Another School idols diary   作:藤原久四郎

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初めにですが、最新話……既に削除済みですが、後々考えてみてから長すぎるのではだとか、細かい所の気になった点の修正の面……それとキリの悪さなどから、一度削除という措置をとりました。

とりあえず前最新話の変わっていない所を再掲するとともにご報告をしております。

そして修正済みの後編と、追加の絵里編兼オープンキャンパス編の完結編もすぐに投稿させてもらいますので……


それぞれの活動

「これ、お願いね」

「はい」

「この前頼んだ書類の点検、終わってる?」

「はい、後最終確認お願いします」

「部活動定期視察どうなってる?」

「回された分は全部終わりました。あと簡易レポート確認お願いします」

 

 目の回るような書類に仕事。現在俺は生徒会室にて、業務見習い兼手伝いとしてもっぱら活動という名のパシリをしているのだ。その理由は勿論、絢瀬会長の『お願い』なのだが。

 

「おぉ~陽月くん頑張ってるねぇ」

「あ、希さん。お疲れ様です、と言いたい所ですが……」

「あーあーごめんなぁ、一応監視役やけどまぁ許しといて?」

「…………適当にミスやらかしてやろうかな」

「あぁっ怒らんといてや~」

「全く反省してませんもんね……」

 

 そう言う感じで副会長兼俺の監視役でもある希さんが、生徒会活動始まってから一時間程立ってからやってきた。相変わらずこの人集会の定時に全くこないんだよ。一応理由はμ'sの皆の活動を見に行ってるって事なんだろうけど……。

 

「にしても希先輩、彼随分使えますね。絢瀬会長も上質な人材を見つけてきてくれました。もう三日目ですが、根を上げず頑張ってくれてますし」

「そうやろ? なんてったってあの絢瀬会長直々の引き抜きやからなぁ」

「その引き抜きが雑草並みの手荒さじゃなければ俺も全然いいんですけどね」

 

 信頼してくれているのか、体のいい雑用なのかはわからないが、俺の仕事は足を引っ張らない範囲でしっかり出来ているようで少し安心した。

会長が職を離れ副会長が中々来ない分、別の生徒会員、今は書記の人が指揮をしているわけだが、その書記の井ノ原さんも二人に負けない切れ者である。俺のできる範囲かつ限界の量をキッチリ仕事として用意しているのであるから、こちらとしてはたまったものではない。

 

「しかも軽口を言う余裕もある……本格的に生徒会に来てもらうのもアリですね。この季節はいつにもまして仕事多いですし」

「だ、そうやけど? どう陽月くん」

「あと三年考えさせてください」

「あちゃ、振られたなぁ。でも二週間あるし、考えといてな」

「あ、希先輩も来た事ですし、定例会議といきましょうか」

「やな。じゃあ皆一旦手を止めて~」

 

 現在集まっている役員たちが一斉に手を止め、希さんの方を一斉に向く。俺も同様に、希さんの方へ視線を向ける。かれこれ三日たっているが、皆は大丈夫なんだろうか……。

 

 

 

「花陽、遅れてる! 凛、体がまだ固いわよ! 真姫、もっと笑顔!」

「「「はい!」」」

「穂乃果、間違えてる! ことり、軸がぶれてる! 海未、ワンテンポ早い!」

「「「はい!」」」

「にこ、あなたもっと動けるでしょ!」

「わ、わかってるわよ!」

「はい、じゃあ少し休憩。すぐ再開するわよ」

「「「「「「はい!」」」」」」

 

 陽月が生徒会で雑務をこなしている放課後、μ'sの面々も屋上の活動拠点の一つであるここで練習に励んでいた。いつもと違うのは、指導をしているのが海未ではなく、生徒会長の絢瀬絵里であるという点だ。

 

「はぁ……やっぱりこうなると思ったのよねぇ」

「どういう事ですか? にこ先輩」

「練習よ、練習。いつも以上にハードじゃない」

「でも、日に日に成長している感じがしませんか?」

「それ以上に心労も溜まってる気がするけどね」

 

「かよちん、練習きついにゃー……」

「う、うん……私にはちょっと厳しいかも」

「二人ともだらしないわね、でも確かに普段よりは全然厳しいけどね」

 

「ことり、大丈夫ですか? 衣装作りで睡眠時間が減っているらしいですけど……」

「う、うん。でも大丈夫だよ? もうあと一着作るだけだから」

「無理はしないでくださいね……」

「…………本当は二着なんだけどね♪」

 

 それぞれがそれぞれの休憩をしているが、それでも共通しているのは全員が等しく辛そうな表情を浮かべている点である。それも仕方のない事だが、絵里の練習メニューは海未のいつも行っている練習メニューの軽く倍近くの密度があり、それに伴って練習の厳しさも普段よりすさまじいものとなっている。絵里も妥協する気がないのか、μ'sの踊るダンスの振り付けも完璧にこなし、その上で指導を行っている。更に言えば、絵里のダンスは、μ'sの誰よりも完璧な物であった。

 

「はい、そろそろ始めるわよ? まだ休憩欲しい人と体に違和感感じる人がいたら先に言ってね」

 

 それでも、絵里は決して無理な練習はせず、キチンと全員のコンディションなどを踏まえた上での適した練習をしている。彼女は間違いなく、今μ'sに必要とされる『先生』であった。

 

「皆、大丈夫? よし、お願いします、絵里先輩!」

「「「「「お願いします!」」」」」

「皆元気ねぇ……」

 

 そして全員……絵里の真剣さに感化されたのか、辛い練習も真剣そのもので励んでいる。まさしく、最高の状態である。絵里の真剣さは、彼女らとは別の方向に向いているのだが。

 

 全員が、オープンキャンパスに向けて頑張っている。そしてその意思は、実質の廃校の危機を阻止するため、学院のためだ。このまま何事もなく残りの期間が過ぎたのなら、確実にオープンキャンパスに向けた活動は成功の内に終わる事だろう。そう、何もなければ、だ。

 

 

 

「今日も疲れたあああああ……」

「お疲れ様やん♪」

 

 夕暮れの日差しが差し込む生徒会室に、俺の疲労満載の声と希さんの飄飄とした声が木霊する。今日も何事もなく一通りの業務が終了し、たった今解散になった所だ。今はまだあまり話したことがない他の役員にもキチンと挨拶をし、全員が立ち去った後の室内で机にだらしなく体を投げかけているというわけだ」

 

「どう? 三日目だけど、大変って言ったら大変やろ?」

「まぁそうですね……絢瀬会長はこれにプラスで会長業務だと思うと、頭が痛くなりますね」

「ふふっ……でも絵里ちはそんな気苦労をしてる様子を一切見せんけどな」

「な、なんだと……」

 

 会長恐るべし。実はサイボーグだったりして。

 

「さ、帰ろっか。 まだまだ後一週間もあるんだから」

「やっぱ安易に引き受けるんじゃなかったあぁぁぁぁ……」

「今更なん? 仕方ない仕方ない、あの堅物会長に言葉で勝てるわけないんやから」

「まあそうですけど……あと先帰ってくださいちょっと書類纏めてから行きますんで。そういえばまだ纏めてなかった」

「ん、手伝おっか?」

「いえ、すぐ終わると思うんで。戸締りも任せてください」

「そっか、じゃあ先帰るわ~」

「はい、お疲れ様です」

 

 希さんがひらひらとこちらに手を振り、生徒会室から出ていく。まぁ書類って言っても、本当に少しだけどな。今日はまだ気力があるし、明日の分を少しでも減らしておきたいって言うのが本音だ。

 

「えーっと確か……この辺だっけ」

 

 まだ慣れない物の置き場所に悪戦苦闘しながらも、引き出しを一段一段開けていく。一段目、これは部活用のだから違う。二段目、ん? 意見書に申請案……それも生徒会のか。それにこの引き出しだけ、少し埃被ってる。少なくとも一週間くらいは触ってないんだろうか。

 

「見たことないな……それにこの量」

 

 適当に引き出しから出しただけでも、三日間の俺の管轄だった書類と同じくらいあるではないか。厚みで言えば数センチになるだろう量だ。

 

「どれどれ拝見いたしましょう」

 

 特に何の気なしにペラペラとめくっていく。だが、その紙面と企画者名で俺の紙をめくる手は一時的に停止した。

 

「絢瀬絵里……会長の企画書か? それもオープンキャンパスに向けてのものって事は最近のだ」

 

 内容自体は見ていると日が暮れそうなので、軽く流し見しながらペラペラとめくっていく。

 

「これは……最近のだけでも数十枚? しかもほんの一か月で書かれてる」

 

 理事長印はおろか、生徒会の承認印すらも押されていないその書類たち。これが意味することは。

 

「一人で企画して……それも全部没って事なのか?」

 

 なら、なんでわざわざ残して……いや、使うつもりでこれだけを書き上げたのか? それにしてもこの量……よっぽどこの学院が廃校になるのを阻止したいようだ。希さんの話でも出てきた祖母の……思い出の場所だからなのか? でもそれって人の為って事で……自分の為にしてるわけじゃないのか?

 

「人の……為……」

 

『俺の為に、さ』

『私の為になんてならないよ!』

『お前は、優しい奴だよ』

『最低だよ、最低だよ……なんでそんなことするの……?』

 

「クソっ……またか」

 

 わからないんだよ、お前らの事なんて。だから俺の事をそんなに責めないでくれよ、最低だなんて何度も言わないでくれよ。今はそれよりも大切な事があるんだから。今は見つめ無くたっていいだろう、終わった事なんだろう過去の事なんだろう? そんな思考を振り払うように、今手元にあるピースを口に出しながら当てはめていく。

 

「全力で……人のために……ならμ'sの為に今は何してる? ダンスを教えてる……でも活動を肯定しない……絢瀬会長は挫折して……学院のため? 学院に関する全員のため……結局自分以外のため?」

 

そして、この書類たち。これだけの量を、誰にも見せずに。という事は希さんも知らないのか? でもわからないのは、これだけの事をしている彼女の実態。何がしたいのか、わからない。別に廃校を阻止したいだけなら、それこそμ'sに、同じ志をもっている彼女らにもっと早い段階でアプローチをかけるなり色々出来たはずだ。それをしなかったのは何故だ? 言っていたはずだ……確か……

 

『私は『生徒会長』だから、生徒が学園のマイナスに繋がる事をするのを止める義務があるの』

『もし、あの子達がしている事で失敗でもしたら、それこそ学園の評価はどうしようもなくなるのよ? 取り返しがつかなくなるレベルで、ね』

 

 心配しているではないか、生徒を『あの子達』を。でも、自分は『生徒会長』だから、もっと広い範囲で心配をしているからその中の生徒たちにも負担はかけられないとでもいうのか。

 

「じゃあ何か? μ'sの全員が挫折するとでも言いたいのか?」

 

 自分は挫折して、苦い思いをして。それを乗り越えられないから、μ'sも乗り越えられないって? いや、違うか。ただ心配しているだけか。自分と、同じようにならないかって。優しすぎるのか? 絢瀬会長は。

 

「ふぅ……」

 

 俺は手にしていた書類たちを元あった位置に戻し、一度深呼吸する。よくない……普段ならこんな事考えもしないし、なんとも思わないはずだ。それなのに、何故こんな……。

 

「何を忘れてるって言うんだよ……」

 

 原因は、時折顔を出す記憶だっていうのも、本当はわかっていた。そしてわかってしまうからこそ、記憶の中の彼らが訴える『最低な自分』と『今の自分』の思考の乖離に悩む。さっきまでの思考はきっと、『今の自分』では考えられない事だから。

 ……なんだ、俺全然進んでないじゃないか。希さんに楔を抜いてもらったはずなのに、むしろその傷から血が溢れているとでも? やっと、皆の……μ'sっていう温かい陽だまりの輪に入ったはずなのに……

 

「考えるの……やめよう。それより早く帰らないと、下校時間だ」

 

 俺は言い聞かせるように、不吉な考えを振り払うべく言葉を発した。

 

 

 

 そこは、部屋。だが、夕暮れの日差しを拒むように閉ざされたカーテンと、つけられていない電気のせいで、深い暗澹とした深淵を思わせる、そんな部屋。

 

「なんで、なんで……貴方たちは諦めないの」

 

 同じ夢を見て、なんで頑張れるの? なんで、そんなに真っ直ぐなの? 辛い練習にも耐えて、ただ目標に向かって頑張る。でも、きっといつか壁にぶつかるに決まってる。そんなの……辛いだけじゃない。他の人に任せればいいじゃない……。頼りたくなるじゃない、触れたくなるじゃない、『生徒会長』なのに、それは私の立場の筈なのに。

 

「羨ましいわ……」

 

 寒く、冷たい部屋に呪詛とも憧れとも取れる声が響いた。

 




えー、すっかり短くなりましたが前篇ですね。
後編は結局一万超えそうなのでまたカットして中編後編とわけるかもです。

最新話ではなく、ただの修正ですので……皆様にはご迷惑をおかけします。
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