スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
〜小美呼市〜
夕方……すず達親子4人揃っての帰り道だった。
「ストレイジの人達、大変そうだよね」
ニュースを見ての振り返りだった。
「ひどいよね〜」
「セブンガー壊れちゃった……」
「だなー」
「セブンガー襲ってきたやつって結局なんだったんだろうね」
「さ〜てな……(という事にしとこう)」
トランスフォーマーだというのは分かっているが、上に口止めされてそれを言えない祭里だった。
「パパ、あいつらが次来たらやっつけてよね」
「おう、任せとけ」
なんてことはない、平和な1日の繰り返し……
このまま帰って夕ご飯を作り、食べ終わった後にいつもと同じように祭里と睦み合うだろうと考えていた。
だが、たまにそうもいかなくなる……すずは王、そして妖巫女の転生体だから……
「おい、すず……影」
そう思っていた矢先……みるみる内にすずの影が大きく変わっていく。
「え?え?」
そのうちに……見覚えのある形になっていった。
「そのシルエット……まさか」
「これは……」
かなでがすずの中から現れ、驚きを隠せない。
祭里はスマホを手に取り、電話をかける。
『風巻か』
「先輩、大至急装束に着替えて来てくれ。場所はケーキ屋の近くだ」
『!!ああ』
宗牙の返事を聞き、祭里はスマホの通話を切った。
そのまま伸びていくすずの影から……クコチヒコが現れた。
「テメェ……」
祭里は装束に着替え、忍具を構える。
「久しぶりだな」
「いったいどうやって……?」
考えあぐねていると、クコチヒコの中からイチゴにそっくりな少年が出てきた。
「簡単な話だよ、オレは以前すずさんの魄を喰らった。だからどこにいるのか手に取るように分かる、そこを目印にして」
「ワープしたってのかよ……前回といい、なんつう規格外だ」
「あはは……」
すずは、以前タイムスリップした事を思い出して苦笑いに留めるのみだった。
「それで……」
そんな時、絡繰木人を連れて恋緒がやってきた。
「来たか」
「子供達を安全な所へ運びます」
「お願いね。明里、神楽、恋緒お姉ちゃんと一緒に行くんだよ」
「はーい」
そして宣言通り、子供達を運んでいく。
「頼むぜ、恋緒……」
「む……」
クコチヒコは明里達が去っていくその様を惜しそうに見つめていた。
「今日こそお前を祓ってやる」
「できるのか?今の我は前回とは違うぞ」
「前回とは違う……?」
「覚悟!!」
宗牙が上空から現れ、クナイを構えてクコチヒコに仕掛ける。
「フン」
クコチヒコは前脚でラッシュを繰り出し攻撃をいなす。
「何!?」
宗牙は攻撃をやめ、ブレーキ痕を付けながら後退る。
「先輩にスピードでついてこれるたぁ……ハッタリじゃねえみたいだな」
よく見れば、
「………………どういう事だ?」
「こいつは、普通の人間にも見えるようになったのか?」
「異なる星の者の力なれど……人の世界に足を踏み入れたのだ」
「じゃあ、オレの用は終わったから」
少年の方は帰ろうとし始めた。
「おい待て」
祭里は少年の肩を掴む。
「なぁに?」
「お前達がすずを襲わねえって保証がないからな」
少年の持つ想像以上の巨大な妖力、クコチヒコのその辺の異妖など比較にならない大きさ、妖巫女を喰らおうとした狼藉、平安最後の鬼という疑惑……瞬く間に祓いの対象に認定された。
「それもそうか……でもクコチヒコにはもうすずさんを襲う意思はないらしいよ」
予想外の言葉に、祭里達は驚く。
「ああ、此奴の言う通りだ。前回は済まなかった」
クコチヒコはすずに向かって頭を下げた。
「え……いいよいいよ、止めてくれるのなら」
「謝る気があるんなら、なんであんな事したのか言えるよな?」
クコチヒコは以前、すずに襲いかかって喰らおうとしていた。その件で祭里はクコチヒコを警戒していた……
「そうだな……端的に言えば、妖術の使いすぎだな。巫女とはいえ私欲のために
「……み、身に覚えがないとは言わせないよ……オモカゲで自分を増やして……ねえ」
「……………………」
すずは少年の挙動不審振り、赤らめた頬を見て冷や汗を流した。自身の一部を喰らっているという事は、自身の記憶も一部は共有したという話になるらしい……しかも自身が祭里に行ったあれこれを……
「………………マジか……」
当人である祭里も、頬を赤らめる。
「やめてやれ……言いたい事はよく分かった」
宗牙は、顔を背ける。
「だが……何故妖術の乱用で
「妖術を使う奴は大抵、使うような奴だって周知されていくからね。そうでなくともすずさんは常日頃から色欲で堕ちててもおかしくないわけなんだけど……食欲はもち◯きさんぐらいじゃないと堕ちないかな」
「堕ちる……何にだ?」
「……
外道に堕ちるという言葉で、一同戦慄した。
「え……私、ヤバい感じ?」
祭里は、少年の肩を掴んでる力を強める。
「外道に堕ちる……だと!?」
「…………」
「…………すずが外道だと、いい加減にしやがれ!!」
だが……少年は淡々と言葉を述べる姿勢を崩さない。
「人の範疇を超えた欲求を振り撒いて生きるのは、人の道を外れるのと同義だよ」
クコチヒコも言葉を添える。
「番に対しての欲求には目を瞑るとしよう、巫女とて人間であるとな……だが、そのために神の力を使うとあらば、それはもはや人の営みではないのだ」
「…………」
祭里は、思わず少年の肩から手を離していた。
「……モ……モーレツ否定しづらい」
かなでもすずの肩を優しめに叩いていた。
「まあ、すずさんの至るそれは異形の化け物ってより神霊的なものの方と見るけどね……こんな感じかも」
少年は一同と目を合わせる、その時今までとも違う新しい衣装に着替えたすずのイメージが映りだした。
今までの衣装より露出度が上がっている。
「これ……ちょっと良いかも」
「おいおい……」
「貴様はいずれ……
「そういう事かよ……」
朱雀の言葉がすずの頭の中に蘇る。
『何故、今でも
すずはもう妖巫女ではなく、巫女の力を使える
「それで、どうなるというのだ?」
宗牙は、疑問を投げかけた。
「警告にしろ、脅しにしろ、こちらにそのデメリットが伝わらなければ意味がないだろう」
「ちょっと聞いてみるか」
少年は、妖に声をかけた。
『え!?……』
「…………(さっきの話を要約)、って訳なんだけど」
『それの何が悪いか、教えて欲しいタヌ』
『すずさんとずっと一緒にいられるって事じゃないの?』
『このまま王様を続けてもらおうよ』
『シロガネ様より強そう』
全員が全員、いずれすずの身に振りかかるであろう出来事に肯定的だった。
「こいつ達に聞くのが間違いだったね、この辺の情緒はまだその辺の人妖の方が分かってくれるか」
「なら……なんて聞きたかったんだよ、お前」
「人と
「「「!!」」」
「妖の王なら、崇める者もそれなりに多いから数百年は担保されるだろうね」
「人でなくなる以上、人と同じ時を生きる事は叶わんな。我同様、移り変わる流転の日々に取り残されるようになる」
その言葉で衝撃を受けない人間は……この場にいなかった。
「なら、あなたは……どうするの?」
かなではクコチヒコに質問した、
「新たな
そう言って、クコチヒコは駆け出した。
「え?」
少年は急にクコチヒコが独自行動を取り出し、口を開けて驚いていた。
「おい待て!!」
「すまんな……我の用はまだ終わっておらん!!」
〜香炉木家 付近〜
クコチヒコは変形して走ってきた。
店の前で恋緒は呟く。
「祭里くん達を無視して真っ先にこちらに来るとは……」
クコチヒコは恋緒を見つけるとそのまま、恋緒を見下ろした。
「退くがよい」
「退きませんよ、ついでに言うと結界も張りましたので私を倒さなければこの先には進めません」
恋緒はローラースケート型の忍具「韋駄天輪」を着用してクコチヒコの股の下を潜って逃げる。
「貴様が抵抗したところでいたずらに傷つくだけだぞ」
カッコいい……と家の中や外で声がする、窓の外にいる巨大ロボット、平時なら肯定している所だが……
「子供達に近づく目的はいったいなんですか?」
恋緒は移動しながらミサイルの砲台を構えて撃つ。
砲弾一発一発にありがたい札を数枚貼り付けた、妖にも効くミサイルだった。
「決まっている、だがそれを貴様達に言うと思うか?陰陽連の末裔よ」
クコチヒコは槍で払い、ミサイルを爆発させた。
「時代は変わりました。私達は陰陽連ではなく祓忍です」
爆発したミサイルから出てきたのは……結界の術式を持たせた香だった。
「笑止。国崩しの末築いた国、それを崩すまいと守っているだけではないか……簒奪者でもできるぞ」
「!?…………」
「そもそも……貴様達ののたまう祓忍なる者の集まりでさえ、日輪の再来たる者の一族を軒並み滅ぼしてから作られた制度ではないか。その怨念を人の世から消し飛ばすためのな!!」
恋緒は、クコチヒコの言葉に衝撃を受けた。
それが誰を差しているかも、その一族に何が起きたのかも分かっていた。それが時の幕府の罪である事も……
「貴様達の先祖は恐れ憎んだのだ……奴の存在を、怨敵の偉業をなぞり、日輪の子と号したその者の存在を!!」
それとすずの遠い前世で繋げられた途端、自分達の正義を否定された気分になった。
「故に、貴様達に妖巫女の……天照の守護者を任せてはおけんというのが我が本音なのだ」
「……刺激的な言葉ですね……でも」
恋緒はパチンコを構え、球を構えて発射する。
「私達はともかく、すずさんを守るために今まで頑張ってきた祭里くんを否定するのだけはやめてもらいましょうか!!」
恋緒は思い返していた……
祭里がどれだけ、すずのために頑張ってきたのか……彼女に危害を加え得るもの達を祓ってきたのか、それをずっと見てきたのだ。
それを……過去の業で否定される訳にはいかない。
絡繰木人・巨躯型が飛び出す。
「行ってください!!」
絡繰木人は腕に備え付けたグローブでラッシュを繰り出す。
「愚かな」
クコチヒコはその攻撃に合わせ、ラッシュで応戦する。
「この程度……容易く壊せる!!」
クコチヒコはその言葉と共に、殴打を加えて絡繰木人を壊す。
「もう一機行きます」
恋緒はパチンコから何発か高速で発射する。
二機目の絡繰木人が飛び出し、飛び蹴りを放つ。
手部分から忍刀を練りだし、クコチヒコに斬りかかる。
「遅い!!」
クコチヒコは槍で絡繰木人に攻撃。
「さらにもう一機!!」
三機目は、後ろクコチヒコを掴み、ジャンプしてクコチヒコのみを地面に叩きつけようとする。
「はぁ!!」
クコチヒコの胸にある犬の頭の部分が絡繰木人のパーツを噛み砕く。
絡繰木人は爆発し、クコチヒコは脱出した。
風圧が恋緒を襲う。
「きゃぁっ」
ローラースケート型の忍具を履いていたため、バランスを崩す。
「もう分かったろう?貴様との力の差は歴然だと。貴様の祭里とやらへの想いの力は認めてやらなくもないがな……それでは埋まらんものもある」
「…………一方通行だと、笑ってくれて構いませんよ」
内心を見透かされている事についての恐怖はなく、むしろ清々しかった。聞く所によると、同じ類の者であるという確信があったからである。
「嫌……」
クコチヒコは槍を構えた……
「何をされても、屈しませんよ」
「はぁ!!」
「そこまでだ!!」
「クコチヒコさん、もうやめて!!」
すず達が走ってきた。
「少々戯れが過ぎたか……」
「とう!!」
少年に中に入られる事でクコチヒコの動きは止められた。
「止せ、今からが良い所なのだ」
「がっつき過ぎだよ……女性へのエスコートがなっちゃいない」
「貴様ならばできるとでも?」
「少なくとも、今のあんたよりはマシさ……間違っても自分を守ってくれる人を傷つけようとする奴を味方とは認識しないだろうね」
その言葉でクコチヒコはため息を着いた。
「……………頭を冷やすとするか」
「チャンスはいくらでもある、焦っちゃダメだよ」
「立てるか?」
「大丈夫かよ、恋緒」
「はい、怪我はせずに済みました」
「あなた達は……何が望みなの?」
すずの言葉に、少年達は答える。
「……………祝福?」
「そのようなものだ……だが……確かにこれでは納得できんな……日を改めるしかあるまい」
クコチヒコは変形し、踵を返した。
「逃がすか!!」
祭里達は順次攻撃を仕掛けた。
「来い……第二王妃の恐れの象徴よ」
少年の号令により、動物の形を持つシルエットが何体も現れ祭里達に襲いかかる。
「妖術だと!?」
「有翼種……ドラゴンか、面白い」
「足止め用みたいですね……この不定形さなら封印筒で捕まえて調べられるかも」
「どうしよう……数が多い」
祭里達が対応に追われている間、クコチヒコ達との距離が遠のいてく。
「くっ待て!!」
「じゃあ、またね〜」
クコチヒコは去っていった。
クコチヒコが見えなくなると、動物の影も消えた。
「き……消えました……今さっき吸い込んだ封印筒の中身までもが」
恋緒は少しばかり落ち込んだ。
「アプリからも反応はロストか……もう近くを探してもいないだろうな」
「数分間の出来事とは思えないぜ……一体なんだったんだ……?」
祭里はどっと疲れを感じた、周囲への被害は恋緒の消耗と絡繰木人数機だったが……
「さあな……だが向こうに手段が揃ってる以上……またこうなる可能性は考慮したほうがいいだろう。向こうの目的は果たしてないようだしな」
「そうだね……」
そうすずは呟く、だがクコチヒコに言われた言葉でか……気落ちしているようだ。
「なあ、すず」
「何?」
「…………あいつの言ってた事、そうなるかもしれねえってだけだろうし……気にしてもしょうがねえよ。例えもしそうなっても、俺達はずっと一緒だぜ」
「うん、ありがとう」
祭里の言葉で、すずの心は落ち着いた。
いつも守ってくれた彼の言葉には……安心感が湧く。
「じゃあ、明里達を迎えに行こうぜ」
「そうしよっか」
だが……新たな疑問は増えた。
新たな妖巫女……それはいったいどういう事だろうか?