スーパーロボット大戦Z Another Chronicle   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは。
この話を頭から最後まで読んでくれる方はお察しと思いますがこの話の千明は彩南高校の生徒ダゾ。


第5話 good bye ~外道衆を倒すまで~

 ~彩南高校~

 

 桜の花につぼみが出てきて、それを愛でられるようになった頃……

 唐突だが、イチゴは千明の卒業式の付き添いをする羽目になってしまった。

 

 「懐かしいな……」

 

 イチゴは本来なら、ここの校門をくぐって学生生活を送り、卒業する筈だった……

 だが、色々あって別の土地の中学、高校に入学して卒業して…………

 後悔はない、むしろ助かったまである。

 

 ~数日前~

 

 「あーきっちぃ」

 

 人がお昼、おやつを食べる時間帯、千明は屋敷の中だがボロボロになって倒れていた、その日の稽古の科目はいかに早く文字を書くかの訓練だったのだ。

 しかも、いつぞや漢字の間違いを指摘された千明は、申し渡された練習のかいあってか矯正は少しできているが、緊張でミスを連発させていた。

 他の黒子と共にストップウォッチを使用して時間を計ったが、するまでもなかった。

 

 「修行が足りん!!五百文字!!」

 

 と彦馬の怒号も飛び交っていた。 

 

 「お疲れ様、飲む?」

 

 イチゴは水を持って千明の席においた、黒子継続中である。

 

 「サンキュ……(水を飲む)、なんだよ……ここは学校かっての!?おんなじ学校なら高校の方がずっと良いよ!!友達いたし」

 

 もし、ここが学校であるとしても実力派委員長(たける)優等生(りゅうのすけ)優等生(まこ)真面目な子(ことは)厳しい先生(ひこま)無口な用務員(くろこ)しかいないから千明にとっては厳しい環境かもしれない。

 

 「でもさ、どうせ書くならなんであんな事したんだよ」

 

 千明は彦馬に言い渡された紙に五百文字と書いて、彼に突きつけたのだ。その事でまた彦馬の落とす雷の勢いも強くなった。

 

 「だって……ムカついてたし、今日中にやれる気しなかったし」

 

 ムカついていれば、多少言動にトゲができるのは仕方ないとして………

 

 「まあ、やれる所まではやらなきゃね……」

 

 「そうだな……千明、お前は剣もモヂカラもその扱いも俺達より一段下だからな……イチゴ、お前は数段下だから今から千回素振りな、終わったら千明もイチゴも打ち合い稽古だ」

 

 ここは千明の部屋という訳ではないがそれでもぬぅっと話に入ってきた丈瑠に少々びびった。

 

 「わ、分かりました」

 

 「げっ聞いてたのかよ……」

 

 「ふん………」

 

 「じゃあ、カリカリしすぎないようにね」

 

 「おう」

 

 三十分後…………

 

 イチゴは、黒子の衣装ではなく私服、その上に面と胴を着けて正座していた。

 侍ではないので、彼らの纏うような和装はない。

 そして、対戦相手(予定)、千明……変身しているからシンケングリーンが現れた……

 

 「終わった?」

 

 「ああ……やっとな、疲れたけど……侍でないあんたには良いハンデだろ」

 

 「ほら、調子に乗るな千明」

 

 丈瑠に竹刀で頭をはたかれた。既にシンケングリーンに変身しているとはいえ、痛そうだった。

 

 「いってー何すんだよ」

 

 「ふん」

 

 「……それじゃあ」 

 

 「…………仕方ねえ、行くぜ!!先輩」

 

 「うん」

 

 イチゴは千明に竹刀を向けた、千明もそう……

 

 「では……始め!!」

 

 イチゴは千明に向かって竹刀を振るった。

 

 「うぉ!!」

 

 イチゴの攻撃に、千明はたじろいだ。

 

 「そんな力いっぱいやるもんじゃねーぞ、こういうの」

 

 「はぁ!!」

 

 「ダメだ、聞いてねえ」

 

 千明はイチゴの竹刀にぺちぺち打ち込み、勢いを削ごうとした。

 

 だが、イチゴの勢いは止まらず、千明は防戦一方だった。

 

 流ノ介達は、二人の動きを分析していた。

 

 「やはりイチゴ相手だと私より素直に応じるか……」

 

 「まあそうだろうな……それはそうとこれで侍でもないイチゴにやられるようじゃあ侍とは言えないだろ」

 

 「あいつら…………好き勝手言いやがって……見てろよ~!!」

 

 千明の闘志に火がついた。

 攻撃に転じたのか、千明の太刀筋が、早くなった。

 

 「うっ」

 

 一転して、劣勢に回ってしまった。

 竹刀で打ち合っている筈なのに、火花が散っていった。

 

 「がら空きだぜ!!」

 

 千明はかがんで、上空に向けて竹刀を突き出してきた。

 

 「!!」

 

 その竹刀はイチゴの面越しの首元に直撃、その衝撃でイチゴは座り込んだ。

 

 「くっ」

 

 「そこまで、千明の勝利だ」

 

 「ウッドスピアーの要領ね」

 

 シンケンジャーの侍達は、ディスクによって武器を専用の物に変える事ができる。

 千明の場合は名前の通り槍だそうだ。

 

 「はあ……はあ……やっぱり本職にはかなわないな」

 

 「へっ俺だってシンケンジャーよ……」

 

 千明も大の字になってごろりと倒れた。

 

 「千明、お疲れ様」

 

 「お前にしては良くやった方だろうな、型を崩して勝ったのはあれだが」

 

 「厳しー」

 

 「……………オレはどうでした」

 

 「元々筋は悪くない方だ、というかこの前外道衆と戦ってた時より動きが確実に良くなっている……」

 

 「いつの間にあんな腕上げたん?」

 

 「腕の良いのと戦わせられたから、そのおかげかな」

 

 桃太郎を相手にしたおかげで少しだが強くなれたようだ。

 

 「桃太郎ってそんな強かったん?」

 

 「……オレが渾身の一撃を100回食らわしても倒れるイメージない」

 

 だが実際はナナシ連中との組手をした後、某影分身の術のように経験がたまったのもありそうだ。

 

 『毎回あんな事しないでくださいよ、武器はイチゴ様が修理なさると仰ったとはいえやられるときついですから』

 

 「はは……悪かった」

 

 素直に作り主(ララ)に頼めれば楽だが、遠い星の、それも王妃に頼むのは気が引ける……というか親のすねをかじる子供のようで恥ずかしい。難しいが自分でやるしかない。

 

 「だがこれではっきりした、お前に足りないのは…………守りだ」

 

 「守り」

 

 「そうだ、相手の攻撃を受け流すのもそうだが、避ける事、そもそも当たらないようにするってのがイチゴには欠けてる」

 

 そうしたところでどうなるのか?

 戦う時は攻撃あるのみだろう………

 

 「こんな風にやる……」

 

 丈瑠はシンケンレッドに変身、イチゴを誘った。

 

 「始め!!」

 

 次の審判は茉子だ。

 

 「思いっきり来い!!」

 

 「!!」

 

 イチゴは、言われた通り思いっきり竹刀を振るう。

 

 丈瑠は、その一撃を竹刀で斜めに受け止めた、イチゴの一撃は滑るように逸れて、丈瑠に当たらない。

 

 「!?」

 

 「もう一度だ!!」

 

 「…………………」

 

 もう一度、竹刀を振るった。

 

 「!!」

 

 今度も、受け流されてしまった。

 

 「はぁ!!」

 

 イチゴは腕を叩かれ、竹刀を落としてしまった。

 

 「くっ!!」

 

 「それまで!!」

 

 「あいつ、つええ…………」

 

 「千明もこのくらいできてもらわなきゃ困るからな」

 

 「…………マジか」

 

 「イチゴ、お前がさっき見たもの、覚えはあるな?」

 

 外道衆達の攻撃、殺気と気迫の入り混じった攻撃。

 

 「お前はいずれこういうのに対処していかなければならないだろう。場合によっては急襲される事も……その時のための予習と思え」

 

 「…………分かりました」

 

 稽古終了後……

 屋敷の外を見た。

 少し、修行以外のものに目を向けたかった。

 外では、小学生が、大人を引き連れて歩いている。しかも、私服でなくスーツだ………

 

 「そろそろどこもかしこも卒業式か…………千明もそろそろ?」

 

 「我ら侍に卒業はない、夏休みも冬休みもだ」

 

 「学校の卒業式は………」

 

 「ダメだ、侍として生きると決めた時にそういうのと関係は切ってもらう事にしている」

 

 「………………(舞台中に飛び出してしまった流ノ助)」

 

 「………………(園児達に何のさよならも無しに行ってしまった茉子)」

 

 二人して沈んだ空気を醸し出していた。

 

 「あ……今からでも、会って改めて別れを告げた方が良いんじゃないかな……急にいなくなられるだけだと、いざ再会したって時に一悶着あるかもしれない、それで巻き込む可能性はある……だからここできっぱりとね………それに……ここで会わせないようにすると勝手に会いにいくかもしれないし……(小声)」

 

 千明が勝手に会いに行くかもしれないという可能性を言うと納得してもらった。

 千明は信用されて無さそうに思えた、だが逆によく分かられているとも見るべきかもしれない。

 とにかく外道衆が現れたら即お別れという条件付きで出席できる事になった。

 ついでに流ノ介達にも各々が元々所属していた職場に行ってもらったり……

 

 そんなこんなで、千明の卒業式だ。

 場所を聞いて驚いたが、自分から参加するべきと言い出した分、何も言えない状態だった。

 そして今、式の真っ最中だ……

 

 ~体育館~

 

 「はい、千明君」

 

 千明は校長に卒業証書をもらった、デビルークの王と王妃が在籍していた時期の校長と同一人物らしく、髪が全部白髪になってる部分以外は全く変わっていないらしい。

 

 「校長、あんた……知ってる先生の中でとびきり変態だったけど、その分面白かったぜ」

 

 「千明君……(落涙)、その言葉……女子に言われたかったですぞ」

 

 「言うと思ったよ、つーか今の一言でめっちゃ女子にドン引きされてるんすけど」

 

 「女子のみんなに注目されるなんてたまりませんなー」

 

 ~校庭~

 

 彼の家族はどうしてるか?

 小さい頃、母親が病没した関係で千明の家庭は父子家庭となっており、それ以外の家族、祖父母とかとはたまに遊びに行くレベルだったそうだ。少なくとも、気軽にここ彩南町にイベントがあるからと遊びに行ける距離じゃない。

 それも一度招集されて、もう出られないものと見なされていたのが祟ってか、父親にいざ出席してもらう……となった時に予定が噛み合わなくなってしまった、そうだ……千明の小さい時に父親が戦っていたためかどちらの祖父母も外道衆と戦う事に関して理解はある。

 数日前に決めたのだ、仕方ないかもしれない。予定というものは早め早めに決めて以降はそのままの方が良さそうだ、変えさせた側のイチゴが言うべきではないのかもしれないが。

 

 「今日であいつらともおさらばか……」

 

 彩南高校の制服を着て、格好をつけているのか口元に葉っぱをくわえているウサギがいる。

 

 「自分の事、見えない相手がいなくなって寂しい?」

 

 イチゴは頭巾を外してウサギに聞いてみた。

 おそらく(あやかし)に分類されるもの……そういう奴らは普通の人間には見えないものらしい……目の前のウサギは飼育されてたのが化けてでたと考えればしっくりくる。

 

 「そりゃそうだけど、ここにいるのは明日から来なくなる奴らがほとんどだ。何の挨拶もできずに見る事しかできなくてオリャ、寂しいよー!!」

 

 イチゴは思った、我ながら見える鮮明さが上がっている気がすると。

 ここは彩南町という認識がそうさせているのか?

 

 「それはそうと離れてくれないかい?」

 

 「ええ……なんでだよ」

 

 「だって……あんたの顔見てると………怖い」

 

 「ふーん」

 

 イチゴはウサギに顔を近づけた、少しだが、どのような顔をするか気になってしまったのだ。

 

 「うわぁ!!」

 

 ウサギは怯え、イチゴと距離を取ろうとしていた。嫌われたなと思い、イチゴはそれ以上近づく事をやめようとした途端、千明を除くシンケンジャー達が現れた。千明の迎えか?

 

 「イチゴ、こんな小さい生き物を泣かせちゃダメじゃない……よしよし」

 

 「ひーん」

 

 「イチゴ、この子に何してたん?」

 

 侍は普通の人間ではない、先祖代々から特殊な力を受け継いでいる……だから見えるのも当然か。

 

 「顔近づけただけだよ、どうもオレはそいつらにとって極悪人の面らしくてさ……」

 

 見えるだけならまだ良い、前例も無い事は無い……だが、イチゴは大人になっても見え(年を重ねるにつれ段々と見えなくなっていくそうだ)、加えて(あやかし)を怖がらせる何かがあるらしく、特に心に重いものがのしかかったりする時に限って小さな奴らは怖がるようだ、逆に怨霊的なのは何か親しみのこもった態度をとられる。他の家族はそんな風にはなってないというのに。

 一度寄せたシワの跡が容易に元に戻らないように、時間が経過してもイチゴを見て怖がる(あやかし)は絶える事はない。

 

 「ふーん」

 

 「そうかぁ?私には普通の顔にしか見えないがなあ、もしかしたら笑ってみると案外良いのかもしれない。ちょっと笑ってみてくれ」

 

 イチゴは、言われた通り口角を上げてみた。

 

 「目が笑っとらんな………不気味な方に行ってしまった、すまん」

 

 別の場所でならもう少しうまく笑えるような、そんな気はする。

 

 「しかし、高校っていつ見てもいいものですね、殿!!」

 

 「……………………(立ち位置としてはぼっちであったため、あまり感慨は湧かない)」

 

 「そういえば、流ノ介さん無駄に元気だな………(小声)」

 

 「空元気よ、あいつ、歌舞伎の舞台まで行って別れを言えずに帰ったらしいわ、なんてったって途中で止めてしまったもの、バツが悪いって言うの?まあ事情は父親が説明してくれたらしいけど」

 

 「そういう茉子さんは……」

 

 「私は…………そうね、大変だったわね、私も、園児達も泣いちゃったし……」

 

 「すいません……」

 

 「イチゴ君、丈瑠達もね……一理あったから君の意見を汲んだの、謝る必要はないから……それときちんとさよならを言う機会になった、ありがとう。そういえばことはは行かなくて良かったの?」

 

 「うん、うち、今まで言える事は今までたくさん言ってきたし……大丈夫」

 

 「そう、言い切ってたのね……」

 

 生徒達が練り歩いている様子が見えてきた。

 

 「ぞろぞろ来たな」

 

 「千明、あそこおるなぁ」

 

 千明は仲の良い友達と、しゃべくりながら歩いている。

 

 その中で、髪をツインテールに束ねた美少女が千明と歩いていた、千明と楽しそうに喋っている少女の顔にやや既視感を感じる。

 何度か間を置いて見たが、どう見ても見覚えのある顔だったのでスコープで名札を確認してみた。

 

 「古手川」と、そう書いてあった。

 

 「異母妹(いもうと)かよ!!(小声)」

 

 多分、古手川彩……

 古手川唯の次女といった所だ。

 母方の叔父か祖母の血が濃いのか、それともイチゴ達の父親の血なのか、母親の唯より柔らかめな雰囲気を纏っている。

 確かに年は千明と被る辺りだ。

 

 「ほう、イチゴ君の妹がいるのか、ついでに君も挨拶するのはどうだろうか」 

 

 「ええ………」

 

 今更会いに行った所で、困惑するし彼女達に迷惑なのではと思い至った。

 

 「オレは良いよ……」

 

 「嫌、両親が来るなら尚更だろう」

 

 「流ノ介、本人が良いって言ってるんだ、そっとしといてやれ」

 

 「はっすまなかった、イチゴ君」

 

 「いいよ」

 

 「なんか言ってる」

 

 イチゴは再びスコープで見た。

 

 「へー兄貴がねー」

 

 「そうなんだよ……彩の兄貴があれこれ言ってくれなかったら俺今頃ここにいなかったかも……まあ別に行けなかったとしてもしゃーないとは思ってたけどさ」

 

 「とか言うけど嫌そうな顔してるよ」

 

 「シンケンジャーやるのは別良いんだよ、でもなぁ……じいさん厳しいしうるさいの二人いるし」

 

 これを逐一伝えると、後で怖そうなので何も言わない事にした。

 

 「www知り合いのおじいさんもね、それぐらいしないと大切な人を巻き込んじゃうんだって、千明のやろうとしてる事、それだけ大変って事なんだよね」

 

 「まあ、そりゃ分かってるさ……だからあいつら、あんなつええんだ」

 

 「パンピーに分かんない会話するんじゃないよお二人さん」

 

 「そうだよ、侍とハレンチな王様の娘としての会話は専門用語過ぎるんだよ」

 

 遠くから聞くだけのイチゴにとっても、父親の話なので敬称なのか蔑称なのか分からないハレンチな王様というワードで微妙な気分になった。

 

 「……………………」

 

 因子だけなら、いずれ自分もとネタにされる可能性はある。そう思うと自然に俯いてしまった。

 

 「おい、会話が終わるぞ」

 

 下を向いている間に会話が終わったらしく、急いでイチゴは黒子の頭巾を付けなおして、カメラを持った。

 今回の本来の役目……カメラマンを遂行するために。

 

 「じゃあ、頼むわ」

 

 「(じゃあ、撮るよというジェスチャー)」

 

 「おう」

 

 「はーい」

 

 「いぇい!!」

 

 「はい、○○○(個人差あり)」は黒子モードなので言えない、代わりに合図として、3,2,1と指で示した後、カメラのスイッチを押した。

 

 「どうよ、出来は」

 

 ピンぼけもしていない、イチゴにとっては良い写真と思える。だからサムズアップを行った。

 

 「ついでです、我々も混ざりましょう、殿ォ!!」

 

 「………………(頭巾の下で困惑しているイチゴ)」

 

 「やめろやめろ、屋敷の中で良いだろ?」

 

 「それも、そうですね!!」

 

 「面白い人達だね」

 

 「へへ……」

 

 「あの人ってひょっとして………」

 

 「歌舞伎界の期待の若手、でも突然舞台の最中に飛び出したってので有名な池波流ノ介なのでは?」

 

 「……ああ………そうらしいな、今は家業を優先してるって感じ?俺と似たようなもんよ」

 

 「あの人も侍なんだ」

 

 「へ~サインもらって良い?」

 

 「あーダメダメ、あいつ今多分その話題出すと凹むから…………」

 

 出口が近くなってきた辺りで、千明はあらたまったように振り向いて3人に目を向けた。

 

 「コージ、マサト、アヤ、俺……シンケンジャーとそのための特訓頑張るからさ……しばらく会えなくなるけど、俺の事応援してくれよ!!」

 

 「うん!!」

 

 「おう」

 

 「頑張れよ、シンケンジャー」

 

 「おう!!」

 

 「寂しくなるね」

 

 「ああ………でもさよならじゃねえ、いつか会う時のために、『またな!!』」

 

 「じゃーねー」

 

 「おう!!」

 

 「でも、しばらく一緒にゲーセンできないんだな」

 

 「……………外道衆ー!!お前ら絶対やっつけてやんよー!!」

 

 千明は、3人に手を振って別れを告げた後、妙に晴れた顔つきで丈瑠達の元へ向かう。

 

 「終わったか」

 

 「……まあ、元気でたっつーか、なんだろうな………気持ちよく別れられて良かったっていうか……後味のわりい感じにならなくて済んで良かったっていうか……なんでそういう事考えるのか分かんねえけど、そういう事で……『殿様』、俺これからもっともっとシンケンジャー頑張るよ」

 

 千明は丈瑠を丈瑠と呼び捨てで呼ぶイメージが強いためか、ひざまずきながら殿様と直に呼ぶ千明にみんな驚いていた、特に流ノ介が。

 

 「ただし、あんたを越えられるように……な」

 

 最後の付け加えでずっこけたが

 

 「ええい、殿を越えるなど不遜な!?越えたいなら私からにしろ!!」

 

 「よーし、見とけよ」

 

 「まあ、ほどほどに応援しとくわ」

 

 「ありがと、姐さん」

 

 「千明、帰ったらうちと稽古しよ?うちも強くなりたいし」

 

 「おうよ」

 

 「やってみろ、やれるもんならな」

 

 丈瑠の呆れ混じりの応対に千明はカチンと来た。

 

 「言ったな───────!!丈瑠にもじいさんにも、いつかギャフンと言わせてやるからな!!」

 

 千明は決意を新たに、卒業証書を片手に持って走っていった。

 彼が戦うという事は、友達を守る事に繋がる。なんとなく、そう思えた。

 今日の出来事は、若葉に差す水の一滴になっただろうか?この一滴で、若葉はどんな風に育つのだろうか?

 そう考えている最中、頭巾を引っ張られ、取られたので素顔を見られた。

 

 「お、久しぶりじゃんイチゴの兄貴」

 

 彩だった。

 

 「げっ」

 

 「パパー…………」

 

 イチゴは彩の口を手で塞いだ。

 

 「ん(何するのよ、兄貴)」

 

 「余計な事をするな……余計な事はするな、いいな?分かった?なら口はチャック付けようか」

 

 「ん~(分かった、分かったから………)」

 

 「よし」

 

 イチゴは手を離した。

 

 「はあ……(深呼吸)、話は変わるけどさ兄貴、後で高校卒業記念って感じで近くのファミレス寄るんだけど、兄貴もどう?ガーランドの兄貴も風夏の姉貴も来るって、もちろんママも一緒、みんな喜ぶと思う」

 

 「嫌、飛び入り参加は良くないよ」

 

 「そっか……」

 

 彩は落胆してそうに肩をすぼめた後、一回辺りをくるりと回って呟いた。

 

 「兄貴……まだ、あの事気にしてる?」

 

 「!!」

 

 心臓の鼓動が、一際大きな音を立てた。

 

 「気にするななんて言えないけどさ、兄貴が何かして解決する問題じゃないんだから……」

 

 だから?

 だから、いつまでも囚われるなとでも言いたいのか?

 だったら何も言わないで欲しい。

 家族の顔を見ると、否応なくその事が頭に浮かぶ。

 

 「……………………………黙れ……」

 

 その言葉のみ、やっとの思いで絞り出せた。

 

 「………………兄貴?」

 

 「どうせオレなんか………どうせオレなんか……」

 

 そこにいない方がデビルークのためだ……

 

 「あ、パパ……ママ」

 

 はったりじゃない、娘の卒業式のお迎えか、彩の両親がいる。

 

 「………………!!」

 

 すぐに我に帰った。

 こうしてはいられない、丈瑠達には悪いと思ったが、カメラを持って一目散に場を後にした。

 

 「誰?もしかして……」

 

 「兄貴だよ、イチゴの兄貴…………千明と一緒なんだって」

 

 「!?あなた……」

 

 唯はリトの顔を見た。

 

 「……………………」

 

 「イチゴくーん、どこ行ったー殿が呼んでるぞー」

 

 流ノ介が現れた。

 

 「あ、あなたは……」

 

 「池波流ノ介です、そう言うあなたは………」

 

 「結城リトです」

 

 「まさか、イチゴ君の父親ですか?」

 

 「あ、知り合いですか?息子がお世話になってます……」

 

 「いえいえ……そしてそこの方はひょっとして……」

 

 「唯です、でも私はイチゴ君のお母さんではありません」

 

 「はあ、まるで夫婦のような雰囲気でしたのでそうなのかと」

 

 彩が苦笑いし、唯の顔が赤くなった。

 そこに千明が現れ、『槌』とショドウフォンで書き、出現したハンマーで流ノ介を叩いた。

 

 「バカ、根ほり葉ほり聞くな、後で説明してやっから」

 

 「そうかぁ………頼む」

 

 流ノ介は気絶、それを背負って千明は移動を始めた。

 

 「あ、千明君久しぶり」

 

 「久しぶり、俺シンケンジャーやるからしばらく会えなさそう」

 

 「大丈夫?この人」

 

 「ま、これくらいでどうにかなる奴じゃねえし……」

 

 「卒業してもちゃんと勉強しなさいよね」

 

 「あーまたおんなじ事言いやがって、じゃあな……もっかいやるのも興ざめだけどアヤもまたな」

 

 「千明君、気をつけてねー」

 

 千明は流ノ介を抱えて、ズカズカと歩いていった。

 

 「イチゴの事は心配だけど、あの人達がいるから多分大丈夫かな……帰ったら美柑……おばさんにも報告しような」

 

 「うん」




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