スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。



第14話 タイヨウみっつ、モモひとつ Bパート

 「お前が神にでも祈っていたのなら……感謝する事だな」

 

 十臓は飽きたとでも言わんばかりに、歩幅を多くとった速歩きで去っていく。

 

 「クソ………」

 

 残された二ノ曲は、それを見逃す事しかできなかった……その選択しかできない自分を責めているように見える。

 

 「応急処置するから、待ってて」

 

 「……すまん」

 

 すずの手から治療の波動を感じた、というより命の譲渡に近い気もする。

 だが、すずは平気そうだから良しとしよう。

 それよりも……

 

 「そして……どなた?」

 

 蝋のように白い肌を持ち、漆のように黒い髪を持つ麗しい少女……の外見をした何か。

 天照っぽいのは見て分かったが、もし違っていたらマズい……だが、太陽に関わる神性は多くとも、女神となると数はかなり限られる。

 

 『不敬』

 

 太陽の光を凝縮させたような光が、手から照射される。

 今度は直撃を避ける事ができた。

 

 「何を!?」

 

 『不敬だから不敬と言った、大陸ならいざ知らず、ここで私を知らん者はいないと思ったが』

 

 「嫌……オレ……私達は初対面なのですが」

 

 『よかろう、聞けい!!我が名はアマテラス!!日輪の意を伝える神よ!!』

 

 「ああ……なるほど」

 

 「すずと……同じ天照!?」

 

 先程の負傷は治ったらしく、二ノ曲は一人で立っていた。

 

 『同じ〜?確かにそこから感じるわね、巫女王の系譜って所かしら?まあ私とは無関係よ』

 

 「何故同じ存在が2つもいる?」

 

 「よく知りませんが同じ信仰で形成されるのが一体だけとは限らないのでは?」

 

 古くから伝えられる神、妖怪、人物程、地方によって伝わり方は違ってきて、そこに住む人々の認識にも違いが出てくる。◯◯は◯◯説とか、そういうものがたくさんあればあるほど分化しやすいのではないだろうか?

 

 「なるほど……同じ信仰を基にして、複数体産まれるケースがあるという事か?確かに天照は有名な神だ、ない事はないかもしれん」

 

 「多分そうじゃないかな……と思います」

 

 すずという人が天照かはさておき……

 

 「力添えは大変ありがたく思います、ですが何故……」

 

 戦闘態勢のままだろう?

 

 『それじゃあ邪魔者は片付けたし……君を消去するね』

 

 狙いはイチゴだった、攻撃が放たれる、危ない。

 カイを動かし一目散に回避する、乗ってなかったら危なかった……

 

 「!?」

 

 天照は人間サイズ……今のカイの拳を振り下ろすのは気が引ける。

 

 『身長はそっちに合わせようじゃない』

 

 巨大化を始めた。

 

 「っダイダラボッチ!?」

 

 桃太郎も似たような事をしているし……偉い奴らの必須技能なのか?

 

 『やぁっはぁっ!!』

 

 「くっ!?」

 

 イチゴは天照が放つ二発の閃光を避ける。

 ならばと天照は8枚の鏡を取り出してきた。鏡は宙に浮き、淡く光っている。

 八咫の鏡とでもいうつもりなのだろうか?

 

 「ウーちゃんと日照り神の力に似てる」

 

 ウーちゃん?何かの愛称だろうか?

 

 「…………ウーちゃん?はともかく天照なら別に使えても不思議じゃないとは思うんですけど」

 

 日照り神も天照も、現象かそうでないかというだけで同じ太陽から産まれた神性だし……

 

 「神だろうと争いを広げようとするなら……俺が相手だ」

 

 その言葉を受けて、天照はサイズの縮小を始める。元に戻ったと言っても良い。

 

 『忍はお呼びじゃないの、影は影らしく、私にそっぽを向いていればいい』

 

 二ノ曲は天照に攻撃する……しかし、鏡が彼の刃まで動いてそれを弾き、防ぐ。

 

 『蝶のように舞うのは結構、でも愛でる時は今じゃない』

 

 急に風景が変わった。

 山、森林、山。見渡す限り自然いっぱいの風景だ。

 桃太郎に連れてこられた変な異空間を思い出す。

 連れてこられたのは、イチゴ、そしてすず。

 

 『どっちからでもいいわ、さあ……始めましょう』

 

 先に天照に向かったのはすず。

 

 「やめて、どうして私達が戦わなければならないの?同じ天照なんでしょ?」

 

 天照の放つ光を、すずは折り紙を動かして弾く……折り紙は気を纏っており、手を放しても動かせるようだ。

 

 『私達が太陽神だから、それで充分。この世に太陽は常に一つ、それ以上は不秩序を呼ぶ、太陽のもたらす光は命を育む恵みの陽光(ようこう)から、災いの炎光(えんこう)へと変わり、月の放つ導きは太陽により輝きを失う、そして人の紡ぐ営みは朝、昼、夜のサイクルを壊す』

 

 確かに太陽がこれ以上増えればメモルゼの住人もしくはジャ◯ラのようになってしまうかもしれない……だが、あくまで太陽神達は太陽神、実物の太陽とは違う、増えたところでどうなるというのか?そしてそれで何故イチゴが連れてこられたのか、分からない。

 

 「でもそんなの、寂しいよ」

 

 『寂しい?もしそうでも、あなたにそれを紛らわしてもらう気はないから』

 

 天照はすずに向け、目からビームを放つ。

 手から放ったものより威力があり、持続性の高そうだった

 

 「危ない!?」

 

 イチゴは、その辺の長い木を伐採し、それを投げてビームを逸らす。木は数秒しか保たなかったが、時間稼ぎにはなったようで、すずは脱出できたようだった。

 

 「大丈夫です?」

 

 「私は巫女の装束があるし大丈夫……ありがとう、私はすず……あなたは?」

 

 「…………イチゴ」

 

 「じゃあ、イチゴ君……よろしくね」

 

 「はい」

 

 『先にきた方を倒そうと思ったが、気が変わった、まずはお前からだ』

 

 天照は再び巨大化、イチゴに襲い掛かる。

 

 「イチゴ君!?」

 

 「オレに向かってくるならオレがやらなきゃ」

 

 「……分かった」

 

 とは言ったものの……

 

 『くらいなさい!!』

 

 「うわっ」

 

 『もう一発!!』

 

 「眩しっ!!」

 

 近づこうとする度に、謎の光を当てられる。

 多分太陽光が透過していくごとにどんどんコックピット周りが暑くなっていく。

 一発一発、まるで閃光のようで見てられない。一言で言うと……ピンチ。

 

 「…………失明は流石にごめんなんだけど」

 

 前を見れたもんじゃない。

 眩しいと言えば、これ見よがしに爛々と照り付ける太陽も厄介だ。前方の天照を避けようとして上を向くと、必ずそれは見えてくる。

 動いて、そしてイチゴを狙う天照より、ただぞこにある太陽の方がなんとかしやすいように思えてきた。

 うまくいけば天照の力を削げるかもしれない。

 不可能なんて言葉はよぎりもしなかった、カイの胸の球がある、今ならできる、できる事をためらう理由はない……

 

 「邪魔だ」

 

 そう思うと、イチゴの指が勝手に動き、カイの手が動いた。

 太陽が、月に覆われ、隠れていく……

 この現象は……いうなれば……日食?

 今、日食を起こせている?だが驚く暇はない、目の前の敵に集中しないと……

 

 「も……もーれつ嫌な感じ……」

 

 〜すずの心の中〜

 

 「うっ」

 

 すずの中には複数人格がある、一つは表出している人格、もう一つは、幼心ないしはかなでといい、前世の記憶などを受け持っている存在。

 

 「かなでちゃん!?」

 

 瞬間

 そのすずのもう一つの人格の中で

 溢れ出した

 超古代の記憶

 

 ……………………

 あの時も、こんな景色だった。

 昼なのに夜のようで、まるでこの世の終わりを体現したかのような光景。

 それを見た日、同時に女王としての運命の歯車も回り始めたのだった。

 時は昔、邪馬台国という国があった頃……

 太陽が夕焼けの光を放たず、一足飛びに夜になっていった日の事。それを見て胸騒ぎを感じ、修行を早々に切り上げて帰ってきた後の事。

 前触れもなく起きた事象に、民達は驚き、恐怖した。それをこの世の終わりだと恐怖した者もいた。

 

 「壱与様!!」

 

 「何?」

 

 「日巫女(ヒミコ)様が……お隠れに!!」

 

 「え!?」

 

 信じられない言葉を呑みこむ事のできないまま、導かれたままに先代女王……日巫女の部屋に赴く。

 そこで待っていたのは師、親、そう呼ぶに値する人間の、亡骸だった。

 

 「そんな……」

 

 思わず体全体を覆っている布を剥がす、ひょっとしたら別人かもしれない。

 しかし、灯りを持ってやっと見えるその顔は、紛れもなく日巫女そのものだった。

 

 「嘘……」

 

 戦場で行き倒れていた女の子を拾い育て、自身の後継者として選んだ女王……日巫女。眠るような死に顔だったが、口元、そして腹部から未だ流れている血はそう時間の経たない内に殺された事を示唆している。

 

 「どうして?」

 

 「おそらく、暗殺者の仕業かと」

 

 「…………」

 

 「嘆いてばかりもいられません、これより邪馬台国の女王は、貴女です……壱与様」

 

 「…………分かった」

 

 隠れた太陽は、次の日には何もなかったように再び姿を現す。その様に民も安堵の表情を浮かべていた。

 その日から彼女の心には穴が開いた。擬似的なものとはいえ、親子という繋がりによって埋まっていた分が……………

 あの光景に何を指していたのか?

 日巫女(ヒミコ)が死んだ事を示唆していたのか?

 壱与がその座を継いだからもとに戻ったのか?

 それともただの現象なのか?

 一つ言えるのは……あの光景は彼女にとって、太陽を司る者の死を象徴した出来事であった。

 

 「幼心ちゃん、大丈夫?」

 

 すずは、自分の心の中で苦しそうにしているかなでにテレパシーで聞く。

 

 「あのイチゴって人……ロボがそうかもしれないけど、何者?」

 

 「え?」

 

 すずのもう一つの人格はイチゴそしてイチゴの駆るカイの挙動に日食……そして日巫女(ヒミコ)の死を思い出し、転じて天照を害する刃になりうる可能性を見出す。

 

 「あの力は危険、私達に向けられたら……無事じゃ済まない」

 

 初めて感じる悪寒だった、紐付いた力全てを消されるという危機感、存在の根幹にまで届きうるのでは……と、恐怖を覚えた。

 ほぼ同じタイミングで、似たような結論を出した存在がいた。

 

 『(こいつ……生かしておいたら、危険危険危険危険危険危険危険)』

 

 それはイチゴに向ける、天照の殺気が濃くなっていく事を意味する。

 

 『行け!!』

 

 天照の鏡全部が、四方八方に散っていく。太陽が隠れて暗いままだったから、灯りが増えたのは良かった……とは言えない。

 

 「来る!?」

 

 イチゴは、その場に留まるより動き回った方が良いと悟り、左右に動く。

 

 『無駄よ!!』

 

 天照は、光を鏡に向けて乱射する。

 

 「?」

 

 その光は鏡から鏡へ反射していき、次々とカイに当たる。

 

 「!?」

 

 その都度鏡は角度を変え、光の反射の軌道を分からなくさせた。

 

 「この!!」

 

 近くにある鏡を掴んで、地面に叩きつける……しかし、割れない。

 

 「さすが……」

 

 神に類するだけはある。

 

 『潔く散れ!!』

 

 天照は両手を用いて、光を発射する。片手での攻撃より、太く、強そうな光を発している。

 

 「暑っ!!」

 

 「これじゃあ……イチゴ君が危ない!!」

 

 「待って」

 

 「え?」

 

 「もうちょっと様子を見よう」

 

 「幼心ちゃん……」

 

 すずが心の中で会議をしている間に……イチゴ及びカイはへたり込んだ。

 一週間真夏の外に出かけた分の太陽光を浴びた気がする、しかし体が黒くなって適応できる程長い期間浴びてる訳でないのできつい。

 少し座席にもたれた、丈瑠達侍との修行などで経験した疲労とは別ベクトルの疲労に襲われる。

 

 「春なのに熱中症か……」

 

 『下ろしたいのは山々ですが、安全地帯が見つかりません……』

 

 幻聴か、突風の音が聞こえる。

 

 「祭里!!……じゃない!?誰?」

 

 幻聴ではないみたいだ。

 そして、聞き覚えのある音声が聞こえた。

 

 「こ……この音楽(BGM)は!?」

 

 あちこちを見てみると……

 見覚えのある天女、見覚えのある男達が見えた。

 

 『ワーハッハッハッハッハッハ!!』

 

 そして……天女が踊り、紙吹雪を振りまきながらその道を彩り、男達が担ぎ上げているのは………

 

 『祭りだ、祭りだぁ!!』

 

 見覚えのある桃太郎だ!!




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