スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
前半はハルキwithセブンガーとシンケンオーの漫才を、後半は姫様(CVノッブとかハッピーとか)とシンケンジャーの交流を楽しんでいただければと思います。
「折神大変化!!」
各々、大の文字を書き、折神を変形、後に巨大化させる。
両者並び立ち、戦いが始まろうとした瞬間
「……………?」
突如、謎のジェット音が聞こえた。
音は段々こちらに近づいていく。
そして瞬く間に落下音、それが済んで音の主の姿が見える事ができた。
音を出しているのは、銀色の土管的な丸っこいボディー、目つきによる表情の豊かそうな、かわいらしい巨大ロボット。
「なんやあれ、かわいいなぁ」
「おっ特空機いんじゃん」
「特空機って何なん?」
「地球防衛軍の日本支部所属、対怪獣特殊空挺機甲つってな、あの丸っこいのはその1号機でセブンガーっていうらしい」
「結構詳しいのね、正式名称まではあんまり知らないな……」
「友達に詳しいのがいてさ、しょっちゅう高校で話し込んでたわけよ……」
「では頼もしい仲間という事になりますね」
「この前も言ったがあまりあてにしすぎるな、怪獣並みの大きさになっても外道衆を倒すのは俺達だ」
「それもそうです、まあせっかくですし怪獣が来た時協力するのもありなのでは?平和を守るという同じ志を持つもの同士、協力できると思います」
「考えておく」
セブンガーから、何か通信による音声が聞こえてくる。
『ハルキ、負けんじゃないよ』
気の強そうなお姉さんの声。
『ハルキ、これが最初の実戦になる。怪獣相手じゃないとはいえ気を抜くなよ』
経験豊富な感じがにじみ出ている声。
「押忍!!隊長、ヨウコ先輩、行ってきます!!」
元気いっぱいな若者の声。
『押忍じゃなくて了解な』
『ハルキィ~あいつらの解剖も試してみたいし、肉片の回収もよろしくね~』
先ほどのお姉さんよりかわいい系だと思わせる声。割と若い人達がいっぱいなのだろうか?
「押忍!!頑張るっす!!行くっすよ、セブンガー!!」
セブンガー、ファイト!!
「行くっすよー!!」
セブンガーはオオツムジに攻撃を仕掛ける。細身の腕だが、素が重いのか割と有効そうな音が聞こえる。
「あれをやるぞ!!」
セブンガーの働きに触発され、シンケンレッドは何かを指示。
日々訓練を積んだ者達でなければ分からない会話だ。
「はい、殿ぉ!!侍合体!!」
流ノ介はショドウフォンで「合」の文字を書く。
五体の折神が揃い合わさる事で、侍の巨神が姿を……
「……!?」
揃わなかった、丈瑠の獅子折神抜きの四体で△○六角□に連結したおでんのような合体と化す。
「……………」
丈瑠は予想外の展開にあ然としていた、せざるを得なかった。そして取り残された獅子折神は宙ぶらりんと浮いている。
「完成、名づけて……」
「でもこれ、なんか違うような……」
「あ、おでんや」
『おでんだな』
『おでんね』
「おでん……食いたくなってきたっすね」
『無事に終わりゃ後で奢ってやるからさっさと倒せよな』
「押ぉ忍ぅ!!いきます、隊長!!」
ハルキは攻撃を続けた。
「おでんはいいとして、なんで俺が一番下なんすかね?」
このおでん合体で一番下なのは、熊折神……シンケングリーンなのだ。
「お前の折神が一番たたんだ時に大きくて安定しているからだろうか?千明!!頼む」
「よろしくな」
「お願い!!」
「しょうがねえな………行くぜ!!」
熊折神、迫真の大ジャンプ。
その上に積まれてある龍、亀、猿折神を落とさずにオオツムジまで飛ぶ!!
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
勢いに押し負けて、オオツムジはたじろぐ。
命の危機だ、物量がやばい。直感でそう思わせる何かがあった。
だがおでん合体は、オオツムジの目の前までやってきて、止まった。
率直に言って、オオツムジの感じた危機は杞憂に終わったのだ。
「こけおどしか……なら、だるま落としだ!!」
オオツムジは、自身の武器の峰の部分を当て、ゴルフでもするかのようにだるま落としを行う。
「お仕置きだ、おしりじゃなくてもぺんぺんよ!!」
一つ
「あぅ!!」
二つ
「うぐぅ!?」
三つ
「う!?」
四つ
「きゃ!!」
おでん合体は、全て崩され、四体の折神はビルに激突した。
「皆さん、今助けます」
ハルキは、セブンガーで折神達を先程だるま落としされる前の状態に組み直した。建物のサイズ感を抜きにすれば、積み木で遊ぶ子供に見えなくもない。
「ふー、皆さん、仕切り直しと行きましょう!!」
セブンガーのガッツポーズが、良い仕事をしたと喜ぶ子供に見えた。
「「おー!!」」
「…………………」
それまで事態を静観していたシンケンレッドは、今やっとツッコミを入れられるタイミングとなったため言う。
「わざわざ組み直すなよ、俺余ってるだろ!?」
「…………………」
「あ」
「すみません、失念してました!!殿様、もう少し高度を下げていただければ……」
ハルキは組まれていた亀折神と猿折神をおでん合体から分離させた。
「どうぞ!!」
ホワンホワンホワンホワン~
シンケンレッドの脳内に、先程のおでんのような合体に、獅子折神も乗っけたバージョンが浮かんだ。
さらに収拾のつかなくなったその形態を阻止しなければ……今自分が引っ張らなければいけないとシンケンレッドは思った。
「やめろ!!俺を上に乗っければ良いって訳じゃない!!ええい埒が明かない、俺が行く」
シンケンレッドは、ショドウフォンで「合」の字を書く。
侍合体!!(真)
五体の折神が合わさり、侍の巨神が姿を現すのだ!!その名も……シンケンオー!!
「シンケンオー、天下統一!!」
勢いでだが、みんなハモっていた。
「そこのお前!!」
「押忍!!」
「あの合体は事故だ、忘れろ」
「押ぉ忍!!では改めて、いきましょう!!」
「殿ぉぉ!!先ほどは申し訳ありませんでした!!」
「良いからいくぞ、全員でな」
「は!!」
「もしかして、丈瑠の奴気にしてる?」
「あれ、かわいかったなあ……」
「でもあれ突っ立ってるだけしかできないもんね」
「漫才は終わったか?終わったな…………出てこい、部下共」
ナナシ連中がぞろぞろと出てきた。
「はぁ!!」
武器の刀で回転斬りを行い、ナナシ連中を攻撃。
追い討ちとして、獅子折神の顔部分から火を吐いてナナシ連中を爆発させる。
「チェストー!!」
セブンガーによる、渾身の手刀で残りのナナシを攻撃、爆発させた。
「最後はお前だ、ダイシンケン・侍斬り」
武器に文字が浮かび、円月殺法を彷彿とさせる動きを取ってオオツムジに攻撃。
「ばばば……爆発!!」
とどめを刺したらしい、オオツムジは大爆発を起こした。
二の目は潰え、完全にオオツムジは死んだのだ。
「これにて……一件落着」
「皆さん、お疲れ様です!!それでは、失礼します!!」
ハルキの乗るセブンガーも、どこかに去っていった。
~志葉家 屋敷~
少女が一人、志葉家の屋敷にやってきた。
「ごめんくださーい」
インターホンがないため、コンコンと指で音を立てて伺いを立てる。
彦馬が出て、応対した。
「はて、どちら様かな?」
「はじめまして、ノノ・ナベリス・デビルークです……………あ、これ春菜さんやその友人方にも好評だったデビルークの宇宙港土産です、みんなで食べてください」
ノノは彦馬に頭を下げつつ、紙袋を渡した。
「なんと、それはそれはご足労を」
「構いません、お忙しい中何もお便りを出さずに参ったのは私ですから」
ノノと名乗る少女は丈瑠達がよく修行場所として使っている廊下に腰掛けた。
「それで、イチゴお兄様はどこにいらっしゃるの?」
「今は外ですな」
「そうですか……帰りを待ってもよろしいですか?」
「ええ…………彼もまあ日暮れには帰れるとは思います、今終わったと知らせが来ていた所です」
~帰り道~
「殿ォ!!今回の一件、しかと胸に刻み込みました!!」
「まあ、基本やる事は変わんねえけどよ」
茉子もうんうんと頷く。
「殿様、あの……さっきはごめんなさい。うち、もっと頑張ります」
ことははさっきのランドスライサーの事でか、気まずそうにしていた。
「お前は強かった」
そう言って丈瑠はことは、そしてみんなに微笑んだ、彼の笑顔を見ると確信できる。今日の戦いはこれにてお終いだと……
「殿の寛大なお言葉………く~!!それに比べて私は……先程の悪態、お許しください!!この流ノ助、けじめをつけさせていただく所存です!!」
そう言って流ノ介は服を脱ぎ…………
近くの滝に打たれた。
「殿ぉ!!お許しを、うぉー!!」
「その辺にしとけ、置いてくぞ」
後で聞いた所、うろちょろしていた間に、丈瑠は家臣達に見限られかけていたようだ。
そうなってくれれば良いとすら思って話に聞く態度をとっていたのではないかと、イチゴはなんとなくだが思った。
常々、「戦うのは俺一人で良い」と豪語していた彼だ。
人と距離を置きたがるのもある。
「イチゴ」
唐突に丈瑠に呼ばれ、イチゴの心臓の鼓動が早くなった。気づかれていたのか?
「こそこそ隠れるな、隠れるならもう少し堂々と隠れていろ」
「…………はい」
「分かればいい」
「イチゴ君ー、今日は助かった!!腕はまあ……うん、修行しなければな……君も滝で修行しないか?」
「プロに言われちゃ仕方ないか」
打たれてみるのも悪くないと思い、イチゴは黒子の衣装を脱ぎ始めた。
「やめとけやめとけ、アホが移るって」
「そうよ……ことはも混ざる必要ないから」
「うん、分かった」
丈瑠達の今日の戦いは終わった。だが、イチゴの戦いはこれから始まるのだ……
~志葉家 邸宅~
「お兄様!!」
兜をかぶった少女が、頭突きでイチゴをど突いて来た。
「がはぁ!!」
そして押し倒された。
背丈は小学校高学年ぐらいで、見覚えのあるピンクの髪を振り乱している。
兜はまるで、どこぞの暗黒騎士のように顔全体を隠すような逸品だった。
「うう……」
顔を隠しているせいか誰かは分かりづらい、だが自分の年齢と相手の身長、知り合いの身体的特徴、経過年月を考慮すると……
「ノノ?」
妹のノノを思い浮かべた。
「!?久しぶりです、お兄様!!」
ノノはイチゴに抱きつき、ぎゅっとしてきた。
「誰だ?」
丈瑠の呟きに対しイチゴは答える。
「紹介します、妹のノノです」
「私、ノノ・ナベリス・デビルークと申します。兄がお世話になっています」
ノノは侍達全員を見つつ頭を下げる。
「デビルークってなんなん?」
「そうね……宇宙の向こうにたくさんの国家があって、それでそのうちの一つって聞いたような」
「極めて高い地位にあるとは聞いた事がある」
「て事は、ひょっとして彩の妹か?」
「まあ、彩お姉様をご存知なのですね、ご学友ですか?」
「マジか、あいつの言ってた事って本当だったんだ……まあ、そんな所よ」
「どういう事だ?千明」
千明は説明を始める。
「高校が同じだったんだ……たまにお母さん見るけどよ、美人だけど厳しそうな人だったぜ」
「お前にはそのくらいの方に絞られた方が良かったのかもな、何せことはを探してる時にいい加減な!!親と自分で認めてたしな」
「……………ああいう系はちょっときちいな…………つうか、その人だとお前に
『搾られたなんてハレンチな事を言うのはやめなさーい!!』つって怒ってたろうな」
話から察せる、該当者を思い浮かべるとなんとなくだがそんな事を言いそうに思えた。だが流ノ介とことは、そしてノノは何を言っているのか分からなさそうにしていた。
少なくとも該当者よりは頭の中身にHな因子は刻まれてなさそうだ。
「なんで私が!?そもそも、絞られたが何故破廉恥になるのだ?」
「あんたの頭の中身が見ての通りで本当良かったよ」
「茉子ちゃん、千明は何を言うてはるの?」
「シッ聞いちゃダメ」
「オホン」
丈瑠は咳払いをして話を止めさせた。
「千明が話を脱線させてすまない、デビルーク星の王女がここに来た理由はなんでしょうか?」
デビルークの人間の中で、苗字にデビルークと付くのは王族だけらしい。
「私がここに来たのはイチゴお兄様を迎えに来たからです。お兄様……私と一緒にデビルークに戻ってきてはくれませんか?」
「やだ」
ノノはイチゴのあまりの即答ぶりにがっくりと落ち込む。
「ダメ……ですか?」
「ていうか何のためにわざわざ……」
「私といずれ結婚していただくためにです」
「えー!!」
「結婚!?」
流ノ介と茉子は驚いた。
「殿相手ならオレも協力したいぐらいなんだけどな………」
「悪くない申し出ですが、不確定な要素があるので難しいのです」
「お嬢様、殿の……何がご不満なのでしょうか?」
「私の顔を見てケダモノになるかならないかが問題です」
流ノ介はイチゴの肩を組み、後ろに回って説明を求めた。
「…………ええい…どういう事だ、イチゴ君(小声)」
「彼女の祖母はチャーム星人って言って、まあ名前の通り相手を魅了するんです。特に顔を見ると男とか、嗜好によっちゃ女もみんな理性が吹っ飛んでケダモノと化すってもっぱらの評判で……ノノはチャーム人の力を先祖返りかってぐらい受け継いでるらしいって月刊誌にも書いてあるし」
兜の下はおそらく鉢かつぎ姫かとツッコミたくなるような美しい顔がある。なにせララ・サタリン・デビルークの子なのだ。既に子持ちであるはずなのに、姉妹もろともに美しい、かわいいとすら言える人達ばかりだった。
「それで?イチゴ君、懐かれるんだから見たって事でしょう?どうだった?(小声)」
「確かに成長すれば並ぶもののない美女になる感じではあった、でも見たのはノノが4歳とか3歳の時だからな…………そこからはずっと地球にいて会ってないし……懐かれるにはちょっと」
「どれどれ…………」
流ノ介は、ノノの兜を取り外した。侍としての身のこなしには、ノノが対応する暇も無く……
「美しい……」
それを見た途端、流ノ介の目がハートと化した、彼女の祖母由来の能力に嵌まってしまったのを察したイチゴは、すぐに流ノ介を気絶させた。
「急所は外した、皆さん……今は何も見ないでください。イメージが崩れます」
「お兄様……」
今、流ノ介がノノを覆って周囲を見えなくさせる壁の役割をイチゴが引き継いだ形になる。
つまり、今イチゴはノノの顔を見てしまった事に………
「やはり、お兄様は大丈夫そうですね」
多少はくるものはあるが、目の前のこいつは妹だと考えるとそれは自然と治まる。
それだけではないが、だからこそ耐えられるようだ。チャーム人の魅了の力に耐えられる事を知った時、ノノの祖母で生粋のチャーム人であり、ララの母親であるセフィは喜ぶより先に悲しんでいた。
『初めて知りました、私の美しい顔を見ても動じない相手を見て、それを悲しいと思う事があるなんて……あなたはこれから、私の顔を見てケダモノになれるよう、いえ、せめて動じられるように生きていかなければなりません。それが私の頼みです』
正直、イチゴは自身に耐えられるならけっこうな人間が耐えられるのではと思っている。
ただ、そういった人間達が人間としての生を謳歌できてるのかは甚だ疑問には思うが……
「お兄様?」
「ん?ああ………はい」
流ノ介が持っていた兜を取り上げ、ノノに返した。
「ありがとうございます」
ノノは兜を被りなおし、顔を隠した元の状態に戻る。
「流ノ介がすみません……流ノ介、どうだった?」
丈瑠も気になっていたようで、彼女の顔を見た感想を起きた流ノ介に尋ねた。
「はっ確かに……顔の特徴どれをとっても非のうちどころのないかわいさであり、見た瞬間あの娘を欲しいと思う気持ちが渦巻いて堪えきれるものではありませんでした……見た相手が毎回ああなってしまうのでは、見極める機会をみすみす逃してしまうかも……難儀と言えましょう」
「そうか」
「おはよう」
「おはよう、イチゴ君。対応が早くて助かった」
「という訳で、チャーム人の能力の効かない殿方を探すのが私の命題なのです」
「で?そういえば護衛は……」
宇宙を股にかけて犯罪を行う奴ら、アリエナイザーが不特定多数跋扈するこの宇宙……下手に王族がうろうろしているとよからぬ目に遭遇しかねない。
ノノはしばらく黙り込んでから一言
「撒いてきました」
イチゴは呆れてため息をついた。
「嘘だろう?オレなんかと違ってノノは立派な王族なんだから、自覚持てよ」
そしてすぐにデビルークに帰って今後はここに来ないで欲しいと思ったが、その言葉は喉から先へは出てこなかった。
言おうとすると、それに色々と加わって罵声へとなりかねない。馬鹿げた事を言うイチゴの妹、今のところただそれだけなのにひどい言葉を浴びせる理由にはならないはずだ。
「とりあえず引き取ってもらうか……連絡すれば春菜さん所には繋がるかも……あ、番号忘れた……千明、彩と連絡取れる?」
「あーわりぃ、後数日なんだけどさっき俺データ制限くらっちまっててさ」
「ちーあーきー!!すまん……さっきナビゲーター使ってたのがこたえたんだな」
「あはははは……そういうことにしとこ」
「さっきから帰る話になってますが……私……お兄様がデビルークに帰ると言うまで帰りませんから!!」
「そこをなんとか!!」
「お兄様…………私の事が嫌いなのですか……?」
兜で隠れてて察する事しかできないがノノは泣きそうな表情へと変わっていった。
大嫌いと言えばここから出て行くのだろうか?大嫌いだ、いなくなってしまえと言えば分かってくれるだろうか?
そんな事を言えば彼女が傷つく?傷つけずに恋とかなんとかを終わらせるなんて事はできないだろう……
兄が妹を泣かせるな?妹が兄を今困らせようとしている。
どうすればいいだろうか?受け入れるのはもってのほか、いずれにせよ断るのは確定だ。いかにやんわり断れるか……
「……………………」
その時、思考の邪魔をするように彦馬が現れた、手にはクッキーの紙袋を携えて。デビルークの宇宙港で似たようなものを見かけた覚えがあるから多分それだ。
「このような時刻、もしよろしければ泊まっていってはいかがか?あ……殿、ノノ様からのお土産ですぞ、ここにいる者達、そして黒子達全員に配っても余る程あります」
「そうでしたか……ありがとうございます、イチゴ、お前の部屋は空いてるか?」
見れば、確かにもう子供を連れて出歩くのを始めるには遅い時間帯だ。
夕暮れ、逢魔が時……子供はこの時間帯になれば塾とかない限りもう帰れが王宮のスタンス。
「ではお兄様のお部屋でよろしいでしょうか?」
イチゴは、ノノを見る……肯定する事を期待している目だった。それとなく見ている丈瑠達もおそらくそれを選択するであろうという前提の目線だ、しかたなさそうにイチゴは言う。
「…………オレの部屋の布団の予備なら貸すよ」
「ありがとう、お兄様!!」
イチゴはノノを自分の部屋に案内し始めた。
彦馬のおかげで、彼女に対してひどい態度を取らずに済んだのは感謝している。いずれにせよ答えを出すべきなのは次の日が良さそうだ。
~夜 志葉邸~
千明達家臣は、就寝まで朝の修行のおさらいをしていた。
丈瑠は考え事をしているらしい、終わるまでは来ないそうだ。
「デビルークって苗字の人間の親戚でイチゴ…………………………そういう事かよ……」
千明はため息混じりに独り呟く。
「どうかしたか?千明……」
「嫌……イチゴの抱えてるもんって俺達がどうこう言ってなんとかなるもんじゃなさそうだなってさ」
「お前がそんな真面目なトーンを出すぐらいか……」
流ノ介が茶化し気味に聞いてきたので千明は少し苛立った声で聞き返す。
「はぁ?俺が真面目なトーン出しちゃ悪い訳?」
「お前と知り合って数日は経つが、そういう一面があるとは思わなかった。それだけだ」
「あっそう」
「イチゴ君の事、何か知ってるんなら教えなさいよ……気になるじゃない」
「だから、デリケートな話なんだって……」
「そっか…………悪かったわ」
「千明はなんでイチゴの事知ってはるん?」
「さっきも言ったけど一応同じ小学校で、あいつの妹とおんなじ高校行ってたし……あ、お母さん違う人だった……」
「ああ……そういう系か…………確かにデリケートね」
「……………………まあ、そういうあれって言えばいいか……な……」
「なるほどな」
流ノ介が相槌を打つその瞬間……
急に、土を踏む音が聞こえてきた。黒子達のように足袋の軽めな音でなく、甲冑のような重い音。
「曲者!?」
4人は、ショドウフォンを構える。
「凄まじい圧……並大抵のものではないな」
「外道衆?隙間センサーはないわよ」
「アリエナイザーって奴かもしれねえ」
「それってなんなん?」
「わざわざ宇宙の向こうからやってきて悪い事してる奴ら……みてーな感じ?」
「そんな悪い奴なら、うちらもなんとかせんと」
改めて、4人はショドウフォンを構えた。モヂカラを込めれば、シンケンマルを出せるし変身もできる。
現れたのは、鎧を着た大男だった、大男は千明達を見て、警戒を解いたのか、殺気はみるみる消えていく。
「君達が彦馬殿のおっしゃった侍達………稽古でしたか、邪魔をしてすみませんでした。私達の事はしばらく影のようなものと思っていてください」
彦馬の名を出され、4人は警戒を解きショドウフォンを床に置いた。
彦馬の知り合いなら大丈夫、そういう安心感があってだ。
鎧を着た大男は会釈をし、すぐ闇夜に姿を消した。だが骨のように白と黒の入り混じった鎧は、否応なく目立つ。
「影にしちゃ目立つ鎧だよな……」
「骸骨さんやな」
「何者なのかしら」
はたして、イチゴはどうなるか?王女ノノは無事でいられるのか?第3話、まずはこれまで
いかがでしたか?
面白いと思っていただければ嬉しいです。
イチゴはチャーム人の能力は効きませんでした、ただし今のイチゴだとセフィ様の魅了は効きます。元気ハツラツしてると効きます。