スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。


第16話 南北合神 雀武王 Bパート

 目に見えるのは赤き巨躯を誇る巨人。朱雀本人?本鳥?のパワーアップバージョンのように豪華な装飾が施されており、生えた翼はかの鳥神ガルーダを思わせる。

 

 「あ……あれが、朱雀の本気か?」

 

 「俺達は科学サイドだから何がなんだか……ねえ、ララさん」

 

 ガーランド達には見えない事を忘れてはならない。

 

 「うん!!」

 

 「私……あんなの見た事ない」

 

 『この力は玄武……他の四獣が必要不可欠だからね……僕は決して君を軽んじていた訳ではないよ、すず』

 

 言われてみれば、胸の玄武は重要な部分だと思える。

 おそらく朱雀だけ……というのはありえない。玄武がメインの形態もあるだろうし、青龍と白虎にも似たような形態があるに違いない。

 

 『さ、この姿を眺めさせるだけというのもなんだし……始めよう』

 

 「仕方ないか」

 

 万能工具なら、変形して剣にできる。

 

 「万能工具(ツール)!!」

 

 『黒蛇(こくじゃ)(とう)

 

 玄武の尾の部分の蛇からなるその剣は、ムチのように奇抜な動きをする。

 

 「ん?」

 

 『ハハッまだだ!!』

 

 変則的な動きに、万能工具で防御するので精一杯だった。

 防戦一方のイチゴを嘲笑うように、余裕そうに笑みを浮かべて語りかけてくる。

 

 『どうした?使うといい、あの力を』

 

 「言われなくても!!」

 

 だが鬼光眼を使えた時のような、力がとめどなく溢れる感じがしない。

 本能が語りかける、"今"は使えない。

 

 「……………」

 

 『………何かすいません』

 

 「気にしなくていいよ〜〜〜私も使えなかったし」

 

 ララのフォローを受けるも、ショックは和らぎきれず。

 

 「どういう事?クイーン」

 

 「んーとね、一旦カイを持って帰って変な玉があるから調べてみたんだけど……あれ(指さし)言ってみればエネルギー炉だったんだ」

 

 「なるほど、いつもみたいにバッテリー切れで溶けなくなったって訳か……」

 

 「でも、戦闘ログを見てたらまるっきり作った覚えのない武装使ってて……カイにお願いしても同じ事はできなかったの、イチゴに使ってもらったら分かるかな〜って」

 

 「なら条件を整えて検証する必要があるな……」

 

 「もちろん、危なくなったらカイから脱出できるようにしてあるからね〜」

 

 「まあお姉様ったら良心的(イケボ)」

 

 『そうさ……君にしか使えないと僕は見たんだ、せいぜい期待通りに動いてくれよ!!』

 

 「イチゴ君、朱雀には負けないでー!!」

 

 「無理ですよ、すずさん」

 

 本人?はあれな性格だが、れっきとした四方を守る神獣の一体に入る。特に発祥の地とその意が取り入れられた日本ではホームグラウンドに近い。それらがきっちり祀られたのは過去の話かもしれないが、今でも何かしらのネタにされる分の信仰はある。

 朱雀は羽根のようなミサイルを発射してきた。

 

 『朱羽箭、貫け』

 

 「断ち切れ」

 

 万能工具で真っ二つとしてダメージを抑えようとするも硬く、断ち切れずに直撃する。

 

 「!!」

 

 『くっ』

 

 カイに全ダメージが行っており、イチゴにはダメージはないが、衝撃で体がグラグラする。

 

 『ハハッどうした?』

 

 「また良いようにやられるのは癪だよね?カイ」

 

 『ハイ……しかし私とイチゴ様の力量では……』

 

 突如空間が、揺らぐ。

 

 「?」

 

 小狼(シャオラン)達と初めて会った時と似たような感覚を覚えた。だが彼らの方がもっと仰々しさ、何か別のものが来るという感覚があったような……狐の面を付けたロボットが現れる、それも数体。

 

 「なんだあれ」

 

 「昨日のロボットか?」

 

 「本当だ」

 

 「?」

 

 知らない情報が聞こえ、混乱した。

 

 「そんなのいたんだ〜?」

 

 「昨日出現したがいつの間にか両断されて爆発して、それが舞い戻った……違う、あれは量産型か?」

 

 確定しているのは敵だということ、その証拠にロボットは急に街を攻撃し始めた。

 

 〜牙鬼城内部〜

 

 十六夜九衛門は、プロトタイプ・キュウビのスペアを、比良坂命依の遺物から摂った恐れの力でコピー、そして人間界に送り込んでいた。それは、恐れの力次第で兵を大量に増産し送り込めるようになったという結果に等しい。

 

 「九兵衛、良かったのか?せっかくのあの恐れを湯水の如く使いおって、もっと有効に使う手立てはあるのではないか?」

 

 比良坂命依の遺物は九衛門の手柄なので意に沿わぬ使い方は仕方ないにしても、あまりにも個人的すぎる使い方をした事で正影は苦言を呈する。

 

 「これからの強化に使おうと思いますが……奥方さまでも呼び覚ましますか?」

 

 九衛門は本当にその目的で使う気はなく、冗談めかして聞いたが晦正影はひどく焦った。

 

 「待て、そうは言っとらん。大体巫女と言えば……特に貴様の言うような太古の者であればそれは神への供物、選びに選びぬかれた見目麗しいおなごであるのが必定ではないか、そんな奴から復活したと知られれば」

 

 有明の方ならこういうかもしれない……

 

 『つまりなんじゃ?この身を復活させたのは妖巫女という者から摂れた恐れとな?と〜い〜う〜こ〜と〜は〜(わらわ)の肌艶は巫女の力を受け、ツッルツルのプルンプルンに………って、変わっておらぬではないか!!(鏡の壊れる音)晦!!憂さばらしに行くぞ、準備せい』

 

 「めんどくさ……お労しい事になるではないか!?それより御館様ぞ、御館様……」

 

 「あの恐れからでもいいですが……基が基ですから、妖巫女への恐れのみならず妖巫女の力も付加され、妖共が懐きますからね……やはり御館様の力となるのは人も妖も恐怖する恐れの力でなければ」

 

 丁度先日、どういうものかは未だ謎だが、人の形を成した恐れの力の塊を目にし、それを狙おうと九衛門は考えていた。

 九衛門の勘が正しければ、その塊には億を越える程の人の思念が練られている。込められた人の思念がいかに微弱でも、数の暴力、塵も積もればという意味でその力は大妖怪、下手をすれば神にすら届く。

 あの一体を水に換えるだけで、牙鬼幻月の復活……のみならず、さらなる飛躍を見込めると見た。

 

 「貴様、御館様の治世において見たことのない面をして……分かっておるではないか」

 

 「それにまだ腕一つ程しか使ってませぬ故……ご安心を」

 

 「あれでその程度とな!?一体何者ぞ?あの巫女は」

 

 「比良坂命依、天照の巫女の系譜にして、人と(あやかし)による大乱……名付けて人妖大戦の引き金となった者にございます……一時は、濡れ衣とはいえ妖共の首魁とまで謳われておりました」

 

 〜小美呼市〜

 

 『悪意を感じるな……仕方ない、弱き者を守るのは僕らの役目だからね……合力しよう』

 

 くるりときれいに反対方向を向き、狐面のロボットの一体に向かう。

 

 『舞え、黒蛇刀!!』

 

 黒蛇刀でロボットを縛り上げ、絞め上げ、瞬く間に一体撃破。

 

 「すごい……」

 

 イチゴが狙われた時は必死だったのもあり強さ以外を測れなかったが、改めて見ると美麗な剣捌きだった。

 だがまだ1体やられただけだ。

 丁度その時、聞き覚えのある音楽が流れる。

 

 「ん?」

 

 『ワーハッハッハ!!誰かと思えば、孫悟空の縁者か!?面白い、俺も混ぜてもらうぞ』

 

 桃太郎だ、桃太郎が来た。

 

 「桃太郎!?」

 

 その口上だけで、安心感が湧いてくる。

 

 『いくぞ……来い、お供達』

 

 桃太郎はお供を4人召喚する。

 

 『首領(ドン)(オニ)(タイ)(ジン)だ!!』

 

 大合体!!大合体!!(以下略)

 

 『略すな、重要なとこじゃろがい!!』

 

 鬼のツッコミを受けつつも、合体。

 

 完成、ドンオニタイジン!!

 

 『よし、じゃあ行くか!!』

 

 犬の号令で、ドンオニタイジンは駆け出す。

 

 『お供の癖に、俺に指図など10000年早い!!』

 

 その言葉に猿が突っかかる。

 

 『ほう……では、10000年経てば君は私達の言う事を聞いてくれるというのか』

 

 『お供達が10000年生きるなら、俺もその分進化する……そういう事だ』

 

 10000年、仮にその年月が経ったところで差を埋める気はないらしい。

 

 『アゲてくぜ〜!!』

 

 鬼のミサイルを直撃させ、動きを停止させた直後に強襲、キジの剣で×の字に切り裂く。

 瞬く間に、一体撃破……イチゴがやるよりきれいにキマったのを見て、さすがだと思う気持ちと羨ましいと思う気持ちが湧いた。

 

 『フン、人形なでどはまるで相手にならん』

 

 『丁度良い、ではどちらがこの地の守護者として相応しいか、勝負と行こう』

 

 『面白い、やるか!!』

 

 朱雀と桃太郎は、狐のロボそっちのけで戦い始める。

 

 「ふざけないでよ!!まああの人達らしいや」

 

 呆れつつも諦めに似た言葉を出す間に二体、ララ達の元に向かっていた。完全に確認ミスだった。

 

 「あ、ララさん、兄さん!!」

 

 「着装!!」

 

 すずの衣装が変わった、パーカーに似たゆったり、ふんわりした衣装に。

 

 オモカゲ……ダイダラボッチ!!

 

 そして彼女から何かがまろびでた。すずがそのまま大きくなったような姿形だった、ドンオニタイジンやらカイやら今ここにいる面子よりは劣るがデカい。

 それが狐のロボットを抑え込んでいる。

 

 「動きが止まった?」

 

 「どうやって?」

 

 ガーランド達の疑問には耳を貸さずにすずは言う。

 

 「みんな、今の内に」

 

 「えーい」

 

 すずに促された後、ララは力を溜めて、ロボットに攻撃。どれほど力をこめたのか……ロボットはショートしだす。

 

 「逃げて……って言おうとしたのにな……ま、いっか」

 

 すずの子供達を連れて牧場の陰へ避難したガーランドは、彼女達からブーイングを受けていた。

 

 「おじさんは混ざらないの?」

 

 「ママが危ないよ」

 

 「あのお母様方が強すぎるだけで、世の中にはああいう巨大ロボをなんとかできないおじさんおばさんがたくさんなんです〜後俺はまだお兄さんだからね」

 

 「弱虫」

 

 「ブーブー」

 

 ガーランド、キレた。

 

 「よーしよしそこまで言うなら今からカッコいいものを見せてやるよ、サイドウェイズ・トランスフォーム!!」

 

 駐車場にあるガーランドのバイクが、ロボットに変形した。

 

 「わー、カッコいい〜」

 

 「でもワルそう」

 

 紫のボディーは子供には受け入れられないようだ。

 

 「子供にこの色の良さがわかるにはまだ早いようだな」

 

 「おじさん、最初から出してよ〜」

 

 「サイバトロンのみんなからの心象悪いからなこれ……さっさとやるぞ」

 

 サイドウェイズと呼ばれたロボットは、プロトタイプ・キュウビの肩に飛び移り、腕からマシンガンのようにビームを連射する。

 プロトタイプ・キュウビ……爆発。サイドウェイズ……脱出。

 

 「58発も撃たなきゃ壊れないか……さすがスーパーロボットってか?」

 

 「すごーい」

 

 「ハッハッハ、喜んでくれるのを見るのも悪くないな」

 

 サイドウェイズを見てララは、ガーランドの無事と頑張ったのを確信した。

 

 「あのバイク……やったね、ガーランド!!」

 

 「あ……子供達探さなきゃ」

 

 そして最後の一体になった途端、その一体はカイに突っ込んできた。

 

 「!?」

 

 突進により、別の場所まで連れてかれる。

 森まで連れてこられた、ここを戦いの場にする気か?

 

 『……………』

 

 ロボットは無言で刀を振るう。

 防御したカイの腕にパックリ割れの如くヒビが入った。

 

 「こいつ、強い?」

 

 『こいつの攻撃は私の装甲以上のようですね』

 

 難なく倒したみんなの力を、再確認せざるを得ない。

 

 「何者?」

 

 返事はない……

 無人機か?

 

 「だったらこの前みたいに……」

 

 「お兄様〜!!」

 

 「!?」

 

 予想外、ノノの声が聞こえた。近くに……いる?

 

 「来ないで!!」

 

 同じ声、同じ口調、他人じゃないという確信が芽生え、思わず叫んだ。

 

 「はえ?」

 

 その状況を汲んでくれないのか、狙ってか、おそらく後者だろう、ロボットは手持ちの刀を振るってきた。

 

 「くそっ」

 

 万能工具をロボットの刀と交差させ、鍔迫り合いの形を取らせる。

 しかし刀から放たれた衝撃波は、カイの腕をすりぬけ地面を走った。

 

 「しまった!!」

 

 今から方向転換して助けに行っても、間に合わない。

 

 「避けて、ノノー!!」

 

 イチゴとノノ、どちらを優先させるか、どちらに生き残るべき価値があるかは言うまでもない。だから、巻き添えには遭ってほしくない。

 避けろ、避けろ、避けろ、もしくは助かれ。

 祈りが届いたように風が巻き起こり、衝撃波をかき消した。

 

 「ふー、セーフ」

 

 一人の祓忍の姿が見える。

 風車を口にくわえているのが特に印象的な男だ……

 

 「こいつらは大丈夫だ、早い所やっつけろ!!」

 

 彼はココまで連れている。ココまでいたのは、予想外だった、それはそれとして……

 

 「ああ……うん」

 

 万能工具でカイの体を修理。

 そして気を取り直す……

 トドメをさし、爆発されるとノノ達が巻き込まれる、爆発しないようにするには……

 

 「斬り落とす」

 

 目からビームは撃ってこないので、首と胴体だけにする。

 

 『そうしましょう』

 

 コックピットのレバーを押し倒し、加速。

 

 「まずは距離を詰める」

 

 両足をくっつけ、ドロップキック。

 狐のロボットに触れたところでキックの体勢を解除、万能工具を用意する。

 

 「次はこれだ」

 

 剣の形にして、腕を切り飛ばす。

 無人機であるせいか、反応はない。

 

 「………………」

 

 『もう一本どうぞ』

 

 カイは、もう一本の万能工具(ツール)の在り処をモニターに指し示す。

 

 「ありがとう」

 

 もう一本の万能工具を手に取り、ロボットを切り裂く。

 狙いは成功、狐の面をしたロボットは動かなくなり、時間をおいても自爆などのアクションはない。

 

 『やりましたね』

 

 「カイのパワーのおかげだよ」

 

 少々、疲れが出てきた。

 

 「外の空気が吸いたい」

 

 『了解しました、空調イマイチでしたかね?』

 

 悪くはないが、今は、微動だにしない大地に腰を下ろしてまったりしたい気分だった。

 イチゴは下ろしてもらった後、地面に座り込んだ。

 

 「お兄様〜!!」

 

 ノノが出てきて、イチゴに抱きついてくる。

 ついでにココも……

 

 「なんで……」

 

 「ガーランドお兄様とどこかへいかれて時間がたったので……そしたら、カイが出てきて、それで」

 

 「すごい戦いでしたね、イチゴをからかう暇もありませんでした」

 

 「なるほどね」

 

 分かったので、離れて欲しい。

 

 「よっ大活躍だったな」

 

 先程の祓忍が、イチゴに近寄ってきた。

 若い男のようで、肌のハリツヤが良さげだった。中性的な美形という範疇に入る。

 柔和な雰囲気ではあれど、来るならいつでもかかってこいと自信が垣間見える。イチゴにはないものだ。

 

 「あなたには負けるかな」

 

 敵を倒すだけなら誰にでもできるかもしれないが、命の危険に陥った女の子を颯爽と現れて助けるなんて芸当はヒーローにしかできない。イチゴは以前そうしようとして自分が深手を負ったのでアウト。

 

 「話聞いて飛んでみりゃとんだ魔境だよな」

 

 桃太郎、朱雀、玄武、デカいロボたくさん、ちょっとデカいトランスフォーマー型のロボット、充分魔境だった。

 

 「俺の名前は祭里、風巻祭里だ……お前は?」

 

 「イチゴ」

 

 「イチゴ?まさか……お前……」

 

 「ゴクリ」

 

 「俺、お前のじいちゃんのファンなんだ、特にスイONがだな〜」

 

 スイッチ!!ON陽師の事を言っているようだ、イチゴの祖父の手がけた漫画になる。

 

 「そうですか」

 

 孫と祖父の関係ではあるが、助けてもらった礼にサインを書いてもらうよう頼めるような間柄ではない……その度胸がイチゴにないだけかもしれないが。

 

 「おじい様のファンなのですか?では助けていただいたお礼に一筆お願いしてきましょうか」

 

 「マジかよ!!ありがとな」

 

 祭里はノノに向かって拝むように手を合わせる。

 

 「イチゴー!!」

 

 ララやガーランド、そしてすず達が戻ってきた。

 

 「お母様〜〜〜!!」

 

 「ノノ〜〜〜!!」

 

 二人は無事を確認してお互い笑顔で抱き合う。その姿を見てるとやはり親子だ……とそう思えた。

 

 「パパ〜!!」

 

 「祭里〜!!」

 

 「無事か?無事だな?」

 

 すずは祭里に近づきキスを始めた、音の隠しきれないすごいのを。ノノの目はララに覆われた。

 

 「ぷはぁ、あのさあ、すず……人前なんだけど」

 

 「だってぇ……数日振りで……あれ以来◯◯も◯◯◯もしてないもん」

 

 ガーランドは驚いた。

 

 「なんつー母親だ……子供が目の前にいるんだぞ……(ドン引き)」

 

 「え、おじさんのママはしないの?」

 

 ガーランドの母は『えっちぃのは……まだ早いです』と言っていた、その裏でリトと何をやっていたかは知らない、知ると何か、親を親として純粋に尊敬できなくなる、そんな気がする……とガーランドは危惧している。

 

 「このお母さん達がオープンなだけだからね、12歳超えるまでその話はするなよ」

 

 何をとは言わないが、好奇心、本能に身を任せて実践される可能性がある……

 

 『終わったか』

 

 桃太郎と朱雀が、いかにもさっきまで喧嘩して、そのまま帰ってきたというような雰囲気を醸し出して帰ってきた。

 両名ともやるだけやって満足したかのような爽やかさが垣間見え、反感……というか、イラッとくる。

 

 『君は……祭里か』

 

 「テメェ……朱雀か、久しぶりだな」

 

 『そうだね、君にはもっと相応しい姿があるだろう?えーい』

 

 朱雀は大きな状態のまま、印を組み祭里に向ける。

 変な矢印の形をした剣の紋様が浮かび反転すると、祭里の体は女になった。その紋様が男のマークと女のマークである事に察しは付くが……髪の色が黒がかった赤から白色に変わる理由は教えてもらいたい。

 

 「すげえ、胸が、急に、バルンって!!」

 

 確かに、大きいか大きくないかと聞かれれば「クソでけえ」と形容する他ない。

 

 「祭里、今元に戻すよ……えい」

 

 そのすずの掛け声と共に、祭里の体が元に戻る。反転した分を反転しているのか?

 

 『えい』

 

 反転した分を反転した分を反転した、また女性の肉体へと変わる。

 

 「えい」

 

 反転した分を反転した分を反転した分を反転した、男の体に戻った。

 オセロの駒をひっくり返すように、気軽に体の性別を変えられている事に対して言い切れない恐怖を覚える。

 

 『何故止める?いつぞやはあいつの体をいつもむしゃぶりつきたそうにしていたくせに』

 

 「今もだけど、祭里をあれこれするのは、私よ!!」

 

 「わかるよ〜好きな人はどんな性別でもいけるよね」

 

 「そんな殿方、いないかな〜?」

 

 「奥様方……お子様、ドン引きしているのですが」

 

 「「じー」」

 

 「私にはまだ、入れない世界ですね」

 

 入れないからといって無理をして入る必要はなく、むしろそのままでいて欲しい。

 

 「すずも朱雀も……人の体で遊ぶな!!」

 

 やはりというか……祭里は怒鳴ってきた。

 

 『今日のところはこのくらいにしておこうか、また来るよ』

 

 「もう来なくていいよ」

 

 『俺もそろそろ去ろう、さらばだ!!』

 

 桃太郎も、どこかへ去っていった。

 

 『良かったのか?』

 

 『考えていた状況と色々違うからね……次こそ、すずもイチゴも手中に収めてみせるよ』

 

 『夏喃、お主の悪い所は脈もない女子が必ずなびくと断言できる、根拠のない自信……いわば傲慢さよ』

 

 『は?』

 

 〜その日の夕方〜

 

 九衛門は、恐れの力を集めていた。

 プロトタイプ・キュウビを、分身を用いてまで出現させたメリットはある、倒されはしたものの高層ビルに並ぶ大きさのロボットが複数、街に襲いかかる、それだけでも放出した恐れの力のリカバリーが効くのだ、こぼれた水を盆に還すようにそっくりそのままではないが……

 

 「予定外の出来事はあれど、嫌、だからこそ収穫は上々……か」

 

 九衛門は送り込んだプロトタイプ・キュウビの分身の残滓を、歯車へと変換する。かなりの枚数が手に入った。

 

 「武器と手は取られたか……まあいい、それより……クックックッ」

 

 桃太郎、朱雀、妖巫女、美しさと怪力を併せ持つ女、銃撃戦の得意なロボット、マスコットのような見た目だがシュリケンジンに引けを取らないスーパーロボット、それらのデータが一度で摂れた事に、九衛門はご満悦だった。




いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
ゴチャゴチャしてると思ってたらごめんなさい。
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