Another School idols diary 作:藤原久四郎
というか本編って日常だから……いや、原作沿いだから違う、本編はラブライブだ(呆れ
最近は勉強も兼ねて、様々な書き方をしているので、よろしければ変な所はご指摘いただけると幸いです!
「はぁ……」
彼、泰原陽月が現在いるのは、今朝猛ダッシュで駆け抜けた校門であり、そして今の時間は授業も終わった、皆がこぞって下校し始める時間である。そこに彼がいるのは待ち人がいる……わけではなく、片手には竹箒、逆の手にはゴミ袋と、明らかに帰宅を目的とした装備ではない事だけは伺えた。
「なんで……」
「花陽たちも……?」
そして、そんな彼と同じ全く同じ格好で愚痴を零しているのは、同じクラスの小泉花陽と星空凛である。彼女らは彼の後に、つまり遅刻してしまったが為に彼と同じ罰を食らわされているわけである。俗に言うとばっちりである。遅刻の原因もある意味彼であるというのに。
「巻き込んだのはすまん……だが、あの時反発しようものなら……ぐっ……」
「まぁ仕方ないよね……」
「だって有無を言わさない勢いだったし……それに陽月くん自業自得だし……」
「ったく、たかだか課題くらい大目にみろよ……あの堅物脳筋体育会系教師め」
ははは、と乾いた笑いをしながら愚痴をもらす俺。そんな俺を見ている凛と花陽だが、何故か顔が青ざめ、適当にやっていた掃除をこれでもかと突然真面目にやりだした。
「へぇ、だ、れ、が? 是非聞かせてもらおうか?」
あっ……後悔先に立たず、口は禍の元、そんなことわざが脳によぎり、すぐさま言い訳の言葉を――
「言い訳って――」
「聞、か、な、い、ぞ」
本日二回目の、絶望がやってきた。
「ま、前が見えねぇ」
「ちょっと陽月くん、それ治るのかにゃ!?」
どこからともなく現れた愚痴の矛先であった安田先生。もちろん全部聞かれていたらしく、現代社会の教育界隈で許されるのか不明な名状しがたい体罰を受けた。大体音もなく現れるとか意味不明すぎだろ。
「にしても、これで名実ともに“校内”清掃を課せられたわけだ」
「じ、自業自得すぎるよ……」
そもそも現在行っていた清掃活動自体、軽い罰の様なものであったわけで。だからこその校門掃除である。そして名目上は“校内”でもあった。それが本当に室内的な意味の、校内清掃にシフトすることになってしまったのだ。
「まぁ“校内”清掃は俺だけでいいし、この辺はパパッとやってぇ、終わろう」
「なんなら凛も手伝ってもいいんだけどにゃあ」
「正直校内の清掃とか普段からやってんだし、余裕よ、余裕」
「それってフラグなんじゃないの、陽月くん」
「ははっ! ヨユーヨユー!」
「うわ、陽月くんが壊れたにゃ」
「思ったより、色々効いてるみたいだね。体罰とか、ペナルティとか」
ねじが一本飛んだ状態から始めた清掃活動だったが、校門辺りは普段から掃除されているようで、軽く箒掛けをしていくだけでだいぶ綺麗になってしまった。それも三人でやったのだから、あっという間である。
「よっし、終わり!」
「ふぁー、疲れたよぉ」
「にしても、だいぶ綺麗だったにゃー。普段はもう少し落ち葉とかあった気がするのに」
「あれだろ、風とか不思議な力とかでパパッと」
「前者はともかく後者はありえないよ……」
「陽月くん、やっぱり参ってるみたいだにゃ」
「普段からこんなんな気がするけどな」
「それはそれでだめな気がするよぉ……」
何かと自分の駄目さを理解させられるが、これで一応俺のペナルティの半分は終わったことになる。そして凛と花陽は、これで清掃活動が終わりというのは羨ましい限りである。……俺の自業自得なんだけど。
「じゃあ凛たち帰るけど、本当に大丈夫? 手伝わなくて」
「そうだよ、陽月くん。全然迷惑とかじゃないから」
確かに申し出自体は嬉しいし、凛たちが俺の事を考えてくれているって事もわかる。だけど、こればっかりは迷惑をかけすぎている。俺がいなければこんな面倒な事を指せなくても済んだんだから。そう、いなければ。
「まぁいいよ。校内の至る所にトラップでもしかけながらパパッとやるさ」
「それはやめようにゃ!?」
「……大丈夫そうだね」
要らない心配もされてしまうし、なにより面倒なのでさっさと終わらせるか。
「またなー」
「またね陽月くん」
「またねー!」
凛たちを見送り、クルリと百八十度回転。それから彼女らの向かった方向とは逆の昇降口へ向かう。一度履き替えた靴を再び中靴に履き替え、そして今更ながらどこを掃除すればいいかを聞いていない事に気が付いた。普通なのかわからないが、俺はここにきて数か月たった今でも校内に何があるかを把握しきっていないので、その場に立ち尽くしながらどうするか考える。
「……今まで行ったところ適当にやるか」
結局、いつも通り、適当にやらざるをえない事になってしまった。というか一人で校内清掃とか本当に意味わからん。愚痴を漏らすものの、口には出さず心の中で言うにとどめる。……何故か遠くから舌打ちが聞こえた気がする。危ない危ない、今度こそ原型をとどめるかわからない。
「さて、初めはどうしようか」
危機感をビンビンに感じながらどうするかを考える。職員室は……また安田先生に会うと面倒くさそうだしなぁ……というか近くにいるようだし。他に知ってるところと言えば、屋上……はしなくていいか。武道場もおなじく。後は真姫が所有物よろしく使っている音楽室と、我らがアイドル研究部の部室、ことりさんに一杯食わされた保健室……は間違いなくきれいだからいいな。それと、何度か行ったことのある生徒会室くらいだろうか。
「この三か所やれば十分だろ」
とりあえず、一番近いと思われる音楽室に向かう事にしよう。悩んでいた行先を決め、俺は音楽室に向かい歩き出した。階段を上り、二階へ。そして今日の後悔の証である教室を通り過ぎ、廊下に沿いながら進んでいく。音楽室の位置づけは、校内を四角で表した際に、教室の逆側辺りである。俺一人だけが歩く廊下には、スリッパを床を叩く音と、擦る音だけが響いていたのだが、音楽室の方へ向かうにつれて、徐々に二つの聞きなれた生活音以外の音が聞こえ始める。きっと、音楽室の女神様が音楽を奏でている、そんな音だ。
「ん~んん~♪」
初めてここに来た時と同じく、だが今度は明確な意味を持って抜き足差し足で音楽室までたどり着く。勿論、中の女神様には気が付かれない様に。やはり何度聞いても……一度しか聞いたことないが、音楽室の女神様……西木野真姫の演奏は音楽に詳しくない俺でも素晴らしいと思えるものがある。よく考えたら、真姫は自分から初めて作れた、この学院で出来た友達なんだよな。凛も花陽もあっちから来てくれたし……そう考えると、真姫は俺にとってある意味特別なのかもしれない、俺が自分から接点を作りたかった初めての人。って、気持ち悪いな。真姫はいい奴なんだからそんな不純な感情持っちゃいけない。そう、ただの友達なんだから。
「ふぅ……」
と、真姫の奏でていた音たちが一斉に鳴りやみ、一曲が終わったことを知らせてきた。早くも目的を忘れて聞き入っていたが、ここには清掃に来たんだった。自分が招いたとはいえ、実に面倒な現実に嫌気がさしながら扉を開ける。
「おっす、ホームルームぶりだな」
「そうね。ってもしかして聞いてたの?」
割と落ち着いた口調で出迎える真姫。ピアノの前でさながら絵画よろしく、絵になる佇まいで椅子に座っていた。以前押し掛けた時は思いっきり焦ってたのに……すっかり俺に慣れている様だ。というより、ここに来る訪問者に対してだろうか。よくわからないが、直感でそう感じた。
「あぁ、まずかったか? まぁ駄目って言われても今後やめるつもりないけどな」
「……陽月は演奏褒めてくれるからそんな事言うつもりないけど、やめるつもりないならわざわざ言わなくてもいいんじゃない?」
「いや、相手の言いたいこと先読みするのってカッコいいかなって。漫画読んでたらそういうキャラがいてさ」
常に相手の一手二手先を行く……男としてはしびれるシチュエーションだ。それも強敵相手に自分の知恵と策を最大限生かして倒すのだから、無敵の主人公よりも好感が持てるし、応援したくなる。無敵の主人公ってむしろボロボロになるまで負けてもらいたいってのは、俺が歪んでる証拠なのだろうか。
「わからないわね、そういうのは男の子だけの特権ね」
「真姫って割と切り捨てるタイプだよな」
「えぇ、だって事実だもの」
「まぁいいわ。それよりここ掃除したいんだけどいいか?」
「別に構わないわよ。それに、もう帰るつもりだったし」
そう言うと真姫は座っていた椅子から立ち上がり、ピアノの楽譜置きに置いていたスコアを鞄に慣れた手つきでしまい始める。折角だからもう一曲聞きたかったが、真姫は帰る気満々の様なのでわざわざ引き留めることもないだろう。
「じゃあね、陽月。また明日」
「おう、またな真姫」
鞄を肩にかけた真姫が、堂々としたお嬢様らしい足取りで音楽室からでようと歩き出した。俺はその間に真姫とすれ違う形で、奥にある掃除用具入れから用具を取りに歩き出す。
「……ん? 陽月、ちょっとまって」
丁度真姫からすれ違う時、真姫の方からかなりのいい匂いがしたと思った瞬間、怪訝そうな表情を浮かべる真姫に呼び止められてしまう。もしかしていい匂いだな、ぐへへ、とか思ったのがばれたのだろうか。と、焦りが表情がでそうになりつつ、真姫の次の言葉を待つ。
「ちょっといい? ……くんくん」
「!? ちょ、ちょちょちょちょっと真姫さん!?」
相変わらず怪訝そうな表情のまま、真姫は驚くことに俺の体の匂いを嗅ぎ始める。俺も意味がわからず止めようとするが、理由もわからないし女の子なので突っぱねる事もできず、真姫が犬の様に匂いを嗅ぐのをやめるまでただただ待つことしかできない。
「……男の子っぽい匂いと……凛の家の匂いがやけにする……?」
「あ、ああああの、な、ななななんでしょうか!?」
「ちょっと黙って!」
「なぜ!?」
動揺しているせいで、真姫がいまいち何を言ってるかもわからず、結局石の様に不動の硬直を強いられる。目の前で揺れる赤色のショートボブの髪が目の前を移動するたびに、先程感じていた女の子らしいいい匂いが鼻孔をくすぐり、頭がクラクラしはじめる。凛の家では意識してなかったが、女の子ってこんなにいい匂いするのか。だ、駄目だ意識すればするほど理性の鍵が壊れはじめ、意識が朦朧とし始める。
「……陽月」
「はい!?」
「……避妊はしなさいよ?」
「なんの危惧だよ!」
真姫は散々俺を惑わした挙句、意味深な台詞だけを残して今度こそ音楽室を去っていった。俺の感情と、鼻を無駄に激しく動揺させてから帰る真姫には、世の男たちを狂わせる魔性の気が感じられた。そんな魅了をかけられたように硬直した体と、せわしなく脈動を繰り返す心臓の鼓動を感じながら、真姫の行動の原因に一つの答えがでた。
「……そういや、凛の家からそのままだったから、か……」
……待って変な勘繰りされてんじゃん。
「待てぇぇぇぇ! 誤解だぁぁぁぁ!」
時すでに遅く、廊下に虚しく叫び声が木霊する。なんとも前途多難な、まだまだ続く清掃活動であった。
やっぱり馬鹿な日常書くのは大好きです。
いい加減影の薄くなり始めたキャラもいるので、できたら多く出していきたいですね。
どうでもいい近況報告ですが、大学決まりました。これで心置きなく執筆ができます。
そしてまたどうでもいい事ですが、現在テスト中です。絶賛苦労中であります。
ではでは、今後ともよろしくお願いします。