スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。
この話は、中盤以降主人公関連のネタバレで構成されております。スパロボな部分はこの話の終盤になりますので、気になる方はスクロール、頼みます!!


断章 ある妖の記憶

 ある暑い夏の日の事だった……………しかし、未だ盆に入ってもいないので、これからしばらく暑さが続くであろう現実にげんなりする。

 私の事は、狼のAぐらいにでも思って欲しい。色々あって故郷のみんなと死に別れ、残された私は一匹、当てもなく人の世を彷徨っていた……一匹狼という言葉があるが、群れあっての一匹だから何か特別感があるのである。一匹しかいないとなるとただただ寂しい……そんな私は、旅先にて彩南町(さいなんちょう)と呼ばれる町に立ち寄った。

 ここは人間と別の星からきた人間の交流が盛んなようで、とにかく人の移動が多く、夜も光に溢れていた。もっと閑静な環境……田舎の方が我らにとっては住みやすいが、恩恵もある。たまにやってくるのだ……外つ国のみならず、別の星から我らと同じ存在が……

 岩石、植物、動物、靴下、絵本の登場人物、珍獣……

 一目だけでは、背も似たり寄ったりで分かりにくいものの、近くにいると気の流れがこの地のものと違う事を感じ取れた。

 別れた後、人の負念の塊に襲われた。このような都会ではたまに見かけるが、田舎は古くからの因習などの概念が熟成され、まろびでるように産まれた人間でいう生ゴミみたいな妖などもいるので良し悪しといった所……そのような妖に限って、そこに住む人間の意識に関わる事だからと祓忍なる人間達は何もしてこないのでそういう所はすぐに見切りをつけるに限る。

 幸い、弱い類のものであるため、爪で引き裂き、なんとか撃退できた。報酬代わりとして、その日は駆けつけた祓忍のお世話になった。主従契約を結ぶ事を提案されたが、何故か気が乗らず、私は去った。毛づくろいは上手かったのに……何故だろう?

 この町で語り草となっている人間は二人いる、その一人……要注意と貼り紙に描かれた人物を次の日実際に目にした。

 年寄の男で髪が一部欠け、狸のごとくでっぷりした肉体を持ち……瞳の見えないメガネを着用して、うら若きおなご、美しきおなごを見てすぐに欲情し走る様は……自分が言うのもなんだがケダモノのごとしと形容できる。

 淫気にあてられているのではと疑わずにはいられないが、驚くべき事にその男は何かに憑かれてはいない。その者の素……という事になる。

 軽く蹴散らされている分、野盗などより遥かに無害と言えるが。

 気を取り直して歩いていると現職の王が、病院の敷地にいた。

 わざわざ住処から出張るのはよほどの理由があるに違いない、すぐに話を聞いた。

 身重の女性から、強大な妖気を感じるという。女性自体から妖気は感じない……産まれる子供が原因だと結論づく。

 仲間として迎えるか、対処にあたるか……

 見極めねばなるまいと、王は言った。

 一つの場所を仕切る王の言葉、軽く扱えるものではない、だのにそう言わせるのは何者か気になった私は、その参列に、混ざらせてもらった。

 内心、いざその時が来るまでは私も王もウキウキしていたのではないかと思われる。妖気を持つものは大抵、どこからともなく生えてくるものであって、母の胎内から産まれてくるものは極めて稀だった…………………それだけではない、新たな妖の誕生、それには何よりも勝る喜びがあった。

 人間は、いつの間にか城のごとき威容を放つ、平べったい建物ばかり建造するようになった。良い悪いは個の判断に任せるが、壁を伝って登れない。

 仕方なく、鳥の妖の力を借り、空から立ち合う事にした。

 既に出産は終えていた、後は産声をあげて鳴く顔を見るだけ……

 赤子を見た瞬間、確かに王の言葉通りだった事を知る。

 人間と同じ体をしている………

 人間と同じ産まれ方をしている……

 だが、しかし、感じる気配は妖の持つそれだった。しかも……既に多大な信仰も得ている、それも完全な負念一色……この赤子が、お前達に何をした?と思念を送る奴らに問いただしてみたくなる。今まで見てきたものの中で類似しているものと言えるのは物語の悪党として産まれた妖しかいない。

 妖は一度そういうものとして形成されれば、在り方の矯正は困難……この赤子は、人の世に……自分達に災いをもたらす存在となるのは確定だった。

 王のいる方を見る、まだ赤子、可哀想だが世の安定を望むならここで手を打たねばならない。だが既に王は跪く姿勢を取り、微動だにしない。

 王が跪くという行為の意味は一つ……

 新たな王の誕生、この瞬間を表す言葉にそれ以外のものはない。

 この赤子が長じて、我らを支配しようと、おもちゃにしようと、根絶やしにしようと、この辺一帯の妖ではまず勝てないという事だろう。

 であれば立ち会えたのも何かの縁、この王が誰かの役に立つ(隣で生きていける)道を模索しなければ……それが一匹ぼっちになってしまい、仇も討てぬまま今もこうして生き続けている私の生に意味を与えるものと信じて……後祓忍の誘いを蹴った理由という事にして……手始めに、妖力を体の内に留める術を刷り込んでおかねば……カタチは人間だから、ほぼほぼただの人間になる筈だ。

 考え込んでいると、御母堂と目が合った。

 若い女性で……頭の留め具が気になるのもそうだが……近づいて跳ねたくなりそうな程に料理の匂い……念が手に染み付いている。

 視えるのに別段不思議な事はない……子を宿している間、人は霊感が強まるものだ、いつか我らの王となるものを産む大業を成した御方なら、当然ですらある。

 そんな御母堂は、私と目が合うと、驚きつつも、王と、頭を下げる私に対して微笑みかけてくれた。

 

 「ほら……イチゴ、ワンちゃん達が、イチゴが産まれたのを祝いに来てくれたよ」

 

 そう言う御母堂の目は、語りかける言葉とは裏腹に、悲しみに満ちていた。

 子供について、ただならぬ気配に気づいているのだろうか?もしや……ただならぬ出生の事情があった?

 詮索を試みようと思ったが、美柑と呼ぶ声と共に先程の男……王の父らしきものの影が見えたため、その場を後にした。

 よく見れば、男はこの町の語り草となっている人間の一人だった。結城リト、その昔、ゆく先々でおなごにハレンチな行為をしていた野郎とかどうとか……既に赤子に対しての信仰の下地は整っていたという訳だ。それだけで容易に妖としての力を持てるかは疑問だが……

 旅をしている時は今日と明日の事しか考えられなかったが、今からは明日の先が、思い描けそうだ………

 その日の夜、夢を見た。

 夢に広がる光景は夜、明かりが多いから多分都会の上、

 

 『これがオレの答えだ』

 

 青年の呟きと共に、黒く丸い巨人の背から、多数の腕が生えてくる。青年の御母堂に似た顔立ち……赤子の成長した姿?

 増えた腕の数だけ刀と鞘、剣を持ち、巨人のマスコット的な顔に反して威圧的な雰囲気を押し出していた。

 青年は詠む。その巨人の名を、感情を押し殺したように抑揚のない声で。

 

 『カイ=アンサー』




 いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
 妖怪が想像から産まれるなら、惑星中のみんなから汝は竜、罪ありき!!されたら竜になりそう……ならない?
 ロボの進化系の名前は本編でたどり着く気がしなくなってきたので載せました。
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