スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
いよいよ主人公がロボに乗ります、楽しみにしてください。
~路地裏~
万能
「お、お兄様……?」
イチゴはそうやって変化させた万能
ノノは、イチゴが自分に向かって放つ圧にただ戸惑うばかり。こうなる事は予想だにしていなかったに違いない。
その兜の内側の素顔は本当に王妃そっくりだ、それでいてセフィの体質も受け継いでいる。
憎らしい……
王妃ララはイチゴを自分の子供のように可愛がってくれる。
だが、王宮で、デビルークで生きるにはそれだけじゃ足りない。
ララの本当の子供であれば……せめて、王族の血を引いた人間であれば……
イチゴの父親であるリトではダメだ、元々王女の婿として王となったのだ……彼はデビルークの一般市民でも無ければ、どこぞの貴族でもない、上流には位置するだろうが。だからイチゴはデビルークとして見れば、元々縁の無かったはずの子供……異物。
そんな人間がデビルークの王族を名乗るだけでなく、王女の婚約者を名乗るようになれば……どれだけの問題になるか?
分かっていない、目の前の妹は全く分かっていない。
こいつは色々なものをぶち壊そうとしている……
丈瑠の受け売りだが、迷惑だ。
そういう気持ちをぶちまけそうになる前に、別の対象に意識を向けた。
「いるんでしょ?」
いる。
後ろから殺気が感じられる。
おそらくイチゴが何かをしようとした瞬間を狙うつもりだ、また、それを可能としている実力者達である事は察しがつく……それが誰かも。
「イチゴ君、手を上げろ」
やはりザスティン、そして彼がよく引き連れている部下……ブワッツとマウル、そして
ヒカルの言葉は脅しではあるが、本気だったようだ。
「言ったよな…………変な事しない限りって」
「ん~おかしいな……今ここにはオレを入れて7人ぐらいの気配だったのに」
突拍子も無い事を言ってイチゴは少し恥ずかしくなったがいるのは確かだ。
何かしらの、人の気配……というより、歩いているうちに肩に乗っかってきただるまがいると言っている。
「………………へ?」
「この場には私含めて6人であるはず、君の言う言葉が本当ならその7人目は一体」
誰もが息を呑み、沈黙が辺りを埋め尽くした。そうやって時間が経過していくとまだ寒い時期なのに、陽炎のように空気が揺れ出した。
「………………そこだ!!」
だるまに水を吐いてもらった、人とは違う理で生きているこのだるまは、見える相手は限られたものになる。だから奇襲に使える。
「急に何か当たった!?」
突然と言えば突然の衝撃があり、相手の姿を確認できる程の隙が生まれた。
赤いウロコを身にまとった爬虫類然とした容姿の誰か。
「本当にいた……」
「お前は、手配書にあった……ステルス星人メレーカ!?」
手配書という事は……異星人の犯罪者
つまり…………アリエナイザー!!
「フシュルル……わざわざ王女が地球に降りて来たんだ……人質に取ればふんだくれると思ってな……そればかりじゃない、噂のガキもそこにいたとは……」
「!!」
「新聞社に売れば一儲けできそうだ」
イチゴはそれを聞いてまた気が重くなった、どこへ行っても、ついて回る問題……もはや呪いだ。
「私もお兄様もあなたなんかに捕まえられる値打ちじゃありません、ですよね?ヒカル」
「わざわざしゃべってくれてありがとう……と言うべきだろうが」
「私達がそれを許すと思うか?」
「答えは一つ」
「許さん」
ザスティン達は一斉に武器を構えた。
「ふ……出でよ、デビルキャプチャー!!」
デビルキャプチャーを呼び出した。
「俺様をやれても、こいつはやれん」
「イチゴ君、アリエナイザーはこちらでなんとかする、君はあの怪獣機を頼む」
「?どうやって……」
「ノノ様、説明を」
「お母様は対怪獣機用にペケやカイを大きくさせられるように調整しているんですよ、その分バッテリーを多く食いますが」
「そうなの?」
「ええ…………唱えてください、ギガント
「カイ、やれる?」
『ええ』
「じゃあ」
ギガント
そう叫んでみると、風船みたいにカイが膨張?肥大化?していった。
「でもどうやって乗るか……」
「?飛べば良いじゃないですか」
大きくなったカイに乗るのは見た限りコンビニの看板の上までひとっ飛びで登る方が遥かに簡単だった。
「運んでいってやろうか?」
メレーカと戦っているヒカルが提案してきた。
「簡単に言うな」
デビルークの人間は地球人より身体能力が上だ、だからビルまで飛ぶぐらいは余裕だろう。軽口で言われるのは納得がいかない。
「冗談はさておき、ちゃんとそのための装置はあります」
巨大化したカイから、謎の光が降り注いできた。
その光にイチゴが当たると、どこかへ吸い込まれていく。
「?」
宇宙船からの謎の光線で連れてかれるモブのイメージが突如湧いた。
「じゃあ、カイの中で頑張れよー」
きちんとコックピット部分もあつらえてある、スイッチやキーボード、パネルの部分を押せば動かせるようだ。
モニターから音声が聞こえてきた。
『座り心地はいかがです?』
声の主はカイらしい。
シートの反発は低めだ。デカレンジャーのように特殊なスーツも無いのでシートベルトは多めに着用した。
「まあまあ、動かし方は?」
『レバーとパネルで、マニュアル読みます?』
「じゃあ、軽く」
イチゴは表示されたマニュアルを一通り読んだ。
「モーションとかのデータはどのくらい揃ってるの?」
あるのと無いのとでは違うのは素人でも分かる。
『イチゴ様の前回と前々回の戦闘、それと王妃様達とヤミ様、メア様がじゃれあっている様子(一般市民には派手にバトルしているように見える)の見取り稽古分でしょうか?ドレスフォーム時のも使えます』
それだけあれば色々設定する分に不足はない(多分)、だが今は時間がないから自力で動かす事になる。
「そう、武装は?」
『万能
「……………」
殴る蹴るでどうにかするしか無さそうだ。
「じゃあ、まず動け」
『ラジャー!!』
一歩、二歩、カイは歩いた。
「………………」
そこから、イチゴはアクセルをかけるようにレバーを押し、カイの翼を動かした。
「ぐああああああ!!」
噂に聞く、Gの負担を感じた。
重い、物理的な重圧がきつい。
シートベルトが無ければカイの中でぶつかって死ねていた気がした。
『大丈夫ですか?』
「慣れるしかないか……」
『無理はしないでください、そのための私です』
「コックピットはどうなってるの?」
『中に人はいません、自律型の兵器のようです』
「無人か……」
無人ならさっさと動力部分を壊して、動けないスクラップにすれば良い。
「ああぁ!!」
万能
「強度調整?仕方ない、ここをこうして」
パネルからあれこれと設定を行い、移動。
「切り裂く!!」
翼をデビルキャプチャーに近づけ、エネルギーを動かすパイプを切り裂いた。
上手く狙えたようで、デビルキャプチャーは目の光をなくし、膝をついて動かなくなった。
「フシュー!!おのれ、マスコットキャラ如きにぃぃぃぃぃい!!」
メレーカは驚いている最中にザスティンに取り押さえられた。
「神妙にしろ!!あ……もしもし、ドギー……はあ、テッカン殿でありますか?まあ良いでしょう、至急預かってもらいたい身柄がですね………」
「ご苦労様です!!」
ブワッツは、そう激励するノノを羽交い締めして捕獲した。
「きゃっ」
「姫様も、もうこれまでです。イチゴ様とは会えたでしょう?」
「そんなー」
「帰りましょう……」
「お兄様と一緒ではないの?」
「…………………」
イチゴの事はほっとけと、みんな目で訴えていた。
「何故ですか?」
「………………」
誰も答えられないまま
「父様、アリエナイザーをよろしく頼みます」
「お前は……」
「イチゴと話があります」
「お兄様にデビルークで待ってると伝えてくださいねー」
連れ去られるノノを尻目に、ヒカルはカイを見上げた。
「…………」
戦いを終わらせたイチゴだが、カイから降りる気配はなし。
「終わったぞ、イチゴ!!」
「まだだ!!」
隙間からナナシ連中が現れた。
「既に二の目……」
数から見て、以前ヒカルと一緒に倒した奴らだ。
「よし、もう終わろう、イチゴ……後はシンケンジャーか俺に任せれば良い」
「…………………」
イチゴはナナシ連中をカイの腕で殴った。
「ギャー!!」
一体、爆散。
「ガヤガヤ!!」
「ガヤー!!」
多分、ナナシ連中は同胞がやられた事を悲しんでいるように叫んでいる。
「オレは……ナナシ程度ならやれるんだ……ナナシ程度なら……嫌、オレはもう志葉家の人間とは縁が切れたんだった……(小声)黒子だってオレ1人がいなくても頑張ってくれるし……オレなんかいなくたって……でもデビルークに戻ったらオレは……」
「イチゴ……」
「イチゴ!!」
シンケンジャーも巨大ロボに搭乗して場に混ざってきた。
「でかした!!と褒めるべきかもしれんが」
「これって結構ヤバくね?」
「様子が変よ」
「イチゴ、戦う時はしっかりせなあかん」
「仕方ない、一回イチゴを倒すぞ!!そして落ち着かせる」
「オレは……」
その時、一陣の突風が吹いた。
「くっ!?」
轟音と身を切るような勢いは台風のそれだった。
カイの中にいるため、なんとかその突風を見据えていられた。その風が何かは分からないが、見続けなければいけない気がした。見続けたくなる何かがあった。
ナナシ連中もイチゴと戦おうとしている事を忘れて、風の行く先に魅入られている。
そして、時間の経過によって風塵が晴れてきてイチゴが見たのは…………
「ワーハッハッハッハ!!」
いかがでしたか?面白いと思っていただければ幸いです。
次回というかCパートは某桃太郎の姿をした妖怪が暴れまわる予定です。