったら謝らないといけないだろうし……そんな考えが顔に出ていたのか希さんはクスクスと笑っていた。

「大丈夫よ、ただ一人暮らしってだけだから」

「そうなんですか……良かった良かった」

 だが一人暮らしの女の子の家に上がるというのも中々気が引けるものである。流石にないだろうが間違いが起こってしまってからでは遅いのだ。我ながら気にしすぎだろうか。それに希さんは純粋な好意で手料理を振る舞ってくれるというのだから邪まな事は考えずに甘えさせてもらおう。

「じゃあ、希さんさえ良ければいいですか?」

「ええよええよ。遠慮なんてしなくていいんだから」

 裏表のなさを感じさせる笑みを浮かべながら喜んで了承をしてくれる希さん。もう少し妄想は自嘲しないとな、これからは戒める事にしよう。

 再び青色を灯した信号機を確認した俺と希さんは暗くなり始めた道路を夕焼けの光と灯りだした街灯を頼りに再び歩き出し、希さんの家に案内を受けながら向かうことになった。

 




そして投稿文字が10万超えていたのに気が付きました。ここまで続けてこれたのも皆さんのお蔭であります。これからも精進していきますので応援をよろしくお願い申し上げます。

個人回多いので複数人での回を書きたいのですが良さそうな組み合わせとかないかなぁ……と思う今日この頃。
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