スーパーロボット大戦Z Another Chronicle 作:レゴシティの猫
イチゴを掘り下げようとすると話がエグい方向になっていきます。
つまりは今回、そういう事です。
隙間センサーが鳴る……前回仕損じた敵であるに違いない。
「やはり来るか」
「ごめん、みんな……」
流ノ介達が来た。
「傷は大丈夫なのか?」
「これしきの傷……とは言えんが我らだけ寝ているという訳にもいかんだろう」
「……じゃあ行こうぜ」
飛び出す彼らに彦馬が、待ったをかける。
「お前達に一つ、言わねばならん事がある」
全員、彦馬を注目した。
「殿は最後まで、お前達を集める事に反対しておられた。戦いに巻き込むまいと、一人で戦っておられたのだ……」
そんな事情があったのかと、
みんな、思う所はあるがそれを口にはしないで出発する……それを言うべき人間はここにいないから。
「小僧、俺達も行くぞ」
「はい」
「私も」
黒鋼が走って流ノ介達を追いかけている所に追走しつつファイは質問する。
「もしかして黒スケさあ、みんなに肩入れしちゃってる?」
「さあな、だが……死なせたくねえとは思う」
「そっか……オレもだよ」
「モコナ達も、GO!!」
おそらく……自分達の知っている丈瑠なら、きっともうそこにいる。
そう信じて、駆け出した。
〜一方その頃〜
「シンケンレッドはいねーが〜」
ナナシ連中を率いて、アヤカシが現れた。
筋骨隆々な鎧武者のようで、兜飾りの角の部分に目ん玉の意匠がある不気味な奴。それは園児達の前に現れ、暴れ始めた。
赤い手足も相まって、抵抗しきれない子供達を相手に蹂躙していく様は鬼のようだった。
「命までは取らん、その代わりしっかり叫ぶ事だ……「シンケンレッド、助けてー」とな」
逃げ惑う園児達の中、一人の子供がアヤカシに近づく。
さっきの子供、広樹君だ。
「離して、離して」
足元に縋りつき、何かを訴えている。よく見るとその足元には、さっき丈瑠が折った紙飛行機があった。
アヤカシの体重で半分以上ぐちゃぐちゃに潰れていて、きっともう飛べない。
広樹はそんな何の気なしにアヤカシが踏んづけたであろう紙飛行機を取り返そうとしている。
折り紙であれば、新しくもらって折り上げれば良いのに……
「あんなの、新しいのをもらえば良いのに」
『それは違います。イチゴ様』
「カイ?」
『あの子が取り返したいのは、紙飛行機ではありません。紙飛行機で遊んでもらった、イチゴ様と……特に丈瑠様との思い出なのです』
さっきの先生の話を思い出した。
あの子は父親を亡くして、大人の男性と触れ合うのが久しぶりだった……
カイの言葉を聞いて、手に力が入った。
「カイ、ちょっとシンギュラリティ起きすぎ」
『はあ……ララ様の技術力の賜物です』
「じゃあ、危なくなったらよろしく」
『分かりました、て………え………』
アヤカシは武器を構える。
「一人ぐらい構わんか」
「あ……」
そして、無慈悲な刃を子供に振り下ろそうとする。
「はぁっ!!」
丈瑠は広樹の前に現れ、刃を防いだ。
「怪我はないか」
「うん」
「来たな、シンケンレッド。今日はお供を引き連れてないようだが」
「構わん、お前達なんか、俺一人でだって倒せる」
昔からそうしてきた、今もまた……再びそうするだけの話。
「そうかい……てっきり、大事なお仲間が倒れて、ショックでショックで仕方のない所だと思ってたが」
「………その挑発には乗らん」
「ほう、じゃあさっさとやられてしまえ」
ナナシ連中が現れ、丈瑠に襲いかかろうとする。
「うぉぉぉ!!」
だがその時、イチゴが飛んできた。
「イチゴ!?」
そして、万能
「殿様をやらせはしない」
そして丈瑠から返ってきたのは、詰問だった。言われた事をガン無視したから、仕方ないのだろう。
「命を張るのは、俺達にやらせとけばいい、なのにどうしてそこまでやる!?」
「オレの話は聞いたんでしょう?」
人として誇れる出自で産まれた訳じゃない、むしろ偉ければ偉い程人々の好奇の目に晒されながら生きなければならない……自分が何をしても王と、そいつを選んだ王妃の浮名となる。そうなる流れを学んだ時……生きている意味なんかない、むしろ生きている方がみんなの迷惑になると思えて仕方がなかった。
だが、◯ぬ事はできなかった。
刃物では兵士に阻止される。
身を投げるのはヤミ達が翼を生やして止めに来る。
◯のうとすれば、誰かが止めに来る。
誰もが悲しい表情を浮かべ、その因子から遠ざける。
自分が原因で悲しんでいるのだと突きつけられているようで……であれば◯ぬ事も、また人の迷惑になるのだと結論づくのに時間はかからなかった。
であれば、どうすれば良いのだろう……
生きていても、死んでても、イチゴは誰かを悲しませる。おそらく憎みすらしている人間もいるだろう……王の罪の証として、産まれた罰なのか?であれば何のために、自分は産まれて来たのだろうか?分からない……
分からないまま、気付けば何もしたいと思えなくなっていった。したい事を聞かれて答えた時も、それまでの自分をなぞって答えただけに過ぎない。以降は小中高と、そのように生きてきただけの、抜け殻と言っていい状態に陥った。
そんなイチゴに、黒子という道を教えてくれた彦馬には感謝している。
人々を守る侍に仕える……それは即ち、人々の役に立てるという事になる。祓忍?屋外の活動には参加できなかったため別枠である。
黒子として人々の避難誘導に勤しんだ時、イチゴはここ十年で初めて、自分を肯定する事ができた。抜け殻から出られた気がした。人の道の上に、立ってる気がした…………こんな自分でも役に立てるのだと……
「生きても死んでも一緒……ならこんなオレでも、人の役に立てるって証明するんだ……それは一緒に逃げ惑う事じゃない」
黒子の頭巾は使えないが、使える手段は増えた。
これなら、人々を守る事だってできる筈だ。
ナナシ連中の一体の攻撃を避け、蹴りを一発入れた。
「イチゴ………」
そしてイチゴは無謀にも、アヤカシに万能
「邪魔だ」
だがイチゴはアヤカシの振るう武器から放たれた風圧で、吹っ飛んだ。
「あー!!」
なんとか受け身を取って着地する。
その時茉子が現れた。
「イチゴ君、怪我はない?」
「う……はい」
「そう、良かった」
そしてぞろぞろとみんなが現れ、ナナシ連中と戦い始める。
「イチゴ君まで来るとはな」
「俺達が来たし下がって良いぜ」
いつの間にか安全地帯ができている。
「まあ、仕方ないか」
下がって様子を見る事にした、戦いの邪魔になるかならないかの判断はつけているつもりだ。
「お前達」
彼らは、群がるナナシ連中と戦いながら話を続ける。
「殿、私はこのように育ちましたし口うるさく思われましょうがこのようにしか戦えません。この先もずっと!!」
「正直、戦うなら仲間で良いと思ってた。でも殿様だから背負える事もあるんだよね……きっと!!だから私、決める……丈瑠に命預けるよ」
「おっさんは言ってた」
『俺は一人じゃない、一緒に歩いてくれる人がいっぱいいる……だから挫けないでいられるんだと思う』
「だからさ……丈瑠が殿様背負うってんなら、俺も家臣をやってやるよ。あ、丈瑠を越えるまでな」
「それってもしかしてオレが言わなきゃいけないあれなのでは?」
「あんたが言ってもなあ……むしろおっさん引っ掻き回してる側だろ?」
返す言葉もない……
「ウチ、その……殿様、死んだらあかん。うち嫌です。それだけです」
「殿様、あなたの家臣達は強いです。ちょっとやそっと巻き込まれようが、びくともしないぐらいに……頼っても良いのではないのでしょうか」
イチゴもあれこれ言ってみたものの、こっちはあまり聞こえてなさそうだった。
「………………」
みんなの自分を後押ししようとする声に、丈瑠は父との思い出を思い出す。
『強くなれ、丈瑠』
まだ、外道衆が攻め込む前の頃……
丈瑠の父はまだ生きていて、丈瑠に折り紙を教えてくれた。
『志葉家十八代目当主、どんなに重くても背負い続けろ』
そして折った紙飛行機を飛ばす。
『落ちずに飛び続けろ』
紙飛行機は飛んでいく。父の言う通り、どこまでも……
できるだろうか?あの紙飛行機のように、堂々と、まっすぐに、使命を完遂させる事が…………
だが、悩む必要はない。
今は、家臣達がいる……
傷はまだ癒えていなくとも、それでも加勢に来てくれる家臣達が……
〜現在〜
「分かった、お前達の命……改めて預かる」
「元より」
黒子から太鼓を渡され、イチゴは勢いのままに鳴らす。
黒子は陣幕を張り、丈瑠達の衣装を変える。
5人の衣装は道着に変わった、汚れ一つない白い上着は日の光を受けて、まるで青空の下、輝いているかのよう。
〜例のBGM~
「ショドウフォン!!」
「「「「「一筆奏上!!」」」」」
「破ぁ!!」
ショドウフォンで文字を書きそれを反転させ、各々のモヂカラによって形成させたスーツに身を包み、5人はシンケンジャーとなる。
「シンケンレッド、志葉丈瑠」
「同じくブルー、池波流ノ介」
「同じくピンク、白石茉子」
「同じくグリーン、谷千明」
「同じくイエロー、花織ことは」
「天下御免の侍戦隊」
全員「シンケンジャー、参る!!」
黒鋼達もやってきた。
「
ナナシ連中を倒し、足蹴にして黒鋼は踏み出す。
「別に命を預かってもらうつもりも、預ける気もねえ。ただ、旅路が同じになってる間は付き合ってやる……そういうこった」
「おれ達の旅に、こいつらとの戦いは必然ではないでしょう……ですが、だからといって聞こえてくる悲鳴を放っておけはしません」
「正義の味方は、多い方が良いでしょ?」
「モコナもやるよ!!撹乱は任せて(シャドーボクシング)」
「私も……えーっと……」
サクラは、戦闘面の方では今ひとつ……
「まあまあ、無理にする必要はないから」
「みんな……」
「動けるみてえだな」
「色々あって」
「母親と何があった?」
黒鋼の問いが何を意味しているか、一瞬戸惑ったがなんとなく分かった。
「…………20年ぐらい前に遡るんだけど」
「誰が産まれる前まで言えっつった!?まだ20になってねえだろ」
「…………………」
「ハーイストップストップ、黒むん一旦落ち着こう」
ファイが間に入る。
「以前敵に言われた事と、関係ある?」
「!!」
「そっか……じゃあ、オレ達は何も聞かない。それで良い?黒ちぃ」
「……………………意外だな、お前がそんな言葉をかけるなんて」
「話は後、来るよ」
「遺言は決まったか?」
アヤカシはナナシ連中をけしかける。
「黒鋼達、いけるな?」
「当然だ」
「はい!!」
「異種合流・七重之太刀」
その攻撃を前にナナシ連中は一気に倒れていった。
「オレのいない間に、こんな技が!?」
彼らはやはり、尊敬に値する人達だ……
「行くぞ!!」
「クソが!!」
アヤカシは武器を振るって応戦する。
「はっ」
「やっ」
「うぉりゃあっ」
「はっ」
「はぁっ」
アヤカシの猛攻に対し、5人の息の合ったコンビネーションで攻めていく。
途中でいなくなったので分かってないが……今まで修行してきた成果を感じて、外でファイと避難誘導をしてるだけのイチゴも嬉しくなっていった。
「これならいけそうだね」
「嫌、まだだ」
「一度敗れた技だ、恐怖が染み付いてるだろう?」
アヤカシは何やら力を溜めている。
「生憎だが、一度見た技は俺達には効かん」
そう言って、丈瑠は烈火大斬刀を変形させ、構えた。
「俺の命……お前達に預ける」
「任せろ」
「モコナも、やるの!!
「うん……分かった」
「行くぞ、鬼刀」
アヤカシは兜の部分に力を込める。
「出番よ、ことは」
「うん」
大きな目から放たれる衝撃波を、茉子達が受け止めた。
少々威力があるのか、二人は後退する。
「二段斬り!!」
「千明、わかってるな」
「ったりめえよ」
斬撃は流ノ介達が防御。
その間
そしてアヤカシはモコナを見る。
「ぷう」
「は?」
突然眼前に迫ってきた白饅頭に、アヤカシの思考は追いつけないようだ。
「いっけー、
「はあっ」
裏返るように
「……しまった!!」
「その目か!!もらった」
奇襲する黒鋼は、刀でアヤカシの見開いた目のような耳を両断する。
よくわからないが片目は傷つき、これで敵の攻撃力は下がった……筈だ。
「こ、これは!?」
「よくやった、下がれ」
全員が下がった後、丈瑠は虎ディスクを烈火大斬刀にセットした。
「ウシロブシ・覚悟!!」
「虎・五輪弾」
全員分のモヂカラを結集し、一点に向かって発射。そのエネルギー弾はウシロブシと呼ばれたアヤカシに向かい、命中した。
「成敗」
「昨日と強さが違いすぎるだろ」
ウシロブシと呼ばれたアヤカシは、爆散。