スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。


第9話 舵木忠義道(かじきちゅうぎみち) Cパート

 「来い、セレス」

 

 黒鋼は自身のロボを呼び出した。

 青い体、龍のような翼、兜、爪がある。

 

 「………いけるのか?」

 

 イチゴがわざわざ指名してきたし、しばらくやることが無いので乗ってみたがただ単にいけそうな見た目であるというぐらいで、よく分からない……

 

 「ダメ元ダメ元、ダメだったら次の手を考えるだけだよ、黒りん」

 

 「ちっしゃーねえか」

 

 小狼(シャオラン)達に海水がかぶらないよう、少しずつ歩を進め、海へと入っていった。

 ゆっくりと、水に浸かっていくその様は……段々と、深い所へと足を運ぶその様は……まるで……そう、入水。

 

 「はん」

 

 黒鋼は、その言葉は最も自分には程遠いものだと確信している。自分の迎える死は、その場一帯が血で覆われた戦いの最中か、老い朽ちての往生か、どちらかでしかない。

 だが、いずれも迎える場はここではない。この世界で果てる訳にはいかない、ここで迷っている暇はない。知世姫について語った後、無性にそう思えた。

 黒鋼は、意を決したように、セレスにアクセルをかけた。

 

 「マジか………こいつ………いけるぞ」

 

 黒鋼は、セレスが海の中、飛行と変わらない程度のスピードで泳ぐのをコックピット部分から感じ取り、驚きを隠せなかった。

 そして海中を進んでいくと………

 沈んだ戦艦に、それを突っつくカジキマグロのような物体が見えてきた……いずれも有り得ないほどのなりと大きさだ。多分これだと思うには充分すぎる程。

 

 「あいつか……まあ、引き上げりゃ分かるだろ」

 

 黒鋼は戦艦を、大根を引っこ抜くようにつかみ、引き上げた。

 

 『ショック!?』

 

 体中にスイッチが入ったのか、全体が光った。

 

 「あんたを探している奴がいるんだ、こんなところで寝られちゃ困る」

 

 『ショック……モチバ、カエル』

 

 舵木折神は、ショックウェーブが浮上すると、黒鋼に見向きはせずにすぐに海岸に向かっていった。

 

 「俺に捕まえられる気はねえってか、だが……流ノ介を追ってるのか?」

 

 黒鋼も、急いで海岸に戻っていった。

 

 『ショック……ウェーブ!!』

 

 そして空へと飛んだショックウェーブは戦艦から変形し、鋼鉄武装のスーパーロボットとなった。

 

 『おお……無事だったか』

 

 「あれが……ショックウェーブ……」

 

 結構デカい、ビルよりデカい。

 

 「先日はお世話になりました。ありがとうございます」

 

 便宜上、ゲネガーグと呼ばれるようになった怪獣との戦い、その時シンケンオーに合体してもらったり、手を貸してもらったりするなどお世話になったのだ。

 

 『雑談はやめだ。この振動……間違いない、デカいのが来るぞ!!』

 

 流ノ介はインフェルノのその言葉を聞くと同時に釣り竿を振る。

 空き缶とも、イチゴとも比べようのない重み。分かる、確実に、舵木折神はそこにいる。

 その証拠にさっきよりモヂカラの吸われ方が激しくなっていく。

 

 「やれるか?やめておくなら今の内だぞ」

 

 「いいえ、やめる訳にはいきません…………」

 

 流ノ介の言葉に朔太郎は頷き

 

 「モヂカラに集中しろ」

 

 と流ノ介を援護する側に回った。

 朔太郎の助言を受け、モヂカラの方に集中を始めた。

 黒鋼もセレスから降りて、加勢する。

 

 「揺れる心配はするな!!お前はお前のやるべき事をやれ!!」

 

 「私も手伝いましょう!!」

 

 男手が流ノ介含めて四人、そのうち二人は身長の高く、力の強い大男、支えとしては申し分ない。

 

 「ありがたい!!」

 

 「タイミングは合わせます」

 

 「いけー!!」

 

 流ノ介は、釣り竿を引き揚げた。

 

 バッシャーン!!

 

 「!!」

 

 まさしく舵木折神だと言えるものが海からでてきた……

 デカい。

 デカすぎる。

 ショックウェーブほどではないが……手違いでもし乗られたら、死ねる。

 誰もが息を飲む中、流ノ介は、用意していた「捕」の秘伝ディスクを掲げた。

 

 「来い、舵木折神!!」

 

 流ノ介の呼びかけに答えてか、舵木折神は「捕」のディスクに向きを変える。

 舵木折神がその場から消失すると共に「捕」のディスクは、「舵木」の文字に変わった。

 

 「やった……やったぞー!!」

 

 流ノ介は嬉しくなり、飛び回った。

 

 「ファイ殿……残りを全部食べても……?」

 

 流ノ介はそのままファイに聞いた。

 

 「良いよ~小狼(シャオラン)君」

 

 「はい」

 

 流ノ介は、栄養補給とばかりに紙袋に入った残り全部のたい焼きを食べた。一つ一つ手に取って食べたので、少々時間のロスあったが。

 流ノ介の消費したモヂカラが、たい焼きを食った分チャージされる。

 

 「では、行ってきます」

 

 流ノ介は、海岸を去る。ここでやるべき事は、もう終わった。

 

 「やはり………良いものだな」

 

 朔太郎が感慨にふけっていると、黒鋼達が話しかけてきた。

 

 「何者だ?テメェ」

 

 「?」

 

 「あなたの言っている言葉は当事者の言葉だ、だがあなたは侍じゃない、第一侍はほとんど……」

 

 凛はそれ以上は言わなかった。

 

 「彦馬殿から聞いた話だが、志葉家に仕えるものの中には、侍だけでなくとも代々……」

 

 「まあ……そういう事だ、あいつには聞かれなかったが……」

 

 朔太郎は語る、彼もまた、先代のシンケンレッドに仕えていたと………だが、もうその先代シンケンレッドはいない。あるのは、ただ空しさばかり。空しさを覚えたのは朔太郎自身。

 

 「やはり……そういうことか」

 

 『ショック……メガトロンサマ、イナクナッタ。オマエノキモチ、ワカル』

 

 『自分達もメガトロン様を亡くして久しい……共に戦い続けてきた頃より、失ってから今に至るまでの方が長かったような気もする』

 

 「そうか………」

 

 『だが、空しくなる暇なぞない。自分達が今サイバトロンと共にいるのも、メガトロン様がその前にそうお決めになったからだ……でなければ、あれほどいがみ合ってきたサイバトロンとなぞ……』

 

 「そのメガトロンって方が望めば……また争うんですか?」

 

 小狼(シャオラン)は何気ない風にアイアンハイドに聞く。

 

 『そう……だな……メガトロン様がそれをお望みであれば……後貴様、メガトロン様だぞ、覚えておけ』

 

 『おい、聞き捨てならんぞ、アイアンハイド』

 

 『ええい、うるさいぞ、サイバトロンめ……とにかくだ……主を失って空しくなるのも仕方のない事だ、だがその前に主の望んでいた事を叶えるのが先だと思う。そうすれば、自分達に知る由はないが、どこかできっと喜んでくれると……私は……』

 

 「くだらねえ」

 

 黒鋼は、そっぽを向きつつ、頭をかく。

 

 「そうなる前に、俺は全てを斬ってやる……白饅頭、行くぞ」

 

 「行くの?」

 

 「ああ……あの毒は、シンケンジャーの奴らでも直撃したって話だろ、て事は俺達が戦ってもそう変わらんって事だ」

 

 「止められる黒様じゃないからね、そういう訳で、イチゴ君をよろしくね~終わったら迎えに行くよー」

 

 「あ……ああ」

 

 「では!!」

 

 モコナは小狼(シャオラン)の頭に乗り、そして彼らは走っていった。

 

 『おい、待て!!くだらねえとはなんだ貴様ー!!』

 

 アイアンハイド、ショックウェーブは黒鋼を追いかけていった。

 

 「…………あなたは?」

 

 ザスティンはインフェルノを見る。

 

 『奴らは戦士だ。子供ではないし、いちいち行動を共にしなくても良かろう……それより、俺は曲がりなりにも消防車でな……こいつを看るぞ……君はどうする?』

 

 朔太郎は考える仕草を取る。

 

 「そうですな……」

 

 ~一方、その頃~

 

 ヤミオロロは、毒である自身の肉体から発する気体を道端の親子に嗅がせようとしていた。

 

 「俺のよだれ渋いよ~飲む?」

 

 異形の怪物が、何かものすごく変態的な言動を取り、恐怖で全体が強張る。

 その現場に丈瑠が現れ、ヤミオロロに攻撃する。

 

 「逃げてください」

 

 親子が逃げ切るのを見て、丈瑠はヤミオロロの方を向く。

 

 「お前が嗅ぐか~?」

 

 よそ見をしていたタイミングで、丈瑠はヤミオロロの毒を受ける。

 

 「ぐっ」

 

 丈瑠はよろけるも、尚立ち上がる。 

 

 「一度吸えば、二度も三度も……同じだな」

 

 暴論過ぎだよとイチゴがその場にいればそうツッコミを入れるだろう。

 一度病気にかかって、苦しんでるなら何度移されようと一緒と言っているのだ。

 それにいつもの刀捌きのキレも失われている。

 そうこうしている内に他の3人もやってきた。

 だが、やはりフラフラでモヂカラを使って変身もできなさそうな程弱ったままだった。

 それは丈瑠も一緒だが……

 

 「俺の汗苦いよ~いる?」

 

 ヤミオロロは滑って四人に体当たりしてきた。

 

 「ぐぁああああ!!」

 

 すぐに、みんな倒れていった。

 無い物ねだりとはいえ、そろそろ流ノ介が舵木折神を捕まえてこっちに来てくれないかと思えてきた。さすがにもう、我慢も難しくなってきている。生存本能が、そう思わせているのか?

 突如、氷雨が降ってきた。

 天然のものではない、空のように青みがかっている。

 

 「なんだこれ?」

 

 氷雨は異物を洗い流すように、しっとりと、優しく包み込んでくる。

 

 「これは……」

 

 体を蝕んでいた熱が、引いていく。

 

 「体が………楽に」

 

 「殿ォ!!お待たせしました!!」

 

 流ノ介が出てきた、手に新たな秘伝ディスクを携えて。

 

 「やったな!!」

 

 「はい!!」

 

 「元気ハツラツってなった所で、いくぜ!!」

 

 「ええ」

 

 「うん」

 

 「ああ!!」

 

 ~例のBGM~

 

 「ショドウフォン!!」

 

 「「「「「一筆奏上!!」」」」」

 

 「破ぁ!!」

 

 ショドウフォンで文字を書きそれを反転させ、各々のモヂカラによって形成させたスーツに身を包み、5人はシンケンジャーとなる。

 

 「シンケンレッド、志葉丈瑠」

 

 「同じくブルー、池波流ノ介」

 

 「同じくピンク、白石茉子」

 

 「同じくグリーン、谷千明」

 

 「同じくイエロー、花織ことは」

 

 「天下御免の侍戦隊」

 

 全員「シンケンジャー、参る!!」

 全員ヤミオロロに向かっていった。

 体調快復し、ブルーも合流し、もはや彼らに隙なし。

 

 「はぁ!!」

 

 「ふっ!!」

 

 「おらぁ!!」

 

 「やぁ!!」

 

 シンケンマルの太刀筋も元通り、快刀乱麻のよう。

 

 「うあー」

 

 ヤミオロロは吹っ飛ぶ。

 

 「お前もくらえー」

 

 ヤミオロロは、毒をくらわせた覚えのない流ノ介を対象に毒をくらわせようとする。

 

 「シンケンマル・水流の舞!!」

 

 だが、流ノ介は文字通り水流で、ヤミオロロの毒を打ち払い、ヤミオロロに直撃させる。

 

 「洗い流されてくよーん」

 

 「トドメだ、烈火大斬刀・大筒モード」

 

 丈瑠は烈火大斬刀をバズーカに切り替えた、四人はそれを見て跪く体勢を取る。

 

 「流ノ介、一緒に行くぞ」

 

 「…………は!!」

 

 流ノ介は、丈瑠に頼られた事が嬉しく少しウキウキ気分で烈火大斬刀に舵木ディスクを差し込む。

 

 「舵木・五輪弾!!」

 

 五人のモヂカラを込めた一撃を、ヤミオロロに向かって放つ。

 

 「ギャー!!」

 

 ヤミオロロは爆発した。

 

 「成敗!!(by流ノ介)」

 

 そして二の目へ……

 

 「せっかくだし、巨大化して嗅がすか~」

 

 この時、いつもより多めにナナシ連中も現れた。

 丈瑠達はショドウフォンを取り出す。各々の折神を呼び、シンケンオーへと合体するのだ。

 

 「出遅れたが、ここから先は俺も出るぞ!!」

 

 黒鋼がセレスに搭乗して参戦してきた。

 

 「という事は……」

 

 見渡すと思った通り小狼(シャオラン)達も来ていた。

 

 「イチゴはどうした?」

 

 説明したのは………流ノ介。

 

 「それがその……少々事情がございまして……今は優しいお方に介抱されています」

 

 「そうか………分かった」

 

 気を取り直してショドウフォンで、折神を呼ぶ。

 

 「折神大変化!!」

 

 そして巨大化。

 

 「侍合体」

 

 五体の折神が合体し、シンケンオーとなった。

 

 「シンケンオー、天下統一!!」

 

 「俺も来ました、押忍!!」

 

 セブンガーも現れる。乗っているのは、ハルキだ。

 

 「怪我はもう大丈夫か?」

 

 「押忍!!大丈夫です、俺、打たれ強い方ですから」

 

 「行くぞ」

 

 「押忍!!」

 

 セブンガーの鉄拳で、ナナシ連中の一人を殴る。

 ナナシ連中、一人爆発。

 

 「でえりゃああああ!!」

 

 黒鋼の駆るセレスの放つ斬撃は、ナナシ連中を瞬く間になますのように斬り裂いていく。

 

 「やるな……よーし、俺も行きますよ!!」

 

 ハルキはウルトラゼットライザーのトリガーを押します、しかし、何故か反応が無いのでございまする。

 

 「あれ?え?」

 

 戸惑っている内にナナシ連中の一人がセブンガーに襲いかかろうとしてきた。

 

 「あ!?」

 

 反応に遅れ、ハルキが危険を感じざるを得なくなったその時……

 瞬間、一閃。

 ナナシ連中の一人は、切り捨てられた。

 斬ったのは黒鋼の乗るセレスだった。

 

 「ボケッとしてんじゃねえ」

 

 「押忍!!ありがとうございます!!」

 

 「…………」

 

 黒鋼は感謝された事で、こっぱずかしくなり、セレスごとそっぽを向いた。

 

 『あいつめ、ムカつく言葉を言うが腕は立つな……』

 

 アイアンハイドは呟きつつも指部から発する砲弾をナナシ連中に浴びせ、倒す。

 

 『ショック、ウェーブ!!』

 

 ショックウェーブは自身に付いた大量の砲台を使いナナシ連中を広範囲に攻めた。

 

 『うむ……流石だな、ショックウェーブ……蹴散らすぞ』

 

 アイアンハイドは、指の部分からビームを撃ち、ナナシ連中を蹴散らす。

 

 『恨みはないが、消えてもらうぞ』

 

 そして、全ていなくなった所で狙いは全員ヤミオロロになった。

 

 「なめるなよ~じゃーん」

 

 毒を霧状に吐かれ、目くらましをくらった。

 直接は斬れそうにない。

 

 「これで斬れまい」

 

 「構うもんか、閃竜(せんりゅう)飛光撃(ひこうげき)!!」

 

 黒鋼の剣技をトレースし、セレスは衝撃波を放つ。粗方ナナシ連中を撃ち終わったアイアンハイド達も、ヤミオロロを狙う。

 しかし、大きくなったその衝撃波を持ってしても、ビーム攻撃を持ってしても、ヤミオロロには当たらない。

 毒の霧を隠れ蓑にしているようだ。

 

 「何!?」

 

 「あかん、どうにかせな」

 

 「殿、舵木折神なら!!」

 

 「そっか」

 

 「流ノ介、お前が捕まえたんだ、使えるな?」

 

 「はっ!!」

 

 流ノ介はシンケンマルに舵木折神のディスクをセットする。

 舵木折神が出現。

 

 「おお!!あれ捕まえたんすか?すげえ」

 

 「改めて見ると壮観だな……」

 

 『うむ、よく分からんが早速力を使っているな』

 

 『ショック!!』

 

 「舵木魚雷!!」

 

 流ノ介が叫ぶと、舵木折神からミサイルが飛びでてくる。

 そのミサイルは毒の霧を貫通し、爆発する。

 よく見るとミサイルは水を纏っている、あれで洗い流しているのか?

 

 『ショック!?』

 

 『我らは、そんなミサイルを出せないのだが!?』

 

 まあまあと、ことはは通じるかは分からないがアイアンハイドをなだめる。

 毒の霧を払いのけ、その(つるぎ)のように長く伸びたブツでヤミオロロのお尻にプスリと一発当てた。

 

 「ギャー!!」

 

 「やっぱりすごいねえ、舵木折神」

 

 「続いていきます」

 

 流ノ介は、シンケンマルに舵木ディスクを差し込む。

 

 「侍武装!!」

 

 シンケンオーは元々の兜を外し、分裂した舵木折神を背中、頭へと装着した。

 耳のように舵木折神の頭部が展開して、完成する。

 

 「カジキシンケンオー、天下武装!!」

 

 「あの魚も付けられるのか」

 

 「ダイシンケン・ナギナタモード」

 

 薙刀(ナギナタ)だ、ダイシンケンを二つ用意、そして持ち方を調整する事でダイシンケンを刀でなく薙刀へと変化させている。

 

 「うぉー」

 

 ヤミオロロはすぐに手持ちの武器を振り回してきた。

 

 「はぁ!!」

 

 負けじとカジキシンケンオーもダイシンケンを振り回す。ぐるんぐるんと動かしているが、無駄のない動きでヤミオロロが振り回す武器の一手一手をことごとく封じる。

 

 「そこだ、いけ」

 

 「はっ」

 

 流ノ介は、シンケンマルにセットした舵木折神を力強く回す。

 ダイシンケンを放り投げ、カジキシンケンオーの頭部を開いてくっつける。頭が凶器となった。

 

 「舵木・一刀両断!!」

 

 トドメに一発、ごめんなさいと頭を下げる、もしくはお辞儀をするように、直角に上体を傾け、きついのを当てる。

 瞬間的にダイシンケンを振り下ろす攻撃速度を上回り、ヤミオロロを切り裂いた。

 

 「消毒、消毒、バイバーイ」

 

 ヤミオロロは爆発、今度こそ……やっつけた。

 

 「これにて、一件落着」

 

 『デストロン、大勝利だな』

 

 「シンケンジャー、つよーい!!」

 

 モコナは、地上で拍手した。

 

 ~海岸~

 

 「…………………」

 

 イチゴは目を覚ました。

 

 「イチゴ様、起きましたか?お加減は」

 

 すぐに凛とザスティンが寄ってきた。

 

 「元気元気。凛さん、ザスティンさん、ここはどこ?」

 

 「近くの小屋です、イチゴは少し疲れて眠っておられました」

 

 相当桃太郎との一件が応えたみたいだ。まだ体の節々が痛む。

 

 「あの侍にこれを渡しとけと言われた、頼めるか?」

 

 イチゴは凛からバンダナを巻いていた男の書いた手紙をもらった。

 

 「うん」

 

 イチゴがそれを受け取ると、凛は海岸から去ろうとする。

 

 「私はもう戻るよ、ブラ……捜し物はここにはなさそうだし」

 

 「そう……じゃあね」

 

 去り際に、彼女は付け加えた。

 

 「あいつには元気だったと伝えておくぞ、言葉に出してはいないが、ずっとお前の事を心配しているからな」

 

 父か?母か?両方か?余計な事だと思った、彼らに報告する事がじゃない、彼らに報告するとイチゴに言う事が…………

 

 「…………………………」

 

 「では、イチゴ様もお気をつけて」

 

 ザスティンも凛について場を後にする。

 

 『アイアンハイド……終わったか?よし、こっちも終わった、総司令官の元に帰ろう………場所はさっきの所だ』

 

 インフェルノも、その場を後にして、帰っていった。

 そうこうしている内に、流ノ介がやってきた。

 

 「イチゴ君、あの人達はどうした?」

 

 「もう帰っちゃったよ……流ノ介さん、これ」

 

 イチゴは凛から渡された手紙を流ノ介に渡した。

 受け取った流ノ介は、すぐに開いて中を確認する。

 流ノ介は声に出して読んできたので、内容は筒抜けだった。内容はこうだ……

 

 『若い侍へ あんたのおかげで大切なものを思い出した 自分のするべき事も ありがとう』

 

 イチゴの認識だといつの間にか、流ノ介は誰かに感謝される事をしていた…………よく分からないが侍に対して尊敬の念を抱かざるにはいられない。

 

 「朔太郎殿……私も自分の気持ちを見つめ直す事ができました。ありがとうございました……」

 

 流ノ介は、手紙に向かってお辞儀をする。

 多分、朔太郎への感謝を込めて………

 

 「グズグズしちゃいられねえ、戻るぞ」

 

 「黒鋼殿?少々早いですよ」

 

 「黒っち~もう少しゆっくり歩きなよ」

 

 「明日も羽根探すんだ、グズグズしちゃいられねえ」

 

 彼の背中は語る……何か、焦っている?

 その焦りが何かは分からないが、イチゴには彼を追いかけるしか無さそうだった。

 帰った後、イチゴが寝込んだ事を丈瑠に叱られてしまったのは内緒の話。

 

 「色々あったのは信じるが、モコナ達と流ノ介の供をできずに寝込むのは関心しないな」

 

 「すみません」

 

 ~志葉屋敷~

 

 その日の夜、黒子が一人……彦馬と会っていた。彦馬は、旧友との再会を懐かしみ笑みがこぼれていた。

 

 「おお…………よく戻ってくれた、先代殿の死で何もかも捨ててしまったお前が」

 

 相手は、朔太郎だ。

 

 「もう一度、負ける事など考えなかったあの頃に戻ってみようかという気になりました」

 

 「共に、侍達の影の支えに」

 

 「はい、良い侍達ばかりで。ところで、例の魔女の使いと行動を共にしていた少年は……」

 

 「イチゴか?お主のように一族代々という訳ではないが、少々訳ありでな………殿の意向もあって黒子として置いておる」

 

 「なるほど……大変そうですな、見立て通りなら、影であるには濃いかも」

 

 「出自が出自故、影でいさせてやる方が、この場合は良いかもしれん。いずれその時は来るだろうが……それまでは先輩として導いてやってくれ」

 

 「なるほど」

 

 朔太郎は頷き、頭巾を被り、顔を覆った。

 

 ~天条院邸~

 

 「ホーッホッホッホッホ!!ザスティン様ー、凛、お帰りなさい」

 

 二人の帰還、沙姫は盛大に出迎えた。

 子ども達も別の部屋の隙間から覗いている。

 中には凛の娘、九条(らん)もいる。

 

 「沙姫様ー!!」

 

 凛は、沙姫の姿を見かけた途端、涙を見せ、我を忘れて寄りかかってきた。

 

 「ど、どういう事ですの?」

 

 「う……うう……」

 

 「沙姫様、凛様はその……いつかは我が身に関わるかもしれない話というか、そういう話を聞いてしまい……」

 

 ザスティンも、むせび泣く様子を見せる。

 

 「?」

 

 「蘭……そうだな……」

 

 凛とザスティンは、今日の出来事を語った。

 

 「なるほど……兄上がいたんですね」

 

 最近ちょっと見かけたぐらいで、十代になりたての蘭はろくに思い出も作った事はなかった。物心の付くか付かないかの時、彼はいなくなった。

 

 「なるほど………事情は分かりました、それはつらかったでしょう」

 

 「…………………」

 

 沙姫は、改めて凛を抱擁する。

 

 「凛、私は何かされようと返り討ちにしますし、おばあちゃまになっても、あなたが気張らなければならないぐらいずっと長生きします。それなら安心でしょう?」

 

 「ならば私は、そんな沙姫様を守れるように更なる精進をしてまいります!!」

 

 自然と、二人だけの世界が展開されていく。

 友達ぐらいだろう、この輪に参加できるのは………

 

 「ザスティン様……沙姫様と母上がなんだか盛り上がって近寄りがたいのですが」

 

 若干引き気味に蘭はザスティンに言う、しかしザスティンは涙を流し首を横に振る。

 

 「すみませんが、今日は母君をそっとしてやってください。主君を守れずに自分だけが生き延びる……考えるだけでも、つらいのです」

 

 「そ、そうなのですか」

 

 「蘭様も、失いたくない主というものについて、いずれ知るかもしれません。知らないままでいるかもしれません。ですがまあ、知らなければいけないとは思っていません、親と子の関係性が、必ずしもそのまま受け継がれるという事はないかもですし……蘭様は蘭様で思いのままに過ごしていただければそれで、ええ………はい」




いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。丹波や朧様は、話にまだ出てきてないので組ませられなかったであります。
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