スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。
今回の妖怪でモノノ怪ハマってたってバレそう(自白)


第19話 古き狗の王 Bパート

 五忍者……

 一人は忍者刀

 一人は苦無

 一人は手裏剣

 一人は鉤爪

 一人は鎖鎌

 を武器に持っている。

 

 苦無を持った忍者は、早速投げてきた。

 全員避けると苦無に糸を絡ませているのか、投げて明後日の方向に行った苦無が戻ってきている。

 

 「遠慮なく行っちゃってください、忍具はまた作りますので」

 

 「分かりました!!」

 

 「イヤッハー!!」

 

 キンジはスターソードガンで全員狙い撃とうとする。

 

 「ぬぉっ」

 

 忍者達は危なげながらも避けていた。

 その隙に……

 

 「ふっはっ」

 

 八雲達は刀を持つ忍者に攻撃。

 

 「えい」

 

 そんな八雲に鎖鎌が放たれるが、凪が庇い、攻撃をいなす。

 

 「助かった」

 

 「こいつらならサクッといけそうだよ、天ちゃん」

 

 「ならさっさと倒せそうだな、天晴忍烈斬!!」

 

 竜巻の如く迫り、回転斬りをくらわせる。天晴の必殺技で、早速刀を持つ忍者を一人撃破。

 

 「キンジさん、お願いします」

 

 小狼(シャオラン)はキンジに向かって鉤爪を持つ忍者の一人を蹴り飛ばす。

 

 「心得やした、小狼(シャオラン)坊っちゃん!!」

 

 キンジはスターソードガンを忍者に密着させ、連続で発砲した。鉤爪を持つ忍者は爆発する。

 

 「何!?」

 

 すぐに二人倒されて、一番後ろにいる手裏剣を持つ忍者はうろたえていた。

 だが、すぐに二人の人影が近づく。

 それは黒鋼と宗牙。

 

 「一番後方にいるお前が要か?」

 

 「高みの見物ってなあ退屈だろ?遊びに来てやったぜ」

 

 目付きの鋭い男達に睨まれ、忍者はたじろいだ。

 

 「あ……あわわ」

 

 「合わせろ!!」

 

 「テメエがな!!」

 

 哀れ……黒鋼と宗牙の繰り出す攻撃を同時に受け、その忍者は爆発した。

 

 「こっわ」

 

 5人の内一番後方にいたのを倒すと、まだ倒してもいない2人が何も言わず塵と消えていった。

 

 「分身だったのか……」

 

 「その可能性が高いな」

 

 「とすると、さっき倒したのも……」

 

 「ていう事はさ、6枚持ってた内の2枚しか使ってないって事……だよね?」

 

 「その話は後だ」

 

 妖怪はまだいる。

 

 「ヌエ……確か奴はそう言ったな」

 

 「猿の頭、虎の手足、狸の腹、蛇の尻尾を持つというあれか」

 

 「でもあれさ……ヌエって言うより、ミストバーンの中身じゃ……」

 

 香という気体が寄り集まってできた妖怪に見えなくもない。

 

 「凪、どさくさに紛れてネタバレしないでくれる?」

 

 「あ、ごめん」

 

 「風ちゃん、ネタバレをネタバレと意識させるのもどうかと思いますよ?」

 

 とかなんとか言っている内にヌエから何かが散布され、フワッとした香りが漂ってきた。

 

 「う……」

 

 快か、不快か、よく分からない怪しい香りの先に……

 

 「………………十臓か」

 

 「じいちゃん!!どうしてここに?稽古?よーし、燃えてきたー!!」

 

 「翼先生!?」

 

 「…………!!アシュラ王、まさかもう……」

 

 「あ、あの時のトラック……やっば、逃げないと」

 

 「中学校の頃にいた音楽の厳しい先生、なんで!?」

 

 「河童さん、危ないですよこんな陸地にいちゃ……川に戻ってください」

 

 「カオス……またでてきて、サクラをどうするつもりだ?」

 

 「あなたは……小狼君のお父さん?」

 

 「あれ?クロウ」

 

 「何故、親父を食い殺した魔物がでてくる!!とっくに俺が斬り捨てた筈だ!!」

 

 「こいつ、ここで会ったが好都合。父と兄の仇、取らせていただきやす!!」

 

 全員が逃げたり、注視したり、攻撃している方向は同じ……なのに全員の見ているものは違っているように感じた。

 

 「ヌエ……人によって見るものが変わる妖怪?それとも香で幻覚を起こしている?」

 

 ちなみに霞の目には、参考論文の山が見えていた。

 

 〜一方、その頃〜

 

 小学生の女の子が外を歩いていた。

 何をするでもなく、外をうろついていた。

 遊ぶ家族がいないからである。

 そして運悪く、妖怪の術の領域内に入り込んでしまった。

 女の子の母親は病気がちで入院しており、父親はその治療費の捻出のために休日である筈の日も働いていたのであまり交流もない。

 故に、今から垣間見るものは、必然なのかもしれない。

 

 「ママ、パパ」

 

 元気な母親と、隣に立つ父親。

 妖怪は女の子が夢に描く理想すら、写してしまっていた。

 そして母親から、女の子は手招きを受ける。

 

 「おいで、フミ」

 

 女の子は、たまらずに妖怪の元へと駆けていく。

 

 「ママー!!」

 

 〜一方その頃〜

 

 「攻撃当たってねえぞ、どこ見てんだ!?」

 

 「何を言ってる!?貴様こそ狙う気があるのか」

 

 「じいちゃんはそっちじゃねえだろ。もっと右だぜ」

 

 「何言ってる天兄、ここにいるのは翼先生だろ」

 

 「?何言ってんだ八雲、ここにいるのはじいちゃんだろ」

 

 八雲と天晴が何言ってんだこいつ……という意味合いでお互い睨み合った。

 

 「待って、子供がこっち来てる」

 

 「誰か、あの子をここから遠ざけてくれ!!」

 

 ファイがいつになく焦りの混じえながらの叫びを挙げる。

 驚いたが、すぐに近くにいたキンジが子供の元に駆け寄る。

 

 「お嬢ちゃん、下がっておくんなさいやし」

 

 「でもあれ……私のママ」

 

 「違いやす!!あいつはあっしの……家族の仇でやす!!」

 

 「え………」

 

 その小学生の表情は、まともに見た人間なら忘れる事ができないものだったであろう……

 隅の草むらに隠れている九衛門はニタリと笑う。

 

 「ほう……忍者達が大勢で何をやっているか疑問になって来てみたが、良い収穫があった」

 

 九衛門はひょうたんを耳元で振るう、恐れが水となって醸成されてたまっていくのを感じた。

 

 「穏やかじゃないですね……」

 

 霞は八雲の腕を引っ張る。

 

 「八雲君」

 

 「霞姉……今ちょっと修行の成果を示すのに忙しいんだ」

 

 八雲は、あらぬ方向に向かって魔法を繰り出していた。

 

 「至急お願いしたい事が」

 

 構わず八雲に耳打ちする。

 

 「パワーは保証できないぞ」

 

 「構いません、今この場を凌ぐ方が大事です」

 

 「分かった……レーナニ・キウプンセ」

 

 八雲は魔法で扇風機と姿を変え、風を起こした。

 

 「確かこうか……八雲タイフーン!!」

 

 妖怪と思しき香の集まりは、その風に乗ってどこかに飛んでいった。

 

 「あれ?じいちゃんは?」

 

 「カオスが……いない」

 

 「……あいつ、どこ行った!!」

 

 霞と八雲以外、見えていた筈の誰かがいなくなって戸惑うばかりだった。

 

 「皆さん、何を見たのか情報共有といきましょう」

 

 霞の言葉を機に、全員何を見たか言い合った。

 要約すると……

 

 「相手に縁のあった何かが見えるって事か」

 

 「敵にしろ味方にしろ……」

 

 「あのままじゃ同士討ちまでやっちゃう所だったね、僕は逃げてただけだったけど」

 

 「まんまと引っかかってしまった……不覚」

 

 「今はそれより」

 

 一行はキンジに目を移した。

 キンジは女の子に平謝りしていた。

 女の子が見ていたものが何かを知らず、父と兄の仇と言い切ってしまい、知らず知らずとはいえ傷つけてしまったのだ。

 

 「あいつも魔物に父親を殺されたんだな」

 

 「黒鋼さんも?」

 

 凪は質問する。言っている言葉が、当事者の口振りだったからだ。

 

 「あの時はそうと分かった瞬間にその場で倒してやったが、あのガキを傷つけたのは俺だったかもしれねえな」

 

 思えば、確かにそのような事を口走っていた。

 

 「そっか……」

 

 「すいやせん……」

 

 風花が女の子に代わり、怒りの炎を滾らせながらキンジを見下ろす。

 

 「もう一声」

 

 キンジは縮こまりながら、女の子に謝罪した。

 

 「お嬢ちゃんのお母様やお父様は、決してあっしの家族の仇ではありやせん。どうかお気を安らかに」

 

 「………………どんなの?」

 

 「鋭い牙と爪でこう……ワオーンって感じでやすね」

 

 特徴を聞いて、風花は気になって口を挟む。

 

 「イヌ?」

 

 「後、あいつのいる時は満月がありました」

 

 「オオカミオトコってやつ?」

 

 「あ……それでやす」

 

 「じゃあ、やっぱ関係ねえな」

 

 「良かったね、お嬢ちゃん」

 

 女の子は頷いた。

 

 「じゃあ、モコナ達と小学校行こう」

 

 「仕方ねえ、行くか」

 

 「おう、頼むぜ」

 

 モコナ達は戦線を離脱した。

 

 「香呂木、至急対策を考えるぞ」

 

 「そうですね……あれは素体が香である以上、点の攻撃でなく、面での攻撃の方が良いかもしれません」

 

 範囲攻撃の方が良い……かもしれない。

 

 「祭里がいないのは痛いな」

 

 「確かに、風巻さんなら風で散らせそうです」

 

 「あっしの忍手裏剣、風を起こせやすよ」

 

 「それは頼もしい……と言いたい所だが、再び父と兄の仇を前にして冷静でいられるのか?」

 

 「………そ、それは……」

 

 「じゃあ、どうしよっか……」

 

 〜一方その頃〜

 

 「こっち」

 

 小学生の女の子の案内の元、小狼(シャオラン)達は小学校に向かっていた。

 

 「阿修羅王って奴と何があった」

 

 「特には」

 

 「じゃあその張り詰めた顔をどうにかしろ、何かあるって顔に書いてあんぞ」

 

 ファイは観念したように息を吐きながら話した。

 

 「…………前話してたよね、オレの仕えてた王。その人の名前がアシュラ王なんだ、全てを失ってたオレに生きる場所と知識をくれた人でさ」

 

 「そうなんですか……」

 

 「パパみたいなの?」

 

 女の子の質問で、ファイは笑顔を取り戻した。

 

 「そうかもね〜うん、オレにとってあの人はパパみたいなもんか」

 

 「…………そうか」

 

 「でも、アシュラ王を見てたファイは怯えてたよ?」

 

 モコナの問いにファイが言いにくそうにしている時、イチゴがやってきた。

 

 「どうしたの?モコナ達」

 

 手に下げたポリ袋から、買い物帰りである事は容易に分かった。

 

 「え?」

 

 「敵が来たって知らせは聞いたけど……その女の子、被害に遭ったの?大丈夫?ケガはない?」

 

 イチゴは女の子に尋ねる、女の子はペコリと頭を下げた。

 

 「そっか……良かった」

 

 イチゴはホッと息をつく。

 

 「今回の妖は面倒でな……俺達がこいつを分かりやすい避難場所に連れてく事になった」

 

 モコナはイチゴに少年の事を尋ねた。

 

 「イチゴ、妖怪に操られてないの?」

 

 「……どういう事?」

 

 〜裏山 中腹〜

 

 『ここで良いだろう』

 

 大きな犬の型の妖怪は、山の中腹辺りですずを降ろした。

 すずはジェットコースターでも味わえないような体勢、速さを叩きつけられ気分が悪くなり、解放された瞬間深呼吸した。

 

 『失礼した、我は街中にいていい者ではない故な』

 

 「……あなたは?」

 

 『我が名はクコチヒコ、古に在りし国の者……だった』

 

 「クコ……チヒコ」

 

 『あ』

 

 「どうしたの?幼心ちゃん」

 

 かなでは生えてきた。

 

 「私、この妖を聞いた事があるかも」

 

 「え、そうなの?」

 

 「うん……異国……といっても今は別の県にいた神官、まさか妖だとは思わなかったけど」

 

 『人間ではあったよ、だが人の幾百年に及ぶ知識が我を妖怪変化と変えた』

 

 「そうなんだ」

 

 「私の起源の時代はさらっとしか習わないからね」

 

 『貴様が妖巫女だな』

 

 「うん」

 

 『感じるぞ、ヒミコと同じ、太陽の力を』

 

 クコチヒコは二人に鼻の部分を近づける。

 

 「私、昔は壱与っていう名前で、今はすず……別の人格だからかなでになるけど」

 

 『そうか……我が身が形作られた時から一目、見ておきたかった。ヒミコ亡き後、新たな女王が産まれ、やがて国の統一を成し遂げる……死した我には夢物語を聞くようだったよ』

 

 「夢じゃないよ、私がここにいる」

 

 『そうか……それは良かった、ヒミコのいた痕跡は受け継がれている』

 

 「良かった……か、悪い妖じゃなさそうだね」

 

 「じゃあ、出会えた記念に友達になろうよ」

 

 『よいのか』

 

 「うん、あなたさえ良ければ」

 

 『……………』

 

 クコチヒコはすずを改めて見下ろした。

 だが、突如感じる違和感……人間の肉体に収まりきらない妖力、妖気。

 

 『(こいつ……妖力を使いすぎたのか?私欲か?はたまた……嫌、それよりもだ……妖化が進んでいる(・・・・・・・・))』

 

 秒で芽生えた黒い意志。

 クコチヒコは口を開け、すずを丸呑みにしようとする。

 その時祭里が現れ、すずを抱きかかえてクコチヒコから距離を取る。

 

 「祭里!!」

 

 「俺は大丈夫!!それより……テメエ、何のつもりだ!?」

 

 『気が変わった。ヒミコの後継よ、お前は喰わねばならん』

 

 「どうして……?」

 

 『それがお前の業というものだ』

 

 (あん)()(そう)!!

 

 森林を突き抜けた大きさの黒い槍が形成され、すずに狙いを向ける。

 槍は矢のように放たれ、すずを穿とうとする。

 

 「させるかよ!!」

 

 祭里は槍に目を向ける。

 

 「幼心ちゃん、隠れて」

 

 「うん」

 

 かなではすずの中に隠れた。

 

 「風苦無!!」

 

 祭里は風の衝撃波を放つ。

 だが、弾かれるばかりで攻撃の軌道に影響はない。

 

 「小技じゃ無意味か」

 

 旋散華!!

 

 掌から直接、風の奔流を起こし、叩きつける。

 やっと軌道修正が効き、槍が空を横切る。

 

 「……ッ」

 

 槍の風圧ですずが吹き飛びかけていた。

 

 『さっきから貴様……何者だ?』

 

 「祓忍、風巻祭里だ!!」

 

 『妖巫女と随分親しいようだが』

 

 「俺の女だ、悪いか!?」

 

 「祭里……(キュン)」

 

 『番ったか!?それでいて未だ巫女などと……なんという面の皮の厚い娘なのだ!!』

 

 「あ……そこは……うん」

 

 『嫌待て!!それよりもだ……その、なんだ……』

 

 クコチヒコの問いが終わる前に……空から、例の少年が降ってきた。

 長い距離を飛んだのか、土に長いブレーキ痕のようなものを押し付ける。

 

 「あれ?なんか派手にやってるね〜」

 

 「来たか!!」

 

 「イチゴ君……のそっくりさん……」

 

 『おお、来たな』

 

 「どういう状況?」

 

 『巫女を喰う、手伝え』

 

 「この人達、その手の人達の中でかなり重要人物なんだけど」

 

 『ここで箔をつければ、華々しいデビューとなるぞ。ひいては貴様の目的達成にも繋がる』

 

 「そう言われればそうか……じゃあ、仕方ないね」

 

 『では忍者を相手してくれ』

 

 イチゴにそっくりな少年は、刀を用意し、構えた。一呼吸置き、少年は走る。

 

 「来るか!!」

 

 「はっ!!」

 

 少年は刀を振り下ろしてきた。

 

 「ガラ空きだぜ!!」

 

 祭里は避けて、手裏剣を用いて攻撃する。

 

 「おっと」

 

 少年は手で手裏剣を叩き落とした。

 その隙に祭里は少年に斬りかかる。

 

 「せっかちだなぁ……」

 

 少年は刀で、祭里は忍者刀で斬り合いとなる。

 

 「テメエは、何者(なにもん)だ!?」

 

 「あえて言うなら……『結城イチゴ』だ」

 

 「え、嘘……」

 

 すずは驚きを隠せない。

 

 「ふざけんじゃねえ、イチゴの時にはなかった妖気をプンプンさせやがって」

 

 「!!ふざけてなんかない」

 

 「じゃあ、テメエはオモカゲか?」

 

 「あんなのと、一緒にすんな!!」

 

 少年は蹴りを混じえて攻撃してきた。

 その蹴りは、祭里の腕で止めた。

 

 「!?」

 

 「わりぃが、見え見えだぜ!!」

 

 祭里は少年の腹に風の奔流を叩きつける。

 

 「があああああああああ!!」

 

 少年は耐えられなくなって、吹っ飛んだ。

 

 「降参するんなら、恐ろしの儀で済ませてやる、これ以上やるなら祓うしかねえ、どうする?」

 

 「なーんてね」

 

 少年は倒れている所から急に飛び上がり、恐ろしく速いスピードで腕を振り上げる。

 

 「禍津怖心園(まがつふしんえん)

 

 少年は祭里の頭にアイアンクローを繰り出す。

 

 「あ」

 

 添えているだけにも見えるが祭里はその言葉を残して、動きを止めた。

 

 「祭里!!」

 

 その間にクコチヒコは何やら術を唱えた。

 

 『封殺縛』

 

 すずに、紫の輪が覆いかぶさる。

 

 『くらえ』

 

 クコチヒコの前脚から、衝撃波が繰り出される。

 防御のために装束を着替えようかとすずは考えた。

 

 「あれ……装束が、使えない」

 

 必死に横に移動して、なんとか避ける事はできた。

 

 『人間のまま、潰えるが良い!!』

 

 〜一方その頃〜

 

 「あっちです」

 

 イチゴは恋緒の案内により、妖怪を追っていた。

 その間、さっきの出来事を思い出していた。

 

 『戻ってきたか』

 

 『プリンは旋風さんに預けてきたよ』

 

 『お……すまねえな』

 

 『敵の特徴を教えて』

 

 イチゴにそっくりな少年と、ヌエの話を中心に聞く。

 

 『…………話には聞いてたけど、いたんだ』

 

 『何も知らねえって事か』

 

 『そしてそいつの手引きで、すずが連れ去られた……』

 

 『じゃあ、そいつは敵だね』

 

 『お、おう……言い切るのが早すぎないか?』

 

 『敵対行為をするなら敵だよ、早く倒すに限る』

 

 『そうか……』

 

 『それはさておきヌエ、どうしましょうか……』

 

 『香を嗅がされて幻を見させられるのか……』

 

 『一人の方が打つ手が少なくて良いでしょう、少なくとも同士討ちは避けられます』

 

 『分かった、オレが行くよ』

 

 イチゴが挙手した。

 

 『大丈夫?』

 

 『死ぬ程の何かがあるって訳じゃない、ならオレだって行けるでしょ』

 

 『無理はすんなよ』

 

 『術を警戒するだけならそれで良いけどよ、倒すのはどうすんだ?』

 

 『それは……』

 

 〜小美呼市〜

 

 「では、お願いします」

 

 恋緒はその場から離れた。

 ヌエは目標を見つけ、近づいてきた。

 そしてなんとも言えない臭いを嗅がされる。

 小狼(シャオラン)にはカオスという誰かに見え

 サクラには小狼(シャオラン)の父親に見え

 黒鋼には父親を食い殺した魔物に見え

 ファイには阿修羅王という誰かに見え

 モコナにはクロウという誰かに見え

 恋緒には河童が見え

 二ノ曲には十臓が見え

 イチゴには……明崎美夜という祓忍の少女が見えた。

 

 「イチゴ、今日も勝負しよっか」

 

 ロウソクの炎のような赤いショートヘアー、あの頃のままだった。当然だろう、これはイチゴの見てる幻だから。

 

 「美夜ちゃんか」

 

 既に忍装束に着替えた状態で現れた。

 普段着は着物などの和装に着替えている方だったので、戦闘用の衣装という事になる。

 

 「式鬼招来、猿轟」

 

 彼女の影から、猿の式神……式鬼が姿を現す。

 一族的に自分で戦う事はないが、その分攻撃的な式神を従えている。

 猿轟は長い腕を伸ばし攻撃してくるタイプで、遠くの相手にはあらかじめ装備しているポシェットの中にある柿の種をぶん投げてくる。

 

 「いきなりそれか」

 

 だが、対処方はある。

 ドンオニタイジンとの戦いを思い出せ……

 

 『ワビサビワビサビワビサビワビサビワビサビワビサビ』

 

 あのラッシュと似たようなものだと思えば良い、見切れればうまくいく。

 

 「来い」

 

 猿轟はラッシュを繰り出してきた。

 顔を中心に攻撃してきているので、反復横跳びの要領で避ける事に専念した……が、速さが足りなかった。

 頬に一発、右ストレートが入る。

 痛みは、ちゃんとある。

 みんなが幻と見抜けなかった訳だと、イチゴは感心した。

 間もなくイチゴは地面に突っ伏して倒れた。

 相手は硬さも強さもある妖怪、自分は肉のある人間……

 

 「ああ、まともに戦う必要もないかぁ」

 

 と考えた。

 同じ条件だから、勝負というものは成立する。

 同じ条件だから、人は繰り広げられる勝負をありがたがって見物する。

 速さとか、力量の差異は良い。

 しかし、人間が車と速さで勝負して勝てるだろうか?力で他の動物に勝てるだろうか?(例外はいるかもしれないがそいつは人間のカテゴリーには入れたくない、基準はあくまで一般人)

 

 「ざぁこーざぁこー♡」

 

 「………………………」

 

 「やっぱりダメダメだね〜♡イチゴは。そんなんじゃ私に一生守られる事しかできないよ?」

 

 「…………………」

 

 「悔しい?悔しい?」

 

 何故かイチゴが負けるとよく煽ってきたのを思い出す。

 

 「悔しいって言わないとイチゴのプリン食べちゃうかもよー」

 

 彼女の言動のパターンを鑑みるに、これはフリである。

 イチゴをたきつけるための言葉らしい。

 ここで気絶すれば介抱してはくれたし、立ち上がれば何故か喜びの表情を浮かべていた。

 彼女が何を考えてそうしていたのかは分からないが、イチゴは付き合うしかなかった。その意図が何か、聞いておけば良かったのか?

 

 「悔しくはないよ」

 

 「…………」

 

 イチゴのイメージの美夜は黙り込む。

 そう言ってみた事がないから、彼女がどういう反応をするのか分からないせいかもしれない。本人でないなら、これ以上付き合う義理も義務もない。

 

 「時間は充分稼いだし」

 

 空に天気予報にもない、雨雲ができた。

 

 〜一方その頃〜

 

 「本当にこれで良いのか?」

 

 「原理は合ってます、後は届くのを待つのみです」

 

 温度を上昇させ、上昇気流を起こし、雨雲を作り上げる。

 

 「火遁の術で雨を降らすか……いけるだろうか」

 

 雨を降らして、香を洗い流し無力化する。

 

 「5人で力を合わせれば、行けるでしょ」

 

 「一般人に見えている以上、忍んでない事には眼をつぶるしかない。遠慮なくやれ」

 

 〜戻る〜

 

 「忍法雨乞いの術、成就ってね、じゃ」

 

 『ソフトに回収してみせます』

 

 カイに回収され、イチゴはカイに搭乗した。

 一つ、二つ、やがて弾幕のように水滴が空から落ちていく。

 雨に打たれて、香が落ちていく。

 美夜も、式神も、視界からきれいさっぱりいなくなる。

 

 「……………」

 

 『どうされました?』

 

 「カイが目覚めなかった時ってさ……オレの身にそこまでの危険はなかったって事?」

 

 『まあ、そうですね』

 

 良心が咎めたりとかはない。

 見ていたのは元々幻なのだから。

 だが、これで終わりじゃない。

 ここからが、妖を倒すためのメイン

 かすかに感じる、妖気の源流……

 

 「そこか」

 

 多分、そこに香を溜め込んでおく香炉があるに違いない。

 

 「悪いけど、祓わないと」

 

 カイに備えてある万能工具を展開し、その妖気の源流を斬り裂いた。

 

 〜一方その頃〜

 

 『終わりだ』

 

 すずは追い詰められていた。

 祭里はイチゴを名乗る少年に足止めを受け、助けは普段妖のテリトリーでない所にいるので呼べない。

 そして急に雨が降ってきたせいで、服も重く、走りづらい。

 

 『雨のせいにしちゃダメだよ?』

 

 とイチゴそっくりの少年に言われる気がした、彼は何かと怖い事ばかりを言ってくる気がする。そういう()であれば仕方がないかもしれないが……

 

 「ここで……終わるの?」

 

 終わる……終わる……

 たどり着いた今も、いつか来る明日も。

 ここで終われば好きな人と、一緒に歩めなくなる。

 子供も、自分の帰りを待っているだろう……

 

 「楽しい今があるから……こんな所で終わってらんない!!」

 

 命光輪!!

 

 『その術は!?』

 

 すずの背に日輪の如き紋様が浮かび上がり、封印が勝手に解けていく。

 雨雲も晴れ、祭里にかけられた術も解ける。

 

 「よし!!」

 

 祭里はガッツポーズを取る。

 

 「あれが天照としての本領か……ハイロウ展開ってやつね」

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