Another School idols diary 作:藤原久四郎
鷹能、と書いてたかよしです。すみませんでした(絶対読めないと思って失敗したなと思いました
やっと内容は中盤に差し掛かったものの、イマイチこれと言って面白い回がないんですね、はい。
そう思っての新キャラです(震え
「……鷹能?」
この名前には見覚えがある。というか友達だった奴だ。以前も言ったが、俺は両親の仕事の関係で数える程だが引っ越しを経験していた。その中でこの音ノ木坂に来る前にいた、つまり中学の頃の友達だ。だが鷹能も転勤族だったらしく、中学の中盤辺りで転校していってしまった。それでも比較的仲の良かった俺たちは、鷹能が転校した後も何度か連絡を取り合っては長い休みの際にはあったりもした。最近では転校手続きやらで忙しく連絡も取っていなかったので、今までの事が随分と昔の事の様に感じられたのだ。
「てか明日て……」
今現在、鷹能がどこにいるかは以前聞いて知っていたのだが……確か思ったよりも近場に会った記憶がある。それこそ駅で何駅かの距離だったかもしれない。それならばこの急な訪問予告も納得がいくのだが、実際あまりにも急すぎる話である。思わず二の足を踏んでしまうのも仕方ないといえよう。
とりあえず断る理由もないので、短く「了解」とだけ返信の分を素早くスマホを操作し送信。そしてスマホを再びポケットにしまい込む。
よし、今度こそ皆の練習を見に行かねば。そう思い再び足を動かそうとした瞬間、再び携帯が震えた。行こうとしたタイミングで鳴らす辺り、何者かの作為を感じざるを得ない。、まぁ後で確認すればいいかと思い、携帯は無視して歩き出す。階段の方へ向かい、一階、また一階と着実に屋上へと向かっていく。
「あ、おーい。陽月くーん」
丁度二年生のフロアにたどり着いた時、背後から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。この声は確か……
「ヒデコさん? 何か用事ですか?」
階段を向いていた体を逆に回転。反対方向を向くとすぐ目の前に以前、μ’sのファーストライブの時の事を一緒に行ったヒデコさんが立っていた。階段の位置から察するに、どうやら通りかかった所をたまたま見つけた様だ。
「あぁ用事っていうかね。そろそろμ’sも次のPV撮影なんだけどって」
「そういえばもう出来てるみたいな事も言ってましたね」
前の花陽との会話を思い出しながら返事を返す。μ'sとして初の七人での曲が次の曲なのだろうが何を歌うのだろうか。俺はその辺に全く関与していないのでまるでわからなかった。
「ちなみに今週やるらしいわ。だからまたで悪いんだけど手伝ってくれないかな? 今度はやること多くて多くて」
「別にいいですよ、相変わらず暇を持て余してますから」
青春真っ盛りの高校生が、暇を持て余しているのもなんか不甲斐なささえ感じるが、実際その通りであるから悲しい返事を返さざるをえない。
「良かった~。今度は結構学年から手伝ってくれる人も出てくれてるからそんなに大変ではないと思うんだけどね。それでも一人でも多い方がいいと思って」
「それに今回校内動き回って取るらしいですからね。結構大変そうだ」
学校を使うというのは、外部に校内を見せるいい手段でもあると思う。実際まだ音ノ木坂は未だに廃校の危険があるので、いい宣伝にもなるのではないだろうか。
「私たちも皆への指示とか結構あるからさ、陽月くんには悪いんだけど明日くらいに買出しに言ってきてほしいんだけど大丈夫かな」
そう言ってヒデコさんはメモらしき紙をこちらに手渡してきた。書かれている内容はどうやら必要な物が数個書かれているようで、大きいのと小さいサイズのライトやコンセントなどの電気系の部品の名前が見受けられた。今回は衣装にライトなども取り入れるのだろうか。
「なら明日パパッと買ってきますね、これくらいならすぐですし」
「ごめんね、じゃあ私もまだ今からいくつかやることあるからさ」
「はい。じゃあまた」
ヒデコさんは言葉の通り急いでいたようで、駆け足で廊下の向こうへ走っていった。あ、先生に怒られた。この学院でも廊下は走ってはいけないようだ。
それより安易に了承をしてしまったが、ついさっき旧友が明日訪問すると言っていたのをすっかり忘れていた事を思い出す。まぁ鷹能だから別に引きずり回してもいいか。と結論付け、何度か足止めをされたが今度こそ屋上へ向かう事にし、歩を進めた。
「今日も練習疲れたにゃー」
夕暮れ特有のオレンジの光が照らす道を凛と花陽、俺と真姫は帰り道を共にしていた。帰る方向は一年生の俺たちは何故かほぼ同じ方向で、二年生の皆さんや矢澤先輩とは逆方向なのだ。こうして練習帰りは学年ごとでまとまって帰るのが部活後のお決まりとなっていた。
「……うーん」
「どうかしたんですか? さっきから唸ってばかりですけど」
俺が考え事をしていた所に、こちらを覗き込むような前かがみの姿勢で花陽が心配そうに声をかけてきた。
「いやな、俺って練習見てたかなって」
「何言ってるのよ、日陰のところで見てたじゃない」
今度は真姫が半ば呆れたように俺の質問に答える。何故かさっきから屋上へ向かってからの記憶がない事に気が付き、首を捻っているのだが理由がさっぱりわからない。あれか、若年性痴呆症だろうか。考えれば考える程恐ろしいので、この事は考えない様にしよう。
「にしてももう新曲か、まだファーストライブから一か月くらいなのにメンバーも四人増えてとだいぶ変わってるよな」
「もうそろそろPV撮影も近いですから、今日は練習もハードでした」
「しかも学校全体使うって、準備も大変よね」
「その辺は俺や先輩達で頑張るからな。真姫や花陽、凛たちはその分頑張ってくれよ?」
「勿論! 初めてのPVだから頑張るにゃー!」
今後の撮影の意気込みも兼ねた雑談をしながら帰り道を歩いていく。練習の事や授業の事など多くの事を話すが、よく考えたら教室も部活も全員が同じである。必然的に話すことも限られ、いつしか喋るものはいなくなり全員が静かに歩いていた。普通こういった無言の空間はいづらいものだが、どこかこの三人といる時の無言の空間は居心地のよささえ感じる。
居心地のいい雰囲気で無言のまま歩くこと数分、道が二つに分かれている所に出る。ここで、俺と真姫、凛と花陽で帰る道が分かれる。
「じゃあまた明日」
「じゃあね」
「まった明日―!」
「またねー」
四人とも別れの言葉を出した後二人と二人で別れ、別々の道を歩き出す。俺と真姫は帰る方向がほぼ最後まで同じで、真姫と別れた後、また少し歩くと俺の家にたどり着くのだ。先程と変わらず特に話すこともなく、着実に帰路を進んでいく。
「ねぇ陽月、私といる時ってそんなに暇なの?」
気持ちのいい静寂を楽しんでいるところに、真姫が唐突に呟くように声を漏らした。真姫がどういう意図で言葉を放ったのかわからず、表情を見ようとするも少し前を歩いておりこちらからは表情が伺えない。結局質問の意図がわからず、一度逡巡をしてから当たり障りのない返しを考えてから口を開く。
「いや別にそんなことないけど?」
「いつも花陽や凛と別れてからは暇そうにしてるように見えるんだけど」
「そう見えてたのか? 不快にさせたのなら謝るよ」
何故か同い年とも思えない、お互い一歩引いたようなやり取りをしながら自分に非があったのかを思い出してみる。が、むしろわけがわからなくなる。
「いや、そうじゃないんだけど……むしろこっちがつまらないっていうか……」
「え、俺がつまらない!? そんな……気が付かずにすまん……」
衝撃の事実。俺は真姫からつまらない男認定、つまり異性としては論外、友達としても論外認定をされていたようだ。それもそうだ。よく考えれば異性に対する扱いとしては中々酷い行動もあったと今更遅いものの、走馬灯のように思い出していた。
「違う違う! そうじゃなくて私が!」
「あぁ真姫がか……別にそんなことないけど」
良かった、俺は真姫から嫌われていたわけではなさそうだ。
「その、いつも私といる時ね? 陽月が暇そうに見えるから……」
真姫は普段の強気な立ち振る舞いからは予想できない、しおらしい様子でモジモジとしながら声を出していた。なるほど、これは……
「ははーん、さては真姫。嫉妬だな?」
「ちっ、違うわよ!」
この反応はどうやら図星の様だ。ならばこのまま畳みかけよう。
「まぁいいじゃないか。俺だって話したいんだから」
「……え?」
「凛や花陽と話したいんだろ? あの二人仲いいからな中々割り込むのは難しいぞ」
うんうん、と頷きながらあの二人の様子を思い浮かべる。流石幼馴染というべきか、どこか二人だけの世界があるような感じが傍からみるとあるのである。俺も真姫もあの二人がどんな幼少期を送ってきたのかは知らないものの、普通の同性にしてはやけに仲がいい事だけは知っていた。だからこそその事だと思ったのにこの反応だから、逆にこちらが驚いてしまう。
「……やっぱ陽月は駄目ね」
「な、なんでだ! 折角人が気遣ったのに!」
「まぁいいわ。これで一つわかったから」
真姫はふふん、と鼻を鳴らして先に歩いて行ってしまう。折角できもしない気遣いをしてみたら、またしてもこの結果である。しかも真姫は満足そうな様子で含み笑いをしながら相変わらず先を歩いている。いつもなら逆の場合が多いが、今回は真姫に一杯食わされたという事だろうか。真姫が笑い、俺が突っかかる。今までに無かったパターンで新鮮さを感じるものの、どこかむずがゆい感じがしており、真姫の家に着くまではずっとこんな調子のままで帰ることになってしまった。
同時刻、場所は移りごく普通のとある一軒家の前。
「……ここか」
その家の前に立っているのは、高校生であろうか制服に身を包んだ、まだ若さを感じさせる顔つきに年相応のあどけなさを雰囲気に宿した青年だ。だがその表情はもはや大人のそれであり、深い茶色をした双眸は強い意志のような物を感じさせる。
「久々に会えるんだな……ヨウ」
彼は感慨深げに言葉を漏らしており、そして突き刺すような鋭さを含んだその視線の先には、その家の玄関の門に備え付けられている家主の苗字が書かれているプレートがあり、そこには「泰原」と書かれていた。
久々に真姫ちゃんとの絡みも少々。こう上手く書けないのは許してください!
それにヒデコさんとの会話もタンパクだったかな……と。
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