スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
ファイの言われたくない事は双子の兄弟の一件です。
イチゴは今、黒子の部屋で寝ている。
触ると、少し熱っぽい。
ズボシメシの悪口を聞いたせいなのかは分からない、状況的にはそうだが……どれだけ心にグサリと来る言葉を言われたのか?
ファイは寝ている状態のイチゴの顔を見て、疑問を呟いた。
「イチゴ君、こんなになって、一体何を言われたのかな?」
聞いてはみたが知りたくて言ったという訳ではない、それを本当に知ってしまえば対価として自分も明かさなければならなくなるから。
「オレもあるんだ~そういうの」
聞こえないであろう事を良いことに、そこで話をぶった切った。
「ミンナニハナイショダヨ」
そしてファイはイチゴの額のおしぼりを変えた。
そしてそれを報告しようとする途中の渡り廊下で、ファイはモコナに遭遇した。
「ファイ……」
モコナは少し含みのあるように、しょんぼりとしていた。
「なんだいモコナ?」
「ファイはみんなに言いたくない事があるの?」
「まあ、ね……」
「モコナ、知らなかった」
「知らないで良いんだよ、共有してない方が気楽な事もあるんだし……ね?」
「そうかな?一人で抱え込まない方が良いってモコナ思うけど」
「オレはそう思わないかな、それよりさモコナ、侍のみんなが戦う時、伝言があるんだ」
ファイはモコナにある事を言った。
「うん……まかしとけ」
モコナはその白いお腹にポンと手を当てた。
「でもいつか、モコナ達に教えてくれると嬉しいな」
〜三途の川〜
薄皮太夫は三味線を爪弾く勢いを強めている。
ズボシメシが人間界から帰ってきたからだ。
奴の悪口のキレは、ズボシメシ自身の族する外道衆相手にも発揮してしまう。特に真っ先にやられるであろう相手は太夫だったので、ズボシメシの悪口が聞こえないようにしていた。
「あー太夫、俺ぁ情熱的なのは好みじゃねえんだが」
「シャ!!」
ドウコクの言葉にも耳を貸さない程。
だが、ズボシメシは太夫の行動を意にも介さない。
「お前さん、元気無いねえ……どうしたんだい?」
シタリはズボシメシの顔を見る。ズボシメシは人間界に出る時より、落ち込んでいた。
「言い返されて吹っ飛ばされた、危うく舌も切られる所だった」
「ほう、それは痛快だねえ、ついでにその悪口しか言えない目障りな口も無くなってくれれば言う事無しさ」
太夫のここぞとばかりに出てくる言葉も、ズボシメシは意に介さず。
「それよりも、悪口を言われても効かなかった奴がいたのだ、気持ち悪い」
「ほーそいつはすごいのがいたもんだねえ、でもさ、それって自分がそう言われるのが当たり前、と笑ってごまかそうとする人間じゃないのかねぇ?ナナシ連中が持って帰ってきたこれに書いてあったのさ」
シタリは漫画をズボシメシに見せた。
「これにはねぇ、人間、つらい時、苦しい時こそ笑うのが良いって書いてある。耐えるのも美徳の内みたいさね」
「ふん、くだらん」
太夫は悪態をついた後、三味線の音を一層強める。耐えた所でなんになる、笑った所でなんになる、と三味線の音色が雄弁に語っている。シタリは気にせず続けた。
「色んな人間がいるって事だよ。ショックを受ける人間もいるし反発する奴もいるだろうさ。勢い余って激情を放つかもしれない。それを言われる自分自身って奴を拒絶するのもいるかもしれないし、中には取り乱さないように、波風を起こさないように、受け入れる選択を取る人間がいても不思議じゃない。でも、そういうのほど手札は多いもんさね。他にも、何か、何かあるはずだよ、笑っても抑えても耐えられないやつとかさぁ」
ズボシメシは、思い当たる節があるのか、すぐさま笑顔を取り戻した。
「良く調べたな、イカ頭」
ズボシメシの一言でシタリは吹っ飛ばされた。
「情報収集は大事だからねえ、生き残るには必要だよ〜ドウコクー、助けちゃくれないかーい?」
「では行ってくるで、人間と相打ちの」
ズボシメシがドウコクの悪口を言いかけたため、ドウコクは無言でズボシメシに近づくよう促し、デコピンでズボシメシを人間界へ吹っ飛ばす。
「わちきはあいつが嫌いだ」
「そうかい、場を外さないだけよく耐えたと言いたい所だが……はええとこ三味線の調子を元に戻してくれ」
「ああ」
太夫の三味線は、元の怪しい、怨念を引き連れているような、引きつけるような調子へと戻っていった。
「おら、行って来い」
ドウコクは、ナナシ連中にシタリの回収を命じた。
〜志葉家 屋敷周辺〜
千明は、ことはに謝ろうと思ってことはのいそうな場所を探った。
そのうちに笛の音が聞こえてきた。
笛の音を頼りに進むと、横笛を吹くことはが
見えた。吹いているのは、ことはだったようだ。
「あ」
気の効いた声のかけ方が分からず、声だけが漏れた。
「千明」
ことはは、千明に気がつくと、笛を吹くのを止めて、千明に駆け寄った。
何から言おうか迷ったが、笛の話題にした。
「あーさっきはその……悪かったっていうか、上手いじゃん。笛」
千明が笛について褒めると、ことはは昔話を語った。
………………
笛は姉のみつばという人から習ったそうだ。
昔、ことはは泣いてばかりで、何をやってもうまくいかず、いじめられていた。
そんなことはを元気づけるために、姉はよく笛を吹いてくれた。
その笛の音は聞き心地も良く、落ち込んだ心も癒えた。
耳コピで再現しようとして、自分も吹いて、みつばに教えられる事もあった。
だが、それから時が経ち、病気がちな姉に代わってことはが選ばれ、今度は姉の方がよく泣くようになってしまった。
「その時、泣いたらあかんと思った。泣いたら、姉ちゃんが心配して、もっと泣かはる。そやから、笑うんや、何があっても、アホって言われても、自分で分かってたらなんともないし」
それは、自分で自分を責めているのではないか?とイチゴがここにいれば思うかもしれない、ことはにそのつもりが無くても、そこまで行かなくても、イチゴがそう見えてしまうぐらいにはイチゴ自身に心当たりがあり過ぎた。
自分で「自分はそういうもの」だからそう言われて当たり前なんて思い込むのは楽だ、少なくとも他人にそう言われてしまうよりは……
それに、こらえてる姿を見せるのも、他人にはきついらしい。かと言ってじゃあどうするとなれば何も言えないが。
「でも、自分で自分をアホって思う事がほんまのアホっていうのは、気づかへんかったわ」
「違う……」
「え?」
「バカなのは俺の方だ。お前にイラついてたのは、俺のせいなんだよ。お前、強いから」
千明がことはに練習で敗れた時
「ことはの剣は良いですなあ、素直で、迷いがない」
「千明じゃ、歯が立たなくて当然か」
と、全部、聞こえていた……
もちろん、負けた千明の技量に問題があるのは分かっている。だが改めて言葉に出されると、悔しい。
せめて鼻にかけていれば奮起しようもある。だが千明に勝ったことはが自分を卑下すればする程、負けた自分は何なんだという気になってしまう。
「だから……ごめん」
外道衆が来た合図が鳴った。
「うち、千明の剣、好きや。まっすぐで千明らしい、きっと、もっと、強くなる」
「サンキュ」
千明達は、ズボシメシの出現した場所に向かった。
………………………………
「不合格!!」
「キャー!!」
「ウワー!!」
予備校を受講している生徒、そして挫折経験のある講師も全員、その一言で飛ばされた。
『おーおーまたやってんなー直に斬らなきゃ分からねえみたいだなっと』
そこに三日月の傷を持つ剣士が現れ、手に持つ刀でズボシメシに斬りかかってきた。
「ぬぉっ」
闇のワープ……からの闇の急襲を受け、ズボシメシは悪口を言える間も無い。
『フン』
だが、口の部分で一太刀入れようとした所でピタリと止めた。
『あーあ、もう少し遊んでやろうと思ったが、俺はシャイな方なんでな』
三日月の傷を持つ剣士は飛んで去っていった。
「むっ」
何が起きたのか分からず首を傾げていると、ズボシメシの近辺から段々ズボシメシへやってくる思念の存在に気づいた。
「そこまでや、外道衆!!」
「何奴?」
〜例のBGM~
「ショドウフォン!!」
「「「「「一筆奏上!!」」」」」
「破ぁ!!」
ショドウフォンで文字を書きそれを反転させ、各々のモヂカラによって形成させたスーツに身を包み、5人はシンケンジャーとなる。
「シンケンレッド、志葉丈瑠」
「同じくブルー、池波流ノ介」
「同じくピンク、白石茉子」
「同じくグリーン、谷千明」
「同じくイエロー、花織ことは」
「天下御免の侍戦隊」
全員「シンケンジャー、参る!!」
「シンケンジャー、今回こそ悪口でヒイヒイ言わせてくれる」
モコナ達もその場にたどり着いた。
「みんなーファイからの伝言だよ、『短所を言われても、できるだけ長所に変換してダメージを抑えていこー』だって」
ファイの声真似らしい、が、モコナの声真似が上手いのか、実際にファイが喋っているようにしか聞こえない。
「それも良いな」
「来い、ナナシ連中」
ナナシ連中が、ズボシメシの号令によって出てきた。
各々は移動し、ナナシ連中と相手をする。
「はぁ!!」
「せい!!」
「はっ!!」
「おらぁ!!」
「やっ!!」
「!!」
「でやぁ!!」
「ぷう!!」
モコナもナナシ連中のお腹に一発、蹴りをお見舞い。
「先、もらってくぜ」
黒鋼はナナシ連中の一体の肩を足蹴にし、飛んでズボシメシに襲いかかる。
「黒鋼殿!?私も行きます」
流ノ介も加勢し、その勢いのままズボシメシに斬りかかろうとするも
「マザコン!!」
「うっ」
「ぐあー!!」
その一言で、2人は吹っ飛んでいった。
「……………」
流石にフォローのしようが無く、丈瑠は、ナナシ連中を退けた後、何も言えずに頭を抱えた。
「マジか……」
そうだった。これは、心の弱点を突いてくる攻撃だった。
色々と手段が確立していない以上、またことはを主軸に、戦う他ない。
「下がって、うちがやるわ」
自分の役割を理解しているとばかりにことはは颯爽とズボシメシに突っ込む。
「やぁ!!」
シンケンマルで一閃、また一閃。
「今回こそはお前を飛ばしてみせる」
「みんな、今だ」
さっきはフォローしようがなかったが、前向きな言葉で塗り替えて、かき消していく方向に持っていく。
ズボシメシは、口を開いた。
「バカ」
「俺は知っている、それはお前の一途さ、ひたむきさに繋がる、武器だ」
「アホ」
「私も似たようなものかもしれない、ことは」
「ドジ」
「そんなことはも、かわいいと思うわ」
「マヌケ」
「取り返しがつくなら、次で挽回すれば良いと思います」
「剣以外の才能無し」
「ことは、笛、上手いじゃねえか。ことはの姉ちゃんと比べてどうかは知らねえけど、誇っていいと思うぜ」
「たぁ!!」
みんなの声援が功を奏してか、シンケンマルの剣捌きも早くなっている。
「グフフ」
だが、ズボシメシは余裕そうだ。
「お姉ちゃんのホ・ケ・ツゥ」
予想外の一言、しかも、明らかにそれまでの言葉と違い破壊力が高そうだった。さっきまでの余裕は、これを言えるからなのか?
「うっ」
その証拠にことはの動きも鈍っている。
「どういう事ですか?」
ナナシ連中を少し相手取る
「後で話す」
丁度その時、散り散りになった無数の木の葉を纏った千明がウッドスピアを携え、ズボシメシに近づいていた。
そして、ズボシメシを羽交い締めにする。
「やったぜ。今だ、やれ!!ことは」
千明の言葉に、ことはは落ち着きを取り戻す。
「!!」
「何があったかは知らねえが、今この場にいない人間の事を考えるな、ここには、お前しかいねえ!!」
黒鋼も瓦礫を払いながらことはを叱咤する。
「みんな……ありがとう」
ことはは「石」とショドウフォンで描き、大量の石を出してきた。
そしてズボシメシの口に石が大量に突っ込まれた。
突っ込まれ、あまり喋れない状態になる。
「ばべぶば(なめるな)……ババベ(赤点)……う……」
千明に悪口を言って、拘束を払おうとする。しかし、そうしようとするとズボシメシの歯から、血が漏れだしてきた。
「びばば……びばい(したが……痛い)、びぶぼばび(いつの間に)、ばぼボボボ(あの宇宙人……)」
いつの間にか舌が切られていたらしい。
しかも、何回か口を開くと痛くなるよう細工付きで……
隙ができた。
「トドメだ、行くぜ」
千明はウッドスピアを足を使って突き刺す。そして、ズボシメシに対して優位を取った状態でことはに向かって押し出す。
「人を言葉で傷つけて、それを喜んで、あんたみたいなん、最低や!!」
シンケンマル、土の字斬り。
シンケンマルで、土の字をなぞるように、連続斬り。
最低……最低……最低…………
ズボシメシには、剣の痛みより、舌の痛みより、ことはの言葉のダメージの方が大きかった。
「最低……良い悪口だ、精一杯ひねり出した……良い悪口だ……」
ズボシメシ、爆発。
いかがでしたか?面白いと思ってもらえると嬉しいです。まだ二の目がありますのでよろしくお願いします。