Another School idols diary   作:藤原久四郎

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今回は短め、ネタは……目をつぶってくださいノリで書いたんです……


旧友

 結局納得のいかないまま真姫の家についてしまい、真姫の笑いがどういう意味なのか有耶無耶のまま別れた俺はもやもやとした気分の中で帰路を急いでいた。時間にして五分もない真姫から俺の家までの距離だが、とりあえず今は早めに帰り明日の鷹能の訪問に備えようと思っていた。まず間違いなく家の中を漁られる事必死。過去鷹能を家に呼んだ際には等しくタンスの隅から机の角まで全て入念にチェックされた。そして完璧であろうとその時確信していた成人男性向け雑誌は例に漏れず見つけ出されていた経緯があるのだ。今となってはそれらの雑誌を見られることよりも、いかにしてモノを隠しきるかを考えている。そうなれば一刻も早く、という事で帰路を急いでいるのだ。

 小走りで帰る事五分、すっかり見慣れた新居の我が家の前に到達しようかという所でいつも通りの景色の中でいつも通りではない事があることに気が付いた。家の前……ではなくお隣さんの「泰原」さんの家の前で仁王立ちをしながら玄関前で立ち尽くしている男が見受けられたのだ。容姿はここらで見たことがない、ましてやお隣さんの子供ではない事は確実である制服を身にまとった男だ。顔は遠目なので把握できないが、身長などから察するに高校生くらいである事をうかがわせる。そして俺が家の前に到達しよう所で、その男は玄関の門をくぐって隣の「泰原」と書かれた家へ入っていった。

 一方そんな一見不審者とも思える男が誰かはわからなかったが、俺は我が家である「泰原」家への門をくぐった。

 

 鷹能が訪問すると言っていた日であり、ヒデコさんに頼まれた事をしに行くと決めた次の日、そして午後の授業を終えた後の事である。俺は以前リーダー決定戦の時も利用した秋葉原の駅前に制服姿のまま、件の中学の頃の友達の鷹能を待っていた。

 昨日家に帰った後、そういえばどうやって落ち合うのかすら決めていない事を思いだした俺は、鷹能に急遽連絡してここで待ち合わせる事にしたのだ。そして連絡のやり取りを終えた後、妙な事に鷹能は一度俺の家を訪ねたというのだから驚いた。だが勿論昨日は家に誰の訪問も無かったし、母さんもそんな事一切言っていなかった。結局は鷹能の場所間違いという事になったのだが、鷹能はどうにも腑に落ちない様であったのが昨日の出来事だ。

 そして現在約束の時間である四時を過ぎても一向に鷹能らしき影が見えず、俺はかれこれ十分程だが待ちぼうけを食らっていた。以前からそうなのだが鷹能は時間にルーズなとこがあり、酷いときには三十分程カフェで一服ついてから戻った五分後に来たという事もあるくらいなのだ。正直、ヒデコさんとの約束を済ませてからで良かった。

「先に用事すませるか……」

 過去を追想しながら一言呆れ半分に呟く。確かメモには電気関連の物ばかりだったはずだから、電気屋でも見て回ることにしよう。そう考えた俺は帰宅初めの学生などでごった返している駅を離れ、電気屋のある繁華街に向かおうと足を向けた。

「チッチキチ、チッチキチ」

 丁度足を向けた方向に謎のリズムを口で刻み、よくわからないステップを踏みながら明らかにこちらに近づいてきている一つの人影があることに気が付く。ソイツの容姿はサングラスに深めに被った横向きの帽子、更にだらけたズボンに英語や模様のプリントされた服とヒップホップかぶれのDJか何かだろうか。

 他人だと言い切りたい程に不審者丸出し、かつ気持ち悪いソイツは着実にこちらに近づいてきており、それに伴い周りの学生たちは距離を置きつつ着実に人が減り始めている。

そして周りの学生が一人、また一人と消えていく間、俺は動けずにいた。蛇に睨まれた蛙とでも言えばいいのだろうか、とりあえず微動だにせず不審者の動きを目で追っていた。

「チキチキヘイ。チキチキヘイ」

 よく考えたらこういったリズムの類は普通ラジカセとかで流すのではないだろうかと思う。そんな地味な所を突っ込むだけの余裕はまだ残っているようで、少しだが心の平和を取り戻す。

 そんなこんなで逃げる事もなく、気が付けばその不審者は俺の目の前に立ち、またしてもわけのわからないステップを踏んでいた。するとその不審者兼DJかぶれは俺の方を見ながら何か逡巡しているようで、口ずさんでいたセルフリズムは止まっている。少ししてまたリズムを口に出したかと思うと、今度は別の言葉を喋ってきた。

 

「You! You! あなたは誰? Who are you!?」

 

 全身に寒気が走った。

 

「実は知ってる、君を知ってる! 君の名前は陽月、英語でYou!」

 

 盛大に寒いギャグだった。

 この間、実に二秒。凍り付いた時間、エターナル。

 

「全く寒いぜ、ここはcold! 俺がするのは君をcall!」

「よし帰ろう」

 繁華街に向けていた足をYou Turn。違うそうじゃなくてU turnだ。わけのわからんDJのせいでわけのわからん口調がうつってしまったしまった様だ。帰ってイ○ソジンでうがいすれば治るのだろうか。それだけが心配である。

「あぁ待って! すまんかった!」

 くるりと逆を向き、歩き出した足をそのDJかぶれが必死に掴んでいた。お蔭であるくことができない。蹴っ飛ばしてもいいのだろうか。

「なんだよ……もう誰かわかったけど」

 この行動、くだらない内容。既に意味不明かつ理解不能であるこの事態の全貌は見えていた。

「久しぶりだったから! 必死に夜なべして考えたんだよ!」

「……久しぶり、鷹能」

「あぁっ! 視線が! 視線が冷たい!」

 冷徹な視線で見下ろしながら旧友である鷹能に冷めた口調で語り掛ける。久しぶり……と言う程なのかは思い出せないが、旧友を久しぶりに会ってこんな事をするのは気が引ける。のは一般論であり、この場合は適用されないだろう。周りを見渡しても人っ子一人いないのだから、少しくらい反省させるにはこれくらい必要だろう。

「全く……ほら、立って」

 半ば呆れ気味にため息をつきながら、未だに足にしがみついている鷹能に手を差し出してやる。

「あぁ……すまねぇ……」

 全くその通りだよ、とは言わず無言で差し出した手を掴んだ手を引き上げ、立ち上がらせる。鷹能はパンパンと地面に倒れこんだ際に服についた砂を手で払い、一度深呼吸をしてから口を開く。

「よ。久しぶりだな」

「だな、久しぶり」

 今度は真面目に挨拶を交えたやりとり。最初からこうすることはできなかったのかと愚痴を漏らしたくもなるが、ここは堪えておこう。

「うっし、じゃあ行くか」

「っても行くとこ決めてないよな」

「まぁ行ってから考えようぜ?」

「なら少し付き合ってくれよ、行かなきゃいかん所があるんだ」

「オッケー、じゃあ行こうぜ!」

 久しぶりだが、自然に会話を紡ぐことができた様だ。しかし、このやりとりも随分久しぶりの様に感じられた。ここ最近濃密な時間を過ごしているからだろうか。

 逡巡をしている間に、隣に回った鷹能が俺の肩に腕を乗せており、所謂肩組みの状態になっていた。俺はそれに苦笑いを返しながら言葉を発する。

「うし、じゃあいくか!」

 そう言って俺は鷹能と共に繁華街へ歩き出した。

 




UAが五万を越えそうなので記念にここらで一つ、企画でもしてみたいと思います
活動報告の方に簡単にですが内容を書いておきました

こうして続けていけているのも皆さんのおかげです!これからもよろしくお願いします!
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