スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
スーパーロボット大戦OGから、仙人でハレンチなあいつが参戦します。
〜彩南町〜
イチゴは、全速力で走っていた……
『「うぉぉぉぉぉ!!」』
いつもより、気分が良い……気力が充実しているというか……というか上限値に達している……ともかくたくさん動ける気がする。
だが、ノンストップかつ全速力で30分走ると流石に、カイがいるとはいえ疲れてきた……
公園のベンチを見つけてから、座り込んだ。
「……………ハァ」
何か、発散できた気はする……走った意味はあった。
だがまだ足りない…
不意に、きつい時、どこからともなく現れて、その溜飲を下げてくれる桃太郎に会いたくなった。会ったら会ったでまたボコボコにされるかもしれないが……
小さい妖が、口に揃えて言いそうな事を思い浮かべて言ってみた。
「助けて、桃太郎ー!!」
そう叫ぶと、どこからか紙飛行機が飛んできて、イチゴ……を包むカイの額に刺さった。その紙を元の状態に戻すと……
『夜は家に帰って寝ろ、悪縁を呼ぶぞ!!』
と紙一杯に達筆な字が描かれてあるのが確認できた。
歴史上、淫行襲撃その他諸々……それらは夜に繰り広げられる事が多い故に、その言葉は正論の固まりのように思えた。
「じゃあ、帰ろっか」
『分かりました……桃太郎とやらの言う事は素直に聞くんですね』
「まあね……」
存在自体、怪しくはあるが……口調に立ち居振る舞いのその力強さは、誰にも真似できない部類のもの、いつの間にか振り回されて、言う事を聞いてしまう……本当に命に関わる案件にはならなさそうなのも従ってしまう理由の一つだ……
事実……桃太郎の言葉でちょっと、嫌……かなり、落ち着いた。
なので御門邸に帰る事にしたが、何かの眼光に貫かれて、竦んでしまった。
「!?」
『イチゴ様!?』
「クックック、久しぶりだねえ、イチゴ」
女性の笑い声がする、イチゴは声の方を見た。
「あんたは……」
木の後ろに白メイン、オレンジアクセントのメッシュの髪を、後頭部から逆立つよう結わえた女性がいた。
おそらく男が着るような、堅めの衣装……おそらくオリエンタル系を身に包んでいるが……目元の妖しさと、口紅を塗っているので多分そうだろう。
いわゆる男装の麗人……よく見ると、体格はがっちりしている。
何故か?
「いつぞやの覗き魔……」
否、奴は女の着替えを覗くのが好きな、
「ふ……本当なら、直に柔肌に触れて愛撫したいけど、見るだけで勘弁してやってるんだから感謝されたいぐらいだよ」
むかーしむかし、大体9年程前、彩南高校で彼女が更衣室辺りで覗きをしてる所を見ていたら、その事がバレて興味を持たれ、それがきっかけで遊んで以来となる……
彼女の名前は……
「まだやってんの?久しぶり、朱雀……オレと遊んだせいで祓忍の警戒レベル跳ね上がったと思うんだけど」
朱雀……そう、「あの」朱雀。
彼女の言葉を信じれば、かの都の四方を守る獣達の一体……になる。
今は変化の術で人間に変化している、その時の名前は……忘れた。
「僕をなんだと思ってるんだい?僕にかかれば忍者なんて有象無象に等しい」
話には聞く、
「はいはい、地球の守護者……南方を司る聖獣、朱雀様でしょう?」
イチゴ個人にとっては、下手な男より「おっぱい星人」とあだ名を付けるのにふさわしい存在だった。いつぞやの覗きも、女の子達がお着替えをしている最中に下着からでも、その膨らみを堪能するためで……女の子同士で揉み合いっこになれば尚良しとすら豪語している。
「挑む気概と胸のふくよかさに関しては認めてやらないでもないがね……
女以外は見もしないで、誘ってなさそうだ……
「あんたに乳繰られるのが嫌だからじゃない?」
誰だって知らないお姉さんに絡まれてそんな怪しい勧誘されたって、なかなか首を縦に振りづらい。しかも、下心が丸見えなのに。
「ハッハッハッハッハッハッハッハ!!表に出ろ、嫌……出してやる」
高笑いの後、ぶちギレた朱雀は、何かしらの動作を取った。忍者が何か技を繰り出す時のに似ている。印を組んでいるのかもしれない……
「変化の術、解除」
煙が立ち込めてきた……
そして、煙の向こうで彼女……朱雀は、彩南高校で覗きをしていた頃の、元の鳥の姿に戻った。
赤と体色、金のラインが目立ち、丈瑠達の式神の戦闘時以上にデカい。
妖じゃなかったら、一発でニュースに出れる程目立つ。
『そうれ』
朱雀は、イチゴ、ついでにイチゴを包んでいるカイを脚で鷲掴みし、どこかへ投げ込んだ。
『ん、これは……イチゴ様……衝撃に気を付けてください!!』
カイの叫ぶ通りにイチゴは身構える、津波とか、地震とか、大きな流れに飲み込まれるという感覚は……こういう事を言うのだろう。
「…………!!」
真下に地面が見えてきた所で、カイの翼部分をいつもの5割増しで動かし、余裕を持ってから着地した。
片膝だけ地に付ける、かっこいい着地にできれば言う事はなかったが、カイのフォルムのおかげで、座る事もできずにゴロンと一回倒れてしまった……だがカイのおかげで、落下死は免れた。
「サンキュー、カイ…………………ここは?」
たどり着いた場所は、色味は悪いが……そこそこの数の谷がそびえ立つ……自然がいっぱいと言えば聞こえは良いが、右も左も分からないこの状況では、同じような景色ばかりでろくな目印もないそこは劣悪な環境と言っていい。
『私にはさっぱり、ノイズしか見えないです』
ただ、吸う空気はおいしいという気がして、そこだけは安心できる。
『ここなら
「どういう事?」
桃太郎に引っ張られた時のような異空間だろうか?
『ここは
そう言われれば、見覚えのあるような、無いような景色もある気がする。さっきまでビンビンに感じていたはずの、美柑の気配も消えている。
「あの時みたいに背中に乗せて欲しかったんだけど」
『君が余計な言葉を言ったからかな』
本当の事を言ったまでだと思うが……
『光栄に思うと良い……無礼千万な君に、僕自らが相手をしよう』
「なんで、わざわざ……」
朱雀なんて御大層な存在に牙を向けられる覚えはない。
『僕としては、この先に連れて行きたいんだけど、あまりに弱いと話にならないからね……』
選択権は、無さそうだった。
『その前にちょっと肩慣らしと行こう……神気兵……招来』
空から陰陽魚のマークが現れて、くるくると回転し……機動兵器に似たものを出現させてきた。
「うわっ何これ!?」
色合いは、鉄のように黒く……形は、キョンシーみたいに直立して、腕を水平に伸ばした、人型の石像みたいだった。
余談だが……胸に、陰陽魚のマークみたいなものが付いている。
『神気兵……道士共の用いる兵隊だが、僕達もある程度の数を使役する事が許されているんだ……まずこいつ達と戦ってもらう』
「じゃあ、ちょっと待ってて」
一旦カイを纏っている状態を解除、そう言えば、イチゴは病人がよく着るイメージの強い服を着たままだったのを思い出した。
『イチゴ様?』
「悪いね……ちょっと大きくなって欲しいんだ、戦わなきゃいけないみたいで」
『イチゴ様が1分1秒でも長く生きられる選択をなさるならそれに従いますとも』
「まあ、ありがとう……じゃあ、行こう!!」
ギガント
『イエッサー!!』
〜ぐんぐんカット〜
カイは大きくなり、谷にも負けない大きさへと変わった。
「確かここをこうして」
謎の光を用いて、イチゴはカイに乗り込んだ。
この状態ではバッテリーの減りが早いから、手早く決めたい。
「シートベルト、多めに締めて……」
『!!』
神気兵は、作戦を練る暇を与えずに指先からビームを放出してきた。
「…………………くっ!!」
イチゴはカイの体をぐるりと旋回させて、避けた。
「なんとかいけるか」
避けられる事を確認しつつ……
「………まっすぐ、突っ込む!!」
加速しながら腕を突き出し、神気兵とやらに向ける。
「行け!!」
一発、殴打。
足らなさそうなので、もう片方の腕で殴打。
『(何かしらの電子音)』
神気兵を、撃破。
爆発は無く、発光のみが起こる。
発光後、残ったのは1枚の符……その符もやがて消え去る。
「叩けば消える……か」
イチゴは、次の神気兵に狙いを定める。
「次はお前だ」
イチゴは、再びレバーを押し込み、アクセルを入れた。
そしてカイの体重(実際今どこまであるかは知らない)を乗せて、足を向けてキックをお見舞いする。
『(何かしらの電子音)』
もう一体、撃破。
そちらも1枚の符となり消えていく。
これで、その場にいる神気兵は全て倒した。
「………とりあえず、終わったよ」
その報告を終えるか終えないかで、火の玉が飛んできた。
「!?」
ただの大きい火の玉と思えば、難なく避ける事ができた。
『じゃあ、次は僕だ』
「……………………」
いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
今回出てきた神気兵のボディーのイメージは、(真)マジンガーZのタロス像です。