スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。
このパートでは茉子がダイテンクウのサブパイになります。


第15話 飛翔(〜だいてんくう〜) Aパート

 その日は、先日の反省会から始まった。

 

 「まさか、あんな場所に外道衆が出てくるとは……」

 

 志葉家発足から数百年、未だ嘗て出ることのなかった範囲で外道衆が活動している事態となった。

 ほぼほぼ、緊急事態に近い。

 すかさずモコナがフォローに入る。

 

 「気にしないで……むしろ被害がなくて良かった良かった」

 

 「モコナ殿……嫌、しかし……」

 

 「またああいう事があるかもしれないってのが一番困るのよね……」

 

 茉子の言う通りだ。一つの地域に集中して外道衆が出没しているからこそ、こうして志葉家は東京に居を構えている……らしい。

 それが別の地で出るようになれば、前提が崩れる。

 いつどこで暴れ出すか分からなくなれば、疑心暗鬼にもなりかねない。

 

 「誰かの入れ知恵なんかな?」

 

 ことはが疑問を呟く。

 

 「誰かって……誰のだよ」

 

 「それは……誰やろ?」

 

 千明はズッコケた。

 

 「分かんないんか〜い」

 

 「ごめんな、千明」

 

 「だが、ことはの言葉にも可能性はある……」

 

 考え続けるが答えはでない、千明は話を変えようと試みた。

 

 「多分、あいつら倒したのってイチゴだよな……」

 

 SNSでカイが、そのかわいらしいフォルムとは裏腹に攻撃的な戦い方でナナシ連中と戦っていたから確定だろう。デビルークに詳しい有識者が、あれは王族の関係者だと息巻いているらしい。

 前からナナシ連中と戦っていたのもあって、あのロボは人類を守護する味方だという世間からの見方が増えたのは良いが、まだその場にいない丈瑠が気落ちしてるのが予想できた。

 

 「なんだかんだイチゴを戦いに巻き込まないようにしてたからね、無理ないわ」

 

 「つーかこの動画の後どこいったんだ?」

 

 千明はショドウフォンで戦っている動画を何回もリピートしているようだ、特にカイが敵にトドメを刺す瞬間がチラチラ見えた。

 

 「急にいなくなったそうね」

 

 ナナシ連中が突然干からびて消えていってから、カイはいなくなる……

 隙間センサーを設置がてら、ちょっと探索した範囲ではイチゴは見つからなかった。

 今度はどこに行ったのか?と考えている所、丈瑠はやってくる。

 

 「おはようございます、殿!!」

 

 「ああ」

 

 心配とは裏腹に、丈瑠は落ち着いた様子だった。

 

 「お前達に話がある、じい」

 

 丈瑠の言葉により、彦馬は古文書を見せる。

 中には、一羽の鳥が記されている。

 折神の秘伝ディスクが三体……戻ってきた事で、その三体の折神を組み合わせて合体形態を試してみようという話になった。

 

 「その名は……ダイテンクウ」

 

 その場に感嘆の声が響き渡る。

 

 「ただこれはシンケンオーと同じで、それぞれの折神に誰かが乗らなきゃいけない」

 

 「という事は、シンケンオーが手薄に」

 

 兜、舵木、虎の三体、それに乗り込むため3人はシンケンオーから降りる事になる。

 

 「文字通り切り札って訳か……」

 

 丈瑠は肯定しつつ、話を進める。

 

 「虎折神は俺が担当する」

 

 消費するモヂカラも高く、シンケンジャーの中でその量が最も高い丈瑠が一番良いという判断になる。

 

 「舵木折神は流ノ介、お前に任せる」

 

 自分で釣り上げ、尚且つ今戦力として運用できている流ノ介こそ、舵木折神を担当するに相応しいという判断によるものか。

 

 「じゃあ、残る兜折神は……」

 

 千明が、俺だ俺だと息巻いて見ている。

 

 「殿と検討した結果……茉子に決まった」

 

 千明は、ガクリと崩れ落ちる。

 ギリギリ……燃え尽きてはいない。

 

 「私!?」

 

 「モヂカラのセンスが一番上手いのは茉子だからな」

 

 センスが何を指しているかは分からないが、彦馬がそういうならそうだろう。

 

 「しっかり頼むぞ」

 

 しかし、黒鋼がその話に割って入る。

 

 「カブト虫が好むのは木じゃねえか、千明はどうした」

 

 千明は見えないようにガッツポーズを取り、黒鋼に礼を念で言っているように見える。

 

 「千明はその領域には至っておらん、この重要な合体を任せるには……そういう事よ」

 

 「そうか……」

 

 黒鋼は納得したようだが、千明はそうはいかないようで……

 その日の自由時間、千明は外で延々と素振りをしていた。

 実は兜折神を丈瑠が扱って以降、千明は修行量を増やしていたようだ。そのタイミングは小狼(シャオラン)達が来る前後で、普段から頑張っている方だと思っていた。

 

 「今まで説教してきた甲斐があったというものですなぁ」

 

 「だが、大丈夫か?……闇雲になりかけてるように見えるが」

 

 「黒鋼殿はそう思いますか」

 

 「まあな……」

 

 彦馬達が喋っている間に、千明は大の字になって横になった。

 

 「ハァ……」

 

 自然と、ため息がこぼれる。

 

 「昔ならともかく、ここに来てから俺だってかなり……」

 

 外道衆との戦いも、修行も繰り返して、経験も積んできた筈だ。

 だが、モヂカラがその分だけ増しているようには思えない。現に、今回のダイテンクウのメンバーに選ばれなかった。

 何がダメなのだろうか?

 このままでは丈瑠を越えるという目標どころか………千明はカイがナナシ連中を倒す動画を思い出した。

 いとも簡単に敵を倒すカイ……中にいるイチゴも、強くなっているのが手に取るように分かった……イチゴは侍の家系ではなくモヂカラが使えないので、張り合う必要はないのだろう。だが、以前越えた筈の壁が、会わない間に急に二段、三段、上がってきた感覚がした、急に強くなりすぎだろう!?と呟きたくなるぐらいに……しかも当人は眠り込んだ後であんな風に活躍されるとなると、焦りを感じてしまう。このままじゃダメだ、もっと強くならなければ、と……

 負けてられない……もっとモヂカラを増やさねば……鍛えるしかない。

 

 「まだ、まだやらねえと!!」

 

 千明は素振りを再開した。

 

 …………………

 

 少し後になってから……練習をしに、外に出る事になった。

 合体するのは合体しなれているシンケンオーではなくダイテンクウ、よって組み立てるイメージの共有に近い。

 

 「ここがいいか」

 

 少し遠出して、人気のない野原に集った。

 

 「小狼(シャオラン)、レイアースを出せ」

 

 相手がいた方が、イメージも付きやすい……しかも、レイアースは他二人のと違って盾がある。耐久に関してはそれだけ高い能力を持つ。

 

 「分かりました」

 

 小狼(シャオラン)はレイアースを出現させる。

 

 「いつでもどうぞ」

 

 丈瑠達は各々の折神に搭乗した。

 

 「流ノ介、茉子、乗ったな!!」

 

 「はっ!!」

 

 「準備万端!!」

 

 「ならいくぞ、侍合体」

 

 丈瑠はショドウフォンで「合」の文字を描く。

 三体の折神が複数のパーツにバラけ合体し、一羽の大きな鳥が出来上がる。

 

 「ダイテンクウ・天下統一」

 

 空を覆うような、大きな鳥……

 虎と舵木と兜を組み合わせて作り上げた、侍巨人の一種。

 

 「あれが……ダイテンクウ……」

 

 「キレイ……」

 

 「でっかいねえ〜」

 

 「(ポムポムポムポムと音を立てながら拍手するモコナ)」

 

 「あんな大きな鳥、見た事がねえ」

 

 「壮観やな、千明」

 

 「おう……そうだな」

 

 「……………」

 

 ただ一人を除いて、その威容に息を呑んだ。

 丈瑠はそのダイテンクウの中から、小狼(シャオラン)に指示する。

 

 「小狼(シャオラン)、盾を構えろ」

 

 「はい」

 

 小狼(シャオラン)は、言われたまま盾を構えた。

 それを見てダイテンクウから機銃が放たれる。

 

 「くっ」

 

 多少ばらつきはあるも、数発はレイアースに当たる。

 

 「小狼(シャオラン)君!!」

 

 サクラは身を乗りだそうとする。

 

 「大丈夫……あれは訓練だし、サクラちゃんが心配する程の怪我はしないよ」

 

 「う……うん」

 

 「遠慮はいらん、来い」

 

 「分かりました」

 

 レイアースは一歩、二歩、ステップを取りながら跳躍する。

 

 「はぁ!!」

 

 手持ちの刀……緋炎でダイテンクウに攻撃。

 

 「はぁっ!!」

 

 丈瑠はダイテンクウで縦にローリングし、攻撃を回避。

 

 「たあ!!」

 

 小狼(シャオラン)は間髪入れずにレイアースの脚で蹴りぬこうと試みる。

 

 「させるか!!」

 

 流ノ介はダイテンクウをバックさせ、避ける。

 

 「そこだ!!」

 

 今度は緋炎の炎を噴出させ、ダイテンクウを炙る。

 

 「やぁ!!」

 

 茉子は横にローリングし、距離を取った。

 同じような攻防が、数(ターン)続いた。

 

 「よし、今回はここまでだ」

 

 丈瑠の言葉で、小狼(シャオラン)の駆るレイアースは動きを止めた。

 

 「殿様、お疲れ様でした」

 

 「小狼(シャオラン)もな……」

 

 練習は、終わった……

 

 「戦ってみた感想を聞きたい」

 

 帰り道……丈瑠は小狼(シャオラン)にそう尋ねる。

 

 「そうですね……亀折神で空中戦を行っていた分、茉子さんが慣れているように感じました……だから、左右の動きにずれがあって……茉子さんは真ん中が良いのでは?」

 

 「モヂカラのセンス……そういう所に出るのか」

 

 「そうか……だが、虎折神は今は俺でなければ使いこなせない……」

 

 「では私がカバーする方向で行きましょう」

 

 「頼む」

 

 千明に話が行き着かない、完全に蚊帳の外。

 自分がその領域にたどり着けていないと突きつけられているかのようで、面白くないと思っている中、町中で地獄絵図を見かける。

 

 「子供が言う事効かない……」

 

 「試験日近いのに……何も入ってこない」

 

 「生きづらい……」

 

 「えーん!!」

 

 「どうせ俺なんか……」

 

 「生きてたって良い事がない……◯にたい」

 

 「嫌だ、税金税金税金……重すぎる。払えない自分……嫌すぎる」

 

 一面、頭を抱えた人達の沈みきった心を象るように……どんよりした空気になっている。

 黒い泥に足を阻まれ、息もできなくなりかけてるような……ああなってしまえば、人が人でいられなくなるというのがひしひしと伝わってくる。

 

 「うわぁ……全員流ノ介かイチゴになってるよ」

 

 「何?どういう事だ」

 

 流ノ介はたまにホームシックを起こしかける時、ああなるようだ。

 

 「イチゴってあんな感じなん?」

 

 「ああいう系列なのは間違いないぜ」

 

 「あ……ヤバ……ギュってしなきゃ……」

 

 小狼(シャオラン)も、サクラと一緒の時に茉子にギュっとされた事がある。自身のこれまでを聞いてもらった上にそうされて、安心感というものを覚えた。その感覚は、養父といた時や……サクラと一緒にいる時、モコナ達と一緒にいる時に感じる感覚とも違うように思え……

 今はその事を思い出している場合ではない。

 

 「おう、殿様達じゃねえか」

 

 天晴達も来ていた。

 

 「天晴さん」

 

 「皆さん、あれが犯人みたいですよ」

 

 霞の指差した先に、アヤカシがいた。

 つくりの古い傘を被った怪人のように見える。

 

 「私の雨に当たった人間は幸せです、極上の嘆きを味わえるのですからねえ……自分に絶望し……希望を失う……なんて素晴らしい」

 

 「ねえ……一緒にダメになろう?」

 

 ファッション雑誌曰くの地雷系のファッションに身を包み、包帯をそこかしこに巻いている少女はアヤカシによりかかりながら呟く。

 

 「おい……止せ」

 

 丈瑠は少女を呼び止めた、どういう意図があれど、危険過ぎる。

 

 「あなただけ嘆くのです」

 

 案の定アヤカシは少女を、冷たく突き飛ばす。

 

 「キャァッ」

 

 「大丈夫か?」

 

 八雲は少女を倒れないよう支えた。

 

 「えええあああん!!みんな、私の事なんて何も分かってくれないんだ!!つらいよぉぉぉ」

 

 少女は人目も振らずに泣き出す。

 

 「みんな、きつそう……」

 

 「希望を取られた結果がこれか……」

 

 「元気出そうぜ、みんな!!」

 

 天晴が呼びかけるも誰も、返事をしない。

 

 「ダメやな」

 

 「ないもん出させてもしょうがないよ」

 

 「それもそうだな……悪い」

 

 天晴は人々に謝るも、返事はなし。

 

 「こういう時の言葉で、「みんな一緒」ってのがあるよね」

 

 「その言葉は使っちゃダメよ、そのみんながどこの誰だったとしても、苦しいってSOSを出してる子に追い打ちをかける事もある」

 

 「みんなつらいなら、そのつらさに寄り添える筈では?」

 

 「それ以降の話は長くなるわ、小狼(シャオラン)君、今はこの人達をどうにかしないと」

 

 町の人みんな、動けない。

 

 「紳士として、俺達のするべき事は……」

 

 八雲はステッキを掲げる。

 

 「いいか?これは夢だ……夢だ……いつかは覚める……レーナクム・ネジマ」

 

 八雲は魔法を唱え、少女を寝かせる。

 上半身を抱えてゆっくり下ろしながら、八雲は呼びかける。

 

 「みんな、手段はなんでもいい……とにかくみんなを一寝入りさせよう」

 

 「よし」

 

 「手裏剣忍法・安眠枕の術」

 

 「眠らせるのは俺達がやる」

 

 全員「眠」のモヂカラを描き、手当たり次第に人々を眠らせていった。

 運ぶのに黒子の負担が増えるが、嘆かれるのも苦であれば、承知してくれる筈だろう。

 

 「全員だな」

 

 「よっしゃ」

 

 「よくも、邪魔をしてくれましたね」

 

 「邪魔だけでは終わらせない……倒させてもらう」

 

 〜例のBGM~

 

 「ショドウフォン!!」

 

 「「「「「一筆奏上!!」」」」」

 

 「破ぁ!!」

 

 ショドウフォンで文字を書きそれを反転させ、各々のモヂカラによって形成させたスーツに身を包み、5人はシンケンジャーとなる。

 

 「シンケンレッド、志葉丈瑠」

 

 「同じくブルー、池波流ノ介」

 

 「同じくピンク、白石茉子」

 

 「同じくグリーン、谷千明」

 

 「同じくイエロー、花織ことは」

 

 「天下御免の侍戦隊」

 

 全員「シンケンジャー、参る!!」

 

 「シュリケン変化」

 

 「シュリケンチェンジ」

 

 忍ぶ気のない、軽快な音楽が流れる。

 専用の装束……もしくはスーツを纏う。

 

 「暴れてアッパレ、アカニンジャー!!」

 

 「轟け八雲、アオニンジャー!!」

 

 「きらめきの凪、キニンジャー!!」

 

 「ひとひら風花、シロニンジャー!!」

 

 「揺らめく霞、モモニンジャー!!」

 

 「スターニンジャー!!」

 

 「忍びなれども忍ばない、手裏剣戦隊ニンニンジャー!!忍ぶどころか暴れるぜ」

 

 「おお、赤いのが来たか」

 

 「お前は!?」

 

 先日戦った、蛾眉雷蔵が出てきた。

 

 「どれほど強くなったか見ものだな……いでよ」

 

 足軽達が、複数でてきた。

 

 「以前から指名付きだからな……俺達があいつと戦う、あんた達は外道衆を頼むぜ」

 

 「ああ」

 

 ニンニンジャー達は蛾眉雷蔵の方へ赴く。

 

 「俺もそっちに行く」

 

 黒鋼はニンニンジャーの方に付く。

 

 「ファイさん、お願いします」

 

 「オッケー」

 

 ファイはサクラを連れて避難した。

 

 「行きますよ」

 

 アヤカシは頭の傘を開いて空中を浮遊し始める。

 

 弓で狙っても、当たらない。

 

 「これじゃあ当てらんねえ!!」

 

 「これだけの大人数相手、まともに戦う馬鹿はいませんよ」

 

 飛距離の範囲外から光弾が降り注ぎ、一方的に攻撃される。

 

 「小狼(シャオラン)は下がれ!!」

 

 生身の小狼(シャオラン)は攻撃されればやばいので、言われた通りに下がる。

 

 「ことはさん……土のモヂカラで足場作れますか?できれば複数」

 

 小狼(シャオラン)はことはに問う、飛び移って撃ち落とす気だ。

 

 「ごめんな……うちじゃあそこまで届かへん」

 

 「……失礼しました」

 

 「茉子、出番だ」

 

 茉子の力で迎撃を行うようだ……。

 茉子のモヂカラは「天」、折神も空を飛ぶので迎撃にはもってこいだろう……

 

 「やってみるか」

 

 茉子は兜折神のディスクをセットしようとする。

 

 「させません」

 

 だが、アヤカシの光弾が邪魔をする。

 

 「あっ」

 

 兜折神のディスクが、茉子の手元からこぼれ飛んでいく。

 ディスクは、千明の所まで飛んでいき、千明はそれを拾う。

 

 「千明、パスだ」

 

 「………」

 

 なんと、千明はその言葉を無視し……ウッドスピアーに兜折神のディスクをセットする。

 

 「おい!!」

 

 そのまま手で回し、回転させた。

 しかし、回り続けるだけのそのディスクは、千明に何の恩恵も宿さない。

 

 「!?」

 

 そのまま、時間だけが過ぎていき……冷やかすように風も吹く。

 

 「……………………どういう意図かは知りませんがまあ良いでしょう……さようなら」

 

 アヤカシは去る、自分の敵なぞいないかの如く……軽やかに。

 

 「…………」

 

 蛾眉雷蔵は、その様子を見ていた。

 

 「どうした、余所見なんざしやがって!!」

 

 黒鋼は突撃を仕掛ける……しかし、大太刀と小太刀の二振りでそれをいなす。

 

 「お前程の使い手を前にして、別の事を考えてしまったか……この境地で死合うのは失礼というものだな、赤いの……貴様と刃を交わすのはまたの機会と心得よ」

 

 「おい、待て!!」

 

 黒鋼を押しのけた後、蛾眉雷蔵もその場から去る。去り際に、一言呟きながら。

 

 「小童(こわっぱ)が……」

 

 そこには幾ばくかの呆れと、同情が込められていた。

 

 「千明……」

 

 その場のみんなは、特に何かの意図があってという訳ではないが、千明を見る。

 

 「…………」

 

 兜ディスクを使えなかった。そしてその事で敵にすら哀れみをかけられたという事実が、千明の頭の中を延々と駆け回る。

 地面を怒りのまま叫びたい衝動に駆られるも、それをできるほどの正当性がないのを千明自身よく分かっていた。




いかがでしたか?面白いと思っていただければ嬉しいです。
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