Another School idols diary   作:藤原久四郎

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さて、そろそろ一周年が近くなって焦って書き始めました。
ぶっちゃけ、だらだらした日常大好きなんでいくらでもかけるんですよねぇ……お蔭様で終わりが遠のく。
それではいけないと、とりあえず一区切り。次からはこの章の終わりにはいる予定でございます。


逃げたら解決

「むむむ……」

「……」

「はっ!?」

「ひぃ!?」

「……うーん」

「なんなんだよ!」

 

 さて、状況を整理しよう。俺は泰原陽月、OK? え、NO? いやいや、そんな事は些細な事だ。それで現在俺の手は、突如現れた不審者によって拘束されている。というか、それだけなのだが。

 

「……あの、いつまでこのまま?」

「あ、えーっと……そろそろ?」

「えぇ……」

 

 例の女性と思わしき不審者だが、どうやら彼女自身何をしているかさっぱりという様子が見て取れる。それもそのはず、いきなり見ず知らずの人に占いなんてちゃんちゃらおかしいではないか。それにこの微妙に挙動不審な様子、どうみても違う事を気にしているように見える。あと、今になってその不審者を冷静に観察していたのだが、おかげで全てにおいておかしい点を見つけたのだ。

 

「……にっこにっこ?」

「にー!」

 

 それは、髪型。長く艶やかな黒の髪を赤いリボンでツインテールにしている、その髪型だ。

 

「は?」

「はっ!? そ、そう! にー! にーに、お兄ちゃんがあっちの方に!」

「……どう見ても外人だが」

 

 不審者の指さす先には、どうみてもボブという名前が似合うスキンヘッドの黒人がいた。怪訝そうにこっち見てるから指さすのやめろ。

 

「あー、はやく部室戻らないとなぁ。皆まってそうだしー」

「ま、まちなさ……! おほん、まだ慌てる時間じゃないわよ」

 

 自分で墓穴掘ってるやんけ、もう疑いようもない、これ完全にこれ矢澤先輩ですね。というか今更気が付いて思ったが、よく五分も気が付かなかったものだ。あ、だからことりさんずっと笑顔で見てるのか。……やっぱ性格悪いなあの人。

 別にあっさり「アンタ先輩でしょ」って看破するのも悪くないんだけど、わざわざこの人なんでこんな事してるんだ? という疑問が思い浮かぶ。いや、まずなんでこの人ここに居るんだよ。今日は別れて部活の日だったはずだから、今頃皆で作詞をしているはずなのだが……。なんか今日の事なのに何故かかなり記憶があやふやだが、なぜだろう……不思議と凄く昔の事の様にも感じるし。

 

「あのーちょっといいですか?」

「ん? 何かし……何かね?」

 

 考えられるのは、矢澤先輩が部活放り出して一人で遊んでいるパターンだが……これはまぁないだろう。そんな事する人とは思えないし。まぁ、なんだっていいけどこうして意味わからない事してるし、折角だ、日頃のお礼も兼ねて溜まった鬱憤晴らしついでに悪戯(おれい)でもするか。

 

「実は俺……好きな人ができたんですよ」

「!?」

 

 お、驚いてるな。それもそうか、年頃の女の子は恋愛事には敏感らしいからな。ま、この反応なら……

 

「それでその人はいつも近くで見ているのに、気付いてくれないんですよ」

「……あ、あ、そうなんですか?」

 

 なんか標準語になってるけど大丈夫かな。

 

「その人は……そうですね、貴方みたいな綺麗な黒い髪をしていて」

「……そそそそ、そうなんだぁ」

 

 いや、別に今のところ好きな人とかいないけどさ。とりあえず目の前の矢澤先輩の特徴を羅列してみる。

 

「名前は……」

「名前は……?」

「や……」

「や……?」

 

 どうしよ、名前考えてなかった。そういえば、お隣さんに似たような条件の人がいたな。その人男だけど、まぁいいか。

 

「柳澤です」

「おしい!?」

「は?」

「はっ!? ち、違うわよ。貴方とその人がもう少しでいい関係になれるっていう意味でおしいっていったのよ!」

 

 もはや矢澤先輩は、隠す気が微塵も見られない標準語と聞きなれた声音で喋っていた。というか柳澤さん、一応男なんだけけど。しかも柳澤さんやけに優しいから怖いんだよなぁ、しょっちゅうお尻触ってくるし。

 

「さて、御遊びはここまでにして」

「あ、遊びなのね」

「もちろんですよ矢澤先輩。で、何してるんですか?」

「そうに決まってるわよね陽月。今は皆の生贄に……」

「は?」

「あ……」

 

 ちょっと誘導したけど、自然に自白したなこの人。というか生贄ってなんやねん。折角自白してくれたし、ちょっと問い詰めるか。正直なんだっていいんだけど、いつもからかわれるせいかちょと楽しくなってきた。

 

「で、何してるんですか? まさか、部活放り出して遊んでた~とかじゃぁ、ないですよねぇ?」

「えーっとその……」

「その?」

「……にこっ」

「あ?」

「逃げたもん勝ちよ!」

「あぁ!? 待てやコラぁ!」

 

 言い切ると同時に矢澤先輩は疾走し、どこかへ消えていった。文字通り一瞬で追いつく間もなく、そのままダッシュでだ。俺もことりさんも、あまりの勢いに追いかける事も出来ず、そのまま立ち尽くしていた。

 というか何? 学院来てからずっと逃げればOKみたいなシチュエーション何度目だよ。ゲームのエンカウントじゃねーんだぞ。というかあの様子じゃ絶対なんもしてないな、皆。

 

「えーっと陽月くーん?」

 

 あ、そういえばことりさんもずっと居たんだったな。というか、この人本当にわかってて不審者が矢澤先輩だって教えなかったのかんだろうなぁ。俺だって、こんな現場にいたら絶対面白いから言わないもの。俺のそんな呆れをよそにことりさんは、色々と満足げな様子で俺に語り掛けてきたのだった。

 

「なんかちょっとだけ、言葉が荒くなってたみたいだけど~」

「男子三日会わざれば括目してみよ、というじゃないですか」

「え? 今日はずっと一緒にいたし、三日も会ってなかったっけ?」

「こっちの話です」

 

 俺はさっきから何を言っているんだろう。手の揉まれすぎでおかしくなったか? え、元々おかしいって? 今はそれよりも、この後どうするかが問題だ。正直凄く疲れたから、もうことりさんの家の鍵がないだとか、皆の進展がどうとかどうでもいいから帰って寝たい。

 

「さて、どうしましょうね」

「どうしようね~」

「……」

「?」

 

 それに今日行っても、結局皆何もしてないだろうし、作詞も進展してなさそうだしなぁ。何も矢澤先輩一人で出てきてたわけないし。皆で遊んでたりしたのだろう。生贄というのも、単に俺とことりさんに鉢合わせしそうになったから、って話な気もするし。

 

「……帰るか」

 

 ……ホント、なんだったんだろうな今日は。

 




……色々と代弁させておりますね。

それに時間置きすぎたり、色々手をつけすぎて作風が微妙に変わったり話が矛盾してたりしそうなので気を付けたい所です。

という事で矛盾点やおかしい所のご指摘、そして感想等おまちしています。
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