スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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ルート収束により新章開始


第二章 結成!!チームコンボイ改め……
第18話 新たな道 Aパート


 「イチゴか!?」

 

 「殿様……」

 

 つい漏れてしまったが、周りには何も知らない子供達、大っぴらに殿様と言わない方が得策か……

 

 「丈瑠さん、久しぶりです」

 

 「あ、ああ……」

 

 誤魔化そうとしているためか、丈瑠の反応もたどたどしくなっている。

 

 「お兄ちゃんもする?」

 

 「うん」

 

 子供から紙飛行機を貸してもらい、飛ばしてみた。

 

 「あ゙」

 

 上を行ってから、急降下して下っていった。

 道路に先端が突き刺さる。

 

 「お兄ちゃん……」

 

 園児にすら哀れに思われてるのがひしひしと伝わってくる。

 

 「紙飛行機はまっすぐめがけて飛ばす方が飛ぶんだぞ」

 

 丈瑠は紙を用意して、イチゴに渡した。

 イチゴはそれを折ってさっきのと同じ形にする。

 

 「こうか!?」

 

 リベンジ、開始。

 

 「それっ」

 

 今度はアドバイス通りに腕をまっすぐ運んで飛ばす。

 紙飛行機は風を受けて、遠くまで飛んでいった。

 

 「おー」

 

 それから……他の園児達も集まって、紙飛行機で遊ぶようになった。

 だが紙をモヂカラでだしまくっていたせいか、丈瑠は少し息をついていた。

 

 「大丈夫です?」

 

 「問題ない」

 

 「広樹君」

 

 先生らしき女の人が現れた。

 

 「先生〜」

 

 園児は先生に近づいて、丈瑠を指差す。

 

 「このお兄ちゃん殿様なんだって」

 

 再度何かしらの危機を感じた。

 

 「この人、芝居で殿様演じてるんだよ、ねー、ねー(エコー)、ねー(エコー)」

 

 「あ、ああ……そうだ」

 

 そうでしたかと言って微笑んでから先生は

 

 「ありがとうございます」

 

 と礼を述べてきた。

 広樹と呼ばれた園児は、父親を外道衆の襲来の時に亡くしたらしい。

 

 「だから、大人の男性と遊んでもらうのが楽しかったんじゃないかなって」

 

 「いえ、礼を言われる程の事では」

 

 「ええ」

 

 「じゃあ、僕達はここで」

 

 そう言って丈瑠はイチゴの服の裾を引っ張る。そして、イチゴに尋ねる。

 

 「イチゴ、ちょっと聞きたい事がある」

 

 曰く、道に迷ったらしいとの事。

 屋敷で何かあったのかと勘繰りつつ、園児達と別れた後イチゴは自販機から飲み物を買って渡した。

 

 「今から屋敷に帰るにしても、お腹空くでしょう」

 

 「すまん」

 

 丈瑠はイチゴの買ったお茶を飲んだ。

 

 「お前の兄から連絡があった、お前の事……すごく心配していたぞ」

 

 「殿様の所にまで……すみません」

 

 「一体何があった?」

 

 「それは……うんぬんかんぬんです」

 

 要約すると……朱雀にオリエンタル風な場所に連れてかれ、そこで謎の玉をぶんどって帰ってきて、ある田舎町にたどり着いて……あちこちで戦う羽目に遭った。

 

 「…………………大変だったな」

 

 「殿様は流ノ介さん達も連れずにどうして?」

 

 「それは……うんぬんかんぬんだ」

 

 封印の文字……志葉家に代々伝わる切り札。その存在が知られ、外道衆に本格的に目を付けられるようになった。

 そして戦いの最中、牙鬼軍団が乱入し、同じく封印の文字の件を知る事になったみんなが、自分を庇って傷ついた。特に流ノ介とことはがひどい重傷だった。

 

 「だから……どうしていいか、どう声をかければいいか分からないでいたら、足が動いてここまで迷ってたって所だ」

 

 「そうですか……」

 

 自分のために、誰かが傷つくのは……おいそれと飲み込めない。

 それを仕方ないものと切って捨てるのも傲慢といえる。

 

 「封印の文字……」

 

 聞いた事もない……比較的新参者のイチゴでは当然ではあるが……

 

 「お前にはもう関係ない話だがな」

 

 「?」

 

 「父親に引き取られた時点で、お前はもう黒子でなくなった」

 

 「…………………」

 

 「だからもう、これから先の戦いに出なくていい……それに前に倒れた時みたいになるのはごめんだからな」

 

 「ぐうの音も出ない……」

 

 「妹の所に帰れ……とは言わんが、もう俺達の所にはいない方が良い」

 

 「妹……ノノか、てっなんでノノがでてくるんですか」

 

 「実を言うとお前の話………じいから聞いてた」

 

 「……え」

 

 一瞬だが、時間が止まったような衝撃を受けた。

 

 「お前の所の親衛隊隊長とじいが茶飲み友達で、ある程度は話を聞かされてたそうだ……俺はお前を一度クビにした時に知ったが」

 

 だから、彦馬は何も聞かずにいてくれたのか……

 彦馬との出会いを思い出した。

 

 〜1年と少し前〜

 

 高校卒業の日だった。

 式も終わり、それまで関わっていたクラスメート達との挨拶もそこそこに終え、帰路に着く。

 家の門をくぐった辺りだ、そこから先の記憶が飛び抜けている。

 どこから思い出しても、それまで居候させてもらっていた家が、半壊していた所から始まる。

 雨も降り始め、衣服も段々とずぶ濡れになっていった。

 まず家にいる筈の人間の元に行ってみる事にした。

 次期当主、(あかり)(ざき)()()……イチゴより一つ上の女の子?女性?で、祓忍だ。親元から別の場所に移転したイチゴをなにかと気にかけてくれてはいたものの、技の習得のためにイチゴをサンドバッグみたいにしてきて、正直苦手意識しかない……

 探してみる事数分、すぐに見つかった。

 ただ、倒れている彼女の祖父……その家の当主に寄り添って、無言のまま立ち尽くしている。

 口の動きは見られない、つまり息をしていない。

 状況から見て、つまりそういう事だろう……

 そんな彼女に何もかける言葉が思いつかなかった……

 だが不思議と確信めいた予感はあった。

 

 「自分のせいだ」

 

 何かをした記憶はないものの、漠然とそう脳裏によぎる。

 

 「もうここにはいられない」

 

 そう感じたイチゴは、気づかれないまま屋敷に背を向け一目散に駆けて行った。

 美夜に討たれるという選択もあった筈だが、当時のイチゴはその選択は除外した。

 流石に、恨み恨まれてで◯にたくはなかった。

 彼女の怒りが、もしイチゴに向くなら仕方ない……だが自分が原因で怒る美夜は見たくない。

 歩道を走って、走って、足の向くままに進む。

 だが1時間程して疲れがどっと来て、いつの間にか地面に座り込んでいた。

 

 「………………………」

 

 雨で体が重く、動けなくなった。

 3月とはいえまだ季節は冬の領域、体を温めなければ、冷えて体を壊すと直感的に分かった。

 だが、このままで良いとも思えた。

 このままなら、誰にも知られずに朽ち果てる事も容易だとすら……

 そんな時……

 

 「これ、しっかりせんか」

 

 誰かが、イチゴの手を掴んでいた。

 老人らしく、多少瑞々しさは欠けて肉は少し削ぎ落ちた硬さがあるものの、手は大きく力強い。そして、無性に温かさを感じた。

 振り返ると、和傘をさした壮年の男がいた。

 着ている着物が傘と合っていたように思う、しかも雨で濁った暗闇でも分かるような上等なものだった……どこかの偉い誰かというのは想像がついた。

 男は何も聞かず、イチゴを屋敷の中へと連れていく。そこはシンケンレッドの住む屋敷だった。

 彦馬との出会いは、そんな感じだった。

 余談だが、雨で前が見えなかっただけで、走った後に座っていた場所は割と町のど真ん中だった事が判明した。

 

 〜現在〜

 

 「薄々そんな気はしてましたよ」

 

 「そうか……これからどうするか、あてはあるか?」

 

 「伊賀崎の人と待ち合わせがあるらしいので……」

 

 イチゴがそう言った瞬間、丈瑠は一瞬静止して、振り返る。

 

 「おい待て、どういう事だ……」

 

 伊賀崎家の事を知ってそうな口振りである。

 

 「先日戦ったロボの中に、十六夜九衛門って奴の息のかかったのがいて、それをその人達と協力して止めてこいと言われましてね」

 

 丈瑠の答えは即答だった。

 

 「止めとけ。伊賀崎家の人間の実力は俺も見させてもらった、小狼(シャオラン)の体術も、黒鋼の剣技も、ファイの視野の広さもないお前には無理だ……俺が教えたのだって、命を狙われた時に身を守る程度でしかない」

 

 「でしょうね、でも一度やるって決めたし……任された以上、オレがやらないと」

 

 「どうしてそこまで……」

 

 丈瑠が呟いた瞬間、人々の悲鳴が聞こえた。

 園児達のいた場所だった。

 イチゴは丈瑠に目配せし、丈瑠は首を横に振った。

 

 「え……」

 

 「イチゴはここにいろ、いいな」

 

 丈瑠は、シンケンマルを持ち叫び声のある方向に向かった。

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