スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
ルビーに好きな人を探して欲しいと依頼された
〜宮崎〜
「まさか天兄のバカがこんな形でLuckyを呼ぶなんて……世の中はなんてCrazyなんだ」
八雲は振り返る。
ルビーの言った場所にたどり着いた瞬間天晴は………
「ゴローせんせー!!どこだ〜!!」
と、大声で叫びだす。
「近所迷惑だ、それにそんなので反応がある訳……」
だが、思いがけない一言が、投げかけられる。
「今、ゴロー先生と仰られましたか?」
「oh……」
昔ゴローが担当していたらしい患者と話ができた。
彼は、アイのライブ映像を病室で流していたり、奇行も多かったが患者と真摯に向き合う姿勢は評価されていたそうだ。
だが……患者が聞いた話だと、そんな彼は担当してた患者の出産の日当日の夜、十六年前にいなくなったそうだ……
彼はその仕事をやり遂げよう……とその日までやる気充分だった……そんなゴローが突然の失踪をするのはただ事ではないと、病院中の人間が探し回ったものの、見つからず……残ったのは、担当した患者の、大事な日にいなくなったという不名誉。
「しかし……なんで今……」
当時の同僚達も転勤、引退などでいなくなり、もう病院内に彼を知ってる人間はいない。親類が彼を探して動き続けているという話もなく、もう……「雨宮ゴロー」という男がいた痕跡は、なくなろうとしている。
彼が担当した患者が、生まれ変わってから会いたがっていると本当の事を言っても困惑するだけなので、適当に流した。
「これで過去は少し洗い出せたか」
鍵になるのは、十六年前の夜……
「ひょっとして……」
「どうしたんでやす?霞嬢ちゃん」
「話を聞くに雨宮という人はアイのファンで……そんな人がいつもより張り切ってた、そして十六年前……この話にアイが関わってる可能性が高いのではと考えたんです」
「十六年前……なんかあったっけ?」
天晴の質問に風花が答えた。
「その時はアイが活動休止してた時期なんだよ、お兄ちゃん」
「患者の出産……活動休止……あ(察し)」
凪の一言を皮切りに……天晴以外、誰かの子供を産むアイが想像できた。丁度いるのだ、テレビに映ってて、アイにそっくりで、年も十六歳のアイドルが。
「そういえば、私達勢いで受けましたけど依頼者の事少しも分かってませんね」
「あはは……」
「真偽はどうあれ、その辺りの話は口にチャックを付けないとね……頼ってくれた人なんだし」
だが、これでもしアイがゴロー失踪に関わっていたとしても、間違いなく被害者側であると想定できる。これから子供を産もうとする人間が、担当医に何かしようとする道理がないからだ。代わりがいても、本来の担当医がいないという混乱が産むわずかな時間の間でお腹の子供にとって最悪の結果が生じる危険性がある。
「次はどこ探す?」
「そうだな……」
「もし、行方不明になったなら……人通りの少ない場所を通ってたかもしれません」
「おし、それでいこうぜ」
歩いてる途中、黒鋼が疑問を呟く。
「ところで、その先生が見つかったらどうするんだ?」
「それは……」
ルビーに会わせる……とか?
「そいつにとってルビーはアイの妹であってさりなじゃねえだろ?」
娘ではない、そこは世間には発表してないようで……
「転生してその時の記憶がある奴は怪談ぐれえかと思ってた……ってくらいには稀な事態だからな……言って信じてもらえるのか?相手はさりなの死に際を看取った奴だぞ」
ふざけるな!!と一蹴されても仕方がない。
「はっきり言うなぁ……黒りん」
「誰かが言わなきゃ進まねえ話だ……それに二十年ぐらい会ってねえって事は若くても四十代前後は確実だろうしな……容姿に差異があってもおかしくない……あいつがショックを受ける可能性もなくはないって訳だ」
「あ~ゴローおじちゃんになるかもか」
「それは痛すぎますね」
「お父さんになっちゃうでございやすね」
「夢がなさすぎだよ、黒鋼さん」
「夢で体は若返らねえぞ」
夢があれば、元気が湧き、若々しく見えるようになるかもしれないが……よる年波には勝てないという言葉もある。
「大丈夫だよ……」
モコナは呟いた。
「その人はさりなちゃんにずっと寄り添ってきたんでしょ?絶対伝わるよ、ルビーだって、そんな先生の二十年を、受け入れてくれると思うから」
「気楽に行こうよ……黒ぴん」
ファイに肩を叩かれ、黒鋼は少し考えた。
「仕方ねえ、探してから考えるか」
〜一方その頃〜
九衛門は、牙鬼軍団の兵達を少し引き連れ、地面を掘らせていた。
そして、祠の近くに何かを見つけたようで、足軽はそれを持ってくる。
「なんだこれ」
土の中に埋まっているものでないためか、土埃が少し付いていたようだ。
すぐさま九衛門は土埃を払いのける。
紐の千切れた跡がある証明書らしい。
人の名前も書いてあった。
『雨宮吾郎』
「アイドルのストラップ付きか……」
風聞では知っている。
アイと呼ばれるアイドル。
神が直に産んだと思しき整ったルックス、歌もダンスも格別上手い訳でもないのに、見ている内に虜になる不思議な魅力……瞬く間に人気になった。
かなり昔の金型らしい、持ち主がいるとすればその人は古参のファンと言って差し支えない。
中身は色褪せたり劣化しているが、これだけは元の状態を保っていた。
そして土埃に晒されてた状態でも分かる……青い紐に付着した首の周りから染み込んできたと思しき大量の血痕、見立て通りなら……持ち主は既に亡くなっている可能性が高い。
「仏と成り果てたのか?……」
九衛門は軽めに合掌する。
「丁度いい、これを兵力として利用すれば……嫌、待て」
もし仮に妖怪への素材にするのもいいがその場合……
『アイたんは俺の嫁』
と言い出しかねない昔のオタク像から抽出したような妖怪ができあがるに違いない……弱くて戦力にならなさそう……却下。
「仕方ない、牙鬼城にて、ささやかながら供養させていただくとしよう」
蛾眉雷蔵も、晦正影も、牙鬼幻月の家臣であり、元は人間であった……誰かを弔う事への理解はあるだろう。少なくとも、こんな祠と岩山の混じったような、誰も見向きのしない場所よりは、良い。
九衛門は、証明書を懐に入れる。
懐に入れた瞬間……
「あなた達の好きにはさせないよ」
九衛門は、突然の殺気、そして知らない人間の声に驚き振り返る。
そこにはなんと、カラスを風船の代わりに用いた風船ブランコに乗っている、七五三も終わりきってなさそうな女の子がいた。色のないような、透き通った銀髪と暗い瞳の色を有しており、この世のものではないと確信させる雰囲気を持っている。
「何者?」
「誰でも良いじゃない」
女の子はブランコから飛び降り、九衛門にドロップキックをくらわせようとする。
「ふっ」
だが、くらって倒れてやれる程九衛門は大人ではないので避けた。
女の子は九衛門を睨みつける。
「何が望みだ?」
「それを返して!!それは……あの子達の生きた証……いつか、生まれ変わったあの子達がここに来るまで……留めなきゃいけない」
子供にしては、はっきりとした言葉遣い……死生観……九衛門はその正体を3割程察した。
「!!おい……こいつを人里まで送っていけ、終わったら送った奴らは城に帰っていいよ」
帰って良いという言葉に反応した足軽達は、唐突にじゃんけんを始める。
そして勝ったヒトカラゲは女の子を俵担ぎで担ぎ出して、その場を去っていった。
「あ、ちょっ、下ろしなさい!!」
女の子は慌てて止めさせようとするも、一番の下っ端とはいえ大の怪人と小さい女の子では力の差は歴然であり……そのまま連れていかれた。
「非力な神なんて、畜生にも劣る」
九衛門は、そう吐き捨てた。
一人減り、そいつは先に帰ったという認識の芽生えた結果……能率が落ちた。
「………………」
「ん?手が足りないから僕もやってくれ?足軽の癖に生意気を言う……僕は君達みたいにせっせとスコップを片手に掘るなんて柄じゃないんだぞ、だが……そんなに合力して欲しいなら……ここ掘るワンワンの術」
犬の形を成すエネルギー体を産み出す。
「そら」
そして犬の形のエネルギー体は地面を掘り出す。
〜宮崎 山中〜
「あれは……」
山を見ている所で見えたもの……
巨大な犬の形のエネルギー体が、地面を掘っている。
「何あれ?」
「誰かが忍術を使ってる?」
「なあ……忍術ってあんな事できんのか?」
黒鋼が疑問を呟く。天晴以外みんな、刀から形を持った衝撃波を放てる黒鋼には言われたくなさそうだった。
その目線に気づき、黒鋼は頭をかく。
「あれは俺のできる事の範疇を超えている」
「とにかく、行ってみましょう」
一行は犬がいる場所まで向かった。
その場にいたのは、九衛門。
「お前は!?」
「おお、奇遇だね、君達……志葉家の殿様はいないのか」
確かに、ルビーの依頼なしにここへやって来る事はなかったので、奇遇も良いところである。
「九衛門、一体何しに来やがった!!」
「この土地の事を知らないのか?ここは高千穂……神々の住まうとされていた地……」
「だったらどうした!?」
「だったら……何かあると思うのが自然じゃないか?神と名付けるに相応しい、強大な力が」
「そんな事、させるわけにはいかねえ」
天晴達は変身用の刀を手にした。
「シュリケン変化」
「シュリケンチェンジ」
忍ぶ気のない、軽快な音楽が流れる。
専用の装束……もしくはスーツを纏う。
「暴れてアッパレ、アカニンジャー!!」
「轟け八雲、アオニンジャー!!」
「きらめきの凪、キニンジャー!!」
「ひとひら風花、シロニンジャー!!」
「揺らめく霞、モモニンジャー!!」
「
「折れねえ黒鋼、黒鋼様だ!!」
「わぁ、黒ぴょん違和感無さすぎる〜」
「おれも…………」
「む……無理して加わる必要ないんですよ」
「あ……はい」
「忍びなれども忍びない!!」
「忍びなれどもパーリナイ!!」
「手裏剣戦隊ニンニンジャー!!忍ぶどころか、暴れるぜ!!」
天晴達はニンニンジャーに変身した。
「仕方ない、相手をしよう」
九衛門は犬を引っ込め、打ち出の小槌で応戦する。
「お前達、いくぞ!!」
足軽達も前に出て戦う。
「じゃ、オレ達避難してるから」
ファイはサクラを連れて後ろに下がった。
「俺から行く!!」
「熱いな〜俺も負けてられねえぜ!!」
黒鋼と天晴は真っ先に敵の元に向かう。
「二人に負けるな!!出番を取られるぞ」
八雲達はそれに続いた。
〜数分後〜
「お前で最後だ」
足軽達は全滅、残るは九衛門ただ一人。
「仕方ない……ここは一旦引くか……だがその前に」
九衛門は倒れた足軽達に近寄る。
「妖術・肥大蕃息の術」
自分の手下を巨大化させたようだ。
「!?」
「では、また会うとしよう」
九衛門はその場を去る。
「待て!!」
だが、その言葉も空しく、もはや九衛門の影形すら見つける事ができない。
「……仕方ない、こいつらをさっさと片付けるとするか」
「シュリケンジンでいくぞ、天兄」
「おれ達はレイアースで!!」
「手裏剣合体」
「あっしも!!」
5体のオトモ忍はシュリケンジンに合体。
スターニンジャーのオトモ忍はマシンを連れ、パイソンキングとなる。
「行くぜ……破魔・竜王刃!!」
黒鋼はセレスで強襲を仕掛ける。
「イーハー!!」
スターニンジャーは銃で乱れ撃ち。
「いっけー」
「そこだ」
ファイがウィンダムの風で動きを止める間、
「シュリケンジン・アッパレ斬り!!」
シノビマルとシュリケンジンの持つ剣で、相手を斬り裂いた。
「(言葉にならない断末魔)」
足軽達は全員爆散、今度こそ終わった……
「終わったな」
「でも、九衛門は一体何しに来たんだろう」
「何かを探してたみたいね」
「地形が変わるぐらい掘られてやすね」
地面を掘りすぎて巨大な空間ができあがっている。
「大変、元に戻さないと」
「元に戻すんなら、その前に一回調べてみねえか?」
天晴の提案により、調べる事にした。
「調べるって……どうやる?」
「パオンマルを使えばいいんじゃねえか」
「パオンマル?」
「パオンマル!!」
緑色の大きな象のロボットが出てきた。
「マジか……嫌、シンケンオーが侍武装するのと一緒と思えばいいのか」
その象に頼んで、九衛門が掘り出そうとしていた地面を確かめてみた。
象の鼻から、飲み干すように土が吸い込まれる。
「すごい……地面の土が吸い出されていく」
そうして、土を吸い出していった先に……
ゲッターロボの如き顔が出てきた。
「これは……」
アイの駆るゲッターロボに似ている。
眠っているように見えて、気がつけばすぐこちらを向いてきそうだった。
「もう……埋めよう」
サクラが何かを恐れて、
「……すごい発見でございやすが、仕方ないでやすね」
さっきと似た要領で、土を全部元に戻した。
九衛門が掘り出してた分、時間がかかった。
「ていうか、もうこんな時間」
もう、夕方になっていた。
夕暮れ時になっても、何も見つからず……流石に16年経つと手がかりを探すのは難しいか……
「もう遅いし、一旦帰るかぁ」
「……分かりました」
「気を付けて帰れよ〜」
ニンニンジャー一行と九衛門、お互いに向こうの欲しい情報のみを手に入れ、その日の探索は終了となる。
〜伊賀崎道場〜
PCで調べ物をしていた霞が呟く。
「あ」
「どうしたの?」
「祓忍用のサイトを見てたんですが……」
「メールが届いてるな」
「後で確認しましょう、それより」
監視カメラの映像らしい……
白衣を着た男が、黒いパーカーを着た男に誘われ、追いかけている映像だった。
白衣を着た男……短髪、黒髪、メガネ……おおよその特徴が一致する。
「この人ですね」
「これだな」
「そして……昔の事件の被害者ですね、多分」
大学生のリョースケという人だったような……周辺の人間に何故か某アイドルの所属している芸能事務所の社長にそっくりな人がいたので有名だった。
「ああ、そのニュース……覚えてるよ」
旋風が説明をした。
貝原亮介という大学生の男だけでない、神木輝という中学生の子供まで刺◯された事件……
傷口から判明した凶器は、4つ同じ間隔で裂かれた鋭利な裂傷跡から、カギ爪……というのが祓忍や警察の見解である。この凶器での犯行は地球でも他の惑星でもなかなかないものであるという特異性から、的を絞るのは早いと高を括ったが結果は迷宮入りとなる。
どこの組織にも製造された事のない形状らしい……
「こいつとゴロー先生が会ったんならどうして何も分かんないままなんだ?」
「原因はこれだな」
八雲は映像を巻き戻す。
早送りしても、巻き戻しても、それ以降の進展はない。残るのは、外灯もないただの暗闇のみ……
「これは……」
リョースケにゴローが◯されたか
またはその逆か……
いずれにしろ、この後リョースケという人は◯に、ゴローは行方不明となる……らしい。
「マジか」
「どちらにせよ、あの娘にとって良い情報がないでございやすね」
「そういう事もあるとして……ところで、メールの内容はどうなんだ」
「明日の昼…………平たく言うと、九衛門討伐用に人を派遣するようです」
「仕方ない、そっちの対応もしなきゃな」
次の日……
「おはよー」
ルビーが早くもやってきた。
八雲はルビーにイギリス式紅茶を淹れて応対する。
「こんなお茶初めてかも、いただきまーす」
ルビーは少しずつ飲み始める。
「ところでキンジさん、今日はモコちゃん達いないんだ」
「侍達のいる場所でやす」
「あーあ、残念」
「ルビーちゃん、来るの早くない?」
「いやーほら、今日もまた休みで……えっとこう……気になるじゃん?」
ゴローの捜索の件について………
八雲と霞の二人は対応を考えた。
「ヒソヒソ(どうします?)」
「ヒソヒソ(確たる証拠が出てからだ、霞姉……ああいうタイプは本当の事を言っても、納得できるまで信じてくれないぞ……しかも、俺達の今持ってる情報ではそんな筈ないとヒステリーを起こすに違いない)」
いずれにしろ、まだ確実な結果が言えない以上言える言葉は一つ……
「まだ……ちょっと難しいね」
そう言った時、ルビーの顔は一瞬引きつる………だが、すぐにいつも見せる笑顔を取り戻して答える。
「あー、そっか〜流石に早すぎたか」
そう言って呟く彼女の笑顔には、隠しきれない程の悲しみがありありと映っている。それほどに恋い焦がれていたというのが、想像に難くない。だからこそ、いつかその取り繕った笑顔すらも粉々に壊れるような、悲しい結果を伝えるかもしれない……とその時になってもいないのに罪悪感が湧き出てくる。
「すまない……これは返す」
望む結果を出せなかった以上、受け取る資格はない。
「ありがとう……」
ルビーは用意したケースを返してもらった。
「進捗があったら呼んでね、いつでも待ってるから……お茶、ごちそうさまでしたー」
ルビーは帰路につく。
「あいつの望み、叶えてやれなかったな」
「もう無理そうだし……残念だけど」
「そういえば、あの事件の被害者の中学生とルビー、似てたな」
「僕はたまに見るお兄ちゃんの方がそれっぽいと思うけどな」
「ど……どんどんアイの情報がヤバくなってくでございやすね……」
いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
イチゴ君もアクアも、殿様も総司令官もいない今、シリアスな方向に話を持っていける黒様には大変感謝しております。
アイのポジションは……
-
ゲッター!!
-
俺の歌を聞けぇ!!
-
ザフトの歌姫(パフォーマンスが派手な方)
-
星野アイは欲張りなんだ(全部)