Another School idols diary 作:藤原久四郎
結局テンポが悪いのはご了承ください
「はぁ……」
大きくため息を付いているのは学院の中庭。今は昼時で朝作ってもらった弁当を丁度食べ終えこれからどうするかの一人作戦会議。結局自己紹介も噛みまくり、どうも教室に居づらくこうして中庭に避難しているわけだが。
「こんなはずじゃなかったんだがな……」
深いため息と共に溜まりきったモヤモヤを吐き出す。本当に上手くやっていけるのかな……早々に不安になってきた。
「おーい」
にしてもこれからどうしたものか。このままでは間抜けな奴とのレッテルを張られかねん。
「聞こえてるかにゃー?」
いや、逆に堅物キャラではなく親しみやすいキャラとして第一印象はむしろいいのではないだろうかよし、そうなればできるだけ明るいキャラでいこう。
「無視するんじゃないにゃー!」
「うおぅ!?」
唐突に聞こえた怒声にまた素っ頓狂な声を上げてひっくり返った。
「もう! さっきから話しかけてるのにひどいにゃ!」
なんだこの猫言葉を喋る奴は。この学校は人を驚かせないといけないみたいなルールでもあるのか?
「いきなり大声あげたらびっくりするじゃないか。もっとお淑やかにいけんのかね」
「だーかーら! 無視してたそっちがいけないの!」
「いや、聞こえてないっす」
「にゃー!」
さっきまでの暗い表情に笑顔が戻った。ちょっとした漫才の後、咳払いをして一度仕切りなおす。
「すまん、無視していたのは謝るよ。俺は泰原、一応編入したての男子だ」
「いや、同じクラスだからしってるにゃ」
しまったクラスメイトだったか。これでは人の顔も覚えれない爺さん認定されかねん。
「そういえば凛の自己紹介してなかったね、名前は星空凛よろしくにゃー」
星空凛と名乗ったクラスメイトはオレンジの髪をショートカットにしており活動的な様子がうかがえた。体も引き締まったスポーツマンを彷彿とさせる。あまり見過ぎると今度は変態という直球が飛んで来るやもしれん。
「よろしく、じゃあ凛って呼ぶわ」
「じゃあ凛は……陽月くんでいいかにゃ?」
見た目によらず案外乙女だな。ギャップが可愛いと思える。
「そういえばなんで凛は俺に会いに来たんだ?」
「まだ言ってなかったね、凛がクラスに馴染めるように陽月くんをサポートしてくれって先生に頼まれたんだにゃ」
「ちょっ……なんか優しさが辛い」
安田先生め……
「それでにゃ、まずはどうするかだけど……実はクラスでの陽月くんの評価を先に聞いておいたんだにゃ」
「何ッ、聞きたいけど聞きたくない!」
「じゃあ順番に発表にゃ」
「せめて心の準備くらいさせて!」
一年A組 R.Hさん
正直出だしからあれは酷くないかにゃ?
「って思いっきり凛じゃねぇか!」
隠す気のない語尾に思わず声を上げて突っ込んでしまった。
「ごめんけど、大半のクラスメイトはこんな感想にゃ」
「めっちゃ辛いわ! もっとオブラートに包んでください!」
「じゃあ続けていくにゃ」
一年A組 H.K
個性的でいいと思います。怖い人だったらって思ってたけどいい人そうでよかったです。
「やばい凄い泣きそう」
さっきからの落差で思わず目から涙がこぼれた。
「ちなみにこれは凛の親友のかよちんからです。」
「名前いったら匿名の意味なくない?」
「気にしたら負けにゃ」
「ひでぇ横暴だ」
気が合うのか緊張せずスラスラ話すことができる。これからも色々お世話になることになりそうだ。
「じゃあ一番反応が良かったかよちんから会いに行くにゃ」
「待て、あと他の感想はないのか?」
「それは……察してほしいにゃ」
「泣いていいかな?」
ひとしきり泣いた後、件のかよちん、本名は小泉花陽とやらに会うことになった。今は教室にいるらしく凛が中庭まで呼んできてくれるとのことだった。何故自分の教室なのに出向いてもらうかって? 流石にさっきのを聞いた後ですぐ教室に行ったら耐えられる自信がなかったんです。
五分ほどして凛が右手でかよちんらしき人を引っ張ってきた。
「連れてきたにゃー」
「ちょっと凛ちゃん、手痛いよー」
ハァハァと肩で呼吸しながら、泣きそうになっているのが小泉花陽らしい。凛と同じく髪は短め、色は黄色がかった茶色。すこし大きめの眼鏡をしており、その奥に除く双眸からは気弱な雰囲気を感じ取った。
「えーっと……俺、泰原陽月。花陽だっけ、よろしく」
急に緊張してどこかよそよそしい感じになってしまった。
「え、えーっと……小泉花陽です。」
「……」
「……」
話が続かず、沈黙が訪れた。やはり凛のようなタイプの方が珍しい、というか初対面であれだけ話せることが出来たのも凛の人柄か。
そんな俺たちを見かねたのか凛が助け船をだしてくれた。
「かよちん、このちょっと会話の苦手な陽月くんはかよちんとお友達になりたいんだって」
「えぇっ!? 友達って、私と?」
「えっと……はい是非とも」
困っているのかアタフタと手をぶんぶんと振りながら答えてくれる。
「嫌なら無理にとは言わないんだけど……正直一番ぐっときたっていうか」
「グッと来たって何に!?」
「是非、私と友達になってください!」
芝生の地面に額をこすり付け、土下座を繰り出す。それをみた花陽は更に慌てふためいていた。そりゃそうだと、自分でもそう思う。
「尊厳とかないのかにゃー」
「わ、私でよかったらお友達に……な、なります。」
「マジっすか!」
芝生にこすり付けていた顔を勢いよくあげ、最終確認をとる。
「やったぜー!」
どうやら自分は感情の浮き沈みが激しいらしい。
こうして凛と花陽の二人と友達になり、まだ不安はあるものの楽しい学院生活になりそうだった。
このペースだと終わらない気がするんですが、
陽月くんをしっかり書こうとするとやっぱり長くなってしまいました。