Another School idols diary 作:藤原久四郎
激甘なものはぁ、書けない(確信
次回はもう一つの花陽との個人でのクリスマス回、後は個人的にやりたい男(だらけ)のクリスマス回でも書こうかなと思っています。
本当は矢澤との回も考えているのですが、間に合うかどうか……
冬、恋人たちのためにあるような甘く切ないそんな季節。ですがそんな恋愛に無縁の俺は今までは丑の刻に神社に行くのが、12月24日の日課でした。
ですが、今年のクリスマスは一味も二味も……まるでタイヤのゴム味だったその日が高級ディナーフルコースに早変わりするくらいの幸せであった。であるはずだったのだが――
「おーい! 陽月くんもかよちんもはっやくー!」
「……おう」
「待ってよ凛ちゃーん!」
その幸せがクラスメイトでなければ。
事はクリスマス前夜、つまりはイブの日に遡る。
「今年のクリスマスは皆で遊びにいこう!」
「ど、どうしたの凛ちゃん突然」
「そうだぜ凛。そもそもクリスマスってのはリア充どもに恨みを込めて丑の刻参りしたり、家で一人クリスマス会を開いて台無しにしながら全人類が不幸になる祈りを込める日だろう」
「それは絶対に違うわね」
いつも通りの四人で集まっている、何故か冬休みなのにも関わらず学園にいる俺たち。まぁμ'sの練習後なのだが。メンバー全員が帰ってから突然思い出したように凛が声を上げたのが、この四人で残っている原因である。まぁ俺はμ'sの活動に参加している筈もなく、ただ単に冬の課題を忘れたのと、今回のクリスマスは学園で刻参りしようと計画していた為の下見も兼ねていたのだが、見事に捕まってしまったというわけだ。
「陽月くんの妄言は置いておいて、とにかくみんなで遊ばない? 丁度繁華街の方で大掛かりなクリスマスイルミネーションやるんだって!」
「わ、私はいいけど……陽月くんと真姫ちゃんはどうする?」
「まぁ俺は丑の刻参りくらいしか予定なかったし、十分時間もあるからいいぞ」
「真姫ちゃんもいこうよー!」
「私はパス。クリスマスは家族全員で一日過ごすって、毎年の日課なの」
「「うわー典型的なつまらないクリスマスだ(にゃー)」
「ば、馬鹿にしないで! それに、いい子にしてないとサンタさんこないんだから!」
「……What?」
「……Why? だにゃー」
「とってつけたような英語は駄目だよ!?」
おいおい待てよブラザー。今時珍しい絶滅危惧種のホームドラマみたいな台詞を投げつけられたかと思えば……真姫の口からサンタだって? HAHAHAサンタクロースが許されるのは小学生までだぜ。まぁ俺も毎年靴下ぶらさげてるけど。
「とにかく、私は無理よ!」
ともまぁ、真面目に純粋にそんな事を言うものだから。
「HAHAHAHAHAHAH!」
「あはははは!」
「な、なんで笑うのよー!」
「二人とも……一緒になるとなんかおかしくなっちゃうよー。サンタさん助けて……」
と、真姫の面白おかしい可愛らしい過去話は置いておき、それよりも俺の気を重くしている原因を話していこう。
両手には大量の袋。中身は服やら何やら諸々である。
「体のいい荷物持ちじゃねぇか!」
思わず手に持っていた荷物たちを、歩いている寒空の下に叩きつけるところであった。周りのイルミネーションされた、木々や店の並びが以上に腹立たしく思えてきたぞ。
「まぁまぁ陽月くん怒らないで欲しいにゃー」
「凛がその両手に握ってるポップコーンと飲み物を俺の手荷物と交換するならな」
「間接キスになるけどいいかにゃ?」
「おうとも。ばっちこい」
「二人とも落ち着いて~!?」
クリスマステンションだろうか。いつも以上にはっちゃける俺と凛。そして後ろに一歩引いてついてくる花陽は、相変わらずツッコミに徹している。
「申し訳ないと思ってるけど、それより早く行かないとライトアップ始まっちゃうにゃー!」
「お、おいまてぃ!」
「待ってよー! 凛ちゃん陽月くーん!」
ライトアップされた辺り一帯を埋め尽くす、カップルたち人ごみの間をアメフトよろしく間を駆け抜けていく凛。急ぐのはわかるが、それを追っかけるこっちの身にもなってほしいものだ。それに走り抜けるスピードも尋常ではない。足を止めればあっという間に見失ってしまいそうなほどに。現に花陽は既に後ろにすら見られなくなっている。
「あははは! 速さこそ正義だにゃー!」
ようやく人も減ってきた……と言うより、少し脇道にズレて走っている様だ。そのお蔭で、俺もどれだけ走ったかわからないが、ようやく凛を視界の中央に収めることができた。距離としては手の届くくらいだ。だがそれでも凛はまだ走り足りないとばかりに、スピードを上げ続けている。珍しく履いているスカートがひらひらと揺れて、俺の視界も中々危ないものだが。
「おいそんな速く走ると――」
と、ようやく走りすぎている事を注意できたのだが、目の間には住宅地に入っていたのかわからないが、妙に大きい白い袋が横たわっていた。もちろん凛はそんな事に気が付いていなかったようで。
「にゃっ!?」
「ちっ! アホかお前!」
謎の白い袋に足を引っかけた凛。その華奢な体が宙を舞う。咄嗟の事で俺は手荷物を少々雑に走り抜けた地面に置き、思い切り飛び込む勢いで凛の体を受け止めようと体を同じく宙に投げる。間に合うかッ?!
「おっ……らぁ!」
「うにゃぁぁぁ!」
凛の体を受け止めようとした俺の体は、健闘虚しく宙を切り裂いた。だが代わりに――
「げふっ!?」
「ひゃあああ!」
回転していた凛の体の一部、臀部……お尻が俺の後頭部を直撃し、そのまま勢いよく滑り込んだ。
「いてっ、いててててて!」
「ご、ごめんにゃあああ!」
咄嗟に顔の辺りを手で覆い隠し、地面にキスする事無く二人で不時着。だが大して役にも立たない顔面を守った代償はあったようで。
「っつ……」
「陽月くん大丈夫?! 右手……痛いの?」
「あ、あぁ……正直いてぇ……具体的にどう痛いかと言われれば骨折したような痛みだ」
「そ、そんな凛のせいで……」
「嘘だから気にするなよ。かすり傷だ」
「心配して損したにゃ!」
まぁ、見栄張ってるだけだけどな……。正直じんじん熱く燃える~ような感じ。
「まぁどっちにしろこれじゃあ荷物持ちは、半分しか勤まらないけどな」
「……やっぱりごめんなさいにゃ……ちょっとはしゃぎすぎちゃった……」
いや、ちょっとじゃないだろ。
「そんな気にするなよ、元気なのはいい事だ。まぁ突然はしゃぎだすのはどうかと思うけどな」
「…………だって陽月くんと二人で見たかったんだもん」
「あん? 何か言ったか?」
「どうせならかよちんと一緒にいたかったにゃーって」
「それはひでぇだろ!」
自分で花陽振り切った癖にコイツめ……。
「……ったく、とりあえずメインのイルミネーションのところまで行くか? 花陽もきっとそこにいてくれるだろうし」
「う、うん。そうしよっか」
「荷物、半分持てよ?」
「仕方ないにゃー」
「……こんな事なら俺も花陽とが良かったよ」
「陽月くんも酷いにゃ!」
俺の落とし方が良かったのか、そのせいで片手を失ったのかわからないが、あまり散らばることなく二つの手荷物は地面に横たわっていた。
「よし、片手で持つからもう片方持ってくれよな」
「わかったにゃ…………これはチャンス」
「ん? なんか語尾が聞こえづらいけど何か言ったか?」
「い、いやぁなんでもないにゃー」
「本当か? ニャンコレチャンダフルとか聞こえるんだけど」
「耳鼻科いくべきにゃ!」
俺は右手、凛は左手に荷物を持ちながら、空いた手の居場所を求めながらお互いに手をブラブラさせながら歩き出した。
再びイルミネーションの灯る道を歩きながら、花陽もいるであろうメインイルミネーションの場所まで道中、どうにも片手の違和感を無視できなくなってきてた。何故か不自然な圧迫感というか、何かに圧縮、圧縮俺の手圧縮ゥ! されているように感じてきたのだ。
「なぁ、凛……俺の左手、もう駄目かもしれない」
「えぇ!? 別に冷たくも取れてもないよ?!」
「まぁ確かに冷たくもとれてもいないが……なんか潰れてるみたいに圧縮されてるんだ」
「えっ……ご、ごめんなさいにゃ」
「まぁ大丈夫かな? 凛はどう思う」
「だ、大丈夫だよ! あ、アノイルミネーションキレイダニャー!」
「なんで棒読みなんだ……あ、本当だ超綺麗」
人混みもメインイルミネーションに近づいているのだろうか、だいぶ密集し始めていた。流石に狭くなってきたために、俺と凛は肩が触れ合うくらいの距離で歩を進めていく。
……ちょっとまて、今度は手だけでなく腕の部分にまで違和感を感じるようになってきたぞ。確かめようにも密着率のせいで首がどうにも下に向けづらいし……。
「なぁ凛、イルミネーションもいいんだけど俺の腕おかしくない? 骨が飛び出したりしてない?」
「大丈夫! いつもどおり!」
「? なんでそんな元気なのかはわからんが凛がそういうならそうなんだろうな」
と、漫才よろしく会話を重ねている内に、メインイルミネーションの仰々しいクリスマスツリーの前にまでたどり着いていたようだ。そのツリーの大きさは例えるなら、アームストロングジェノサイドと言ったところか。大体数十メートルくらいだな。流石にメイン張るだけの威圧感はあるという感じだ。
では、ライトアップを開始します!
「おっ、タイミングばっちりじゃん」
「そうだね…………陽月くん気付いてないのかな?」
照明を一度落としますので、周りにお気を付けください!
「うわっ、真っ暗になった」
「…………気にしてないだけかな?」
では、ライトアップです! カウント……3.2.1
0!
「うっは……こりゃすげぇ」
「ふわぁあ……凄いにゃー」
一度消えた明かりが集約したかのように、目の前の巨大ツリーが目が眩むほどの発光をした。様々な色を交えながら、移り変わるその様子は息を飲むには十分すぎて、俺と凛は思わず口を噤んで目を離せないでいた。
俺の腕の違和感は、かなりのものになっていたが、そんな事は気にならないくらいに釘付けになっていた。ふと、隣を見れば普段とは違う凛の横顔。
……案外丑の刻参りしなくていいかもしれないな。
そう思えるくらいに、イルミネーションを眺める凛の顔は、ツリーの派手なライトアップに負けないくらいに、輝いてみられたのだから。
「はぁっ……はぁっ……あ、凛ちゃんに陽月くん……あっ」
花陽は、ようやく探し人である二人を見つける事ができたのだが、思わずそこで息を飲んでしまった。
一つは、そこの空間だけ神々しく、輝いて見られたから。周りのカップルの甘い雰囲気に負けないくらい、と思うくらいには。
もう一つは、陽月と凛の距離である。いくら狭いとはいえ、かなり密着している……それもその筈、凛の片手の在り処は、陽月の片手の在り処と同じであったのだから。
「……もう少し、一人でいた方がいいのかな……?」
花陽も気苦労が絶えないと、そう思った冬のクリスマスの、一場面。
ご期待に添えるものであったかはわかりませんが、精一杯書かせてもらいました!
もしも期待はずれであったなら、次はもっと頑張りたいと思います!
なんどかやったこういった企画や番外編は、やけにネタが多めですがいいんでしょうかね(白目
明日も頑張って書いていきます!