スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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断章 兵器(ちから)Cパート

 倒した事を報告すると、カースヴァインに壊された星の住民だった人達は喜んでいたそうだ。

 そして星の偉い人だった相手から迷惑料、もとい報奨金ももらった。改造費行きだろう(メタ発言)。

 だが、元々は防衛兵器として作られた筈なのに、暴走した事で失敗作として扱われ、何も知らないその星の住民からは侵略者扱い……

 兵器の癖に、暴走したのだから仕方のないとも言えるが、それはそれでやるせない……

 

 〜セイバートロン星 控え室〜

 

 「兵器か……」

 

 その日の夜……ガーランドは、飲み物を片手に寝そべっていた。一人悶々としていて、持ち出してきたゲーム機にも手を付けていない。

 そんな時、自動ドアの開閉音が鳴る。

 

 「どうしたの?そんな物思いに耽って」

 

 ラッドだった。ラッドもハイスクールの休暇だったのを思い出す。

 

 「ラッド……」

 

 「やあ」

 

 ラッドは飲み物を飲みに来ていたようだ。

 ガーランドも持っている飲み物を飲み、ゴミ箱に捨てる。

 

 「君がそんな風にしてるのって珍しいね」

 

 「聞いた事はあるか?俺のママはママを兵器として扱おうとしてきた奴らに産み出されたって」

 

 「ううん、初耳……君のお母さんってティアーユ博士が産み出したんじゃなかったっけ?」

 

 オーシャンシティーでは、ヤミがティアーユのクローンだという話は出回っている……あんまり広まったら「金色の闇を産み出した女」として噂されるようになるのはいただけないが、ティアーユの同僚(生き残り)もいるから隠しきれないのだ。

 

 「一応そうだ、おばさんが研究の中心に立ち、おばさんの生体細胞を元に産み出した人造人間……それがママだ。だが、研究機関の教育方針の食い違いってやつか?おばさんが研究に大いに役立ったのは確かだが組織と個人じゃあ、物理的なパワーバランスが違ってな……ママを人間として育てたかったおばさんは兵器として作り上げたかった奴らに命を狙われた。おばさんは一人でしか逃げられなくて、残されたママは兵器として教育されたって訳だ。宇宙に混沌と闇を……命を刈り取れ……てな」

 

 だが……その組織はヤミの本格的な運用を前に、デビルークの銀河統一が果たされた勢いでその機会を失い、さらには一人の殺し屋に壊滅させられている。

 運良く生き残った人間を何人かオーシャンシティーで見つけたが、殺し屋に命を狙われた件でトラウマを抱えるようになっていて、命を狙われた筈のティアーユも憐れんでいた。

 

 「…………そうなんだ…………」

 

 ラッドはその話を聞いて、気を消沈させていた。やるせない話だろう、だがただショックを受けさせるためにこんな話をしたい訳ではない。

 

 「ここからが本題だ。ママを兵器に仕立て上げた奴らは、何を考えてたんだろうな?」

 

 ヤミをそういう道に引きずり込んだ事への悲憤の話ではない。

 

 「何を考えてた?」

 

 星をも滅ぼす破壊兵器を作り上げようとした人間の狂気の話だ。

 

 「能力をフルで使えば、惑星だって破壊する事ができる……しかも、今はそんな事ないらしいがフルで使えば破壊衝動にだって飲まれるそうだ。バカらしいとは思わないか?」

 

 「何がバカらしいの?」

 

 「いざ破壊兵器になられてみろ。被害がそう仕向けた連中にだって及ぶだろうぜ」

 

 ラッドは話を聞いて口を開けたままとなる。

 

 「あ……そっか」

 

 「衝動の矛先としては手ごろだろうなぁ……本能に溺れて一番最初に、そして頻繁に干渉してくるやつらだ。うざったい事この上ない」

 

 「つまり……ガーランドは、自分達の命まで奪いかねないようなものを作った人達が愚かだって言いたいの?」

 

 「だな、そもそも想定できる被害が大きすぎんだよ。テックスペックだけでも銀河警察が束になってどうなるか分からん……軍も使わなきゃ駄目だな。ママが兵器としての自分を解放した状態……ダークネスに羽化した瞬間、組織の人間の命はないと見ていい……その行き着く可能性が、今回の怪獣騒ぎだ」

 

 星をも壊せる破壊兵器……それは人間一人に背負わせていい業ではない。

 

 「自分達の命すらどうでもいいみたいなマッドさを見せつけてるようなもんだ、これなら他に思惑のある奴が何かしたと考えるのが納得できる」

 

 「思惑って、どんな思惑?」

 

 答えに詰まるが、当てずっぽうで言ってみる。

 

 「…………宇宙に秩序をもたらす……とかか?」

 

 「………言ってた話と逆じゃない?混沌を……とか言ってたけど」

 

 「ラッド君……サイバトロンとデストロンは何がきっかけで歩み寄った?」

 

 あ……という声を出してラッドは呟く。

 

 「…………ユニクロン」

 

 ユニクロンを脅威と認めたスタースクリームの特攻あってのものだが、この際すっ飛ばして考える。

 

 「そうだ、混沌をもたらす闇の存在……奴と戦う時、いつ……どんな時代においても色んな勢力が停戦と協調を産んだ。呉越同舟……と人は語るか」

 

 共通の脅威を前に、敵同士で手を取り合って戦う。一時的かどうかはともかく結束を産み出してしまう。

 

 「後は、ビジネス……という面で見れば他の兵器を利用せざるを得ない環境を作るため……か?丁度いるんだよ、ママの後継機、そしてママの管轄外である精神面を攻められる人が」

 

 黒咲芽亜、かつてヤミと同じ組織に産み出された生体兵器……同じように人間の遺伝子で作り上げた存在、そして……ヤミの妹。

 

 「つまり……当て馬?」

 

 「かもしれない……生き残ってた奴らに聞いても、よく分かってなかったみたいでさ……すごいものを作り上げたかったって欲求だけが前に出てたようだ」

 

 「……なんでそんな本人達に聞いても分からない事考えてたの?」

 

 「そうだな……俺は、この話が俺達とは無関係じゃないと思ってるから……かもな。俺達のような人間は科学の最先端ってやつに目を向けなきゃいけない……それに、身の丈から外れた力を使って身を滅ぼす……そんな話一つぐらい聞いた事あるだろ?」

 

 ラッドは、ガーランドの問いに沈んだ面持ちで答える。

 

 「あったよ。マイクロン達の力で栄えた大昔の文明があったけど、他の似たような所と戦争を起こして崩壊したって……その遺跡で初めて3体のマイクロンが合体して武器になるって知ったんだ」

 

 「水没したあそこか……思った事はないか?なんでそんな馬鹿な事を……とか」

 

 ラッドとその仲間達は、遺跡で出会った少女のホログラムを思い出した。彼女の嘆きが再びラッドの中で甦る。

 

 『力を持つ者は、それをどうしても見せつけたくなるものなのでしょうか』

 

 おそらく数万年前の……しかし、確実にそこにいて、抱いたであろう思いをラッド達は受け取った。

 

 「馬鹿な……とは思った事はないよ、でも多分……根っこは同じなんだろうね」

 

 強大な力を振るいたくなるのも、強大な力を振るえる存在を作り出すのも、大した違いはないのかもしれない。

 

 「端から見りゃ、まずい事にしかならない事に熱狂し、それらが想定を越え、しかし相場通りの結末を迎えて滅んでいく……それは人の性なのか?ある時点で滅びる方向に舵を切っていくのか?何故、自ら終わりの方向に進んでいくんだ?」

 

 まくし立てるように言葉が出てくる。

 

 「……ガーランド?」

 

 「…………俺はお前に聞いてみたいんだよ、ラッド」

 

 「分かった、待って、一旦落ち着こう」

 

 ユニクロンを退けた子供達……彼らの言葉で。

 他の人間なら、ここまで突っ込んだ話はしなかった。

 ラッドは一呼吸間を開けて答えた。

 

 「どこまで答えられるかは分からないけど、君のお母さんの話で言うとしたら……自分達で作ったからこそじゃないかな?」

 

 「どういう事だ?」

 

 「どんな力を持たせて作り上げたとしても、それを産み出したのは自分達。だから何が起こっても殺されるような目には遭わない……そう思い込むのもある気がする。創造主であるが故の驕り……ってやつ?」

 

 「ハハッなんだそれ……そいつらも親だった……ってか?」

 

 「…………だね、そういう意味で言えば君のおばさんがお母さんに人間であって欲しいと願うのも、その研究機関の人達が君のお母さんを兵器に仕立てあげたいと望むのも、大した違いはないんじゃないかな……どういう道が君のお母さんにとって心地が良いかってだけで」

 

 「ふむ……」

 

 彼らもまた、ヤミの親だった……

 

 「とんだクソ親だな」

 

 「だね………でも、だからこそ……間違いなんて、簡単に否定できないんだよ」

 

 それが、分かりきった過ちだったとしても……

 

 「…………愚かだな……」

 

 「そんな愚かな僕達にできるのは、そういう人達の願いが間違った方向に進もうとしていたら止めるぐらい、かな……ガーランドが言うように、無関係じゃいられないからね」

 

 「できるのか?そういう奴らは武力を平気で使うぞ」

 

 「僕だけじゃないよ、僕の友達もコンボイも、きっと同じように動く筈だ。一緒にやれば何かを変えられるぐらいはできるって、あの時の戦いで分かったもの」

 

 ラッド……アレクサ……カルロス……マイクロン達の解放者……彼達に、意思と感情を与えた者達……

 

 「まあ、見守っててよ。僕達と、コンボイ達の行く末ってやつをさ」

 

 ラッドはそう言って、部屋から出た。

 

 『あなたが悩んでいたとは思いませんでしたよ』

 

 寝そべっている状態から見て覗き込むように光の集まったものが声をかけてきた。

 セイバートロン星のスパークといってもいい存在……プライマスだ。トランスフォーマー達にとっての神と言ってもいい。

 

 「プライマスか……いつからだ?」

 

 いつから話を聞いていた?

 

 『私はセイバートロン星そのもの……セイバートロン星のどこにでも出ようと思えば出られます、もっとも……地上に現れたのはここ最近なのですがね』

 

 「キッカーに見つけてもらわなきゃ今もまだ……って訳か」

 

 ジョーンズ博士のまだ幼い息子が初めて接触に成功したのをきっかけに、以来グランドコンボイ達の御意見番のような立ち位置にいる。それまでプライマスを見たものはいなかった。400万年……さらに前の年まで。

 

 「ずっと戦ってたあいつらをほっぽってまあ、今更ノコノコ出られたもんだ」

 

 『ええ……耳の痛い限りです。争いを止める事も、争いを激化させようとする者の動きにも、どうする事もできませんでした』

 

 「フッ……」

 

 あっさり非を認められれば、これ以上は言えないというもの……

 

 「そういえば……プライマスは、さっきの話どう思う?」

 

 ついでにプライマスが何を言うか聞いてみたいとガーランドは思った。

 

 『そうですね、私は……秩序には力がいるものと考えています。そのために兵器を手に入れる考えには肯定できます』

 

 「…………結構武闘派なんだな、トランスフォーマー達の創造神なだけはあるか」

 

 『ただし……不確定要素を含むものを兵器として取り扱うのはいかがなものかと思いますが』

 

 「不確定要素?」

 

 『それは命です。それらを媒体として産み出す以上、意思……自意識は必ず産まれます。第三者がそれを蔑ろにし思いのままに操れるなどとはゆめゆめ思わない事です。例え己の身から切り出した分身であろうとも』

 

 「ああ……なるほどな……」

 

 命があれば……やがて自我を持つ。自我を持てば、やがて思考し、悩み、創造主に反目する。マイクロンのように。

 

 『そうでなくとも、あなたの母に眠る因子は危険なのですがね』

 

 ヤミの能力が危険視されるのは今に始まった事じゃない。

 

 「待った。プライマスが言うと洒落にならん」

 

 『…………面白い話はここからだったのですが、まあいいでしょう(小声)。あなたは人類が滅びる方向に舵を切る……と言いましたね?』

 

 「ああ」

 

 『確かにあなたの母親を兵器に仕立てあげようとしたのは人類の業の一つでしょう、ですが……あの少年達もまた人類から産まれたのです。過ちを学んだ彼らなら、そのような道を選ぶ事はないと……私は彼らに希望を抱いています。あなたにもです、ガーランド』

 

 「知ってるか?希望ってのはどんなに望んでも叶う確率が希だ(ちっせえ)から希望なんだぜ?」

 

 希望と口にした時点で、何もできない可能性の方が高いのだろう。

 

 『いいえ……希望は確率論に収まるものではありません、それは伝播していくもの……繋がっていくものなのです。それらはいずれ強き(スーパー)繋がり(リンク)となり、困難を切り開く力になります』

 

 ……希望に対して、こうまで熱く語ってくるとは思わなかった。

 

 「…………未来を信じろって言葉だけは受け取っておく」

 

 『それで構いません』

 

 丁度その時、時刻を知らせるアラームがなった。

 

 『そろそろいい時間ですね。ではごきげんよう、あなたと話せて良かった』

 

 プライマスも控え室を消えるように去った。

 ガーランドは立ち上がり伸びをする。

 

 「さ〜て、おばさんに頼まれた分とコンボイ達の分の資料まとめて寝るか」

 

 制御を外れた兵器はただの暴力。その力で今回のように関係ない筈だった奴らの迷惑になる。俺達の末路が……愛すべき人達の生きる星が、そんな風にはならないで欲しいと思った。

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