スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
太陽はスフィアと……
気づけば裸の
気づけば気分転換のためにララ様の傑作を装着して深夜徘徊、
気づけば知り合いの妖にどこかに連れてかれ、
気づけばよく分からない緑の球(その名はスフィア)を手に入れ、
気づけば知らない土地に来ちゃった。
オレの明日は、どうなるの!?
〜蚩尤城〜
襲撃で一部倒壊しているが、話し合うには一片の問題もない。
「さて……」
玄武を除いた四獣達、そしてその主がいて……他の道士はいない。召喚による気の使いすぎで寝ていた。
「状況を纏めると……」
「はっ」
侍女の一人に、スケッチをさせた。
「私達は妖獣共に襲われた……同時期に捕まえた痴れ者の協力もあってなんとかしのいだ……がしかし、緑の球を取られた」
「こんな感じでよろしいでしょうか」
侍女の書いたイチゴとカイについて確認を取る。デフォルメはされているが形は分かりやすい。イチゴという人間は、顔を丸く書いて髪型を調整すれば良いが、カイという機人は黒い丸を書いて白いうずまき模様を2つ残すように塗りつぶすという書き方で、一見楽そうだが難しい。白い丸で黒いうずまき模様ならどれほどやりやすかったか。
「うむ、ご苦労……知っている事を話せ、白虎」
『ああ……あの子は昔、小美様が故郷へ発っている間に、朱雀が連れてきた子供です』
イチゴを見た時、何かを感じた朱雀がイチゴを連れてきたのだ。
「そういう事か、話は青龍から聞いている……待て、あの者は子供なのか?」
だが、子供というには……少年または青年に近い。ヒゲや鎧がないだけで、ほぼ大人の男と言える。
『あの時から10年経ってる。人間は10年あれば結構変わるさ、子供だとするなら、尚の事』
「手足が伸びきって不思議はないか……何故あの球は取られた?」
取られたのではない、あの球がおそらくイチゴを選んだ。
『俺の目にはあの球と、イチゴ君が共鳴してたように見えたが……』
何を基準にしているのかは分からない、強さだけなら、朱雀達四獣の方が選ばれて然るべきの筈だ。
『共鳴……白虎君、あれは共鳴できるものなの?』
そもそも、使う発想がなかった。
『少なくとも……イチゴ君は、した。そして、俺が戦った時にはなかった力を奮った。壊すのに特化した力だ…………あの球は……危険なものかもしれない』
「言われれば、確かに……」
あのビームの感想。
命が、あれに触れてはいけない。
そう直感する何かがあった。
『危険なものだって?だからと言ってそれを利用しない手はないよ、人間が、己を殺す毒というものを以て歴史を紡いできたように、彼の力があれば、できない事ができる』
「朱雀、お前……何故そう言い切れる?嫌……というか、よくよく思い返すとイチゴとやらと緑の球を引き合わせようとしていたな……言え、何を知っている」
その答えは意外なものだった。
『昔娶った娘が『夢見』持ちでね……あれの使い方を教えてくれたんだよ』
夢見……予知夢のようなもので、未来の出来事を教えてくれる。
そんな能力を持つ女との出会いは……シルクロードと呼ばれる場所……砂漠辺りで、ゆくあてもなく彷徨っていた所を見初め、攫ったのがきっかけだ。
『それは……良くない事じゃないのか?ちゃんとその娘に許可は取ったんだろうな?』
『無論だよ』
『娶ったっていう事は……仙人にしたの?』
仙人……秘術を用いて、人間から魄力を引き剥がし、肉体という枷から解き放つ。こうする事で人間から直接妖になれ、段々老いていく事を嫌がる方からは大評判。
※素質があれば、元の自分の姿を保てる上ある程度理想の姿を作れるようになれます。ただしないと不定型の雑多なものと変わらなくなります。
『嫌……それが、仙人になるのは嫌がって……この前天寿を全うしたよ……イチゴの事を警戒はしていたが安らかだった』
〜50年前〜
※情景は色々と問題があるのでカットします、ご了承ください……
「朱雀様」
ブロンドの髪に、太陽の光を一身に浴びて生きてきたかのような褐色の肌が懐かしい。
「なんだい?」
「あなた様の主の屋敷に飾ってあるものですが……緑の大きな球」
「ああ、あれか……あれに太陽を感じるからって、後生大事にする気らしいね……」
「この間嫌な夢を見ました、それを手に取って、取った方が力を、災いをもたらす力を手にする夢を……」
信じるには荒唐無稽な、馬鹿馬鹿しいと思いかねないような内容だった。だが朱雀は信じた、その女を娶った朱雀が信じずして、一体誰が信じるというのだろうか?
「そんな力を秘めているのか……言う程のものは感じなかったのにね」
「合わないのだと思います……あれは、心臓です、そして思いを力に変えるもの……適した思いを持つものでなければ力を引き出せないようなのです、夢の中の朱雀様、青龍様、白虎様、玄武様、傀儡の兵に取り付けてみたものの、うまく力は出せませんでした」
「その思いが何かは……」
「朱雀様にないもの……としか言い表せません」
「ほう……僕にないもの……ねえ、何がない?」
「そこまでは分かりません……思いやり?」
「ははは、言うねえ……はっきり言う娘も悪くない」
そんな会話をしてから数年……数十年……時が流れて〜
「フッフッフッ今年の娘も豊作だな……」
朱雀は彩南高校の窓から、女子生徒の着替えを覗いていた。
嫁にした人間は数多くいるものの、双丘は誰のを見ても退屈しない。
「うわ……」
そんな朱雀を見て、ドン引きしている男の子がいた。
『!!』
その時、予感がした。
はっきりとは言えないが、自分が決して抱かないような感情にまみれて、ここにいると。
この子供は、自分と同格に至る可能性があると。
〜現在〜
『そんな事が……』
「何故それを言わなかった」
『だって実際の所ピロートークだからね、それを理由におおっぴらに行動したって、君等はふざけるなと叱ってくるのがオチじゃないか』
『俺達の態度がそうさせたのか』
『いいえ、一般でもそんな感じだと思う』
話が脱線しそうな予感を感じ、白虎達の主は咳込む。
「オッホン、話を戻そう、あの球がイチゴなる者を選び、力を授けた……そう仮定したとして……どうする?」
『一刻も早く、対処を』
白虎はカイを破壊しようと言っている。
『いいや、この際僕達の味方になってもらおうじゃないか』
『朱雀、あれは危険だとさっき言ったろう』
『僕もさっき言った事を繰り返すがね……その力を使えれば、大いに役立つ』
主は考える仕草を取る。
「白虎、お前は力を手にする前は悪い人間ではないと言った……お前達が好意的に見るなら、こちらも信じてみるのに不足はないだろう……合力の礼と、部下の行動の詫びもある事だし……」
『……………』
冷静に裁決をしているように見えるが上気して肌の色が赤い……なんとなく分かる、年頃の少女みたいに、何か、そう……発情しかけている。
この二千年、四獣など守られて当然であろう相手にしか守られていないから、そうでない人間から思いがけず助けられるなんて行動に免疫がないのは分かる……が、想定外だった。
『おねショタにも限度はあるよね』
『あはは……』
青龍も苦笑い。
「うるさいわよ朱雀、万年発情期の癖に」
『おっと、今が頃合いかな。じゃあ……僕が動くなら……そう……玄武を呼んで、それからだ』
〜日本 小美呼市〜
有機……無機……たくさんの視線が集まる。
そんな目で見ないで欲しい……気味が悪い。
『目立ちますね、これは……ステルスモードに移行します』
周囲の風景に自分を合わせ、見えなくさせるステルスモードにしてもらう……
屈折とか色々あって、若干不自然ななりだが、注目は大分減った。
カイから降りた。
「じゃあ、戻って」
元のサイズに戻ってもらおう……
言い出して数十秒、動きがない。
「どうしたの」
『も、戻れません』
緑の球が付いた影響か?
戻れないのは仕方ない、ステルスモードで待機してもらおう……電池切れはもうない筈だ。
そして少し歩く。
急に目眩がして、力が入らなくなる。
「くっ」
何日も、食べていない事を思い出した。
牢屋の人達は、食事の概念もあまりなさそうで結局一食も食べさせてもらえなかった。
ねだってれば良かったのだろうか?
だが、あの世の物を食べれば戻れなくなるとも言うし、セーフ……だろうか?
何故セーフなのだろう?戻れなくなるのは……
何を望んでいるのか分からなくなってきた。
銀行行って、金を降ろすとしよう……
「……!!」
一步一步、歩く度に募る脱力感。銀行を探す事すら難しいのを悟る。
「ダメだ」
間に合わない……カイの視界に入らなくなった所で動けなくなった。
「動けない」
つなぎが欲しい。
本格的に食べるまで保つように、腹の中に入れるもの。
水道水でも良い……
そんな時、視界に一羽の鳥が入る………
『ポッポポッポーポッポーポッポポポッポー』
丸っこい鳥……丸々太った鳥……丸焼き……
気づけば、ワープしたかのように一瞬でそこへ詰め寄り、その鳥の脚を、鷲掴みにしていた。
『ポー!!』
手に何か黒いエフェクトがかかってる気がするがまあ良し。
「肉……肉……」
鳥の癖に、山伏……天狗の服まで着ていて滑稽だった。
服も毛も、たくさんむしり取らなければ……
『ワタクシ、食べてもおいしくないッポー!!』
食べておいしくないのは、肉を食べてる動物ばかりだ。それだって食べられる部分は多い、だがそんなことはどうでもいい、食べなければ……食べたい。
「いただきまーす」
『ポ───────!!』
だんだんとその鳥は干からびていくような様相を見せ、気絶する。
好都合だ、首から上に用はない……
「ぐはっ」
後ろから、何か乗っかってきた感触がする……重い。
組み伏せられた。
微かに見える手甲などの装束から判断するに、祓忍?
「動くな、人妖」
耳慣れない単語を言われ、混乱する。
押さえる力が強くなっていき、身動きも取れなくなる。
「!!」
刃物を首元に突きつけられ、思考も大分冷えてきた。
よく見ると目の前のハトは妖、お腹は膨れなさそう……
獲る気も失せ、力が抜けていく。
「嫌……こいつ、人間なのか」
『ポッ!?人間ッポ?』
「大丈夫か!?」
刃物が、イチゴから離れる。
急転直下で発生した命の危険を脱したせいか安心して、漫画みたいに大きくお腹がなる。
「お腹を空かせてるのか…………やれやれ」
そんなこんなで祓忍に保護され……彼の実家で豆を20個程、分けてもらった。
「ありがとうございます」
「礼ならポ之助に言え、ポ之助の分だ」
「ありがとう、ポ之助君……さっきはごめん」
『死ぬかと思いましたッポ!!』
ハトにべしべしと全身を叩かれた。
「食べ終わったようだな……お前があのロボの搭乗者か、背景に溶け込むやり方、人の目は避けられるようだが妖はそうはいかない」
見えていたようだ……
「ええ……」
「何者だ、名前を聞いておきたい」
下手な嘘は、却って逆効果だ。
「結城イチゴ」
「!?あの、結城イチゴか」
「多分そうです」
『祓忍組合での要注意対象ッポ!!』
いつの間にそんな風になっていたのか……
「中学まで他の兄弟達と同じようにデビルークと呼ばれる星と彩南町を行き来して暮らし、中学から高校の間、祓忍の家に預けられ、現在はシンケンジャーの下にいる……嫌、いたらしいな」
「あはは……」
「どちらにせよ、然るべき所に突き出すのが筋だろう」
「それもそうですね……」
仕方ないなというニュアンスで声が出てしまった。
「…………」
祓忍・二ノ曲宗牙はイチゴをじっと見てきた。
目力の強さは黒鋼で慣れてきたが、時折見えるサメのような歯が、ちょっと怖い。
「豆だけでは足りないだろう、腹いっぱいになるまでは待ってやる」
だが、顔が怖いだけかもしれない。
「!!ありがとうございます」
サンダルを貸してもらって、最寄りの銀行に行って金を引き出し、ざるそばを2杯頼んだ。
彼の実家……一族代々での、世を偲ぶ仮の姿がそば屋だったそうだ。
喉が乾かない程度に甘いつゆに絡ませて、すするそばにズボシメシと戦って以来の安らぎを覚えた。
食感が少しザラザラしたそばより、滑らかなうどんの方が好みだが、そうも言ってられない。
「ふう、ご馳走様でした」
皿と容れ物は返した。
「待て、あのロボごとになるのか……」
「案内してくれるなら乗ってついて行きますよ」
そんな訳でカイから降りた場所に行く。
その途中にある森林の隙間に、何かがいた。
妖……とは違って、存在感は強い。
イカの形をした頭……本当に、そうとしか形容できない造形を持つ老人だった。老人はフィーリングでそう思っただけで、確証があって言った訳ではない。
「さて、資料の具合は……」
声を聞いた感じは好々爺風に見えなくもないが、こんなのが普通の人間な訳はない……
しかも、手に持っているのは……
「ッ志葉家の家紋!?」
それも古そうな書物だった。
「…………見られたか、文献のためとはいえやはり外に出るのは良くないねえ」
スキマからナナシ連中が生えてくる、十中八九外道衆だ。
「話に聞く外道衆か?お前達」
「人間、そしてお前さん……嫌、肉が人間なら、それはもう人間さね」
「来る!?」
「待ってー」
女性が一人、走ってきた。
勢いから走るのは苦手そうに見える。
目が離せない、イカの形をした頭を持つ老人がそこにいるというのに、そっちの方に目がいく。
「……来たか」
「妖巫女……ここにいたか」
妖巫女……桃太郎も、白虎も以前その名前を口にしていた……
〜むかーしむかし〜
「妖巫女?」
筋トレの休憩をしている間に、聞かされた言葉。
「そうだ、世界には、妖が見え、引き寄せる程の生命力を持つ女の子がいる……」
「すごいですね……」
「でも、引き寄せるのは、いい子だけじゃなくて、凶暴なのもいて……食われる娘がいるんだって」
「常々思うけど、たくさん生命力があるなら、それだけ乳も良いものが……フフッ」
「夏喃よ……」
さすがの玄武も、朱雀の言葉に呆れ返っていた。
「それに、引き寄せるという事は仲良くもなれてしまうという事だから、自然に寄り付く。結果魔女と恐れられた娘もいたんだ、それで人の世を呪う、本物の魔女に変わっていった者もいる……今はその娘達の来世での幸福を願う他ない……南無阿弥陀仏」
魔女狩り……だから、ヨーロッパ辺りの話らしい。
ふと、疑問が湧く。
「巫女っていうからには、なんか祀ってる……宿してるんですかね?」
一般論としての知識だが、巫女の形態で、神憑り……神を自分に卸して神託を伝えるというやり方があるらしい。神の妻として生きる巫女もいたような……いずれも巫女は神ありきの職となる。
だから、仕える神、崇める神なしに巫女とは言えないだろう。
「さっき言った天照とかだな……精霊とかもそうだし……国による、どこにも想像上の存在はたくさんいるし、それに仕える、崇める奴らもたくさんいるしな……特にギリシャは多い」
何故こんな事を話してきたのか?
「君が将来、巡り会う事になれば味方になって欲しいと思ってな……特別な力を持っているからと言って心は特別じゃない」
「僕らの主も喜ぶだろうね」
現在に戻る……
「はじめましてになるね?私はすず」
自己紹介をしてきた。
「こいつを倒せば、あたし達みたいなもんからも嘆きを得られるさね」
だが、獲物としか思われてない模様……
「ガヤッガヤッ」
イカの老人の言葉に、ナナシ連中も勢いづく。
「どうしてそんな事をするの」
妖巫女と呼ばれた女性は、イカの老人にやめるよう訴えた。
「ひどいよ、やめて!!」
「やめてと言われてやめるくらいなら、最初からしないよ、お前達、やっておしまい!!」
イカの老人は、ナナシ連中に命令を下す。
「そんな……」
彼女の主張に違和感を覚える。
相手は外道衆、倒すべき敵……と認識しているからなのか、あるいは……
「風巻が忍務でいない分、俺が守る」
二ノ曲は、刀を持ち出す。
「来るなら来い、全て祓う」
二ノ曲は駆けてナナシ連中に向かう。
その剣、雷の如く。瞬き程の一瞬でナナシ連中が倒れていく。
さっき襲われた時も、こうして近づいたのだろう。
「このまま攻める!!」
その勢いのまま、イカの老人に近づく。
「ま、まずいよ!!」
哀れイカの形をした頭の外道衆、会って数分で刺身にされ…………なかった。
一撃を、顔面の赤い骸骨の剣士が邪魔をする。
二ノ曲は、一旦攻撃を止め後退。
「怪我はないか?シタリ」
「どういう風の吹き回しだい?十臓」
「知らないなら知らないままで良いとは思ったが、お前が勘付いた以上もう遅いと思ってな。どうせ起こされる癇癪なら、軽度に済ませたい」
「何かあった時のために恩を売っとくって事かい?いいねえ、あたしゃ好きだよそういうの……と言っても、ドウコクが怒ったらあたしにゃどうする事もできないがね」
「無駄話は良い、気が変わらない内に行け」
「おうさ」
シタリと呼ばれたイカ頭はその場を後にする。
「お前達自体に用はない。死にたくなければ、退け」
十臓と呼ばれた男は、長刀をこちらに向ける。峰が赤く、ノコギリのようだった。
「この妖、刀を持ってる!?」
「お前は下がっていろ」
二ノ曲はすずに下がるよう言う。
「お前が妖の中で神であろうと、ああいう手合いには通じない。むしろ死ぬまで切り刻む楽しみが増える……そういう男に見える」
「よく分かってるじゃないか」
ナナシ連中……巨大化したから二の目?も出る。
「じゃああのナナシ連中はオレがやります」
「やれるか?……任せる」
イチゴはその場から下がった。
「俺が相手だ」
「忍か、面白い」
両者、向き合う……
「……来い、カイ」
その対決を余所に、ステルスモードを解いてもらって、カイにこちらへ来てもらった。
『お肌にハリが戻ってきてます、良いことありました?』
「お腹いっぱいご飯を食べたんだ」
『それは良かったですね』
「今はその人達と一緒に戦う事にした」
『分かりました、どうぞ』
イチゴはカイに乗り込んだ。
「はあ!!」
カイの拳を突き出し、ナナシ連中の一体を殴る。
続けざまにナナシ連中の武器を奪い、それで攻撃。
モヂカラはないが、順調にナナシ連中を倒せている。
「ガヤー!!」
また別のナナシ連中の一体は剣で攻撃……するも、翼を動かし、飛んで避ける。バッテリー切れを気にしないで良いのは素晴らしい。
「このまま押し切る!!」
ナナシ連中から武器をもう一本奪い取り、Xの字にナナシ連中を切り裂く。
全員、爆発。
「終わった……」
2分ぐらいか……?
二ノ曲達の方を見た。
ニノ曲は、血を流して膝を付いている。
「二ノ曲さん!?」
『主様、しっかりするっポ!!』
「腕は良い、相当な修練も積み、速さも韋駄天の如く……だが、悪鬼を祓う事はあっても人と命を賭けて斬りあった事はないらしいな……頬を切っただけで動揺するな」
骸骨の剣士は、人間の姿になっている。
擦り切れた衣服の一つ一つが、伸びた髪と髭が、道なき道を彷徨い歩く旅人を思わせた。
「どういう事だ……人間なのか?」
「人間……?」
人間が、あんな怪人にでもなれるのか?
『……確かにこいつ、人間ぽいッポ!!』
「人かアヤカシか、か……堕ちてしまえば等しく外道」
『ど……どうしますッポ!?主様がやられる程の手練を相手にして私ができるのは……』
ポ之助、閃く!!
『ごめんなさいッポ、許してくださいッポどうか主様の命は勘弁してくださいッポ……あ、私とすず様の命も勘弁してくださいッポ』
音速を越える勢いで、土下座をし始めた。
了承もないまま、徐々に要求をつり上げる様に図々しさを感じる。
だが、見た目の丸っこさがそれすらもかわいいと思わせた。
「ポ……ポ之助君……(汗)」
「そこの鳥」
ポ之助は言われてビクッと震える。
「敗者がどうなるかを教えてやる」
十臓が刀を持って、トドメを刺そうとしている。
『や……やめてくださいッポー!!』
折り紙が空を舞い、十臓を攻撃する。
「させない……」
「妖巫女……話は本当のようだな……」
そう言うと共に、空を舞う折り紙が、切り裂かれ地に伏す。
「!?」
「噂の折神……命が宿っているみたいだが手応えは紙を斬る程度か、つまらん」
「そうか……」
今の斬撃で分かった。
あの男……十臓と呼ばれた男の剣は、人斬りのそれ……嫌、それ以上。命を斬り裂く事に、後悔や哀悼は感じていない、むしろ喜びすら感じている狂剣だ。
人を何人斬ったのだろう?、嫌、何人己の愉しみのためだけに斬ったのだろう?
「なら、オモカゲでいこう」
すずの体から、幽体離脱したように何かが出ようとしている。
「やめておけ、苦悶の叫びを増やすだけだぞ……そちらも嫌いではないが、やはり斬り合いこそ至上」
その言葉で、何かは止まる。
「………もーれつ危険人物?」
隙を見てサンハイッは通じない。先程と打って変わって乗り気の様子、おそらく目を離してナナシ連中を蹴散らしている最中にスイッチが入っている。十臓が飽きて下がってくれなければおそらく……
「下がって!!」
カイで戦えば、マシなはずだ。
「そうはさせないよ」
ナナシ連中が一気に七体出現。
「増えた……」
「巨大な絡繰相手にはこれが一番さね」
「あ」
シタリは、安全な場所で見物していた。隙間のありそうな物も見える、こちらが攻めればすぐ逃げる気満々だ。
「…………」
倒さなければ、二人と一匹を助ける事はできない。
しかし全部倒すのに最低1分はいる。
「興が乗った、立て」
「ああ」
「もうやめて、二ノ曲君」
「やめる訳にはいかない、せめて奴の猛りは沈めなければ」
何でも良い、早くこの場をなんとかしないと……だが、この前のような、謎の力は出ない。
間に合え……
『サンサンパープルビ〜ム♡』
急に予兆のない何かが来た。
爛々と輝く聖光が放たれ、カイ諸共にナナシ連中を焼いていく。
雨のように、浴びるように、当たってしまう……避けられない。
「眩しっ暑っ」
今……巨大化しているナナシ連中全てが、灰となって消えていった。
「ひゃー、天照かい!?水がいくらあっても足りゃしないよ」
シタリは、その場から隙間を通って脱出。
『まだ1体……2体残ってるわね』
太陽を背に受け、1人……または1体の女性が重力的にあり得ない程ゆっくりと降下する。
蝋のような、だがおしろいでは再現できない白いきめ細かな肌、鮮やかな程に黒いショートヘアは鶴を思わせ、黄金色の瞳、煌びやかに装飾されつつも、天女、ないしは巫女を思わせる衣装……一目で分かった……
三貴子が一柱……烈日の女神、天照!!
いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
十臓と先輩の勝敗結果に対する言い訳
………だって
十臓じゃんかよ…
殿様以外に負けるイメージがないっていうか……