スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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みなさんこんにちはもしくはこんばんは
今回も切り分けての展開になります。


第4話 あやしいやつにはごようじん Aパート

 日の光が一日の始まりを告げる頃……

 

 「ふー、朝風呂って最高ー!!」

 

 ノノはお風呂に入っていた。

 当然のように産まれたままの姿で入っており、顔も隠さない、無防備な状態だ。

 

 「全く、王宮ならまだしも人様の屋敷の中だぞ……」

 

 イチゴはデッキブラシ片手に、お風呂場をうろついた。

 

 「お兄様!!一緒に入ります?」

 

 祖母から母、母から……と受け継いできたピンクの髪を濡らし、父に似た瞳の色を輝かせて、屈託のない笑顔でイチゴに尋ねた。

 多分思春期とやらに入っても、肌荒れ一つしないに違いない。

 

 「あのねえ、ここは男湯……オレが風呂掃除の当番だから良かったものの他の人だったらまずい事になってたよ?」

 

 冷めた残り湯に入れる訳にもいかないし、一辺お湯を入れ直した、また後で掃除する予定だ。

 流ノ助はともかく、千明と丈瑠は女の子が入った後だと知れば気にする類の人間だろう……

 

 「そうですわね……チャーム人の能力が私には色濃く受け継がれているので……常日頃あんなマスクを被る事になって……暑いです、本当に」

 

 「らしいね」

 

 同情はしないでもない。一説にはチャーム人の能力にあてられて、それが原因で銀河を巻き込む戦争にまで発展したとも言われている程だ。

 

 「だから、効かないお兄様に守ってもらいたいです。ずっと」

 

 「オレに目を向ける暇があったら、他の奴でも探してろよ……」

 

 「あら、私にも美意識というものはあります。そこへいくとお兄様の顔はお父様そっくりで料理も上手く……あ、お茶漬けと焼き魚おいしかったです」

 

 本当は昨日まで朝ご飯は軽く茶漬けだけにしとこうと思ったが、一人食べる人間が増えるだけで気合いの入り方に違いが出るようだ。

 塩こしょうで味付けするだけでなくレモン汁までかけてしまった。

 その時に一人いてはいけない人間が混ざっていたような気がするが…………

 

 ~回想~

 

 天条院ヒカルが、当然のように部屋に上がり込んできた。

 

 「久しぶり、イチゴ……様?」

 

 「呼び捨てで良いよ、で……なんでここにいる訳?」

 

 「姫様の警護が俺達の役目だ……ここ探すために夜ご飯も抜かしてる、あ……父様達もいるぞ」

 

 「そう」

 

 「良いじゃありませんか、お兄様、大人数で食べた方がご飯もおいしいですよ」

 

 イチゴは大人数で食べるのは苦手だ。

 せっかく作ったご飯だ、食べる以上向き合うべきは目の前に並べたご飯だ。ただそこに目を向ければいい。

 みんなで食べるのは、食べる以外の事にも目を向けなければならない。

 それじゃあ食べる事が目的にはならない、食べる時は、食べる事だけをしていればいい。

 

 「…………」

 

 10分後~

 

 「ごちそうさまです」

 

 「ご馳走になったから貸し一つだな、何かあったら力を貸してやるよ……変な事しない限りだが」

 

 天条院家の人間までご飯を食いに来るとは思わなかった、おかげで備蓄分の魚は消えてしまった、またどこかスーパーで買わねばならない。親衛隊隊長もいるとか言うが、軽い牽制のつもりだったのか?

 

 回想はノノの言葉で邪魔されてしまった。

 

 「お兄様?」

 

 「ん?」

 

 「おぼえていますか?私と初めて会った時の事」

 

 忘れはしない、その一件が引き金となって……デビルークから追放されたのだ。

 と回想に浸ろうとしていると、ノノは当時の事を語り始めた。

 

 ~8年前 デビルークの王宮~

 

 ノノが祖母のセフィと仲良く遊んでいた日、遊べる程に木の葉が舞い散っている日の事だった。

 

 目の前に少年が現れた。

 

 セフィはノノに挨拶させた。

 

 「よ……ろ……し……くお願います」

 

 「こいつが……ノノ……」

 

 不意に強い風が吹く。

 彼女のベールは吹っ飛ばされた

 素顔を晒したセフィはうろたえていた。

 

 「まさか子供に襲われるなんて」

 

 と口走って……

 侍女も、セフィの顔を見て興奮しているのか手をモジモジとさせていた、だが少年はセフィの顔を見ても動じず、極めて平静を保ったまま会話を続けていた。

 その様子にセフィはとても驚いていた。そして少年の顔を見つめる……

 その後父親のリトがノノを迎えに来て、ノノは自分の部屋に帰った。

 以来、少年を見る事は無かったがその日の事を忘れる事はなかった。

 少年は、チャーム人の力が効かないのだ。

 セフィもそういう人間を選んだし、母も抗ってみせたリトを選んだ。だから長じるにつれノノもそういう人間を伴侶にしたいと思うようになっていったのだ。

 

 ~現在~

 

 「むしろノノがよく覚えてたな(棒読み)」

 

 忘れてくれた方がどんなに良かった事か……

 

 「当然!!他の方々……お爺様お父様以外は私の顔を見るとみんな同じように目からハートが溢れてましたが、お兄様は私の顔を見てもそんな態度じゃありませんでしたから……」

 

 初手で自分になびかない男に惚れる家系なのだろうか?追われるより追う派なのか?

 ノノの祖母セフィは先代デビルーク王、ギドが彼女の顔を見ても何も起きない事が始まりで、ノノの母親、ララは夫が元々別の人の事を好きだった所から始まって………

 まあ聞いても無駄な話だ、志葉家で黒子としてやっていくと決めたイチゴには……

 

 「頭洗うよ、体は自分でどうにかしてね」

 

 「あ、もう終わりました」

 

 「そう、じゃああがる時になったら教えて」

 

 「はーい」

 

 「ただいまこの風呂は使えません

  しばらくお待ちください」

 

 と書いた看板をかけておいて正解だった。

 

 「なん……だと……」

 

 と丈瑠が落ち込む様子が思い浮かぶが……

 

 ~志葉屋敷 廊下~

 

 そんなこんなで、ノノも風呂から上がり、掃除も終わり、通路を歩いた……

 

 「~♪」

 

 風呂上がりだからか、ノノの後ろを歩いていると柑橘系の匂いがする。

 気が抜けて思わず溶けそうだ、まどろんで動けなくなるかもしれない。だが我慢しなければならない。

 そうイチゴが考えると、ノノは話しかけようと何度か振り返ってきた。今彼女は太極図のように白黒の狐のお面を被っている。パジャマ姿とそれはなんだか不釣り合いに見えた。

 

 「そういえばどうしたのそのお面」

 

 「ネメシスさんとおそろいのお面です、風呂上がりに便利なんですよ、これ」

 

 「へー」

 

 ネメシスとはイチゴとノノの父親の嫁の内の一人、詳しく言うと長くなるが人口生命体だ。

 飄々としていて誰に対しても偉そうな態度を取る所があり、イチゴは彼女の事は苦手だ。だが、イチゴの事を悪くいえばぞんざいに、良く言えば分け隔てない態度で接してくれたのも彼女だ。ある意味彼女といて心地よかったと言えなくもない。

 ちなみにネメシスという名前は地球において義憤、復讐、天罰、みたいな意味を持っているらしい。彼女と他の人含めてどこぞの組織に作り上げられたと聞くが、何かそういう念でも込められているのだろうか?だが、彼女がそういうものを背負っているようには全く思えない気がする。そういうのに振り回されず自由に振る舞っているのだから。

 

 「おっといけね」

 

 頭巾を被り直した、黒子として今日の活動を行うために必要な事項だ。

 だが、即外したくなる事案が発生した。

 

 「千明ー!!許さんぞー」

 

 「へっへーん、こっこまーでおーいで!!」

 

 流ノ介の頬に猫の髭が描かれており、熊折神の口にマジックペンがあった。千明が折神を使って流ノ介の頬にイタズラを仕掛けたのだという事が想像できる。

 

 「折神をそんな事に使うな!!千明め!!」

 

 「べーだ!!」

 

 流ノ介はショドウフォンを取り出し、何かを書こうとしている。一触即発の危機!!

 

 「あなた達……主君を守る使命がありながら一体何をなさっているの?」

 

 ノノは流ノ介達に向かって睨みつつ叱りつけた。自分より一回り二回りも身長の違いがある侍相手に全く怯まずに物申す事ができる……やはりノノは一代で宇宙を支配した人間、ギドの孫だ。胆力が違う。

 

 「流ノ介君……悪かった、拭けば良くなるよ……水性だからさ……」

 

 「ああ……こちらこそすまんな~千明君、せっかくの客人の前で争ってる場合ではないなーはっはっは」

 

 流ノ介と千明はさっきまで水と油のようにいがみ合っていたのが嘘のように肩を組み楽しそうに笑っていた。

 

 「あれだけいがみ合ってた二人が」

 

 「すごいなぁ」

 

 「彼女の祖母……チャーム人の能力だよ」

 

 おそらく1/fゆらぎのもっと効果の高い版の声を聞いて彼らは魅了されてるのだろう、言わば骨抜きにされているのだ。

 

 「あ、おはよう、イチゴ……まあ確かに彼女のいる間は不思議とむっとする気分にならなかったもんね」

 

 「おはよ(↑)う、イチゴ……ノノちゃんもおはよう」

 

 「おはよう……」

 

 「おはようございます!!皆さん、稽古ですか?ご苦労様です!!」

 

 「ありがとうございまーす」

 

 和気あいあいと喋っている間に丈瑠がぬうっと現れた、皆があいさつをするのに目をくれず、イチゴに一言

 

 「イチゴ、お前に話がある」

 

 丈瑠の言葉に重みを感じ否が応でも神妙な面もちになってしまう、促されるままに別室に移動した。

 そして、言われたのは……

 

 「お前……もう黒子辞めろ」

 

 「その…………クビ………ですか?」

 

 「ああ………お前に言った筈だ、これ以上前に出るな……と。だが勝手に突っ走って、その結果があれだ」

 

 カイの力を使って戦ったが、バッテリー切れで戦えなくなり、結局丈瑠に庇ってもらった。

 無駄に丈瑠の神経を使わせたのは確かだ。

 

 「あの日、お前が得たのは状況に流されて得た力だけだ。それ以外なんの素養も訓練も受けた事もないお前に……」

 

 「………………………」

 

 「中途半端に関わられるのは迷惑だ!!」

 

 ズシンと、重石が体中に乗っかったような感触がする。

 迷惑だ、迷惑だ、迷惑だ、迷惑だ………迷惑だ…………

 

 「荷物の片付けがあるだろう……下がれ」

 

 「はい」

 

 言われた通りに立ち去ると、足の力が少しずつ抜け落ちていくような感覚がした。

 

 「殿……」

 

 話は聞かれていたようだ。

 

 「聞いてたのか」

 

 「殿、確かに彼は我らと肩を並べるには程遠い腕ではあります、ですがあのような……」

 

 「あれがここで働いてくれた奴に対して言う事かよ………」

 

 「お前達が何を言おうと、俺の考えに変わりはない……イチゴについての話は終わりだ」

 

 丈瑠も、いつも座っている場所から立ち去った。

 

 『ドント・マインドです』

 

 「うるさい……(小声)」

 

 「お兄様ー!!」

 

 いつの間にかノノは昨日とは別の服装に着替えていた。

 

 「話は聞かせてもらいました。行く当てがないなら一緒にデビルークに帰りましょう、お父様もお母様も喜ぶと思います」

 

 「……………………………………」

 

 イチゴは何も言わず、部屋を後にした。

 人がクビにされたのに喜びを隠さないノノの言葉を聞いていると、頭痛がしてくる。

 

 「ていうかさ、本当にイチゴを婚約者にしたいのかよ……あいつ腹の底じゃブチ切れてるかも」

 

 千明がノノに話しかけてくれたおかげで気が紛れた、腹の底……否定はしきれないのが色々と残念な所だ。

 

 「お兄様が怒る?何故です?」

 

 ノノはごまかすでもなく本当に分からなさそうにきょとんとしていた。

 

 「………………何も知らねえなら言ってもしょうがないよな」

 

 「はあ……」

 

 部屋に戻ったイチゴは私服に着替えた。

 

 「良いですね……」

 

 黒いジーンズに白いシャツ、黒いジャンパー……目立たないようにスーツを買っておけば良かったかもしれないがスーツを買うとこのお気に入りの私服が3セット買えるぐらいはする。

 

 「似合うと思います」

 

 「……」

 

 着替えて通路を進んでいるとことはと、黒子達がいた。

 待っていたみたいだ。

 

 「何か?」

 

 黒子は、トランクケースをくれた。衣類を詰め込むのに便利だった。

 

 「(ここじゃない所でもおいしい料理振る舞ってくれな)」

 

 というジェスチャー付きで。

 

 「昨日はありがとな、それとな、嫌やったら、殿様に言わなあかんよ」

 

 「別に…………」

 

 どんな理由があろうが、必要ないと言われればそれまでだ。

 抗議しても見苦しくなるだけで、望みなんて叶いはしない。

 

 「外道衆との戦い、頑張ってください」

 

 イチゴは形式通りに頭を下げ、場を後にした。

 それにしても本当にデビルークに帰るのか?祓忍組合に顔を出した方が良いのか?

 デビルークに帰るのは……きつい。

 

 「お兄様~」

 

 ノノはイチゴの手を引っ張っていった。

 

 「参りましょう、私達の愛を育むあの星へ、殿様からは許可をいただいています」

 

 ノノは多分デビルークを指差して言う、イチゴはノノの手を取り払って一言

 

 「その前に一つ、行きたい所があるんだ」

 

 ~志葉家 屋敷~

 

 「これで良い……」

 

 丈瑠がそうつぶやくと……

 

 「少し言い過ぎたんじゃない?」

 

 茉子が、声をかけてきた。

 

 「あいつは元々侍じゃない、外道衆との戦いに関わるべき人間じゃなかったんだ。それが、急に俺達の戦いに関われるだけの力を手にしてしまった。今回の一件で分かった、あいつはここにいる限り、昨日のように前線に出て、身を危険に晒す」

 

 「彼の事、気にしてるんだ?私達が来た時既に背中切られてたもんね」

 

 「べ、別に気にしてなんかない………妹が迎えに来た、護衛もだ。だからもう、俺達と関係を切れば危険な目に遭う必要はない」

 

 「あの人か……」

 

 知っているなら話す必要は無さそうだ。

 

 「心配なら、そうならないように自分達で守るっていうのは?」

 

 「あんな事、毎回もやるのはごめんだ」

 

 丈瑠はそう言い残し、その場を去った……

 

 ~昔、ドウコクとの戦いがあった時の話~

 

 炎舞う館の中で、一人の男がいた。

 弁慶の立ち往生を思わせる程背中に矢傷を負った男だ。血だらけのその姿はいつ死んでもおかしくないと思わせた。

 

 『忘れるな、今日からお前がシンケンレッドだ』

 

 男はそう言うと、鞘を失った抜き身の刀を杖代わりにしつつもまだ幼い丈瑠に獅子折神を手渡す。

 

 『決して逃げるな………外道衆から、この世を守れ!!』

 

 そして、男は息絶えた。

 それが丈瑠と………丈瑠の父親との最後の思い出となる。

 

 「イチゴ……お前は、この道にはもう関わるな」

 

 イチゴを始めてみた時、丈瑠は自分自身に感じているものに似た黒いモヤモヤとしたものを感じた。その分馬は合ったが黒いモヤモヤの正体が何なのかは未だに分からない。

 分からないが、そんなイチゴを戦いからできるだけ遠ざける必要があった。丈瑠達のようにモヂカラもないイチゴが先日のように戦えば、今度はどうなるか分からない。

 だから、彼が傷で黒子の業務を離れていた時から戦わせない口実を考えていた。かといって他の働き口が見つからないまま無責任に放り出す訳にもいかない。噂ではさる有名な漫画家の孫らしいが漫画に詳しくはないから分からず、本人に聞いても誰の事かを言う気はなさそうだ。という訳で妹が迎えに来たのは僥倖だ、彼女の態度から見てイチゴを悪いようにはしないハズ……

 

 「殿……イチゴに色々と言ったそうですな」

 

 今度は彦馬が、丈瑠に小言を言いに来たようだ……

 

 「じいか…………別に……みんなにも言われたがあいつが外道衆とは関わらなくて済むように決めた事だ……黒子を続けている限り、あいつは止めても戦う……………あいつはじいに何か言ってきたか?」

 

 「いえ、ですが……彼の敵は外道衆や妖怪変化ばかりではありませぬ、宇宙より先の場所からも……殿は彼の素性は?」

 

 「黒子達から聞き出して一応は………結城苺悟(イチゴ)、十九歳、デビルークと呼ばれる星の王様の子息だ。母の手ほどきによって料理を覚えて、黒子に料理を教える立場になった……勤務態度は概ね良好」

 

 一応だとしても王子だ、だから志葉家と関わりを切っても護衛達が守ってくれる。

 

 「そして、正室腹ではない……王もその星の人間ではないのです。時代錯誤な言い回しですが、それがどういう事かは……」

 

 「!!」

 

 当然、邪魔に思う連中がいる。

 

 「後ですな、これを公に話すのははばかられる事なのですが……」

 

 ……………………………

 

 「本当なのか?」

 

 本当だとすれば、イチゴの存在は……デビルークという星間国家の存在に泥を塗るものになる。

 

 「千明もご存知のようです、イチゴの妹、ノノ様の姉と同じ学校であったためでしょう」

 

 「そうか………」

 

 丈瑠はすぐに上着を羽織った。

 

 「イチゴを探しに行く!!」

 

 自分の判断が軽率だったと丈瑠は後悔した、あの王女とイチゴを無闇に関わらせてはダメだった……王女はイチゴをデビルークに連れていこうとする、だがそれはイチゴにとって良くない事態になるかもしれない。

 

 ~路地裏~

 

 イチゴは、剣を手に持ってノノに近づいた。

 

 「お、お兄様……」




いかがでしたか?
面白いと思っていただければ嬉しいです。
殿は序盤の殿だからああいう事言うと思いました。
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