Another School idols diary   作:藤原久四郎

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うん、美味しい(スタッフ並の感想


名前の長さは重さに比例する

 

 

 

 陽月が一人ことりが戻ってくるのを待って突っ立ているのと同時刻、曲がり角の死角から覗いている八人の影が傍から見ても怪しいながらに確認されていた。

 

「んんー! 皆狭いよー!」

「ちょっと穂乃果、あまり大きな声を出すと聞こえますよ!」

「海未先輩も声大きいにゃー!」

「凛ちゃんも声大きいよ!」

「花陽もね」

「あらら、真姫ちゃんはクールやな」

「ふふふ、面白くなってきたわね」

「う、うわー! 倒れるー!」

 

 μ'sメンバー、まとめてストーカー真っ最中である。

 

 

 

「ん? なんか騒がしいな……なんかまたセールでもやってるのか?」

「おまたせー陽月くん。どうかしたの? あっちの方は食品売り場だけど」

「そうですか、別に何でもないですよ」

「あ、もしかしてお腹空いたの?」

「俺は食いしん坊か」

「も~そうなら最初からそう言ってよ~」

「いや、違いますけど」

「じゃあそこのスターファックスのカフェに行こ~!」

「人の話聞いてねぇ! って、手! 引っ張らないでください!」

「も~抵抗する人にはこうするぞー!」

 

 ことりさんは何故か凄く楽しそうに、俺のブラブラしていた左手に両手を絡めてきた。カップルがよくやっている、あの傍から見たら羨ましく、本人からしたら暑苦しそうなやつをだ。

 

「ちょ、ちょっと……俺は別に良いけど、主に他のお方に見られると困るんですけど!」

「他のお方って~? 大丈夫、誰も見てないから~!」

「だ、だから~!」

 

 俺の抵抗も虚しく、そのまま成すがまま成されるがままに俺はデパート内に付随している、というか内部店舗のスターファックスという名前の喫茶店まで引きずられていくのだった。

 そして陽月とことりがスターファックスに向かう途中のほんの少しの時間に

 

 バキィ

 

 という音が二回もなったのだが、彼らは二人だけの世界にいたために、至極幸いにも気が付かなった。

 

「う、海未ちゃん?!」

「すいません、つい手に力が」

「だからって缶を握りつぶすのは変だよ?!」

 

 穂乃果が慌てながらたしなめる相手の海未は、手に握られていた飲み物の缶を原型が見えないまでに握りつぶしていた。むしろ手が傷つかないのか心配である。

 

「ってにこ先輩まで! 流石にいろ○すのペットボトルを握りつぶすのは酷いにゃー!」

「そうです! ちゃんと絞らないと!」

「疑問に思うのそこなのね」

 

 にこの手には、無残にもぐしゃぐしゃになっている、いろ○すのペットボトル。ラベルには絞って捨ててねと書かれている。

 

「もう私帰っていい?」

「そう言わんと真姫ちゃん、まだまだこれから面白そうやん?」

「陽月も中々やるわね。これだけ嫉妬の嵐になるのも珍しいわよ」

 

 普通に冷静な希は今にも帰ろうとしている真姫を引き留め、何故か、何故か一番乗り気の絵里は後ろでガヤガヤと騒がしい間もスターファックスに向かう二人から視線を剥がしていなかった。絵里も意外と多感なお年頃という事だろうか。いや、きっと面白がっているだけだろう。

 

「ことりが……ことりがあんなに……」

「う、海未ちゃん落ち着いて~!」

「ふふふ……ふふふ…………」

「に、にこ先輩なんか怖いにゃー!」

「み、皆暴れないでよ倒れちゃうから〜!」

 

またしても、大きく音が響き渡った。

 

 

 

「も、もう……まさか爆発音って嘘ついてまで振りほどかなくても~」

「いや、離してほしかったのも、音が鳴ったのも事実です」

「も~また嘘ばっかり!」

 

 いや、本当になんか音が鳴ったんだって。

 

「まぁいいじゃないですか。それに、折角来たんですしちょっと休憩してきませんか?」

「元々そのつもりだったけどね~。陽月くんは何頼む?」

「俺は別に何でも良いんですけどね」

 

 という事で二人揃って解放されている出入り口から入り、お洒落な雰囲気の漂うスターファックス内に入る。全体の雰囲気としては大人しめだが、所々にいる学生たちがやけに騒がしいので今は普通の喫茶店とそう変わらない感じになっている。

 

「いらっしゃいませー。ご注文お決まりでしたらどうぞー」

 

 俺たちがカウンターまで行くと、女の店員さんが迎えてくれた。あ、この人見たことある。確か……以前生徒会に行った時に突然意味わからないまま捕まえられた演劇部の人だ胸がちょっと大きめの。

 そして幸いな事に俺の最低極まりない人物判定は、店員さんにもことりさんにもばれていない様だった。そう信じたい。

 

「えっと、じゃあ俺は適当にっと……アイスコーヒーで」

「うーんどうしようかな~何かオススメとかありますー?」

「そうですね、こちらとかどうでしょうか。季節限定メニューです」

 

 そう言っておっぱい……じゃなくて演劇部のおっぱいおっきい店員はメニューの、大きくプリントアウトされた箇所を指さした。

 

「えっと何々……?」

「どれどれ~」

 

 俺とことりさんは全く同じタイミングで指さされた所を注視する。

 

「ダークモカホワイトキャラメルクリームストロベリーアーモンドミルクフラペチーノwithハニークランチ……ってなげぇな!」

「うわぁすっごい……」

 

 名前が用意されている専用の箇所だけでも文字がぎっしりで、一緒に描かれている絵もなんというかおどろおどろしい外見で、どう見ても人が飲むようなモノの外見ではなかった。

 

「名前は確かに長いですが、結構人気なんですよ」

「うせやろ……値段は……?」

「これだけは言ってたら値段も……」

 

 またしても二人揃って同じタイミングで値段の書かれた所を注視する。

 

「千四百円!? ぼったくりや! ……いや、これだけあるなら安いのか……?」

「ちょ、ちょっとわからないや……」

「あ、これ一応二人前なんですよ~それに今カップル割やってまして、これで千円です」

「買います!」

「色々まてや!」

「ありがとうございま~す」

「会計も早い!?」

「少々お待ちくださーい。えっと長い名前の一つ!」

「店員のやる気!」

 

 

 

 俺のツッコミも虚しく響き、待つこと五分。

 

「お待たせしました~……ウェイハニークランチです」

「それでいいのか店員……」

「わ~写真と全く同じだぁ」

 

 俺とことりさんに手渡された……というより重々しく差し出されたそれは、写真のイメージ通りの、名前と寸分違わない内容物の添えられたキングサイズのドリンク。一人で持つのも辛いであろうそれは、本当にカップルというか二人分である事を嫌でも感じさせた。

 

「ちょっと重いね……陽月くん下支えて持ってくれる? 私上の方支えるから」

「お安いご用ですよ」

「じゃあ置くね~」

 

 そう言ってことりさんが俺の手の上に、カウンターからずらしながら置いてくる。

 

「重ッ!」

「そこでことりが支えます!」

「あ、それでも重ッ!」

「お、重いよぉ……早く席まで持っていこう……」

 

 俺が状況から仕方なく蟹股で歩きながら、ことりさんはうんうん、と唸りながら零さないように少しずつ開いている席に向かって行く。

 

「も、もう少しですことりさん頑張って!」

「う、うん!」

 

 俺とことりさんはヨタヨタと店内の隅のいくつか開いている席の手近な所に一歩、また一歩と着実に進んでいた。

 

「おっ、空いてんじゃーん!」

「金、金、金!」

 

 と、そんな俺とことりさんを尻目に意味の分からない事を口走る二人組が目の前まで来ていた席に座ってしまった。

 

「ぐっ……まだです、すぐそこにも――」

「フォオオオ!」

 

 丁度振り返った先の空席も、謎の奇声を発する上下黒のピチピチのゴムスーツの様な物を着こんだグラサンにとられてしまう。

 

「げっ……ならこっちは」

「ここは俺に任せてくれ」

 

 そしてもう一か所の空席に目を向けると、今度は誰もいない場所に語り掛けている明らかに危ないお人に座られていた。

 

「なんだこの店!」

「よ、陽月くんもう限界~!」

「え、ちょっ!」

 

 ことりさんは、もうとっくに限界だったようで、支えてくれていた上の所から手を離してしまった。

 

「重ッ! 滅茶苦茶重ッ!」

「あ、あの子……まさかあれを一人で持つなんて……恐ろしい子」

「ホントだぜ、作ってなんだけど途中から疑問しか覚えなかったからな」

「店員も観察してないで助けてぇぇぇぇ!」

 

 結局、店員にも手伝ってもらって、空いた席に持って行くことになったとさ。例の長文ドリンクは男二人女一人の三人がかりでも重かった。

 




うん、ギャグしかないんだ。
本編は、進まないんだ。
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